テナントの防音工事について。工事までの一般的な流れをご紹介します
今回は、テナントなど、商業用施設での防音工事について簡単に解説していきたいと思います。防音工事は、マンション暮らしの人が増えたことや都市部で戸建てごとの距離が近づいてきたことから、一般住宅での部分的な防音工事が急増しています。もともと、プロの演奏家など、深夜などでも楽器の練習が必要で、周辺住宅に迷惑をかけないようにするため、自宅に防音室を作る特殊な工事という扱いだったのですが、ここ数年は多くの住宅が簡易的な防音工事を求めるようになり、一般的なリフォーム工事のような扱いになっています。
一方、テナントなどの防音工事となると、音楽教室やカラオケ、スタジオなど、特に大きな音が生じてしまうような商業施設では必要になるかもしれないけど、カフェなど一般的な飲食店やオフィスなどであれば「防音工事なんか必要ないのでは?」と考えてしまっている方が多いと思います。しかし実は、機密情報保護の観点からオフィスの会議室の防音性を高めたり、飲食店なども床の防音工事を行うといった事は非常に多くなっているのです。
そこでこの記事では、商業施設での防音工事の必要性や、実際に工事を依頼する場合の流れについて簡単に解説しておきます。
テナントの防音工事の必要性
商業施設での防音工事となると、音楽スタジオやカラオケルームなど、音楽がメインの施設で大きな音を鳴らすことが前提のテナントで必要なものというイメージですよね。しかし実際には、そこまで大きな音が生じるとは思えないような一般の飲食店などでも音に関するトラブルが発生してしまう危険はあるのです。
例えば、以下のような音のトラブルが考えられます。
- ・お客様の声が店外まで響いてしまい、周辺住民から苦情が来る
- ・2階以上の店舗だと、椅子を引く音や足音が階下の店舗に響いて苦情が来る
- ・民家に隣接している場合、エアコンのダクトや室外機、大型換気扇の音がうるさいと言われる
飲食店では当たり前のように発生する音と思われがちですが、後から周辺に住宅が増えたなど周辺環境がかわったり、階下のテナントが入れ替わったタイミングなどに、音に関する苦情やトラブルが発生することがあり、防音工事が必要になることも珍しくないのです。
なお、防音工事は「外部に響く音をゼロにする」ことは難しいのですが、「人に聞こえないレベルにする」など、適切な対策をとることで、トラブルを防止することが可能です。
テナント防音工事を依頼する流れ
それでは、テナントの防音工事を依頼する場合の流れを簡単にご紹介していきましょう。テナントの防音工事は、もともとの建物構造が大きき変わりますし、周辺環境などの問題もありますので、一般住宅以上に現地調査が重要になります。
以下に一般的な流れをご紹介しておきます。
STEP1 防音工事業者を検索し希望や条件を伝える
まずは、インターネット検索などで依頼する防音工事業者を探すところからスタートです。近年では、一般のリフォーム業者が防音工事業界に進出してきており、どこに依頼するのかによって防音工事の仕上がりがかなり違ってきてしまいます。依頼する業者を探す際のポイントは、業者の施工実績をしっかりと確認し、音楽スタジオなどの商業用施設の防音工事の経験があるかどうかを確認しましょう。ネット上に公表できない施工実績などもありますので、打ち合わせ時に過去の施工実績を見せてほしいと依頼するのも有効な方法です。
そして、依頼する防音工事業者が見つかれば、「どんな音を防音したいのか?」「どの程度までの防音が必要なのか?」と言った希望を添えて問い合わせフォームなどから相談すると良いでしょう。防音工事は、防がなければいけない音、防音性能などによって工事内容や金額が大きく変わりますので、この部分は自分の希望を詳細に説明できるようにしておきましょう。
STEP2 現場や周辺環境の確認
防音工事業者に相談すれば、現地調査の日程などを決めることになります。現地調査では、テナントの構造確認や、周辺環境の騒音レベルなどを調査・把握します。当たり前のことですが、周辺環境が静かな場所と、もともとそれなりの騒音がある場所では必要な防音レベルも変わってきます。
なお、現地調査で周辺環境をしっかりと調べようとしない、現地調査を行わないといった業者は信用しない方が良いです。
STEP3 工事内容や設計を行い見積りの提出
現地調査の後、お客様の要望に見合った防音性能を発揮できる対策を設計し、見積りが提出されます。
テナントの広さや工事内容、使用素材によって見積り金額が大きく変わりますので、工事内容と照らし合わせながら確認していきましょう。なお、使用する素材に関しては、製品番号などもきちんと確認しておきましょう。
STEP4 契約後、施行開始
見積りの内容に納得ができれば、契約を交わし防音工事の施工が開始されます。工事にかかる期間に関しては工事内容によって異なります。
なお、見積書に記載されていた製品がきちんと使用されているのかはしっかりと確認しておきましょう。防音工事業者の中には、見積書に記載している製品よりもグレードの低い吸音材などを隠れて採用し、利益を増やそうとするような輩が存在します。防音工事は、施工完了後は、すべて隠れてしまいますので、施工中に小まめに現場に通い、詳細を確認しておくことをお勧めします。
まとめ
今回は、一般住宅ではなく、テナントの防音工事の基礎知識について解説してきました。テナントの防音工事となると、音楽スタジオやカラオケなど、大きな騒音が生じると分かっているような商業施設はお金をかけて行うのが普通ですが、一般的な飲食店などは防音工事を行う必要はないと考えている方が多いです。
しかし、お客様が集まる場所ですので、深夜まで営業するとなると、お客様の会話の声が外部に漏れてしまい、苦情に発展してしまうということは珍しくありません。特に近年では、古民家再生プロジェクトなどとして、空き家を改装して飲食店を営業するなんてことが増えています。こういった古民家は、雰囲気の良い空間を作ってくれるというメリットがあるのですが、築年数の経過した木造住宅は、皆さんが考えている以上に音漏れが生じてしまう…ということを忘れてはいけません。何も考えずに見た目だけ改装して営業をスタートすれば、近隣住民から「騒音をまき散らす店」などと悪い評判がたってしまい、経営に悪影響を与えてしまう結果になるかもしれませんよ。
防音工事の匠では、大阪市内に古民家を改装して防音ショールームを開設しています。今後、古民家カフェなどをお考えであれば、ぜひ見学に来てみてください!