防音室工事の種類と用途別防音室の性能について

防音工事を検討している方が最も気になる事と言えば、やはり工事にかかる費用についてでしょう。ただ、防音工事にかかる費用については、工事を施す建物の構造条件を始めとして、防音室ができた時には何のためにその部屋を使用するのか、どういった手段で防音室を手に入れるのかによって大きく異なるということを頭に入れておかなければいけません。

例えば、防音室を作る場合でも、分譲マンションなど、鉄筋コンクリート造の建物に工事を施すのと、木造の一戸建て住宅に工事を施すのでは、もともと建物が持っている遮音性能が全く異なる事から、防音室が所持していなくてはいけない遮音性能が違ってきてしまう訳です。当然、防音室の性能が違えば、必要な材料や工法が異なるわけですので、工事にかかるコストが大幅に変わってきてしまうのです。他にも、我々のような防音工事の専門業者に一から防音室としてリフォームを依頼する場合と、楽器メーカーが販売しているようなユニット型防音室を購入し設置するのでは、工事にかかる手間が全く違うので、当然工事費も大幅に異なります。

そこでこの記事では、自宅に防音室が欲しいと考えている方に向け、防音室を導入するための手法と用途を考えた場合に、導入する防音室に必要な性能を考えていきたいと思います。

防音室の種類について

それではまず、防音工事を検討している方に向け、完成後の防音室の種類についてご紹介しておきましょう。冒頭でご紹介したように、防音室にも部屋の一角に設置するタイプのユニット型防音室と、既存の部屋にリフォームを施すタイプの2つが存在します。それぞれ、特徴が異なりますので、ここでは二つの防音室の特徴を簡単にご紹介しておきます。

ユニット型防音室

自宅に防音室を設ける手段の一つに、ユニット型防音室を設置するという手法があります。ユニット型防音室は、ヤマハやカワイなど、大手楽器メーカーなどが製造している防音室です。ユニットタイプの防音室は、利用用途などによって部屋の広さや遮音性能を選べて、目的にあった防音室を購入すれば、それを部屋の片隅に設置してもらうことで防音室が完成します。つまり、部屋そのものに大掛かりなリフォーム工事などをする必要が無いので、短期間・安価に防音室を実現できる手法と言われています。ただ、ユニット型防音室でも、高額なものであれば300万円程度するものもあります。安い物であれば50万円程度のものがあるでしょう。(楽器用です)

ユニット型防音室の注意点は、下で紹介するリフォームによる防音室を作るのと比較すれば、遮音性能がそれほど高くない点です。一般的に、ユニット型防音室は、遮音性能が高いものでD-35~40程度だと言われていますので、実際に設置して使用してみると、想像以上に音漏れしてしまう…なんて問題が起きることもあるようです。

リフォームタイプの防音室

これが皆さんがイメージする防音室の導入方法だと思います。要は、既存の部屋を一室まるまる防音室にリフォームするという手段になります。防音室の用途によって必要なリフォーム内容は変わるのですが、天井や床、壁や窓周りなど、部屋を構成する部分全ての工事を行うことになります。そのため、上述したユニット型防音室を設置するといった手法と比較すれば、工事にかかるコストが高くなってしまう、工事にかかる期間も長くなるというデメリットが存在します。

ただ、防音室の性能で考えた場合、ユニット型防音室よりも仕上がりのデザインや性能に関する自由度がかなり高くなる点がメリットです。部屋の壁紙などは自由に選べますし、音響なども好みに合わせて調整してもらうことができます。そして何より重要な遮音性能に関しては、D65~75など、非常に高い性能も実現することが可能です。

用途別、防音室に必要な性能

それではここでは、用途別の防音室に必要な性能について解説しておきます。防音室が必要になるというケースでは、自宅で楽器の演奏をしたい、ホームシアターを作りたいなどと言った要望が多いです。そこでここでは、防音室の要望の中でも特に多い、ピアノ室、ドラム室、ホームシアターの3つの用途について、それぞれの注意点をご紹介しておきます。

