マンションで騒音の苦情を言われた!苦情に発展するありがちな行動と対処法をご紹介します

集合住宅に住んでいる方の中には、「マンションで騒音の苦情を言われた…」「解決するにはどうすれば良いの?」と言った悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか?

マンションのような集合住宅は、各家庭の生活空間が非常に近いことから、ちょっとした生活音が原因となり、騒音トラブルに発展するケースが非常に多いです。実際に、国土交通省が定期的に行っている調査によると、居住者間のマナーをめぐるトラブルの内容では、平成30年度に生活音が第一位になっています。もちろん、騒音源となっている方も、「隣人に迷惑をかけてやろう!」と考え、大きな騒音を出しているわけではなく、あくまでも普通に生活しているだけなのに騒音の苦情を言われた…となってしまっているケースがほとんどです。

それでは、マンションなどの集合住宅では、どのような音が問題となり、また円満に騒音苦情を解決するためにはどのような対処を行えば良いのでしょうか?ここでは、マンションでの騒音苦情にありがちな問題行動と、その対処法を解説します。

参照データ:平成30年度マンション総合調査結果

マンションにおける騒音苦情の取り扱いについて

それではまず、マンションに住んでいる際、同じ物件に住む隣人から騒音の苦情が出た場合、どう考えれば良いのかについて解説します。冒頭でご紹介したように、国による調査では生活音が原因となるトラブルが増えているとされます。ただ、原因となっているのはあくまでも生活音であり、ほとんどのケースで悪意などなく、普通に生活している時に生じる音が苦情につながっているようです。

それでは、このような苦情に対して、騒音源とされる住人はどう考えれば良いのでしょうか?普通に生活するだけで、誰でも多少の音を生じさせるわけですし、「生活音に苦情を言われてもな…」と感じてしまう方も多いと思います。ここではまず、集合住宅での騒音への考え方を簡単に解説します。

集合住宅に住む場合は用法遵守義務がある

まず大前提として押さえておかなければならないのは、集合住宅で騒音の苦情が出た場合、騒音源側が何らかの対策を取らなければならないのが基本です。例えば、階下の住人から「足音がうるさい!」という苦情が出た場合、音が出にくいスリッパを履く、カーペットを敷くなどの対策が求められると考えましょう。このような、騒音源側が対処を求められるのは、以下のような法律が定められているからです。

(借主による使用及び収益)
第五百九十四条 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
引用:e-Gov|民法

民法594条では、上記のように定められていて、賃貸住宅に住む人には「用法遵守義務」があるとされているのです。分かりやすく言うと、決められた入居ルールに従う必要があるという意味で、騒音で近隣に迷惑をかけるような生活方法は、この義務違反に当たると考えられるのです。

したがって、賃貸の場合、騒音の苦情が出て何らかの対処を求められたのに、これを無視すると、強制退去を命じられる可能性があると考えてください。分譲マンションの場合も、管理規約などで、入居ルールがきちんと定められているはずなので、きちんと確認しなければいけません。

こういったことから、マンションなどの集合住宅で生活している時に、騒音の苦情が出た場合は、何が原因となっているのか確認してみましょう。中には、「自分は騒音になるような音を出していない…」と、騒音苦情の心当たりがないという場合もあるでしょう。そのような時には、自分の生活スタイルをもう一度見直し、それでも騒音原因がないとなれば、管理会社などにその旨を伝えると良いでしょう。実は、足音などの固体音は、構造物を伝わって拡散するため、他の居住者の音が原因となっている場合もあります。したがって、管理会社側に、別の部屋と間違われていないか、きちんと調査を依頼しましょう。

マンションで騒音苦情に発展しがちな問題行動とは?

