防音室の作り方!防音工事業者はどんな用途の防音室を依頼できる?
近年では、何らかの理由で「自宅に防音室が欲しい」「部屋を防音室にしたい」と考える方が増えていると言われています。ただ、専門業者に依頼して防音室を作る場合、やはりそれなりのコストがかかってしまうことになるため、中には「自作で防音室を作ることはできないだろうか?」と検討する方もいるようです。Youtubeなどの動画配信サービスが普及した現在では、防音工事などについて、施工方法を解説してくれるようなコンテンツが存在していて、そういった物を視聴しながらなら「自作でも防音室を作れるのではないか?」と考える方がいるようです。
最初に言っておきますが、楽器の演奏や自宅カラオケ、ホームシアターなどを目的とした本格的な防音室が必要な場合、素人の方が見よう見まねで防音室を作るのは不可能だと考えた方が良いです。最近では、ネット通販やホームセンターで防音工事に必要な建材を手に入れることができるようになっていますが、そういったものを施工すれば防音効果を得られるほど単純な工事ではありません。
音は、小さな隙間が生じているだけでも漏れてしまいますし、自分好みの音響環境を作るには、吸音や遮音のバランス調整が必要です。この辺りは、動画を視聴したとしても分からない部分ですので、ほとんどの自作防音室は考えていたような性能が得られていない場合が多いです。
そこでこの記事では、「自宅に防音室が欲しい!」と考えている方に向け、専門業者に依頼することで、どのような用途の防音室が作れるのかについて解説します。
一般住宅から多い防音工事の種類
それでは、自宅に防音室が欲しいという方が、何の用途で防音工事を依頼するのかについていくつかの例をあげていきます。自宅に防音室を用意すると聞くと、ピアノなどの楽器演奏用の防音室をイメージする方が多いはずです。確かに、楽器用防音室のご依頼は、現在でも多いのは間違いありませんが、近年では、その他の用途の防音室の依頼もかなり多くなっています。
ピアノやドラムなど、楽器用防音室
さまざまな用途の防音室のご依頼が増えていますが、現在でも最も多いのが、ピアノやドラム、トランペットなどの演奏のための楽器用防音室です。
例えば、お子様の情操教育のためピアノを習わせたい、仕事の関係で自宅でも楽器の練習が必要と言った方が、自宅で時間帯を気にせずに演奏が可能な楽器用防音室を求めるといったパターンです。特に近年では、マンション暮らしの方が増えている、戸建てでも家と家の距離が近くなっているといった理由から、自宅での楽器演奏は防音室が必須と考えられるようになっています。
楽器は、非常に美しい音色を生じさせ、さまざまな音楽に必要不可欠なものなのですが、時と場合によっては楽器の音色が騒音とみなされてしまいます。実は、楽器が生じさせる音量というのは、100dB以上になるケースも珍しくなく、この音量は電車が通過する際のガード下や地下鉄の構内などに匹敵するレベルの音量なのです。自宅のリビングでリラックスしている、就寝中などに、このレベルの音が隣家から聞こえてきたときには、誰でも「なんて非常識な人だ!」と考えてしまう物でしょう。コロナ禍以降は、昼間でも自宅で仕事をしている方が増えていますし、時間帯に関係なく自宅で楽器の演奏を行うのであれば、防音室が必須の時代となっています。
このような状況から、自宅で楽器の演奏を行う場合、どのような楽器を演奏するにしても高性能な防音室が必要になると考えてください。なお、一口に楽器用防音室と言っても、演奏する楽器の種類によって、必要な防音対策がかなり違います。管楽器などは、主に空気音の対策となるので、比較的防音も容易なのですが、ピアノやドラムなどの楽器は、固体音対策も重要になります。さらに、防音室内の音響調整など、素人の方には判断できないポイントが多いので、専門家による防音工事が必須と考えましょう。
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カラオケ用防音室
コロナ禍を経験した現在では、自宅でカラオケを楽しみたいという方が増えており、一般の戸建て住宅やマンションなどの集合住宅にカラオケルームを設置される方が増えています。新型コロナウイルス問題があったころは、政府から外出自粛のお願いが出されていたこともあり、カラオケに行きたくでもなかなか自由に外出できない…ということに悩む方が多かったようです。お家時間が長くなれば、自宅で楽しむ方法を検討しますが、近隣住民も在宅しているわけですので、音が生じるような遊びはご近所迷惑になってしまいます。
そのため、在宅時間が長くなっても、自由に音が出せる環境を作りたいと考え、自宅にカラオケ用防音室を作る方が非常に多くなったのだと思います。さらに、自宅にカラオケ用の防音室を作れば、テレワークやお子様のリモート学習などの部屋としても利用できるといった点もメリットになっているのだと思います。
