騒音トラブルにあった時の対処法とは?隣人がうるさいと感じた時の具体的な対策

今回は、自分の身に騒音トラブルが降りかかってきたとき、どのような対処をすれば良いのかについて解説していきたいと思います。新型コロナウイスルの影響もあり、人々の在宅時間が長くなった今、騒音を原因とする隣人トラブルが急増していると言われています。実際に、環境省が公表した「騒音に係る苦情の件数」は、以下のようになっています。

引用:環境省資料より

上図は、騒音に関わる苦情件数をグラフ化したものなのですが、全国の地方公共団体が受理した騒音に関わる苦情が、令和2年度になって急激に増えているのが分かります。それまでは、住宅の性能が向上していることもあり、横ばいからやや減少を示していたものが、令和2年度になり前年比で30%以上の増加をいきなり示すなど、多くの方が音による問題を抱えてしまっていることを如実に表す結果が出ています。

これは、コロナ禍で人々の在宅時間が長くなってしまったのが大きな要因と考えられ、今までは気にもしなかった昼間の自宅周辺の騒音などがテレワークなどで気になるようになり、トラブルに発展しているのでしょう。なお、新型コロナウイルス問題がほぼ解決された現在でも、テレワークなどを続ける企業は多いようですし、今後も音の問題は誰にでも起こり得るものだと考えておくべきでしょう。
そこでこの記事では、実際に自分の身に騒音トラブルが起きた時、どのようにして解決すれば良いのかについて考えてみたいと思います。

隣人との騒音問題の対処法について

それでは、あなたがご近所さんからの騒音に悩まされてしまった…という場合に、どのようにしてその騒音トラブルを解決すれば良いのかを考えていきましょう。なお、音の問題についてはお互い様の面もありますので、あなたが音に悩んでいるように、あなたの音で悩まされている人がいるかもしれないということを忘れてはいけませんよ。

騒音トラブルに直面した時には、「自分は騒音源になっていないか?」ということをもう一度見直してみる機会でもあると考えましょう。ここでは、近隣からの騒音に悩まされている…という状況を想定し、その時の解決法をいくつかご紹介します。

対処法① 騒音主と話し合いで解決する

最も単純な解決方法が、騒音を出している騒音主と、直接話し合いを行って、騒音をださないようにしてもらうという方法です。注意しておいてほしいのは、喧嘩腰で苦情を言いに行けと言っているわけではありませんよ。あまり強い物言いでクレームを言いに行くと、余計にトラブルが大きくなってしまうことも考えられますので、あくまでも話し合いを行うという立ち位置を忘れないようにしてください。

「騒音を出すような人と話し合いをしても意味がないのでは?」と考えてしまう人がいますが、意外にこの平和的な解決法で、ことが丸く収まるケースがあるのです。例えば、今まではご近所さんが昼間は仕事に行っているからと、子供に楽器の練習をさせていたという場合を考えてみましょう。この場合、周囲の方がテレワークが始まった時、騒音主さんがその事実を知らなければ、いつもの習慣として昼間に楽器の音を出してしまうことでしょう。要は、「ご近所さんが留守にしている」と考えて騒音を出しているだけで「トラブルになっても構わない」と考えているわけではないのです。したがって、音の悩みを抱えている方が、テレワークが始まって昼間でも在宅しているということを伝え、騒音を抑えてほしいとお願いするだけで問題が解決する可能性があるのです。もちろん、窓をきちんと閉めていれば〇時~〇時の間なら多少の音は我慢するなど、ある程度の譲歩をしてあげる必要があるかもしれませんが、その辺りは臨機応変に協議してみると良いでしょう。
他にも、騒音主の方が、自分が騒音を出していると気づいていないケースもあります。例えば、歩き方が特徴的で階下に足音が響いているという場合、その人は普通に歩いているだけですので、騒音に気付くことができないわけです。こういった場合、スリッパをはいてもらう、日常生活の気遣いなどで音の問題を解決することができる場合もあるでしょう。

