賃貸経営者様へ!物件の防音対策が有効な空室対策になる!
今回は、賃貸アパートなどを経営している大家さんに向けて、賃貸物件の防音工事による空室対策の有効性をご紹介していきたいと思います。
一昔前までの賃貸住宅であれば、さまざまなライフスタイルを持った人が同じ建物内で暮らすわけですので、ある程度の音の問題は入居者が我慢するもだというイメージだったのではないでしょうか?そもそも、通常の賃貸物件であれば、楽器の演奏など、大きな音が生じる行為を禁止する方向に動くのが当たり前で、楽器の演奏などが必要な方は、専用の防音物件を借りれば良いという考えが普通でした。実際に、家賃が割高になるものの、世の中には防音対策がきちんと施された物件が一定数存在します。
しかし新型コロナウイルスにより在宅ワークが一般化している現在では、楽器演奏などの特別な要望を持っていない方でも居室の防音性を重要視するようになっているのです。実際に、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が頻発する今、防音性の悪い部屋から住み替えする方が急増しているといわれており、今まで賃貸物件に求められていた「駅近」などのメリットがある物件でも空室が目立つようになっているといわれているのです。
そこでこの記事では、Withコロナ時代の空室対策として注目されている賃貸物件の防音対策についてご紹介します。
防音物件の需要が高くなっている
防音設備が整えられているような防音物件は、自宅でも楽器の演奏が必要な演奏家や音大生などが借りる部屋で、一般の人からは需要が少ない…と考える方が多いですね。しかし近年では、新型コロナウイルスの影響により、在宅時間が増えた、働き方が変化してきたということが理由になり、楽器を持たない一般層からも注目されるようになっているといわれています。
例えば、今までは「仕事をするための場所」として様々な設備が整えられていたオフィスで仕事をしていたという方でも、新型コロナの影響でテレワークがスタートし、昼間の自宅周辺の騒音に初めて気づいた…という方が非常に多いといわれているのです。特に、テレワークが多くの企業で導入されることになったため、自宅で仕事をしているのは自分だけではなく、周辺の部屋も在宅率が高くなたことから、隣家の足音や生活音によって仕事に集中できない…なんて声が非常に多くなっているのです。
こういったことから、コロナ問題以降、賃貸物件を探す人の条件として「防音性の高さ」が重要視されるようになっているそうです。さらに、人との接触を減らして、家の中で過ごす時間が長くなったことで、ペットを新たに飼い始める方が急増しているといわれており、ペットの防音対策のためにも、最初から防音性の高い部屋を探すようになっているのです。
特に、昨年終わりごろより、ペット需要の高まりから、今までペット不可としていた賃貸物件がペット可に切り替え空室対策を行うことも増えているといわれています。しかしこの場合、もともといた入居者は「ペット不可」だから選んだなんて方もいるため、ペットの足音や鳴き声で入居者間トラブルが急増する…なんて問題も生じているようです。
こういった賃貸需要の変化から、賃貸オーナー様から物件の防音性向上の相談もかなり増えています。
既存賃貸物件での防音の難しさ
賃貸アパートやマンションなどを新築する場合、新型コロナウイルスによって変化した賃貸需要に合わせるため、居室の防音性をできるだけ高めるような設計にすることはそこまで難しくありません。もちろん、24時間楽器演奏が可能なレベルの防音室を各居室に設けるといった場合、建築コストがかなり高くなってしまう…というデメリットがあるのですが、賃貸経営を考えた場合、入居率の高さや家賃を高く設定できるというメリットがあるので、資金に余裕があれば非常にお勧めです。
ただし、コロナ問題を受けた空室対策の場合、ここまでの防音対策は必要ないといえるでしょう。在宅時間が増えた、テレワークに集中したいという層は、外から侵入してくる音を防ぐ、足音や話し声など、隣室からの音が小さくなれば良い程度ですので、窓や床、壁の素材などを工夫すれば、十分に「防音対策を施した賃貸」とアピールすることが可能です。今から新たに賃貸アパートの建築を検討している方は、ぜひ弊社までご相談ください。
ただし、これが既存物件になると、一気に防音対策の施工が難しくなります。既存物件であれば、すでに入居者がいることから、なかなか大掛かりな工事を行うわけにはいきませんし、行うにしても、各居室への対策でかつ、工事の音の影響などでほかの部屋に迷惑をかけない範囲となってしまうわけです。ほかにも、防音対策が施された居室とそうでない居室の家賃設定をどうするのか…といった問題も生じますので、検討すべき項目が意外に多いです。
現在は、退去者が出た際、原状復帰工事に合わせて、居室の防音性を高める工事を施すという程度が多くなっています。
空室対策を考えた防音工事は何をすれば良い?