それでは、マンションなどの集合住宅にて、隣人からの苦情に発展してしまいがちな行動についても解説していきます。どのような音が騒音問題に発展しているのかを知っておけば、普段から注意を払うことでトラブルを防止することができるはずです。

①深夜の洗濯やお風呂

周囲が寝静まっている時間帯に大きな音が生じる行動をとれば、騒音苦情に発展します。例えば、深夜に洗濯機を回す、深夜にお風呂に入るといった行動は、大きな音だけでなく振動まで物件内に伝わりますので、騒音苦情に発展する可能性が高いです。

実際に、多くの物件では、深夜帯の洗濯や入浴は控えるようにと言ったルールが設けられているはずです。

②テレビ・オーディオの音

集合住宅での騒音問題では、テレビやオーディオの音に対して苦情が出るケースも多いです。これらの機器は、空気音だけが生じると考えられがちですが、実は振動を伴った音が生じますので、左右の部屋だけでなく、上下階の部屋にまで音が伝わりやすいです。

特に、テレビやオーディオを壁に密着させて設置している場合、振動がダイレクトに響くので、苦情につながりやすいです。テレビやオーディオは、壁から少し離す、時間帯で音量を変えるなどの工夫を行いましょう。

③子育てに関する騒音

子供が部屋の中を走り回る時の足音、部屋の中で大声をあげる、泣き声なども、騒音苦情につながりやすいです。特に、単身者も住んでいるような物件だと、子育てに対する理解が少ないことから、苦情が出やすいと言われています。小さなお子様がいるご家庭は、騒音に寛容な方が多いファミリータイプの物件が良いかもしれませんね。

なお、子育てに関する騒音苦情では、子供が生じさせる音だけでなく、親が子をしかりつける時の大声が問題となるケースも多いです。子供を叱る必要がある場合でも、冷静に対処するように心がけましょう。

④その他の音

集合住宅では、これ以外にも多くの騒音問題が考えられます。例えば、友人を招いて宴会を行うなんてこともありますが、大人数で騒げば苦情につながってしまうでしょう。

最近では、誰でも手軽に動画配信ができるシステムが出来上がっていますが、時間帯や声の大きさに配慮しなければ、配信時の声に対して苦情が出る可能性が考えられます。頻繁に動画配信を行う方は、きちんと防音対策が施された物件選びをするのがおすすめです。

騒音の苦情を言われたときの対処とは

それでは、マンションに住んでいて、実際に騒音の苦情を言われた時の対処法についても解説します。騒音の苦情を言われたときには、以下のような順で対処しましょう。

騒音の心当たりがある場合、音を出さないように注意する

騒音の苦情を言われた時、その内容に心当たりがあるのであれば、騒音が出ないように注意しましょう。騒音苦情の放置は、用法遵守義務に違反しますので、最悪の場合、退去を命じられる可能性があります。

管理会社などから、騒音に関する連絡があった場合、具体的にどのような音なのか、騒音が出ている時間帯をヒアリングし、可能な限りの対処を行いましょう。防音対策の具体的な手法については後述します。

心当たりがない場合、管理会社にその旨を伝える

騒音の連絡があり、騒音の内容をヒアリングしても、心当たりが全くない場合は、管理会社にその旨を伝えましょう。この場合、別の部屋から生じている音と間違われている可能性があります。

集合住宅での騒音問題は、「誰が出している音なのか?」を特定するのがなかなか難しいです。人の声やTVの音など、空気音であれば部屋の特定は容易なのですが、足音などの振動音は構造物を伝わって拡散するため、全く別の部屋が原因となっているケースも少なくありません。したがって、騒音の内容を聞いて、明らかに自分の部屋ではない場合は、管理会社に騒音源を調査してもらいましょう。

音の問題を解消できない場合は引っ越す

「音を生じさせるのは子供で、完全に音を防ぐことは難しい」「動画配信が生業で、やめるわけにはいかない」など、騒音の苦情があっても、音の問題を解消することが難しい場合もあります。特に、賃貸住宅の場合は、本格的な防音対策を施すことが難しく、対策をとっても騒音の苦情がなくならない…なんてことも珍しくありません。

この場合は、トラブルが大きくなる前に引っ越しを検討するのがおすすめです。騒音を放置すると、最悪の場合、刑事事件に発展してしまうケースもありますので、防音性が高い物件などを探し、引っ越すのも一つの手です。

