ペットを飼う時に注意しておきたい近隣トラブル対策について
今回は、これから犬や猫など、騒音トラブルの原因となりうるペットを迎えようと考えている方に向け、ペットを自宅に迎える前に行っておきたい防音対策について解説しておきます。
というのも、コロナ禍の現在、人々の在宅時間が長くなっていると言われているのですが、家にいる時間が伸びたことでペットを飼いやすい環境になったと、犬や猫などを飼い始める方が急増していると言われているのです。そして、ペットの総飼育数が増加するに伴ない、ペットが生じさせる騒音による近隣トラブルが増加しているのです。実際に、弊社のWebサイトにも、「近所のペット うるさい」「近所の犬 鳴き声 対策」などといったキーワードでアクセスしてくる方が増えており、ペットによる騒音トラブルの相談件数が増えているのです。
ただ、ペットによる騒音を防止するのは本来飼い主さん側が行うべきものだということを忘れてはいけないでしょう。騒音トラブルというものは、ご近所さんとの関係を一気に悪くしてしまう問題ですので、良い関係を保つためには、ペットを迎える前にご近所さんに配慮するための対策についても検討しておくべきです。
そこでこの記事では、ペットを飼育する側が考えておくべき音漏れ対策をご紹介します。
ペットによる主な騒音
それではまず、ペットによる騒音トラブルについて、どのような音の問題が考えられるのかについてご紹介しておきましょう。近年では、都市部の戸建て住宅は、狭小地に家を建てるケースが多く、犬を飼う場合でも、庭につないでおくということが難しくなっています。そのため、一昔前までは番犬として飼われていたものが、家の中で放し飼いにしているご家庭が多くなっています。
こう聞くと、「鳴き声による騒音トラブルは減っているのか?」と考えてしまう方も多いのですが、実は犬の鳴き声は非常に大きな音量となるので、家の中で飼っていても騒音トラブルを引き起こしてしまうケースがあるのです。ここでは、ペットによる騒音トラブルについて、主な原因をご紹介しておきます。
ペットの足音
ペットによる騒音トラブルは、足音を原因とするものも多いです。これは、マンションなど、集合住宅でもペットを飼う人が増加しているのが要因です。現在では、賃貸住宅などでも、空室対策のためにペットの飼育を認める物件が増えているのですが、ペットの足音は皆さんが考えている以上に階下に響いてしまうものです。
例えば、大型犬を集合住宅で飼育する場合、飼い主が帰宅した際に興奮して室内を走り回る音が階下に響いてしまいクレームになるという事があるようです。他にも、フローリングが当たり前になった現在では、ペットの爪が床に当たる時に「カチャカチャ」といった音がトラブルの原因になるケースも多いようですね。
なお、猫については、体重が軽いので足音による騒音問題は少ないと考える方が多いです。しかし、猫は夜行性で高い場所で過ごすことが好きだという特徴から、人間が寝静まった時間帯に行動を始め、高い場所から飛び降りる時の「ドンッ」という衝撃音が階下に伝わりクレームになるということが多いようです。このように、ペットの足音は、さまざまな問題を引き起こすと考えておきましょう。
ペットの鳴き声
足音以上に騒音問題を引き起こすのが、ペットの鳴き声です。ペットも生き物ですので、当然鳴くのが普通なのですが、外に音が漏れ出てしまうことで騒音トラブルを引き起こしてしまうことがあるのです。
例えば、きちんとし付けができていない犬だと、部屋の前を人が通るたびに鳴き声を上げてしまう…なんてことが考えられます。当然、夜間でも人通りはあるでしょうし、周囲が静かな状況で犬が鳴き続ければ、騒音トラブルに発展してしまうでしょう。特に、大型犬の鳴き声は、100dBもの音量になると言われており、これは防音室が必須とされるピアノの音量と同じレベルの音なのです。
つまり、室内でペットを飼う場合でも、飼い主さん側がきちんと防音対策をしておかなければ、ご近所さんに迷惑を掛けてしまう可能性があると考えておかないといけないのです。
ペットの足音対策について
