防音工事でよくあるトラブル!防音工事に失敗してしまう理由とその対策について

自宅に楽器用など、本格的な防音室を作る場合、多額のコストがかかります。例えば、6畳程度の部屋をピアノ用防音室に作り替える場合、200万円前後の費用がかかるのが一般的ですし、最近依頼が増えているカラオケルームなどを作る場合でも内装などにこだわった場合、230万円程度が防音工事の費用相場となります。

防音工事は、目に見えない音を防ぐための工事となりますので、その他の住宅リフォームと比較しても専門性が高くなるため、工事にかかる費用が割高に設定されます。ただ、高いお金をかけて作らなければならないのですが、防音室が完成するまで自分の要望がきちんと伝わっていて、希望の性能を持つ部屋に仕上がるのかが分からないという問題があります。実際に、専門業者に防音工事を依頼したのにもかかわらず、完成した防音室を利用してみると近所の方から騒音に関する苦情が出てしまう…などと言った残念な結果に終わるケースも少なくないと言われています。

それでは、こういった防音工事に関わるトラブルは、なぜ起きてしまうのでしょうか?この記事では、高い費用をかけてお願いした防音室が失敗に終わる理由とそうならないための対策を解説します。

防音工事で考えられるトラブルとは?

それではまず、専門業者に防音工事を依頼したとき、考えられるトラブルがどういったものなのかについて解説します。冒頭でご紹介したように、防音工事はその他の住宅リフォームと比較すると、工事にかかる費用が割高になります。6畳程度の部屋を楽器の演奏に耐えられるような防音室に作り替える場合、200万円以上の見積りが出てくるのが一般的です。

こういったことから、防音工事の専門業者に高いお金を支払う訳だし、希望通りの防音室が必ず完成すると考えている方がほとんどだと思います。もちろん、防音工会社側の視点で考えたとしても、お客様の希望通りの防音室を作るのは当たり前という認識です。

しかし残念ながら、高い費用をかけたのにも関わらず、防音工事完了後に「失敗した…」と後悔する人が皆無とは言えないのが実情です。実際に、防音工事の匠にも、他社で防音工事を行ったお客様から、手直しの相談依頼が入ることも珍しくないのです。それでは、防音工事の失敗とはどのようなケースなのでしょうか?代表的な事例をいくつかご紹介します。

防音室を作ったのに騒音苦情が出た

防音室を作るまでの工事は、一般的に自宅で楽器の演奏を考えている方などが、近隣配慮を目的に行う場合が多いです。楽器の演奏音やカラオケなどスピーカーを通した音などは、100dBをゆうに超える音量となりますので、何の対策もせずにいると、すぐに騒音苦情が発生してしまいます。これは、マンションのような集合住宅だけでなく、それぞれの家が独立している戸建て住宅でも同じです。

したがって、演奏音などが外に漏れて近隣の方に迷惑にならないよう、専門業者に依頼して防音工事を行うのです。しかし、高い費用をかけて防音室を作ったのに、実際に防音室の中で楽器の演奏を続けていると、近隣の方から「楽器の音がうるさいのですが…」と言った苦情が出てしまうといった失敗事例もあるのです。当然、費用をかけて防音工事を依頼した人からすれば、「防音工事業者側の失敗だ!」と考え、消費者トラブルに発展してしまいますよね。

防音工事におけるトラブルについては、お客様が想像していたもしくは希望していた防音性能が発揮されなかった…というものが多いです。

防音工事が原因でご近所トラブルが発生

稀にですが、防音室が完成する前に業者とのトラブルが発生するケースもあるようです。防音室は、部屋の中にもう一つの部屋を作り音漏れや音の侵入を防ぎます。そのため、防音工事では多くの建材が必要になるのです。

