自宅でホームシアターを楽しみたい!近隣に迷惑をかけずに音量を上げることって可能なの?
映画鑑賞を趣味とする方の中には、ホームシアターシステムを導入して、自宅でも映画館さながらの環境で映画を楽しみたいと考えるのではないでしょうか?しかし、人々の生活空間が近くなっている現在では、気兼ねなく大音量で映画を楽しむということは、なかなか難しい状況になっています。
例えば、地方の庭付き一戸建て住宅に住んでいる方で、隣家との距離がそれなりに離れているという環境の場合、かなりの音量で映画を楽しんだとしても近隣住民から苦情が来る心配は少ないでしょう。しかし、都市部の戸建て住宅やマンションなどの集合住宅の場合、ホームシアターを「心から楽しむ」ということはかなり難しい状況になっていると言わざるを得ません。実際に、普通にテレビを見ているだけでも、その音声で騒音トラブルになってしまう…なんて話は珍しくなく、音の問題を抱える危険性は一昔前と比較するとはるかに高くなっています。
とはいえ、「音漏れ」を気にせずにホームシアターを楽しむことが絶対にできないか…というとそうではなく、いくつかの方法を採用すれば近隣に迷惑をかけずに音量を上げてホームシアターを楽しむことができるようになります。そこでこの記事では、大音量で好きな映画を楽しむため、ホームシアターの音漏れ対策について解説します。
近隣に迷惑をかけずホームシアターを楽しむ方法とは?
それでは、自宅のホームシアターで映画を楽しむとき、近隣に迷惑をかけずに音量を上げる方法について解説していきます。冒頭でご紹介したように。人々の生活空間が近くなっている現在では、テレビの音声などで騒音トラブルが発生することもあるなど、大音量で映画を楽しむことなんて映画館以外は不可能と考えてしまうことでしょう。
しかし実は、きちんと音漏れ対策を施しておけば、ホームシアターの音量を上げても近隣の人から苦情が来る可能性を少なくすることが可能なのです。ここでは、コストをかけずに可能な音漏れ対策などについてもご紹介します。
対策1 サブウーファーを外す
ホームシアターの音の中で、近隣住人に最も迷惑をかけるものと言えば「サブウーファー」の重低音です。実は、ホームシアターの音の中で、重低音以外の「中音・高音」域については、多少音量を上げたとしても、市販されている吸音材を室内に自分で設置することで、意外に簡単に防音対策が可能です。つまり、「サブウーファー」以外の部分は、多少音量を上げても問題ないと考えて構いません。
しかし、サブウーファーが叩き出す「重低音」については、一般の方が自作で行う程度の音漏れ対策であれば、平気でそれを破壊して音漏れしてしまいます。例えば、木造のアパートなどで、サブウーファーの重低音を発生させたときには、「すべての部屋に騒音が等しく届いている」と考えても良いほどなのです。
したがって、戸建て住宅にホームシアターシステムを導入する場合以外で、賃貸アパートやマンションなどの集合住宅の場合は、サブウーファーは外して映画を見るようにするのがおすすめです。重低音は、集合住宅にとって、対策が非常に難しい天敵のような物で、トラブルのもとにしかなりません。過去には、騒音をめぐって殺人事件にまで発展しているケースもあるほど、音の問題は難しいものです。中音・高音域については、対策次第で音量を上げることも可能ですが、専門業者に対策を依頼しない場合は、自分の身を守るためにも「重低音」は極力控えめにする、もしくはサブウーファーは取り外すといった対策を行いましょう。
対策2 スピーカーを自分に近づける
これは「音量を上げる」というのとは違い、「今までよりも大きな音に聞こえる」という対策です。全く費用をかける必要のない方法なので、覚えておくと良いでしょう。
当たり前の事ですが、スピーカーの位置を従来の位置よりも自分の近くに持ってくれば、それまでよりも小さな音量だとしても、音の迫力を味わうことができます。したがって、今までと同じ音量でも「物理的にスピーカーが近くにある」ことから、「音量を上げる」のと同じように音が大きく聞こえる効果があるのです。
ちなみに、ホームシアターのスペースそのものを小さくすることで、反響しやすくなるため、音の迫力をより感じることができるようになります。小さな音しか出せない場合は、こういったスペースを小さくするという方法を採用する方は意外に多いです。
注意が必要なのは、スピーカーを近づけると「サラウンド」感が薄まる可能性があるので、その辺りの調整は必要になるでしょう。もちろん、一度調整すれば、その後はその設定のまま使用すれば良いので、大した手間にはならないと思います。ホームシアターは、広い空間が必要と考える方が多いのですが、実は「1m四方」の空間さえあれば十分に満足いく「サラウンド空間」を作ることも可能です。なお、スピーカーを自分に近づけるという方法を採用する場合でも、サブウーファーの音量は極力控えるのがおすすめです。
対策3 ヘッドホンを利用する