それでは、Withコロナ時代に向けて、物件の空室対策を目的とする場合、どのような防音工事が有効なのかについてご紹介していきましょう。ここでは、既存物件の空室対策をメインにご紹介しておきます。
①窓の防音対策
賃貸物件の防音性を高める対策としては、窓部分の防音対策が非常に効果的です。特に、築年数がそれなりに経過しているという物件であれば、アルミサッシなどが採用されており、居室の防音性を考えた場合、窓が大きな弱点になっているということが多いのです。
窓の防音対策を行う場合、以下のような対策が考えられます。
- 防音ガラスに交換する
既存ガラスを防音性の高い真空ガラスなどに交換する方法です。ただし、既存窓が単板ガラスといった場合、防音ガラスの方が厚みがあることから、設置できない…ということも考えられます。その場合は、以下の方法をとる必要があります。 - 窓サッシごと防音仕様のものにする
既存窓がアルミサッシなどという場合、経年劣化で隙間が多く生じてしまいますので、サッシごと交換しなければ防音性を高められない…ということも考えられます。この場合、外壁工事も多少必要になりますので、コストはかかってしまいますが、樹脂サッシなどに交換することで大幅に防音性を高められます。築年数がかなり経過していて、大規模な修繕をするという場合はこの方法が良いかもしれませんね。 - 二重窓にする
既存窓はそのままに、内側にもう一枚窓を設置する方法です。窓を設置する場所があれば、この手法が最も防音性を高められるでしょう。空室が出た際、原状復帰工事と合わせて行っていくと良いと思います。
上記のような方法で、窓の防音性を高めることにより、外部から侵入してくる音を大幅に小さくすることができます。さらに二重窓による防音対策などであれば、窓部分の断熱性向上も期待できますので、防音物件だけでなく、エコ物件としてアピールすることができるようになります。
②床の防音対策
コロナ問題以後の空室対策として『ペット可』物件にしたいなどというお考えがあるのであれば、床の防音対策も行っておくべきでしょう。ペットは、大きな鳴き声による騒音トラブルの心配があると考えられがちですが、実は足音が原因となり階下の方とトラブルになるということも多いのです。特に最近では、マンションなどの集合住宅でも大型犬を飼う人もいますし、小型の猫なども高所から飛び降りる習性をもっているため、意外に大きな音が階下に響いてしまうのです。また、爪が床に当たるカチャカチャという音も嫌がられますね。
- 床をカーペットにする
一つ目は、床材をフローリングではなく、クッション性のあるカーペット素材に変更するという対策です。足音や爪の音などはこれでほとんど防ぐことができると思います。ただし、カーペット素材などは掃除が面倒…というイメージから、フローリングを求める方が多いという点が難点です。 - 防音性の高いフローリングを採用する
フローリング材の中には、遮音性を高めた建材も存在します。したがって、原状復帰の際に、フローリング材を防音性の高いものに変更するという対策は有効です。また、フローリング材の下に遮音シートや吸音材を施工するのもおすすめです。
床の防音対策は、上記のような方法が考えられます。床の防音性を高めることは、ペットを飼いたい人だけでなく小さなお子様がいるファミリー層へのアピール度も高くなります。空室対策を考えた場合には、非常に有効な対策になると思います。
③壁の防音対策
最後は壁の防音対策です。コロナ問題以前から、防音性能の低い居室では、隣の部屋のテレビの音が…、電話をしているときに話し声が…といった騒音トラブルは少なくありません。こういった騒音問題は、窓の防音性が関係しますが、壁も大きな要因です。
したがって、在宅時間が増えて、家で仕事をする人が増えた現在では、壁の防音対策は非常に重要になります。特に、Web会議が当たり前になっている現在、つい声が大きくなってしまい、お隣に迷惑をかけてしまう…なんてことも増えているそうですので、壁の防音対策も検討しましょう。
ただし、壁の防音対策とはいえ、一度壁を解体して断熱材を詰め込む…といった大掛かりな防音対策は少し難しいですよね。可能な範囲で言えば、クロスの下に遮音シートを設置する、既存壁の上に防音ボードを張り付けるなどといった方法が考えられます。壁の防音工事は、部屋が狭くなってしまうような方法もありますので、専門業者とよく打ち合わせを行ってから慎重に検討しましょう。
まとめ
今回は、これから迎えるWithコロナ時代に向けて、賃貸住宅オーナー様が検討していきたい、物件の防音性能についてご紹介してきました。
昨年から続く新型コロナウイルス問題ですが、すでに1年半以上が経過した現在でも、大都市圏には緊急事態宣言が発令されているなど、なかなか終息の兆しが見えない…という状況が続いています。
そしてこのコロナ問題の裏では、人々のライフスタイルが大きな変革期を迎えているといわれており、賃貸住宅などに求められる条件も変わってきているといわれているのです。従来の賃貸物件では、駅に近いこと、主要施設へのアクセスが良いことなど、外出時のことも考えた立地条件が重視される傾向にありました。しかし現在では、在宅時間が長くなったことで、どれだけ快適に家の中で過ごせるのかを考える方が増えているのです。
賃貸物件は、ある程度防音性能に劣ってしまう…というのが一般的な考え方でしたが、今後は「防音対策がきちんとなされているのか?」が重視されるようになるといわれています。所有物件の空室対策を検討した場合には、防音工事を検討してみるのもよいかもしれませんね。