したがって、工事を行う前や工事中には、材料の搬入や廃材の搬出のため、何度も大型車両が出入りすることになります。また、工事に伴い大きな音が生じる工程もあります。実は、防音工事のためのこういった作業の不手際により近隣トラブルに発展して、防音工事を依頼したことを後悔するケースがあるのです。例えば、資材の搬入や搬出時に、狭い道路を塞いでしまう、工事車両がかなりのスピードで走行するから子供に危険が及ぶなどと言った問題が考えられます。その他にも、作業員が作業中や休憩中に大声で騒ぐ、タバコなどをポイ捨てするなどと言った問題行動を行い、施主様に苦情が入るといった感じです。

これは、完全に工事を請け負った業者側の責任なのですが、ご近所さんからすれば「そのような業者に工事を依頼した人が悪い」という印象になり、ご近所間の関係にひびが入ってしまう訳です。

防音工事でのトラブルを防止するには?

それでは、上記のようなトラブルを防止するためには、どのような対策を行えば良いのでしょうか?一言でいうと「優良業者を選ぶ」という対策になるのですが、初めて防音工事を行う方であれば、その優良業者を選ぶというのがなかなか難しいのです。

ここでは、防音工事に失敗しないため、皆さんがおさえておきたいポイントをいくつかご紹介します。

工事保証や施工後の遮音測定に注目

防音室工事を検討して防音工事を依頼する業者を選ぶときには、見積り金額の安さに着目する方が多いのですが、これが失敗の要因となり得ます。上述したように、本格的な防音室を作る工事は、200万円以上のコストがかかることも珍しくないため、業者を選ぶときの重要なポイントとして「できるだけ安い業者を選ぶ」と言った点を重視する方が多いです。しかし、防音室は、完成後に必要な性能を発揮できるかどうかが勝負になるわけですので、どれだけ費用が安くても完成後の防音室の性能を保証してくれないのであれば意味がないのです。

防音工事前の打ち合わせでは、どのような業者も「ピアノの音なら防げますよ!」など、自信満々に宣言すると思います。ただ、口約束でいくら良いことを言われても、ピアノの音を防げるだけの性能を保証してくれる業者とそうでない業者に分かれるのです。防音室の性能に関しては、「Dr40」などと言った表記で表されますが、優良業者であればこの性能を保証した状態で契約を組んでくれます。したがって、万一工事後に契約性能を発揮できていない場合には、無償で手直しを依頼することが可能です。防音工事業者の中には、そういった性能保証はせずに、口約束だけで防音室の性能を表現し、契約書には記載しない会社も存在します。もしあなたが契約を検討している防音工事業者の契約書に、性能保証の記載がない場合、性能保証をしてくださいと依頼しましょう。そこで性能保証の制度がないなどと答える業者は危険だと判断できます。

なお、防音室の性能については、施工前と施工後に遮音測定が行われ数値で確認できるようになるのが一般的です。そしてこの遮音測定にも落とし穴があるので注意しましょう。遮音測定については、「オクターブ測定をする事でJIS規格に基づいた遮音性能をきちんと測ってくれるのか?」が重要で、そうでない場合は他の業者を選ぶのがおすすめです。

> 防音室の性能保証について

安さで契約してはいけない

防音工事に限らず、住宅周りのリフォーム工事は、安ければ安いほど助かると考える方が多いです。もちろん、この考えを否定するわけではありません。

しかし、防音工事を依頼する業者選びでは、安さを決定打として契約するのはオススメできません。例えば、防音工事の営業に来た業者の中には、「今契約してくれるなら50万円割引します」や「他の業者のプランをうちなら30%OFF」で出来ますなど、費用的なお得感だけで契約を迫る会社も少なくありません。このように、費用的なお得感を出されると、つい魅力的な提案に感じてしまいますが、注意深く考えると、このような提案は危険だとわかるはずです。