近隣への音漏れのことを考えると、自分が満足できるほどの音量を出せない…と悩んでいる方におすすめなのが、ヘッドホンを装着してホームシアターを楽しむという方法です。
ヘッドホンを装着すれば、どれだけ音量を上げたとしても、聞こえるのは基本的に自分の耳だけになります。ヘッドホンから多少の音漏れは生じるものの、近隣住宅にまで聞こえるほどの音が漏れるような事はありません。ただ、注意しておきたいのは、ヘッドホンを装着すればいくらでも音量を上げられる反面、耳へのダメージのことも考慮する必要があります。近年では、ヘッドホンによる「難聴」が先進国で問題になっているという情報を見かける機会も増えているなど、余りに大きすぎる音をヘッドホンで流すと耳に大きなダメージを与えてしまいます。
なお、ヘッドホンを購入する時には、安物ではなくきちんと高品質のものを購入するのがおすすめです。安物のヘッドホンの中には、かなり音漏れしてしまうものもありますし、長時間装着すると疲れるものも多いです。
対策4 ネックバンドスピーカーを利用する
最近は、スピーカー関連商品もかなり進化していて、ヘッドホンと同じような用途で使える「ネックバンドスピーカー」というものが販売されています。これは、名称から分かるように、「首」にかけるタイプのスピーカーで、ヘッドホンに近い利用方法が可能です。そして、ヘッドホンやイヤホンと違って「耳=鼓膜」をスピーカーで覆ったりしないので、耳へのダメージを少なくすることができます。
「スピーカーを首にかけても、大きな音を出すと部屋全体に音が回るのでは?」と考えるかもしれませんが、実は「ネックバンドスピーカー」は、基本的にこのスピーカーから聞こえる音は「装着者本人」しか聞こえないような作りになっているのです。そのため、それなりに大きな音量にしても近隣に騒音で迷惑をかける心配がありません。
さらに、ヘッドホンなどと違って耳を覆ったりしないので、音量上げ過ぎによる「難聴」も起こりにくい、耳を覆っていないためその他の生活音なども普通に聞こえるので、来客などにもすぐ気づくことができるといったメリットがあります。
「ネックバンドスピーカー」の欠点は、ヘッドホンなどと比較すると、音質の良さの部分で劣ってしまう点です。音質にはこだわりたい…という方は、下で紹介するようなコストをかけて対策を施す必要があります。
対策5 シアタールームを作る
最後は、これまでの方法とは逆に、コストをかけて自分の要望を叶えるためのシアタールームを作るという対策になります。簡単に言うと、ホームシアターシステムを設置する部屋に対して、防音リフォームを施すことで防音室にする、新築に合わせてシアタールームを作っておくといった対策になります。分譲マンションの場合は、リフォーム一択です。
防音工事は、一般的に、楽器の演奏などを生業としている方が、自宅でも練習をできる環境を作るため、コストをかけて防音工事を行うといった特殊なリフォーム工事というイメージが強いと思います。しかし、ホームシアターやカラオケルームなど、自分たちの趣味に使える部屋を作りたいという要望も昔から多いのです。さらに昨今では、新型コロナ問題により、外出自粛が求められたこともあり、自宅で映画やカラオケを楽しめるような防音室が欲しいという相談が急増していました。
特にシアタールームに関しては、動画配信サービスが充実している現在では、「何度も映画館に行くことを考えると、数年でペイできる」と考える方が増えていて、本格的なシアタールームを自宅に作る人がかなり多くなっています。シアタールームを自宅に作る場合には、専用のホームシアターシステムに加えて防音工事にお金がかかるので、3桁万円は覚悟しなければいけません。ただ、映画館に行く手間を省ける、お酒を飲みながら本格的な音響環境で映画を楽しめるなど、お金をかける価値はあると思います。もちろん、専門の業者に防音工事を行ってもらう訳ですので、音漏れによるトラブルの心配などはありません。
まとめ
今回は、自宅でホームシアターを楽しみたいと考えている方に向け、ホームシアターの音で近隣住民に迷惑をかけないようにする対策について解説しました。
コストをかけずに音漏れ対策を行うのであれば、ヘッドホンやネックスピーカー、ウーファーを使わないなどと言った対策で騒音トラブルを防止することが可能です。しかし、それなりのコストをかけてホームシアターシステムを購入した方であれば、映画館さながらの音響環境で映像を楽しみたいと考えるのではないでしょうか?
つまり、ホームシアターを自宅で楽しむ場合には、中途半端な対策を施すのではなく、専門業者による防音工事のコストまで想定したうえでホームシアターの導入に踏み切るのがおすすめです。しっかりと防音対策を施せば、ユーザー様が満足できる音量で映像を楽しむことができるようになるでしょう。さらに、防音工事業者は、音のプロな訳ですので、室内の音響環境まであなたの希望通りに作ってくれるはずです。コストはかかるものの、一生モノのシアタールームが完成するのであれば、満足できるのではないでしょうか?