カラオケ用防音室についても、なかなか素人の方が自作で実現することが難しい面があります。例えば、カラオケはあくまでも人が出す声ですので、スピーカーの音量を抑えれば、そこまで高い防音性能を必要としないと考える方がいます。しかし、この考えは間違いで、人の声はマイクなどを通さなくても100dBを超えるような音量になるのです。つまり、近隣の方に配慮するためには、楽器防音レベルの性能が必要で、防音に関する知識が無い人にはなかなか難しいと言わざるを得ません。
さらに、カラオケ用の防音室は、室内にいる人が快適に過ごせるような環境を作る必要があります。内装デザインはもちろん、エアコンなどの空調設備やカラオケシステムの構築など、専門知識が必要な場面が多いです。こういったことから、カラオケ用の防音室を自宅に作りたいと考えている方は、経験豊富な防音工事業者に依頼するのがおすすめです。
ホームシアター用防音室
楽器防音室と並び、個人宅の防音室として昔から需要が高い用途が、ホームシアター用の防音室です。最近では、動画視聴サービスが当たり前になっていて、自宅で気軽にさまざまな映像作品を楽しめるようになっていることから、新築時にホームシアターを作りたいという要望もかなり多くなっていると言われています。もちろん、既存の部屋をホームシアター用の防音室に作り替える、防音工事のご依頼も多いです。
ホームシアターは、平均で90~100dB程度の音が生じると言われていますので、防音性能的には、フルバンドや金管楽器などの防音室の能力は必要ありません。しかし、ピアノ用防音室と同じぐらいの性能は必要で、さらに、スピーカーから低音による個体音が伝わることになるため、振動対策を目的とした浮き構造体の防音室にする必要があります。ここまでの防音室となると、一般の方が材料を集めて、自作で防音室を作るといったことは不可能でしょう。
さらに注意しておきたいのは、カラオケルームと同様、防音室内にいる方が快適に過ごせるような空調や内装デザインも必要です。また、映画館さながらの音響環境を求める方が多いため、綿密な計算の下、音響のコントロールをする必要があるでしょう。音響調整は、防音工事の中でも特に技術力が求められる工程ですので、満足のいくホームシアターを作りたいのであれば、経験豊富な防音工事業者に依頼すべきです。
動画配信者用防音室
ここ数年、急増している防音工事のご依頼としては、YoutuberやVtuberなどと呼ばれる、動画配信者様からの防音室のご依頼です。配信する動画の内容にもよりますが、例えば、ゲーム配信などを行っている配信者様であれば、ついゲームに没頭してしまい、興奮して大きな声を出してしまう…なんてことも珍しくありません。上述したように、人の声は、最大で100dB程度の音量となりますので、これほどの大声が頻繁に聞こえてくると、近隣の方は騒音で迷惑してしまうことでしょう。さらに、動画配信者様の多くは、多くの視聴者を集めるため、日中ではなく夜間に生配信をされるケースが多いですので、声による騒音が余計に目立ってしまうこともあるのです。
こういった事情から、近隣に配慮しながら動画配信を続けるため、専門の防音工事業者に相談し、防音設備が整った配信部屋を希望する方が急増しています。ちなみに、配信する動画の種類によっては、自作で防音対策も不可能ではありません。動画配信は、配信者様によって動画の種類がかなり異なり、中には大きな声をほとんど出さない人もいます。そういった方であれば、万一に備えて、市販の吸音ボードなどを壁に貼り付けるといった自作の防音対策でも、騒音に関する苦情は出ないかもしれません。
動画配信用防音室は、配信する動画の種類によって求められる機能性が異なります。例えば、ゲーム配信のように大きな声が発生する可能性がある場合は、音漏れ対策を中心に対策を施します。しかし、Vtuberと呼ばれる方の配信の場合、動画に雑音が入らないように、防音室への音漏れを防げるような対策を求められる場合が多いです。
まとめ
今回は、我々のような防音工事業者に相談がある、防音室の利用用途に関してご紹介してきました。防音室の用途は、皆さんが考えているように、楽器用の防音室というのが現在でも主流と考えて良いでしょう。もちろん、楽器にもさまざまな種類が存在していて、演奏する楽器によって必要となる防音対策は変わります。一般の方は、楽器の防音対策は、楽器が生じさせる音、いわゆる空気音の対策が大切と考えているのですが、実は楽器の中には振動音への対策が非常に重要になるものが存在するのです。分かりやすい例をあげると、ドラム用の防音室で、演奏する時には太鼓を強くたたくことから、その時の衝撃音が床から広がっていってしまう訳です。この他にも、ピアノは、床に接している足から振動が伝わることがあり、マンションでのピアノによる騒音トラブルは、上下階の住人同士によるものが多いと言われています。
近年では、動画配信やカラオケ用に防音室を求める方が増えていますが、どのような用途でも、高い性能を求めている場合、専門業者に防音工事を依頼するのがおすすめです。