まず「今契約するなら大幅に割引きする」という営業手法ですが、そもそも最初に出してきた見積書は何だったのか…という話になりますよね。このパターンでは、多くの場合、最初に提示された見積りが割高に設定されていて、最終的に契約する金額は特に安くない…なんてケースが多いです。まともな業者であれば、「昼間しか音を出さないといった使い方にすれば、性能を下げれるので〇万円安くできます」等、割引するにしてもその根拠を必ず提示します。何の根拠もないのに、意味不明な大幅値引きは、工事の質が悪いか、もともとぼったくり価格の提案をしてきた業者な訳ですので、危険と判断できるでしょう。
また、「他の業者のプランをうちなら安くできる!」という提案については、業界的にもルール違反です。このような事をする業者にまともな業者はないと思いますので、基本的にオススメできません。最悪の場合、自分たちで防音工事の設計ができないため、他社のプランを盗用しようとしている業者な訳ですし、防音の知識を持っていない可能性も高いです。防音工事は、目に見えない音を防ぐため、小さな隙間さえも許さない非常に高度な職人技が必要になります。つまり、いくら正しい設計図をもとに施工したとしても、技術力が低い業者が施工すれば、想定しているような高い性能を発揮させることはできないのです。

防音室の用途や利用時間を明確にしておく

実は、防音工事の失敗は、業者側に理由があるのではなく、お客様側に原因がある場合も少なくありません。初めて防音室を作るお客様であれば、防音室の利用用途や利用に関するルールなどをあいまいにしたまま工事を依頼するケースが多いです。しかし、これが後々に大きな問題に発展するわけです。

防音工事会社が作る防音室は、お客様から利用用途や想定する使い方などを事前に伺ったうえで設計図などを作ります。つまり、事前に聞いていた話と全く異なる使い方をした場合、計画通りの性能を発揮できていたとしても、音漏れが発生する可能性があるのです。
例えば、「子供にピアノを習わせたいからピアノ用防音室が欲しい」と依頼してつくった防音室について、子供がピアノを嫌がったからと親がドラムを設置して演奏すれば、ほぼ確実に音漏れが発生します。楽器の演奏音は、それぞれの楽器によって特徴が異なり、必要な対策が全く変わるのです。この他にも、「昼間から夕方までしか防音室は利用しない」と言って防音工事を行ったのに、夜間まで利用すれば音漏れが目立ってしまうことでしょう。昼間は多くの人が行動していますので、それによる雑音が大きいです。したがって、防音室から多少の音漏れがあっても環境騒音に紛れて目立たなくなると考え、性能を少し抑えることが可能です。しかし、夜間は周囲の動きが少なくなりますので、環境騒音が少なく、ちょっとした音漏れでも目立ってしまうようになるのです。

このように、打ち合わせ時に業者に伝えた内容と、実際の利用方法が変わると防音室を作ったのに音漏れが発生する…と言った結果になる可能性があります。このような事を防ぐには、防音工事の前に、「何のために防音室が必要なのか?」「防音室はどういった使い方を想定しているのか?」などを明確にしておくのがおすすめです。

まとめ

今回は、これから防音工事をご検討中の方のため、防音工事に失敗しないための注意点をご紹介しました。記事内でご紹介しているように、防音工事は、一般の住宅リフォームと比較すると、専門性が高くなることから工事にかかる費用が割高になります。例えば、6畳程度の部屋をピアノ用の防音室に作り替えるためには、200万円前後の費用がかかるのが一般的です。

ただ、これだけの費用をかけて防音室を作ったとしても、実際に室内で演奏してみると、音漏れに対する苦情が出てしまう…なんてこともあるのです。防音工事の失敗に関しては、いくつかの原因が考えられ、その全てが業者側が悪いとは言えないのが実情です。例えば、業者に説明していた防音室の利用用途を守っていない、使用時間がズレているといった場合、業者側が想定していた性能では音が防ぎきれない…なんてこともあり得るのです。

したがって、防音室工事を成功させるためには、防音工事会社に相談する前に「防音室の利用用途」「防音室の使い方」などを明確にしておきましょう。その上で、あなたに最適な防音室がどのような物なのか、業者側に計画してもらうと良いです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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