それでは、ペットによる騒音トラブルを防止するため、飼い主さん側が検討したい防音対策について解説しておきます。まずは、ペットの足音を防止するための対策についてです。
クッション性のあるマットを敷く
一つ目は、賃貸物件など、大掛かりな防音工事が難しい物件での対策です。賃貸住宅でも、ペット可物件が増えていますが、基本的に物件そのものに防音対策などが施されているわけではなく、あくまでもペットの飼育が認められているだけです。新築時からペットと一緒に生活をすることを想定した物件であれば、多少の防音対策はなされていると思いますが、空室対策を目的に後からペット可になった物件であれば、ペットの出す音の対策などは住人が行わなければいけません。
そしてそういった物件で足音対策を検討した場合、床にジョイントマットやコルクマットを敷いておくという対策が効果的です。クッション性のあるマットを敷いておけば、ペットの爪の音などが響かなくなりますし、小型犬程度の足音であれば、階下に響いて迷惑を掛ける…なんてことはほぼなくなると思います。
ただ、飼育するのが大型犬という場合、猫が高所から飛び降りる時に衝撃音などになると、こういったアイテムでは音を防ぎきれません。その場合は、他のアイテムを併用する必要があると考えましょう。
遮音カーペットを敷く
近年では、遮音効果を持つカーペットなどが登場しており、これを敷いておくことで、階下に響く足音をかなり緩和することができるようになります。なお、遮音カーペットにもさまざまな種類が存在しているのですが、高額で高い遮音効果を持つものであれば、大型犬の足音なども下の階に住む方が気付くことができないほど防いでくれると言われています。ちなみに、部分的に敷くよりは全体的に敷いておいた方がより高い遮音効果が得られます。
一般的に、厚みが1cm程度の遮音カーペットが多いのですが、飼育するペットの種類によって、より高い効果が見込めるタイプを選ぶべきでしょう。他にも、上述したマットなどと併用するものオススメです。
床の防音工事
これは、分譲マンションなど、住人が自由に自宅のリフォームができるという条件が付きます。上述した方法では、マットやカーペットを敷いていない部分から足音が階下に響いてしまうことになり、騒音トラブルのリスクはそれなりに高い状態のままです。
そのため、ペットの行動範囲について、床の防音工事を行うことで、足音を完全に防いであげるという対策を検討すると良いでしょう。例えば、既存のフローリングを遮音性の高いフローリング材に交換することで、ペットが部屋の中を歩き回っても爪のカチャカチャといった音が階下に伝わらなくなります。また、床材の下に吸音材や遮音材を仕込むことで、高所から飛び降りる時の音なども防ぐことが可能です。
床の防音工事を行っておけば、ペットはもちろん、人の足音による騒音トラブルを防ぐことができるようになるので、コストをかけるだけの安心感が得られます。また、階下の生活音が侵入することも防いでくれますので、より静かな住環境も実現してくれるというメリットがあります。
ペットの鳴き声対策について
次はペットの鳴き声対策についてです。なお、ペットの鳴き声対策については、「無駄吠えしないようにしつけをきちんと行う」というのが最も重要で、飼い主の責務だと考えておきましょう。ただ、いくらしつけを行ったとしても、生き物であることから、何かの拍子に鳴き声をあげてしまうことは普通に考えられます。そのような時には、以下のような対策が有効です。
窓やドアの隙間を埋める
ペットの鳴き声が外に漏れてしまう大きな要因は、窓やドアに存在する隙間と考えてください。こう聞くと、窓やドアを閉めていれば、隙間など生じないのでは…と考えてしまう方がいますが、きちんと窓やドアを閉めていても、隙間は生じてしまうような構造になっているのです。
例えば、皆さんの家にあるドアを注意深く確認してもらえると分かりやすいのですが、ドアを閉めていても、床とドアの間に数mm程度の隙間がありませんか?実は、通常のドアというものは、閉めていても適度に換気がなされるよう隙間が生じるように作られているわけです。窓についても、レールに乗せられていてスライドする形の窓は、スムーズに開閉できるよう完全に密着するような作りになっていません。
