防音工事の基礎知識!防音リフォームで使用される『吸音材』って何?

今回は、防音工事の基礎知識として、皆さんが防音工事を依頼した場合、見積書や業者との打ち合わせ時に登場する『吸音材』がどのようなものなのかについてご紹介していきたいと思います。

防音工事は、時間帯に関係なく、自宅でも楽器演奏を楽しみたいという方や、ホームシアターを設置して映画館さながらの迫力で映像を楽しみたいなど、何らかの少し特殊な目的を持っている方がお金をかけて行うものというイメージが強いのではないでしょうか?実際に、一昔前までであれば、プロの演奏家や、業務用の音楽スタジオなど、多額の費用をかけてまで防音工事を行うのは少し特殊な理由がある方のみだったのは確かです。

しかしここ数年、マンション暮らしの方が増加してきたことや戸建て住宅ごとの距離が近づいてきたことから、前述のような特殊な理由がなくても、生活騒音の防音をしたいという要望が急増しています。実際に、この記事を読んでいる方の中には、特に楽器の演奏などは考えていないけど、自宅の防音工事をしたい…という方も多いのではないでしょうか?

防音工事は、一般のリフォーム工事よりもかなり専門性が高いものですので、業者との打ち合わせ時に登場する言葉の意味が良く分からない…なんて声も多いです。そこでこの記事では、防音工事の基礎知識として「吸音材とは何か?」ということをご紹介します。

吸音材とは何か?

それでは、防音工事でよく登場する吸音材がどのようなものなのかをご紹介していきましょう。

吸音材という名称から、どういった効果を持つものなのかはイメージしやすいと思います。この建材は、音を吸収する比率が大きな物質や材料の事を指しており、吸音材を設置することで、騒音を吸収してくれ、あまり音が響かないようになるという効果があります。さらに、音の響きを調整する目的も持っており、防音工事では天井や床、部屋の壁などに用いられます。

難しいところは、いくら音が気になるとはいっても、単純に吸音すれば良いだけではないということです。例えば、コンサートホールなど、音を楽しむための場所であれば、音の響きを吸収しすぎてしまうと、音楽が楽しめなくなりますので、吸音材の使い方は意外に専門性が高いと言えるのです。
それでは、防音工事で使用される『吸音材』は、具体的にどのような製品なのでしょうか?以下でいくつかの例をご紹介しておきます。

グラスウール

見積書に『グラスウール』という項目があれば、それが吸音材として採用されている材料になります。グラスウールは、ガラス繊維を短くした材料の事で、石灰、シリカ、ソーダ、フェノール樹脂などで作られています。この材料は、吸音性を持つだけでなく、断熱性や不燃性に優れていますので、住宅の断熱材としても良く採用されています。
材料自体が非常に軽いので、建物への負担が少ないと言う点も、一般住宅で良く採用される理由になっているのだと思います。

ロックウール

次は、ロックウールと呼ばれる材料です。名称から分かるように、こちらは鉱物から生成する人工の繊維を使って作られた吸音材となります。
日本国内では、昭和の時代から建築の材料として採用されており、保温や防火・耐火・吸音の目的で住宅に使用されています。一般的には、玄武岩などの天然の岩石を高温状態で融解して、遠心力で吹き飛ばすことによって繊維状にしているそうです。

一般住宅の吸音材としては、上記のような材料が使用されることが多いです。これらの素材は、断熱材に使用される建材ですので、防音効果をもたらせてくれるだけでなく、居室の断熱性向上にも役立ってくれる非常に優れた素材と言えるのです。なお、グラスウールやロックウールのような繊維系吸音材以外にも、軟質ウレタン吸音材やポリエチレンフォーム吸音材などさまざまなモノが存在します。

防音材や遮音材と何が違うの?

防音工事では、吸音材以外にも、防音材や遮音材なる材料が良く登場します。それでは、これらの材料と吸音材は何が違うのでしょうか?

例えば、『防音材』に関しては、その漢字から「音を防ぐためのもの」と読み取れますよね。そして、吸音材は「音を吸収するもの」、遮音材は「音を遮るもの」というイメージになりますが、実際の所、何が異なる材料なのかはイマイチ分からないという方が多いと思います。
そこでここでは、防音材や遮音材についても簡単に触れておきたいと思います。

防音材とは

それではまず、防音材についてです。そもそも『防音』という言葉に関しては、建物の外から音が入ってくることや、室内から音が漏れ出ていくことを防ぐという意味であり、あくまでも概念的に使用されているものです。

具体的には、前述のように音を防ぐための方法として『遮音』や『吸音』という方法がとられているわけです。つまり、防音工事で使用されている『防音材』とは、吸音材と遮音材、両方のことが含まれていると考えましょう。

遮音材とは

遮音材に関しては、防音の具体的な手法の一つです。これは、空気中や固体の振動によって音が伝わることを遮断するためのものを指しています。
上述した吸音材は、音を吸収することで、音のエネルギーを調整するものなのですが、遮音材については、伝わってきた音を遮音材によって遮ることで、音が伝わらないようにするためのものをと考えましょう。つまり、吸音材と遮音材は、どちらも防音のために使用すると言う点は同じなのですが、その方法論が異なるものだと考えてください。

なお、この遮音材に関しては、向かってきた音を「跳ね返す」というものですので、室内で完全な遮音状態を作ってしまうと、必要以上に音が跳ね返ってしまい、元の音が聞き取りにくくなったり、反響により音が変化してしまう恐れがあります。吸音材も、遮音材も使い方をしっかりと考えなければ、逆にすごしにくい部屋になってしまうので、防音工事は非常に専門性が高いと言われるわけです。

まとめ

今回は、防音工事で使用される吸音材が何なのかについてご紹介してきました。防音工事では、「防音材」「吸音材」「遮音材」などという言葉が良く登場するのですが、それぞれが何を意味しているのかを知っておかなければ、業者が何を言っているのかよく理解できなかった…なんてことになりかねません。このような場合「どうせ理解できないのだし、専門家に任せておけば良い!」なんて考えを持ってしまう方がいますが、このような考えでは、あなたの希望が正確に業者に伝わらないことから、出来上がった防音室の性能が想定していたものと違う…なんてことになってしまうリスクがあるのです。

また最近では、ホームセンターやネット通販などで、遮音材や吸音材が販売されていますので、DIYである程度の防音対策を進めることができるようになっています。ただし、むやみやたらに吸音材や遮音材を使ったのでは、音が反響しすぎる…音を吸収しすぎる…なんて問題で、逆にすごしにくい部屋になってしまう恐れがあります。防音工事は、住宅リフォームの中でも特に専門性が高い工事となりますので、本格的な防音対策を行いたい場合は、専門業者に相談するのがオススメですよ。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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