自宅にユニット型防音室を設置する時の確認ポイントをご紹介します!

今回は、自宅で楽器の演奏を検討している方が、ユニット型防音室を設置する際に注意しなければならないいくつかのポイントをご紹介します。

楽器の音色は、非常に美しいものですが、時と場合によってはその音を騒音と感じてしまう方がいます。例えば、自宅のリビングでリラックスしながらテレビを見ている時に、隣家から楽器の演奏音が延々と聞こえてきた場合、誰でも騒音に感じ、苦情の一つも言いたくなるはずです。近年では、足音などの生活音が騒音トラブルの要因となるようなケースもあるのですが、生活音は誰もが生じさせるお互い様の音ですので、多少は我慢できるはずです。しかし、楽器の音となると、演奏をしなければ生じないものですので、騒音主側に何らかの対策をとるように依頼するはずです。

そして、自宅で時間帯を気にせず楽器の練習をしたいと検討している方については、専門業者による防音室工事を行うか、楽器メーカーなどが販売しているユニット型防音室を設置するという対策が考えられます。この記事では、防音工事ではなく、ユニット型防音室を選択する人について、ユニット型防音室を選ぶ理由や、実際に設置する前の注意点をご紹介します。

ユニット型防音室が選ばれる理由

それでは、自宅に防音室を必要とする方が、防音工事ではなくユニット型防音室を選択する理由について簡単に解説します。専門業者による防音室とユニット型防音室について、防音性能の面だけで考えれば、やはり専門業者による工事の方が優れていると言えます。ユニット型防音室は、防音性能を保持したプレハブ小屋のような物で、防音室の性能は購入するタイプによって決まっています。そして、既製品ですので、細かな調整などが出来ず、音響環境などを演奏者の好みに合わせてカスタマイズするといったことも難しいです。

これが専門業者による防音室の場合、お客様と詳細な打ち合わせの下、防音室を利用するユーザーの好みに合うように一から作り上げていきます。そのため、きちんと技術を持った防音工事業者に出会いさえすれば、音漏れの心配などなく、最適な音響環境を作ることが可能なのです。

こう聞くと、ユニット型防音室を選択するような方がなぜいるのか不思議に感じてしまう方がいるかもしれませんね。ただ、ユニット型防音室には、フルリフォームによる防音室にはない以下のようなメリットがあるのです。

  • 工期が短い
    ユニット型防音室は、既製品を購入し、設置場所で組み立てるだけで完成します。リフォームによる防音室の場合、最低でも10日程度の工期が必要になります。これがユニット型防音室は、1日で施工が完了するので、工事が非常に手軽という点を魅力に感じる方が多いです。
  • 低コスト
    ユニット型防音室は、フルリフォームの防音室よりも安価だという点に魅力を感じる方が多いです。注意してほしいのは、いくら安価でも、必要な性能を満たしていないのであれば、意味がありません。あくまでも、自分の防音室の用途を考えて、ユニット型防音室の性能でも問題ない人であれば、安価だという点は大きなメリットになるでしょう。
  • 移動可能
    ユニット型防音室は、組み立て式のプレハブ小屋のような物ですので、防音室を移動させることが可能です。リフォームの場合、当然移動させることができませんし、ユニット型にしかないメリットになるでしょう。
  • 施工条件のハードルが低い
    防音工事は、工事を施す建物の関係で、施工したくても施工できない場合があります。例えば、賃貸住宅の場合、自分の持ち物ではないので工事ができませんし、分譲マンションなどでも、管理規約で大規模リフォームが禁止されているケースがあります。ユニット型防音室は、建物に大規模な工事を行うわけではないので、基本どのような条件でも設置可能です。

ユニット型防音室は、上記のような点を魅力に感じ、選ぶ人が居ます。

ユニット型防音室を設置する場合の確認ポイント

それでは、ユニット防音室を設置するにあたっての確認ポイントをご紹介します。ユニット型防音室は、省スペース、短工期で設置できるというメリットがあるのですが、事前に以下のような点を確認する必要があります。

①設置場所について

ユニット型防音室は、省スペースで設置できると考える方が多く、出来るだけ防音室内のスペースを確保するため、設置場所に対してギリギリの広さのものを購入しようとする方がいます。

