サックスの練習をするなら防音のことを考えよう!イーサックスなどの消音器か防音室が必要

サックスは、管楽器の中でも特に大きな音を生じさせる楽器として有名です。もちろん、サックスにもいくつかの種類が存在していて、ソプラノサックス・アルトサックス・テナーサックス・バリトンサックスなどと、演奏する物によって生じる音の音域が変わります。ただ、どの種類のサックスを演奏するにしても、「近所迷惑になり得る大きな音が出る」という点は変わりありません。

つまり、これからサックスを習い始めようかなと考えている方であれば、サックスの練習場所や防音方法についても検討しておかなければ、楽器の演奏を理由に隣人とのトラブルが発生してしまう危険があります。そこでこの記事では、サックスの練習を検討している方に向け、どのような防音対策が考えられるのかを解説します。

サックスの消音方法とは?

どのような楽器でも、大きな演奏音が生じますので、何の対策もしなければ隣人との騒音トラブルに発展してしまいます。そのため、サックスなどの楽器を練習したいと考えた時には、自宅に防音室を作るか、防音設備が整った外部の音楽スタジオなどに足を運ぶなど、何らかの防音対策を検討するのが一般的です。

ただ、楽器の音の問題については、「生じた音を防ぐ」という視点以外にも、「楽器から音が出なくなるようにする」という消音による対策も可能です。楽器の消音に関しては、「練習用ミュート」や「消音器」と呼ばれるアイテムを用意する必要があるのですが、サックスにも専用の消音アイテムが用意されています。

なお、サックスは、数ある管楽器の中でも特に消音対策が難しい楽器として有名です。一般的に、管楽器の消音はベル部分に円錐形のカップのような消音器を装着することで、音量を抑えることが可能です。サックスも、同じようなベルがあるのですが、実はサックスは、トーンホールからも音が出ているため、ベル部分に消音器を装着しただけでは、音を抑えることが難しいのです。

サックスは、木管楽器の中でも、特に音が大きくてよく響く楽器です。そのため、消音の需要は非常に高いのですが、現状その選択肢が少ないのが実情です。ここでは、代表的なサックスの消音方法をご紹介します。

ベルにミュートやスポンジを入れる

サックスは、トーンホールからも音が出るものの、ベルに装着して消音を目指す練習用ミュートは開発されています。したがって、自宅でサックスの練習をしたい考えている方の多くは、この練習用ミュートを試してみましょう。上述しているように、サックスはトーンホールからも音が出るので、自宅で夜間練習を考えている方の場合、少し心もとない対策になりますが、隣家との距離がそれなりに離れているといった住環境の場合は、これで音の問題を解消できるかもしれません。

なお、サックス用の練習用ミュートは、ベル部分に装着できる物だけでなく、ネック部分にも届くようなスポンジ状の物も販売されています。このタイプであれば、トーンホールから出る音も小さくすることが可能です。スポンジ製の練習用ミュートがあることから、自作ミュートに挑戦しようとする方がいるのですが、楽器の知識が少ない人が自作ミュートに挑戦すると、楽器を傷つけたり、詰まらせたりする恐れがあるので、基本的にはオススメできません。

サックスには全体を覆う消音器がある

サックスの消音機では、上で紹介した「ベルに装着する」ものではなく、サックス全体を覆うように取り付けることができる「e-Sax(イーサックス)」と呼ばれる消音器が有名です。サックスの音は、ベルから生じるだけでなく、トーンホールからも出るため、楽器全体を覆うようにして消音しなくてはいけないのです。

イーサックスと言う消音機は、サックスにピッタリと装着できるようなケースのような形をしています。その中にサックスを入れ、横にある穴から手を入れて演奏するような消音器です。イーサックスのメリットは、単なる消音器として利用できるだけでなく、イヤホンを通して楽器の音を聞いたり、録音する、音楽を聴きながら演奏するなど、さまざまな使い方が可能です。非常に高い機能性から、プロのサックスプレーヤーなどからも注目されている消音器です。ただ、以下のような注意点がありますので、頭に入れておきましょう。

