マンションでの窓リフォームについて!

一戸建て住宅と比較すると、外部からの騒音に悩まされる心配があまりないというイメージを持たれがちなのがマンションです。ただし、マンションでの外部騒音対策を考えた時、唯一の弱点が窓にあると言われています。
当たり前のことですが、分厚いコンクリートで構成されている壁と比較した場合、窓は何十分の一といった薄さになってしまいますので、きちんと閉めていたとしても、音が透過して部屋の中に入ってきてしまうのです。さらに、窓は換気のためなどに開閉することが多いことから、スムーズに動かせることも重要で、音の侵入口となる隙間も意外に多いという弱点が存在します。そのため、ここ数年、マンションで暮らす方からの防音に関する相談では、窓の防音リフォーム工事に関するものが増えています。

そこでこの記事では、マンションで暮らしている方が、窓の防音を検討した時、事前に確認しなければならないポイントと、どのような工事方法があるのかについて解説します。

マンションの窓はリフォームできるの?

マンションに暮らしている方が、自宅のリフォームを検討した時には『共用部分』と『専有部分』の違いを抑えておかなければいけません。というのも、共用部分というのは、マンション所有者全員で共有するものですので、一人の入居者が勝手に判断してリフォームすることなどできないのです。ちなみに、『共用部分』と『専有部分』を分かりやすくするため、簡単にどういった部分かをご紹介しておきましょう。

  • マンションの専有部分
    簡単に言うと、マンション所有者個人が所有する部分です。一般的には、部屋の内側の居住スペース部分で、壁、床、天井、キッチン、トイレ、バス、洗面所などが専有部分となります。なお、居住スペース内にある、電気配線や電話線なども専有部分に含まれます。こういった専有部分は、個人の所有者のものですので、自己の判断のみでリフォーム可能です。
  • マンションの共有部分
    簡単に言うと、上述した専有部分に含まれない全ての部分を指しています。例えば、エレベーターや共有廊下、エントランスや集合ポストなどが分かりやすいです。こういった共有部分は、マンション所有者全員のものですので、一所有者の判断で勝手にリフォームすることができません。共有部分のリフォームをする場合、管理組合の許可が必要です。

このように、複数のご家庭が混在するマンションは、『共有部分』というものが存在していて、マンションの中には、「個人が所有するスペース」と「マンション所有者全員の共有スペース」があり、勝手にリフォームできないケースがあると考えておきましょう。そして、専有部分と考えられがちなのですが、各居室の『窓』『窓ガラス』は共有部分に分類されているケースが多いのです。

マンションの窓は『共有部分』なのか?

ほとんどの方は、自宅の窓については、専有部分と考えているのではないでしょうか?窓は、部屋の内側の居住スペース部分にあるものですので、マンション所有者全員の共有部分と言われても、なんとなく釈然としない…という方が多いと思います。

こういった、窓の取扱いについては、「マンション管理規約」が定められているのですが、国土交通省が作成した標準モデルの「マンション標準管理規約」では、以下のような記載が存在します。

引用:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)

上図の通り、各居室の『窓』・『窓ガラス』については、基本的に共有部分に含まれているケースが多いです。ただ、「標準管理規約」は、あくまでも標準モデルを国土交通省が提示しているだけのもので、各物件によって管理規約の細かな内容は異なるケースもあります。したがって、自分が所有しているマンションについての窓の取扱いについては、個別に確認してください。

マンションの窓をリフォームしたい場合

上述の通り、分譲マンションなどの窓については、各物件所有者の専有部分ではなく、共有部分に分類されているケースが多いことから、窓のリフォームを検討したとしても、まずはマンションの規約を確認し、窓・窓ガラスの取扱いを確認しなければならないと考えてください。