マンションに住んでいる方ができる騒音対策

それでは最後に、「騒音の苦情を言われた」「騒音の苦情を言われないために」行っておきたい対策をいくつかご紹介します。

騒音問題については、音に関する苦情が出てから初めて対策に乗り出す方が多いです。しかし、人は一度気になった音は、注意深く聞こうとするようになりますので、苦情に発展した後に対策を施すよりも、苦情が出ないように先に対策を施すというスタンスが正解と考えておきましょう。以下に、騒音問題を解決するための対策をご紹介しますので、今現在、音に関する苦情は出ていないという方も是非参考にしてください。

音や振動が出る家電は壁から離して設置する

テレビやスピーカーは、居住空間を広くとるため、壁にくっつくように設置する方が多いです。しかし、この設置方法の場合、音による振動がダイレクトに壁に伝わり、構造体を通して広範囲に音が拡散してしまう恐れがあります。したがって、音や振動が生じる家電については、壁から少し離して設置するようにしましょう。ちなみに、冷蔵庫は、音は出ませんが振動があるので、こちらも壁から少し離しておくのおすすめです。

距離的には、可能な場合は30cm程度開けるのがおすすめで、最低で15cmほど離しましょう。なお、スピーカーを設置する場合、床に直置きするのではなく、吸音マットなどを下に敷くとより良いです。

洗濯機やエアコンの室外機は振動対策を

洗濯機や室外機は、稼働時に振動音を発生させ、この音によりトラブルに発展することがあります。TVやスピーカーのように、直接的に大きな音を発生させるわけではないのですが、振動は構造体を伝わりますので、より広範囲に拡散するという問題点があります。

したがって、こういった振動を伴う家電については、防振パットと呼ばれる製品を使用して、振動の伝わりを抑えると良いです。機器購入時に、設置工事会社に振動対策を依頼すれば、別料金がかかるものの、しっかりと対策を施してくれます。なお、振動パットは、ホームセンターなどで手に入りますので、自分で設置することも可能です。

部屋に防音材を設置する

隣人からTVの音に対して苦情が出るといった場合、問題となっている境界壁に防音パネルと呼ばれる防音材を設置すると良いです。最近では、賃貸住宅用に、デザイン性の優れた防音パネルが販売されているので、部屋の景観を壊すことなく対策を施すことが可能です。防音パネルは、遮音材と吸音材が一体となっている物がありますので、そのタイプを購入しましょう。

また、階下の住人から足音に対する苦情が出ている場合、床に防音仕様のマットを敷きましょう。タイルマットであれば、住人さん自身で設置することができますので、比較的容易に足音対策が可能です。ただ、このタイプの製品は、子供が飛び跳ねるといった時の、重量感のある衝撃音までは防ぐことができません。したがって、お子様が騒ぐときの音が問題となっている場合、完全な対策にはならないので、室内で騒がないようにしつけを頑張ってください。

分譲の場合は、防音工事会社に相談する

分譲マンションに住んでいる方の場合、自分たちで対策を施すよりも、専門業者に対策を依頼する方が確実です。賃貸の場合、最悪な事態に発展する前に引っ越すという選択がとれますが、持ち物件ではその選択は難しいです。

したがって、いち早く苦情の原因となっている騒音を抑え、隣人との関係を壊さないようにするには、専門業者による防音工事がおすすめです。専門家に頼めば、コストはかかるものの、問題となっている音に対して、適切な対策を施してくれるので、確実にトラブルを解消することができるでしょう。

まとめ

今回は、マンションに住んでいる方に向け、騒音に関する苦情が出た時の対処法を解説しました。記事内では、どのような音がトラブルに発展しやすく、実際に苦情が出た時に必要な対策をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ただ、音の問題は、簡易的な対策では完全に解決するのはなかなか難しいです。したがって、賃貸の場合は「引っ越しも視野に入れる」、分譲であれば「専門業者に相談する」という選択肢も考慮しましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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