防音カーテンって本当に効果があるの?最も手っ取り早い窓の防音対策が防音カーテン
今回は、窓やドア部分の防音対策として、最も手軽に低コストで対策ができる手法となる防音カーテンについて簡単に解説していきたいと思います。
このサイト内でも何度かご紹介していますが、部屋の中で最も音漏れや騒音の侵入原因となってしまいやすいのが窓やドアなどと言われています。実際に、コロナ禍の現在では、テレワークに集中するため、外部からの音を防ぎたいので窓の防音をしたいのですが…と言った問い合わせが急激に増加しており、新築業界では、窓に防音ガラスを採用している場合も増えています。
しかし、窓の防音対策を後から行おうと思えば、サッシごと交換したり、窓の内側にもう一枚窓を設置したりと、それなりのコストがかかってしまう対策になってしまうのです。これがドアになると、ドアそのものを防音仕様のものに交換することになるのですが、防音ドア本体がそれなりに高い建材ですので、手軽に手を出せるような防音対策とはいいがたいものになってしまいます。特に賃貸住宅での窓の防音などになると、住人が勝手に工事をするわけにはいきませんし、大家さんにも許可が貰えないことで、泣き寝入りするしかないといった状況ですね。
こういった方の最後の希望になるのが、防音カーテンと呼ばれるものなのですが、そもそもカーテンは布を窓の前にぶら下げているだけですので「本当にカーテンを交換するだけで防音効果があるのか?」と不安になってしまいますよね。そこでこの記事では、なるべく低コストに窓の防音対策を行いたいと考えている方のため、防音カーテンの基礎知識をご紹介します。
そもそも「窓」と「ドア」が弱点になる理由は?
近隣からの騒音に悩んでしまい、ネットで何度か調べてみたことがあるという方であれば、居室の防音性能を考えた時には、窓やドアが弱点になっている場合が多い…という情報を見かけることが多いと思います。しかし、一般の方からすれば、外の音が気になった時に窓を閉めればかなり騒音が和らぐというイメージで、窓とドアがなぜそこまで弱点扱いされるのかいまいち分からない…と思ってしまう方が多いと思います。
そこでここでは、窓とドアが防音視点で居室の弱点になってしまっている理由を簡単に解説しておきます。
厚みがないから
まず第一のポイントとしては、窓やドアは、壁と比較すれば厚みがないということで、しっかり音を防げない…という問題があげられます。
一般的に、建物の壁は15cm程度の厚みがあるのですが、ドアや窓はそこまでの厚みはないですよね。普通のドアであれば7~7.5cmほどですし、窓に関しては1cmの厚みもありません。もちろん、素材の違いや、壁内部の対策なども関係しているのですが、単純に厚みがない場合、防音効果は落ちてしまうもので、防音仕様ではない窓やドアは防音性能上の弱点になるのです。
なお、窓で言えば真空ガラスなど防音効果が高いものがありますし、ドアも高い防音性を持たせた特殊なタイプが存在します。
隙間が生じやすいから
次は、窓やドアは隙間が生じやすいという点が大きな弱点になっています。というよりも、窓やドア部分からの音漏れに関しては、大部分がこの隙間が原因です。
例えば、室内ドアを考えていただければわかりやすいですね。どのようなドアであっても、完全に隙間を塞ぐような作りにはなっておらず、ドアの四方に小さな隙間が生じています。ドアの下に関しては、かなりの隙間が空いているような場合もあります。音というのは、ほんの小さな隙間からも漏れてしまいますので、こういった隙間は音漏れや騒音の侵入口になってしまう訳です。
一方、窓に関しては、きちんと閉めていれば「隙間なんてないのでは?」と思ってしまう方が多いと思います。しかし、サッシの種類などによっては、きちんと閉めていても小さな隙間が生じてしまっているのです。特に、築年数が経過していれば、立て付けも悪くなっていますので、サッシの隅に隙間があったり、パッキンが劣化して窓を閉めても隙間が消えなくなっていたりします。このような隙間が原因となり、「うるさいな…」と感じてしまう訳です。
居室の防音性を考えた場合には、本当に小さな隙間でも、そこから音漏れしてしまうものです。そのため、本格的な防音室を作る際には、既存の窓を潰したり、換気口を特殊なものに交換して、隙間がなくなるようにするわけです。
防音カーテンの基礎知識
ここまでの説明で分かるように、室内にいて、窓やドアを閉めているのに、音の問題を抱えている…という場合、窓やドアの素材や隙間から音が侵入している可能性があるのです。そして、そういった音の問題を軽減してくれるアイテムとして人気なのが防音カーテンと呼ばれるものです。
一般的に、カーテンは、日射を防ぐことや、通行人などの視線を遮る事が大きな目的と考えられています。というのも、カーテンはカーテンレールにぶら下げているだけのアイテムですし、これによって音が防げるなんてイメージを持つ方な度ほとんどいないと思います。
ところが、防音カーテンというものは、「音を遮る(遮音)」「音を吸収する(吸音)」カーテンのことを指しており、きちんと防音効果を持っているものなのです。実は、防音仕様のカーテンは、音が通りにくくなるような特殊な織り方や素材で作られています。例えば、クッションやタオルに向かって話すと、声が聞こえにくくなると思うのですが、これと同じような効果を持たせたカーテンになっています。ちなみに、糸の密度が濃い(重たい)ほど防音効果が高まると言われています。
こういった防音カーテンは、通常のカーテンよりも重量があるのですが、防音効果の他にも優れた遮光性・遮熱性まで期待できると言われています。注意が必要なのは、防げる音には種類が存在するということで、防音カーテンを設置すれば、全ての音の問題を解消できるわけではないという点です。以下で、防音カーテンで防げる音の種類と、防げない音をご紹介しておきます。
防音カーテンは中高音域に効果的
防音カーテンを設置すれば、どのような騒音問題も軽減してくれると考えないようにしましょう。防音カーテンは、効果的な音と効果が期待できない音の種類が存在します。
一般的に、防音カーテンが防げると言われるのは、『中高音域』の音で、人の話し声よりも少し高い音域の騒音に悩んでいるのであれば、非常に効果的だと言われています。具体的には、以下のような音です。
- ・女性の声
- ・テレビやステレオの音
- ・子犬の鳴き声
- ・ピアノ等の楽器音
上記のような、中高音域が含まれている音には効果的です。ちなみに、音の侵入だけでなく、音漏れ対策にも効果的ですので、ペットを飼い始めた方が防音カーテンに交換しておくと、鳴き声によるトラブルを防ぐことも期待できます。
効果が期待しづらい音
防音カーテンでは効果が期待できない音が以下のようなものです。
- ・電車や大型車が通過する際の振動音
- ・工事現場の振動音
- ・ドラムの音
防音カーテンは、中高音域の空気伝搬音に対しては効果的なのですが、上記のような物質を振動させて音が伝わるといった個体伝搬音は防ぐことが難しいです。したがって、家の前で工事が始まって、そこから聞こえてくる騒音を防ぎたい…と言った場合には、防音カーテンで対策しても無意味な場合が多いです。
まとめ
今回は、窓やドアの防音対策に有効な防音カーテンの基礎知識についてご紹介してきました。戸建てや分譲マンションなどであれば、必要に応じてコストをかけた防音工事を行う方が多いのですが、賃貸住宅になると、入居者が音の悩みを抱えていたとしても、本格的な工事などは認めてもらうことはできません。したがって、現実的な対策になるのが今回ご紹介した防音カーテンなのです。
なお、防音カーテンにも種類が存在しますので、その辺りは注意して購入するようにしましょう。