つまり、こういった隙間から家の中で生じた音が漏れてしまうのです。上述しているように、犬の鳴き声は100dBもの大きな音量になるケースがあるので、隙間があればそれなりに大きな音の状態で漏れて行ってしまいます。そして、家と家の距離が近くなった現在では、戸建て住宅同士でもこういった音でトラブルになることがあるのです。
窓やドアの隙間については、ホームセンターなどで販売されている防音用隙間テープで埋めると良いでしょう。
防音カーテンを設置
これも比較的容易な防音対策です。要は、現状使用しているカーテンを防音仕様のカーテンに交換するという方法です。
近年では、ホームセンターやネット通販などで、防音カーテンなるものが販売されているのをよく見かけると思います。これは、特殊な繊維、織り方で作られており、通常のカーテンでは防音しきれない大きな音を外に漏らさなくて済むようになっているのです。もちろん、外から侵入してくる騒音を防いでくれるという効果もありますので、一石二鳥のアイテムと言えるでしょう。
注意が必要なのは、防音カーテンにもさまざまな種類が存在していて、安いものから高いものまで、どれを選べば良いのか迷ってしまうほどの選択肢が存在します。ちなみに、ペットの鳴き声をきちんと防ぎたいと考えているのであれば、それなりに高額な防音カーテンを購入するのがオススメです。このタイプの商品は、価格と性能がある程度比例していますので、安価なものは、「防音」を謳っているだけで、大した性能はないと考えられます。ちなみに、本格的な防音カーテンになると、非常に重量がありますので、賃貸物件などで最初から取り付けられているカーテンレールでは支えきれないと考えておきましょう。賃貸で本格的な防音カーテンを設置する場合、管理会社さんに連絡し、カーテンレールの交換を依頼しましょう。大掛かりなリフォームなどは認めてもらえませんが、カーテンレール程度であれば、住人さんが費用を持てば普通に交換できると思います。
防音工事を行う
最後は、専門業者に依頼して防音工事を行うという対策です。当然、それなりに大掛かりな工事となりますので、賃貸物件では難しく、戸建て住宅や分譲マンション等、自己所有の物件に限られる対策となります。
上述したように、ペットの鳴き声が漏れてしまうのは、窓やドアが原因となります。逆に言えば、この部分の防音性能を高めてあげることで、ペットの鳴き声による騒音トラブルの可能性が大幅に低くなると考えられるのです。
窓については、遮音性の高い防音ガラスに交換するとか、二重窓にするリフォームがオススメです。どちらのリフォーム手法も、窓の防音性をかなり高めてくれるので、ペットの大きな鳴き声を外に漏らさなくて済むようになります。ドアに関しては、既存ドアを防音ドアに交換するという方法になります。
こういった窓やドアの防音工事については、外からの騒音の侵入も防いでくれるという効果も得られますので、在宅時間が長くなっている現在、ペットの騒音防止など関係なく、依頼されることが多くなっています。
まとめ
今回は、コロナ禍で増えていると言われるペットトラブルについて、鳴き声や足音によるご近所トラブルを防止するため、飼い主さん側が押さえておきたい対策について解説してきました。
この記事でご紹介したように、ペットの足音や鳴き声というものは、皆さんが考えている以上に他人に迷惑を掛けてしまうものです。特に、犬の鳴き声というものは、防音工事が必須とされている楽器が生じさせるのと同じレベルの音量となりますので、何の対策もなく犬が吠え続けているとすぐにトラブルに発展してしまうと考えておいた方が良いですよ。
この記事では、足音・鳴き声について、いくつかの効果的な対策をご紹介していますので、まずは簡易的な方法から試してみてはいかがでしょうか?ペットを飼育するということは、それなりの責任が買い主に生じるはずですので、ご近所トラブルが発生しないように適切な防音対策を行っていきましょう。