  • 重量負担が大きくなる
    イーサックスを装着してサックスの練習をする場合、楽器の重さに消音器の重さがプラスされます。イーサックスは、2kg前後ありますので、長時間の練習などはかなり負担になるでしょう。
  • 演奏しにくく感じる
    イーサックスは、楽器全体を覆い、消音器についている穴から手を入れて演奏します。したがって、普段通りに演奏することが難しく、窮屈に感じるという声が多いです。
  • 湿気対策が必要
    イーサックスの中は、サウナのような状態になるため、長時間練習した後は、しっかりとメンテナンスをしてあげる必要があります。演奏後には、きちんとスワブを通す、タンポの水分をクリーニングペーパーなどで吸い取るなど、水分対策をしっかりと行ってください。

この他、消音器を装着することで、音が聞こえにくくなるため、つい力んで演奏してしまうようになる方がいます。消音器を使うことで、変なクセが身につくのはよろしくないので、正しい演奏方法を意識しながら練習をしましょう。

音量を気にせずに自宅でサックスを練習するには?

楽器の演奏音で隣人トラブルが発生しないようにするには、「音が出ないようにする」「音が小さくなるようにする」などの対策も有効です。これは、上述したような消音器を利用する以外にも、電子楽器を導入するという方法も多いです。例えば、ピアノの練習をしたい方でも、自宅には電子ピアノを設置するとか、電子ドラムを設置するといったケースは非常に多いです。電子楽器は、本体で音量調整することができますし、ヘッドホンなどを装着することで、消音することも可能です。

ただ、一つ問題となるのが、楽器の上達は「自分の演奏音を聞く」ことが重要だと言われる点です。楽器は、単に音が出れば良いわけではなく、繊細な表現を音で表さなければいけません。そのため、生の音を聞きながら練習することが上達には非常に重要だとされているのです。

それでは、楽器の音量を気にせずに自宅で練習するにはどうすれば良いのでしょうか?以下でいくつかの選択肢をご紹介します。

ユニット型防音室を購入し設置する

サックスなど、楽器の演奏音の防音となると、安価な簡易防音室やDIYによる防音対策では十分な効果が得られないと考えておきましょう。楽器によって生じる音の大きさは変わりますが、サックスになると、110dB以上の大音量が出る楽器なので、かなり高性能な防音室を用意しなければいけません。

そして、ユニット型防音室であれば、比較的低コストに防音室を用意することができます。ユニット型防音室は、既製品の防音室を購入し、部屋の中に設置するという方法で防音室を用意するのですが、さまざまな大きさのものが用意されています。サックスなど、立って演奏が可能な楽器の場合、1畳前後の防音室でも問題なく練習ができますので、下で紹介するオーダーメイド防音室よりはコストを抑えることができます。

設置工事費を含めても、1畳前後の防音室であれば、100万円前後で高性能な演奏環境が作れます。注意が必要なのは、狭いユニット型防音室は、音響環境が悪い、空調が取り付けられないなどと言った理由で、長時間の練習には向かない環境になる点です。

専門業者に防音室を作ってもらう

自宅でサックスの練習がしたいと考えている方にとって、最も最適な練習環境を作れるのが、専門業者に楽器演奏用の防音室を作ってもらうという方法です。専門業者による防音室工事は、既存の部屋を一度解体して、高い防音性能を保持した防音室に作り替えるといった方法で実現されます。そしてその時には、お客様が「なぜ防音室が必要なのか?」「周辺の環境騒音のレベルは?」「好みの音響環境や内装デザインは?」と言った事を詳細までお伺いし、一から防音室の設計を行います。

ユニット型防音室は、工場で製造される製品なので、品質が安定するというメリットがある一方、顧客一人一人の要望に細かく合わせることができないのです。しかし、専門業者による防音工事では、隅から隅までお客様の要望にしたがって防音工事を行いますので、音漏れがしないのはもちろん、お客様が最も過ごしやすい環境を作り出すことができます。したがって、長時間の楽器練習でも、なんのストレスなく防音室内で過ごすことができる点が大きなメリットです。