ちなみに、マンションなどが、管理規約において、窓や窓ガラスを『共有部分』に分類するのはなぜだと思いますか?普通に考えれば、各居室の内側に設置されているわけですので、窓・窓ガラスは各物件所有者の所有物扱いにしておく方がシンプルで良いと考えてしまいますよね。
窓・窓ガラスを『共有部分』にするのは、外観の統一性、構造の統一性を持たせるのが目的で、物件所有者それぞれが、自己の判断で勝手にリフォームしてしまうと、これが崩れてしまうからなのです。例えば、マンションの通路側の窓ガラスは、網入りガラスが入っている場合が多いのですが、これは万一災害などに見舞われた場合、防火性能が必要なためです。こういった理由で、住人が勝手に変更しないように窓・窓ガラスを共有部分と扱っているわけです。

こういったことから、分譲マンションに住んでいる方が、断熱や防音目的などで、居室の窓のリフォームを検討した時には、業者探しを行う前に管理組合に以下のような内容の確認を行ってください。

  • ①「窓」・「窓ガラス」について、マンション管理規約上、共有部分か専有部分、どちらの取扱いになっているのか?
  • ②「窓」・「窓ガラス」のリフォームを実施するにあたって、どのような手続きが必要になるのか?

上記を確認したうえで、個人でリフォーム可能となっている場合は、個人負担で工事を行うことになります。なお、長期修繕計画の中に窓リフォームが含まれている場合もあるのですが、この場合は修繕積立金を使って行われます。長期修繕計画の中で行われる場合、その内容と時期を確認しておくと良いでしょう。

そもそもマンションの窓リフォームにはどんなメリットが?

マンションにおける窓や窓ガラスの区分が理解できたところで、次は「そもそも窓のリフォームを実行することで何のメリットが得られるのか?」について簡単に解説しておきましょう。

メリット1 結露対策

一つ目のメリットとしては、窓部分の結露対策に有効だというものです。実は、近年建築されるマンションについては、窓に複層ガラスが採用されるようになっています。例えば、2015年に行われた調査では、全国のマンションの80%前後が複層ガラスが採用されているという結果になっています。しかし、これが2010年まで遡ると、約50%にまで低下してしまうことから、これ以前のマンションについては、過半数が一枚ガラスの窓が採用されているのです。

一枚ガラスの窓は、断熱性能を持ち合わせていないので、窓の結露対策には優位ではありません。一枚ガラスの窓は、あくまでも中に住む人を風雨から守り、ガラスを通して外の景色を見れたり、採光を目的としているのです。これが、複層ガラスや真空ガラスを採用することで、内側の窓が外気に触れることがなくなるので、結露の発生を抑えてくれるようになるわけです。

メリット2 断熱効果⇒節電・省エネ効果

結露対策の部分でも少し触れていますが、一枚ガラスを複層ガラスや真空ガラスに交換した場合、断熱効果を得られることになります。もちろん、導入する窓ガラスによってその効果のほどは変わってしまいますが、2倍とも4倍とも言われるほどの断熱効果があるとされています。

窓部分の断熱性が高くなれば、外気の影響を受けにくくなることから、空調効率が高まり、日々の生活にかかる光熱費を削減することもできます。

メリット3 防音効果

最後は、窓部分の防音性能を高めてあげることができるというメリットです。ただ、窓の防音性能向上を目的とした場合、単に1枚ガラスを複層ガラスに交換すれば良いというほど単純なものではないので注意してください。そもそも、通常の複層ガラスは、高い防音性を売りとしているわけではありませんよね。

防音効果を目的に窓リフォームをする場合、内窓を設置して二重窓にするだとか、新しく設置する窓ガラスを真空ガラスにするなど、きちんと防音性を高めることを考えたリフォームが必要です。もちろん、防音効果を狙って、それ相応の対策を施せば、外からの騒音の侵入を防ぎ、静かで快適な環境を作ってくれます。