ピアノ用の防音室について

防音室の依頼として非常に多いのが、ピアノ用の防音室を作りたいというものです。ピアノは、誰が聞いても美しい音色の楽器と言うイメージがありますが、非常に大きな音が生じますので、何の防音対策も施さずに演奏していると、ほぼ確実に騒音トラブルを引き起こしてしまいます。なお、ピアノ用の防音室として用いる場合、遮音性能はD-55以上を目標にすべきでしょう。

注意しておきたいのは、近年、マンションなどの集合住宅にピアノ用の防音室を求める方が増えているのですが、この際に、壁や窓の防音対策だけでは不十分だということです。一般的には、ピアノは空気中を伝わる空気伝搬音の対策が必要と思われているのですが、実は、ピアノによる騒音トラブルは、階下の人と振動音で起きる場合が多いのです。これは、ピアノは地面に足が設置しているので、打鍵により発生する振動が床を伝わったり、ペダルを踏むときの振動が伝わって騒音トラブルになるわけです。つまり、ピアノの防音室に関しても、床の防音対策は慎重に行わなければいけません。

ドラム用の防音室について

次はドラム用の防音室です。ドラム用の防音室は、ピアノなどの防音室よりも高い遮音性能が必要になります。なぜなら、ドラムなどの打楽器は、重低音が特徴ですし、さらに演奏時にかなりの振動が生じてしまうことから、建物の構造物を音が伝わってしまうという特徴があるのです。そのため、集合住宅などに関しては、もともと建物が持つ遮音性能は高いのですが、音がコンクリートを伝わって拡散してしまう危険があるので、多くの防音工事業者は2階以上の部屋では、生ドラム用の防音室はNGとしています。

ちなみに、戸建て住宅でも、生バンド用の防音室を作る際は、防音室の床にコンクリート工事が別途必要になったりします。こういったことから、防音室の中でも特に高い遮音性能を求められるので、ドラム用の防音室は工事費が高額になってしまうと覚悟しておいた方が良いです。

ホームシアター用の防音室について

最後はホームシアター用の防音室です。コロナ禍で在宅時間が長くなったからか、ここ最近、ホームシアター用の防音室を求める方が増えています。

ホームシアター用の防音室に関しては、楽器用の防音室と異なる視点を持っておかなければいけません。なお、本格的なホームシアター用防音室は、D-60~70前後の非常に高い遮音性能をすすめられると思います。それではなぜ、楽器用防音室以上の遮音性能が求められるのかについてですが、これは音漏れを防ぐのではなく、ホームシアター室を利用している時に、外からの騒音を防ぐというのが目的になります。

ホームシアターを求める方は、映画などの世界観に没入したいと考え、高いお金をかけて防音室を作ります。それなのに、映像を楽しんでいる時に、防音室の外から日常の騒音が入ってきてしまうと、急に現実に引き戻され、興ざめしてしまう…と言うことが多いらしいのです。したがって、ホームシアター用の防音室を作る際には、可能な限り高い性能を持たせるケースが多いです。

ちなみに、防音室に窓を残しておきたいという場合、内側に窓をもう一枚設置し、二重窓にしたうえで遮音カーテンを設置する、さらにダクトなどがある場合は、音が入ってこないような防音ダクトに交換するなど、細部まで音が侵入しないような対策を施します。また、防音室内の音響についてもしっかりと音質を損なわにように、設計を行います。このようなことから、ホームシアター用の防音室は、非常に高い技術と、音響に関する知識まで必要だと考えておきましょう。

まとめ

今回は、自宅に防音室が欲しいと考えている方に向け、防音室の種類と実際に防音室を作る際に知っておきたい、用途別防音室の特徴をご紹介してきました。

この記事でご紹介したように、防音室を導入する時にはどのような手段で防音室を作るのかによってコストが大幅に変わるということを覚えておきましょう。さらに、防音室を作って、何のために利用するのかによって必要な性能などが全く異なります。したがって、防音工事を依頼する時には、「何のために防音室が必要なのか?」「出来上がった時にはどういった使い方をするのか?」を明確にイメージして、そのイメージを業者に伝えるのがオススメです。

防音工事業者は、お客様の利用用途や要望がわかれば、どの程度の性能が必要なのかはっきりしますので、防音室の設計や見積りをスムーズに作ることができ、満足していただける防音室が完成するはずです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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