騒音源となっている方と顔見知りなど、会話ができる程度の人間関係ができていれば、直接話し合いの場を持つというのが最も手っ取り早いです。

ここに注意

直接話し合いをするという行為は、相手側から「苦情を言われた」と受け取られてしまい、逆上させてしまう恐れがあるので注意しましょう。騒音主となっている方の為人があまり分からないという場合、直接話し合いに乗り込むのはあまりオススメではありません。また、マンションなどの集合住宅にて、「上の階の足音がうるさい」という場合、建物の構造によっては真上の部屋からの音ではないケースがあります。騒音源を間違ってしまうと、失礼になりますので、きちんと騒音源を突き止めてから話し合いの場を持つようにしましょう。

対処法② 第三者に相談する

当事者間の話し合いで解決しない場合や、騒音主の為人がわからないため、直接話し合いに行くのが不安という場合は、第三者に間に入ってもらうのがオススメです。例えば、マンションなどの集合住宅で発生した騒音トラブルであれば、管理会社に相談すれば何らかの対処を必ずしてくれます。というのも、管理会社は、その物件に住む方の快適な生活を守るための存在ですので、その生活を壊すような騒音主がいれば、「騒音を出さないように」指導しなければならないからです。集合住宅で騒音問題を抱えた場合、管理会社に相談すれば、いくつかの段階を踏んで騒音への対処を行ってもらえます。基本的に、掲示板などに騒音に関する警告文書を提示する、各家庭に騒音に関する手紙を出す、最終的に騒音主に苦情が出ていることを伝えるといった流れで対処します。集合住宅の騒音問題は、基本的には、こういった対処で解決できるケースが多いです。

ただ、戸建て住宅で発生する騒音問題の場合は、管理会社などがいないため、自分たちで対処するほかないと考えてしまいますよね。しかし、戸建て住宅の場合でも、度を越して耐えがたいような騒音が発生している場合、警察や自治体に相談することで、公的機関から注意をしてもらうことができます。もちろん、警察に動いてもらうためには、相当な騒音である必要がありますが、一度相談してみるのも良いのではないでしょうか。

ここに注意

第三者から注意を行ってもらう場合、クレーム主が自分であることを絶対にばらさないようにしてもらわなければいけません。第三者に相談し、問題を大きくしたことが騒音主に伝わってしまうと、その事実により逆上してしまい、もっと大きな問題に発展してしまうこともあるのです。

対処法③ 法的な手段に訴える

警察や自治体に相談したとしても、騒音が解決されないケースは多いです。その場では、騒音に注意するといっても、結局何も変わらず、周囲が音に悩んでしまうというパターンですね、

この場合は、弁護士に相談し、訴訟(裁判)を検討すると良いでしょう。実際に、騒音を原因とした裁判沙汰は珍しくありません。なお、騒音を原因とした裁判については、民放709条の不法行為が根拠として民事事件で訴えるケースが多いとのことです。

そして、騒音問題については、きちんと証拠などを用意しておくことで、損害賠償請求まで認められている判例も少なくありません。

ここに注意

法的な手段に出る場合は、「被害の実証」つまりは、定量的・客観的な騒音の証拠が求められますので、裁判に提出するための証拠をきちんと準備しなければいけません。例えば、どの程度の大きさの音が何時ごろに生じているのか、またその音がどれほど続くのか、騒音問題を解消するためにどういった対策がとられていたのかなど、弁護士と相談しながら準備しなければならないため、騒音問題を解決するまでにはかなりの時間と労力を要すと考えておきましょう。

対処法④ 引っ越す

上記のように、さまざまな対策を行ってみたものの、一向に騒音問題が解決できないという場合、騒音源から離れるというのも一つの対策となります。もちろん、大金をはたいて購入した戸建て住宅や分譲マンションという場合は、なかなか実行が難しい対処法ですので、基本的に賃貸住宅に住んでいる方向けの対策と考えてください。賃貸住宅の場合、「絶対にその物件でなければならない」といった理由などないわけですので、騒音にストレスを感じながらそこに住み続ける必要などないはずです。

