防音性を左右するポイントとは?騒音トラブルを回避するための家づくり!
新築住宅の購入や賃貸物件選びなど、新居を探す時には、生活空間の防音性に着目する方が増えていると言われています。音の問題を抱えてしまうと、近所の方との騒音トラブルに発展してしまう可能性がありますし、「うるさいな…」と感じながら生活するのでは、常にストレスを抱えてしまうことになります。にぎやかな環境が好きな方でも、家の中では可能な限りリラックスして過ごしたいと考えるはずで、そのためには静かな環境を求めるという方が多いのです。
ただ、防音性の高い住環境については、どのような点に注目して探せば良いのかがいまいち分からない…という方も多いようです。どのような住宅でも、壁や天井、床に窓など、音を遮るための障害物がきちんと存在するわけなので、どの物件を選んだとしてもたいして防音性は変わらないのではないかと感じてしまう場合もあるようです。
そこでこの記事では、住宅の防音性を左右するポイントや住み始めてから防音性を高めるための対策について解説したいと思います。
住宅の防音性が重視される理由
近年、住環境に求める物として、高い防音性をあげる方が増えていると言われています。それでは、一昔前と比較して、家の防音性能を重視する方が増加している理由は何があるのでしょうか?
ここでは、住宅の防音性が重視されるようになった代表的な要因をご紹介します。
快適な住環境が防音性に左右されるから
自宅で過ごすときには、静かな空間でゆっくりとくつろいだり、好きなことを好きなタイミングで出来る暮らしにしたいと誰もが考えるはずです。
そして、そのような生活を実現するためには、家の防音性が非常に重要になるのです。防音性の高さは、外部からの騒音の侵入を防ぐという効果だけでなく、室内で発生する音を外に漏らさないという役割も持っています。そのため、高い防音性を保持した住環境を構築すると、外からの音に邪魔されることはありませんし、自分が生じさせる音で隣人に迷惑をかけるのではないか…と言った心配を抱えることもありません。つまり、音の問題を気にすることなく、自由に過ごすことができるようになるのです。
人々の住空間が近づいている
昨今、家の防音性の高さが重要視されている理由として、人々の生活空間が近くなっているというのも大きな要因です。音は、距離によって減退する物なので、近くで発生した音はより大きく聞こえてしまいます。
現在の私たちの住空間を鑑みると、マンションやアパートなど、集合住宅で生活する方が増えています。集合住宅は、壁一枚、床一枚で各家庭の生活空間を遮っているだけで、非常に近い位置に生活スタイルが異なる人々が存在することになるのです。当然、これほど近い位置にいれば、話し声やTVの音声、掃除や調理などの家事の音など、生活音程度でも音漏れしてしまう可能性があります。生活音は、誰もが生じさせてしまう音なので、苦情なども言いにくく、ストレスに感じながら生活をせざるを得ない…なんてケースもあるでしょう。さらに、戸建て住宅でも、家と家の距離が非常に近くなっていて、集合住宅と同じような音の問題を抱えるケースが増えているのです。庭付き一戸建てなど、都市部では建てることも難しくなっていて、お隣の家からの音に悩んでいる人が増えています。
こういった、人々の生活空間が近くなったことが要因となる音の問題を解消するため、家の防音性に着目する方が増えているわけです。
ライフスタイルの変化
近年では、人々のライフスタイルが変化していることも音の問題を抱えやすい要因となっています。
例えば、働き方に関しては、早朝から出勤する方、昼頃に出勤する方、夜間に出勤される方など、さまざまな働き方が登場しています。当然、出勤時間(勤務時間)が異なれば、家での生活サイクルもズレてしまうことになるため、音が生じる時間帯がそれぞれ変わることで騒音トラブルに発展することがあるのです。さらにコロナ禍以降は、テレワークなど、在宅で仕事をする人が増えていて、今までは問題なかったような音が原因でトラブルになるケースも増えているとされます。
こういったことから、どのような時間帯でも音の問題に悩まされなくても良いよう、家の防音性を高めたいと考える人が増えているわけです。
家の防音性を左右するポイントとは?