しかし、ユニット型防音室を設置する際、壁や天井に、それぞれ適切な隙間を確保しなければいけません。なぜなら、壁や天井に近すぎると、防音室の振動が伝わってしまうことがあるからです。

ユニット型防音室を設置する場合、基本的に「壁から最低でも50mm以上、天井は80mm以上(梁や柱は避けて設置)」話して設置しなければいけないと考えてください。なお、防音室に付属されている換気扇の面については、空気の対流の事を考えて、600mm程度の空気層が必要です。

ユニット型防音室を購入する時には、部屋の広さと防音室の大きさだけを見るのではなく、上記の隙間を確保できるように、きちんと計算に入れておきましょう。

②重量について

ユニット型防音室を設置する際には、その重量に注意しなければいけません。というのも、家屋の耐荷重は、建築基準法において「床1㎡当たり180kgまで耐えられるように作ること」と定められています。

ユニット型防音室の重量は、概ねこの範囲に収まるように設計されているのですが、設置を予定する建物の築年数や、防音室を設置予定の部屋に置いてあるその他の大型家具の荷重、防音室内に設置予定の楽器の荷重など、さまざまな要素が関わってきます。基本的に、一般的な木造2階建て住宅について、2階部分にピアノと防音室を設置するとなると、前述の耐荷重の条件を逸脱すると考えた方が良いです。

こういったことから、築年数がある程度経過している住宅や防音室をピアノ用として利用したいと考えているケースでは、ユニット型防音室の設置場所を決める前に、耐荷重について専門業者に確認しましょう。

③エアコンについて

防音室は、音を漏らさないようにしなければならないため、非常に気密性が高くなります。そして、気密性が高いということは、室内の熱源で室温がどんどん上昇するということを意味します。例えば、1畳以下の小さな防音室の場合、人の体温などで室温が上がり、長時間中に滞在することが難しいです。したがって、防音室の中で長時間の練習を考えている方の場合、エアコンの設置が必須です。

ただ、ユニット型防音室は、1.2畳以上の広さを持つものでなければ、エアコンの取り付けが難しいです。防音室内で使用する楽器の種類によっては、エアコン取付のために余裕を持った広さのものを選ばなければならない可能性もあるでしょう。ユニット型防音室にエアコンを設置する時には、以下の点に注意しなければいけません。

  • 防音室設置後にエアコンを取り付けるには、防音室とお部屋の壁の間に約500㎜程のスペースが必要
  • 電源が単相100Ⅴ(200Vの場合もあり)、定格冷房能力2.2KWのもので、換気機能やお掃除機能のないものがオススメ

ユニット型防音室にエアコンを設置したい場合は、防音室を購入する前に相談しなければいけません。

④火災警報器・報知器設置について

消防法により住宅への住宅用火災警報器等の設置が義務付けられています。ユニット型防音室内への設置については、自治体などの条例によって設置義務の詳細が異なりますが、安全面を考えると、設置が推奨されます。

  • 戸建て住宅で、ユニット型防音室を設置する場合、「煙式住宅用火災警報器」の設置がオススメです。なお、設置義務は、市町村条例によって取り扱いが変わります。
  • 共同住宅で、ユニット型防音室を設置する場合、マンション管理会社にご確認頂き、指示に沿った対応をお願いします。一般的に「自動火災報知器」、または「煙式住宅用火災警報器」のいずれかの設置が必要となると思います。

まとめ

今回は、自宅に防音室を作りたいと考えている方に向け、ユニット型防音室を設置する際の注意点について解説しました。基本的に、予算にある程度の余裕があり、高い防音性能を求めているのであれば、ユニット型ではなくフルリフォームで防音室を実現するのがオススメです。ユニット型防音室は、工期が短い、比較的低コストであるといった点がメリットなのですが、ユーザーが求める環境を完璧に実現することが難しいです。これは、既製品を購入して組み立てるだけの製品ですので、致し方ないわけです。

ただ、防音室は、音を漏らさないようにする、最適な練習環境にすることが出来なければ、コストをかける意味がなくなってしまいます。したがって、本格的に楽器の練習をしたいと考えている方のユニット型防音室の設置は少し注意が必要です。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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