もちろん、お子様がいるご家庭であれば、通学の問題などがありますし、引っ越しにはそれなりの費用がかかってしまいますので、迷惑を掛けられている側がなぜ引っ越さなければならないのか…と憤りを覚えてしまう人も多いです。しかし、いろいろな対処を行っても騒音が解消しない場合、精神的な負担を解消できる引っ越しは非常に有効な手段になると思いますよ。

ここに注意

騒音問題に悩んだ方が引っ越しする場合、次に選ぶ物件は防音性能に注目するのがオススメです。当たり前のことですが、引っ越し先に騒音を出す人が存在する可能性もあるわけですので、せっかくコストをかけて引越ししたのに、同じような音の問題で悩まされる…なんて状況は絶対に避けなければいけません。物件の防音性能は、建物の構造や部屋の間取り(騒音が伝わりにくいように注意されているか?)など、しっかりと確認しながら選ぶと良いでしょう。また、物件の周辺に存在する騒音を確認するためにも、時間帯を変えて周囲の騒音状態を確認しておくのがオススメです。

対処法⑤ 防音工事をする

最後は、音の問題に悩まされている側が専門業者に依頼して防音工事を行うという対策になります。これは、戸建てや分譲マンションなど、そう簡単に引っ越しという選択が取れない方にお勧めの方法です。防音工事という対策は、迷惑を掛けられている側がコストをかけなければならないわけですので、なんとなく納得のいかない対策と感じるかもしれませんね。しかし、音の問題をいつまでも抱えてしまい、それでストレスを感じたり、睡眠障害などの健康被害を出すぐらいであれば、さっさと防音工事をして快適な環境を作る方が確実に良いと思いますよ。

防音工事で対策をとる場合、問題となる音に対してピンポイントの対策を施すことが可能です。例えば、マンションなどの集合住宅で、上の階からの足音が気になるという場合、天井の防音工事を行って問題を解決することができますし、建物外から侵入する騒音であれば窓の防音工事で対処するなど、それぞれ問題となっている音に対して、的確な対策を行いますので、ほぼ確実に騒音問題を解決することが可能です。その他の対策であれば、対処を行ったとしても、騒音が収まらない…なんてケースも普通にあり得ますが、防音工事の場合、確実に問題を解決できる点が特徴です。

ここに注意

コロナ問題以降、ピンポイントの防音対策リフォームの要望が急激に増えています。そのため、もともとは防音工事などを手掛けていなかった一般のリフォーム会社が防音工事の受注を受けるようになっています。そしてそのような業者の中には、防音に関する知識が全くなく「メーカーの指示書通りに施工すれば高い防音性能が得られる」と勘違いしてしまっている業者がいるのです。つまり、騒音に悩んだ時に、こういった知識のない業者に防音工事を依頼してしまうと、見当違いの工事が行われて、音の悩みを解決できない…なんてケースが増えています。防音工事を行う時には、しっかりとした知識とスキル、経験を持っている防音工事業者を選ぶようにしましょう。決して、価格の安さだけで選んではいけません。

まとめ

今回は、音の問題を抱えてしまった人が、そのトラブルをどのようにして解決すれば良いのかをご紹介してきました。冒頭でご紹介したように、コロナ問題以降は、人々の在宅時間が長くなっていることから騒音を起因とする苦情が急激に増加しています。この記事を読んでいただいている方の中にも、企業の方針でテレワークが導入されたものの、自宅で仕事していると、近隣からの騒音で仕事に集中できない…と悩んでしまっている方は少なくないかもしれません。

人が生活する限りは、完全に無音で過ごすことなど誰もできることではありませんし、音の問題はある程度お互い様と我慢しなければならない部分はあると思います。しかし、時には、常識外れの騒音をまき散らす人が存在していて、トラブルに発展してしまうこともあるのです。この記事では、いくつかの解決策をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。筆者個人的な感想では、「賃貸なら引越し、持ち家ならば防音工事」という選択が最も素早く問題を解決できると思うのでオススメです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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