家の防音性を高くしたいと考えた時には、家の「構造」、「間取り」、「窓の種類」に注目すると良いです。この3つのポイントは、防音性を左右する重要な部分で、適切なものを選ぶと、快適な住空間づくりに近づくことができます。
家の構造について
住宅の防音性能については、密度の高い構造であるほど高くなることを覚えておきましょう。
住宅の構造については、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つの種類があります。そして、この3つの構造について、防音性の高さの面で比較すると、鉄筋コンクリート造が最も優れていて、次いで鉄骨造、木造の順となります。鉄筋コンクリート造は、名称から分かるように、構造内部が密度の高いコンクリートで満たされているため、遮蔽物としての能力が非常に高くなるのです。一方、鉄骨造の場合は、木造よりは密度が高く、音を遮る遮蔽物としての性能が高くなるものの、石膏ボードとの間にグラスウールなどの吸音材が施工されていないと、構造内部に空間が多くなるため、音の問題を意外に抱えやすいです。また、軽量鉄骨は、鉄骨そのものが薄いため、上下の振動が音となり伝わりやすいという特徴を持っています。小規模のアパートなどは鉄骨造の物件が多いのですが、上下階の住人が足音でトラブルになりやすいのは、これが理由です。
日本の住宅で最も多い木造については、通気性が高い点がメリットであるのですが、その分、音が通り抜ける空間が多くなるため、遮音性能は低くなります。木造住宅の場合、構造内部の空間ができるだけ少なくなるよう、気密性を高める対策が重要です。
間取りについて
住宅の防音性に影響を与えるポイントとしては、間取りの工夫も大切です。住宅の間取りは、家事動線や生活動線を意識して決める物と考えられがちですが、実は騒音トラブル防止の面でも有効になるのです。
例えば、廊下や収納などを音が気になる、対策が必要と考えられる方向に設置することで、音の発生源から距離をあけることができるようになります。また、クローゼットなどであれば、衣服が吸音材として働いてくれることから、より効果的な防音対策にもなるのです。
家づくりの時には、自分たちの生活利便性にだけ注目するのではなく、隣家との関係性にも着目し、音から距離を開けられる、音を遮るものが存在するように、間取りを工夫すると良いです。
窓について
住宅の防音性を考えた時には、窓の性能が非常に重要です。というのも、外部からの音の侵入や音漏れについては、窓部分が原因になるケースがほとんどです。
そして、住宅の防音上、窓が弱点になるということは、メーカー側も理解していることから、防音性を高められたタイプの窓も販売されているのです。いわゆる、防音ガラスと呼ばれる製品で、このタイプの窓ガラスを選ぶことで、窓部分からの音の侵入を防止することが可能です。他にも、窓を2重に設置する二重窓と言った対策も、窓部分の防音性を高める対策として非常に有効です。
なお、二重窓は、窓部分の断熱性を高めることも出来、結露防止対策としても有効です。幹線道路沿いで外部騒音の侵入が気になる…なんて立地の場合、二重窓にするなど、窓の防音対策も検討しましょう。
その他、家の防音性を高める対策
ここまでの解説で分かるように、家の防音性は建物構造や間取りを工夫することで高めることができます。ただ、どのような構造の建物を選んだとしても、完全に音を防ぐことはできません。したがって、実際に生活する時には、自分たちに必要な防音対策を後から行わなければいけない場合もあります。
住まいの防音性を高めるための対策は、以下の様な方法があります。
家具の配置を検討する
住環境に存在する音の問題については、家具の配置を工夫することで防ぐことが可能です。例えば、テレビやステレオ、洗濯機のような音の出る家電は、壁から少し離して設置しておくことで、外部に漏れる音を少なくすることができます。
また、タンスや本棚などの大型家具については、音が気になる方向に設置することで、遮音・吸音効果が得られます。例えば、お隣のお宅から聞こえてくる話し声などに悩んでいる…という場合、騒音源側の境界壁にタンスや本棚など、背の高い家具を設置すれば、騒音を軽減できる可能性があります。
簡易の防音グッズを利用する
音の問題を抱えやすくなった昨今では、一般の方でも簡単に防音対策ができるアイテムがたくさん登場しています。住み始めてから音の問題を抱えた時には、以下の様な防音グッズの利用を検討しましょう。
- ・防音仕様のカーペットやラグを床に敷く
- ・窓やドア部分に防音カーテンを設置する
- ・壁に防音パネルを設置する
- ・窓やドアに隙間テープを設置する
- ・洗濯機や室外機の下に防振ゴムを設置する
上記のような防音グッズはホームセンターやネット通販で購入することが可能です。
防音室を用意する
音の問題が、話し声や家事の音、テレビの音声など、生活音レベルではなく、楽器の演奏やホームシアター、家カラオケと言った大きな音を発生させる場合は、上で紹介したような対策では不十分です。楽器演奏の音などは、いくら建物の防音性を高めたとしても、音漏れを完全に防ぐことはできません。
このような大きな音が生じると分かっている場合、我々のような専門業者に依頼して防音室を用意しなければならないと考えましょう。
まとめ
今回は、静かで快適な生活を実現するため、防音性の高い住空間を作るための工夫について解説しました。家づくりの際は、ちょっとした工夫を施すことで、家の防音性能を劇的に高くすることが可能です。
ただ、間取りや家具の配置、簡易的な防音グッズの利用による対策は、生活音レベルの防音なら効果を見込むことができるものの、楽器演奏やホームシアターなど、大きな音の防音は難しいと考えなければいけません。家の中で、自由にガキの演奏がしたいなどといった方の場合、家を建てる際に防音室を用意しておくのがおすすめです。