窓リフォームのデメリットについて

窓のリフォームについては、上記のようにさまざまなメリットが存在します。ただ、いくつかのデメリットもあるので、以下の点は頭に入れておきましょう。

  • コストがかかる
    当たり前のことですが、窓のリフォームをする場合、それなりのコストがかかってしまいます。特に、窓リフォームを検討した理由によっては、建物内全ての窓に対して工事を行わなければならないケースもあり、その場合は非常に多額のコストがかかってしまいます。
  • 施工方法によっては、管理の手間が増える
    窓が、管理規約で共有部分とされている場合でも、窓の内側にもう一枚窓を設置するという方法であれば、リフォームが認められる場合があります。要は、二重窓にするというリフォームなのですが、この手段であれば、大概の場合、専有部分のリフォームとみなしてくれるため、窓の機能性を向上させることが可能です。ただ、二重窓にした場合、換気のための窓の開け閉めや窓の掃除の手間が単純に2倍になると考えなければいけません。要は、窓の機能性は高まるものの、管理が面倒になるということです。

マンションの窓リフォーム手法について

それでは最後に、マンションの窓リフォーム手法について代表的な方法をご紹介しておきます。一口に「窓のリフォーム」といっても、いくつかの手法が考えられ、どの手段を採用するのかによってかかるコストが大きく変わってしまうことになります。ここでは、代表的な窓リフォーム手段について解説しておきます。

①内窓の設置(二重窓)

一つ目の手法は、既存窓の内側にもう一枚窓を設置するという方法になります。いわゆる、二重窓や二重サッシと呼ばれる手法で、多くの場合、専有部分のリフォーム扱いになるので、マンションなどでも取り入れやすい窓の機能向上リフォームというイメージです。ちなみに、二重窓のリフォームは、比較的簡単な手法で、どのような条件でも実現できると考えられがちです。しかし、内窓を取り付ける箇所について、窓枠の幅が足りていない場合、ふかし枠と呼ばれる追加の窓枠の設置が必要です。この場合、カーテンレールなども作り直さないといけないので、通常の二重窓よりも施工費が高くなります。

②窓ガラスを交換する

二つ目の手段は、既存の窓ガラスを、複層ガラスや真空ガラスなど、目的の機能を実現できる窓ガラスに交換するという手法です。この場合、ガラスのみの交換となるので、追加の枠を設定するなどの費用は掛からないのですが、新たに採用する窓ガラスの種類によって施工費が上下します。

ガラスの交換は、今までの窓と変わらない外観・内観のまま、窓部分の性能を高めてあげることができるのがメリットです。上述した内窓の設置のように、管理の手間が増えるようなこともありませんし、内窓の設置により、部屋の雰囲気が変わるなんてこともないです。ただ、窓ガラスが共有部分という扱いの場合は、この手法を採用できないケースも考えられます。

③窓ごと交換する

最後は、サッシもガラスも窓をまるごと新しくするというリフォーム方法です。なお、窓ごと交換する手法は、「窓のカバー工法」などと呼ばれます。

この手法は、既存の窓サッシを取り外し、新しいサッシに交換するという方法ですので、窓のリフォーム手段の中では最も高額な費用がかかってしまいます。当然、窓が共有部分指定されている場合、管理会社の許可なしにこの工法を採用することはできません。

ただ、窓のカバー工法まで必要なるのは、建物の経年劣化が進み、サッシ部分などに隙間が生じてしまっているなど、老朽化が目立つケースに採用されます。つまり、ここまでの状態になっている場合、全体の大規模修繕などで窓の工事が行われると思います。

まとめ

今回は、分譲マンションの窓のリフォームについて、業者に連絡する前に確認しておくべきポイントや、どのような方法で窓のリフォームが可能なのかをご紹介してきました。

この記事でご紹介したように、分譲マンションなどでは、物件の所有者でも、窓については自己の判断で勝手にリフォームすることができない場合があります。というのも、窓に関しては、マンション全体の外観に関わるほか、防災の面で特定のガラスを設置していなければならないという考えがあるからです。

したがって、マンションに住んでいる方が、窓のリフォームを考えた時、まずはマンション管理規約を確認し、窓・窓ガラスが『専有部分』なのか、はたまた『共有部分』なのか確認してみましょう。なお、専有部分だとしても、管理組合に何の報告もなしにリフォーム工事などは行ってはいけませんよ。工事のために、不特定多数の人間をマンション内に招き入れることになるわけですので、その辺りの許可を取るため、管理組合とリフォーム工事の日程調整などが必要になるはずです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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