注意が必要なのは、ユニット型防音室と比較すると、コストがかかる、工期がかかるという点です。ユニット型防音室は、既製品を購入して部屋の中に組み立てるだけなので、最短1日で防音室が完成します。しかし、オーダーメイド防音室の場合、部屋の解体から始めますので、楽器防音室レベルの高性能なものとなると、最低でも2週間程度はかかると考えておきましょう。また、費用面についても、6畳程度の管楽器用防音室を作る場合、180万円~が相場となるでしょう。防音室の施工にかかる費用は、用途によって変わりますので、最初の打ち合わせの段階で、しっかりと希望を伝えると良いでしょう。

サックスなどは自宅以外でも練習できる

サックスの上達を考えた時には、自宅に防音室を用意して、自分の演奏音を聞きながら練習するのが最もオススメです。ただ、防音室を作るには多額のコストがかかる、賃貸住宅に住んでいるなど、本格的な防音室を設置することができない…という方も少なくないでしょう。

そういった方は、自宅以外で音を出しながら練習できる場所が近くにないか探してみると良いでしょう。例えば、以下のような施設が近くにあれば、練習場所として利用できるかもしれません。

  • 音楽スタジオで練習する
    一つ目の選択肢は、民間の音楽スタジオをレンタルするという方法です。音楽スタジオは、楽器の練習を目的に作られている施設が多い為、設備面でも満足できるはずです。特に、楽器店が運営するスタジオがあれば、持ち運びできる楽器の練習には最適だと思います。なお、スタジオは、レンタル料金がかかりますので、頻繁に行く場合はかなりのコストを覚悟しなければいけません。
  • カラオケボックスで練習する
    カラオケボックスは、しっかりと防音対策が施された施設なので、楽器の練習にも耐えられるお店が多いです。なお、楽器の練習については、お店ごとに取り扱いが異なるため、近くのカラオケボックスに楽器の演奏が認めてもらえるか事前に確認しましょう。カラオケボックスもレンタル料がかかりますが、会員に入ることでスタジオよりは安く利用できると思います。
  • 河川敷など屋外で練習する
    管楽器など、持ち運び可能な楽器であれば、河川敷など音で迷惑をかけにくい屋外なら練習可能です。この選択肢は、無料で練習場所が確保できる点がメリットです。ただ、天候や季節によって練習するのが難しくなるなど、いつでも利用可能ではない点には注意しましょう。

サックスなど、持ち運びが可能な楽器の練習であれば、自宅以外の施設に楽器を持ち込み、練習をするという選択肢があります。音楽スタジオやカラオケボックスであれば、高い防音性が期待できるため、周囲に迷惑をかけることなく大きな音で演奏することが可能です。ただ、部屋を借りるために、1時間当たり数千円と言った費用がかかる場合もありますので、コスト的には決して安くない点は注意しましょう。何も考えずに、頻繁に利用していれば、数年で防音室を作れるほどの費用がかかってしまうことになります。

まとめ

今回は、サックスの練習を考えた時、演奏音で隣人に迷惑をかけないための対策について解説しました。サックスの音による騒音問題を防ぐ方法では、自宅に防音室を作る手段をイメージする方が多いと思います。確かに、自宅に楽器演奏用の防音室を用意すれば、時間帯を気にすることなく、自由にサックスの練習ができるようになるでしょう。

ただ、防音室を作るためには多額のコストがかかってしまい点がネックになってしまいます。もしあなたが、サックスの練習をしたいけれど、「すぐに防音室を用意するための費用を用意できない…」と悩んでいるのであれば、記事内でご紹介した消音器を試してみてはいかがでしょうか?消音器は、楽器から出る音を消すもしくは小さくするためのアイテムですので、使い方によっては騒音トラブルの発生を防止することが可能です。注意しておきたいのは、「消音器」という名称から「音を完全に消すことができるアイテム」と考えられがちなのですが、消音機にはそこまでの効力はありません。消音器を利用しても、それなりの音は出てしまいますので、その点を考慮しながら練習しなければならないと考えておきましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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