電子ピアノならマンションで弾いても騒音の心配はない?電子ピアノでも防音対策無しなら騒音トラブルの原因に!

今回は、マンションなどの集合住宅に住んでいる方が、自宅でピアノの練習をしたいと考えた時にありがちな間違った認識を解説します。

マンションなどの集合住宅は、壁一枚、床一枚を隔てるだけで生活習慣が異なる他のご家族が生活を共にしています。集合住宅は、建物が独立している一戸建て住宅と比較すると、音の問題を抱えやすいという難点があります。そのため、集合住宅で生活している方が、自宅でピアノの練習をしたいと考えた時には、高性能な防音室を用意することがマナーだと言われています。ただ、本格的なピアノ用防音室になると、200万円以上のコストがかかりますので、ピアノの練習がしたいと思ってもなかなか気軽に決断できる物ではありません。そこで、防音室の代わりに採用される方法が、アコースティックピアノではなく、電子ピアノを設置するという方法です。

電子ピアノは、アコースティックピアノとは多少弾き心地が異なるものの、演奏時の音量をピアノ側で調整することができるため、マンションなどで演奏することを考えると、騒音トラブルの心配もなくピアノの練習ができると考えられているのです。実際に、ヘッドホンを装着して演奏すれば、外に音を生じさせることなくピアノの練習ができますので「これで近隣の方に迷惑をかけないで済む!」と考えてしまうものです。しかし実は、この考えは大きな間違いで、音を出さずに電子ピアノで練習していたのに、同じマンションに住む方から苦情が出てしまった…という事例は少なくないのです。
そこでこの記事では、マンションで電子ピアノの演奏を考えている場合に、注意すべき防音上の問題点とその対策を解説します。

マンションで電子ピアノを弾くときの注意点

楽器の演奏音は、時に近隣住民にとって「迷惑な音」と捉えられることがあります。防音室を用意していないお宅であれば、時間帯によって演奏を控えたり、音量を調節できるタイプの楽器を利用するなど、周囲への配慮が必要です。

電子ピアノであれば、ヘッドホンを利用することで、演奏音を外に出さずに練習することができるのですが、実はこの場合でも、鍵盤の動くコトコトと言った音(打鍵音)は周囲に響いているのです。特にマンションなどの集合住宅は、他の家庭の生活空間と建物の構造体でつながっていることから、ピアノの打鍵音などの振動(固体伝播音)が上下左右のお部屋に伝わってしまうケースが考えられます。

もちろん、振動音の伝搬の程度については、建物構造によって異なるため、全てのケースで振動音が騒音トラブルを引き起こすとは言えません。ただ、過去にマンションで電子ピアノを演奏していると、階下の方から「ドラムでも叩いていますか?」と打楽器に対する騒音の苦情が出たなんて話もあるのです。
ここでは、集合住宅で電子ピアノの演奏を考えている方が、具体的に何に注意すべきかをご紹介します。

ペダルを踏むときの振動音に注意

電子ピアノは、ヘッドホンを装着して演奏した場合、演奏音が外に出ないため「音で迷惑をかけることはない」と考えてしまいがちです。しかし、ピアノの演奏を行う時には、ペダルの操作があり、このペダル音は消すことができないため、騒音の原因となるケースがあります。

ペダル音は、演奏に合わせて何度も踏み込む動作を行いますので、カタカタと言った微妙な大きさの音が長時間鳴り響きます。基本的には、階下の住人とペダル音を原因としたトラブルが発生するケースが多いのですが、壁が薄い賃貸住宅などであれば、隣の部屋から「カタカタうるさい!」と苦情を言われてしまう可能性もあります。

電子ピアノは、ヘッドホンで演奏音を聞いているため、ペダル音が耳に入らず、つい演奏に集中してしまいペダル音が大きくなってしまいがちです。したがって、ペダル音による騒音問題を避けるためにも、床に防音仕様のマットなどを敷くなどして対策を施すべきです。

打鍵音でトラブルに

電子ピアノの騒音トラブルでは、ピアノを弾くときの鍵盤をはじく音、いわゆる打鍵音に対して苦情が出るケースも多いようです。

電子ピアノを使ってピアノの練習をするわけですので、数百数千回もの打鍵音が生じます。打鍵音一つを取れば、たいして大きな音ではないのですが、微妙な大きさの音が長時間、何回も続くことで、それが気になってしまう…という方は少なくないようです。ピアノの演奏者からすると「打鍵音ぐらい大丈夫だろう」と考えがちですが、小さな音だからと自己判断するのではなく、騒音トラブルの原因になり得ることを認識しておきましょう。

なお、電子ピアノをマンションで弾くときには、音量を小さくしたりヘッドホンを装着して演奏する場合が多いです。そして、このような場合、音を小さくしているからこそ、余計に音を出そうと力が入ってしまい、打鍵音が強くなってしまう場合があるので注意しましょう。
また、電子ピアノの多くは、壁掛けのアップライトのような形になっていることから、部屋に設置する時には壁にピッタリとくっつける方が多いです。しかし、この設置方法は、打鍵音などの振動が壁にダイレクトに伝わりますので、少し離して設置しましょう。そうすることで、打鍵音が他の部屋に伝わることを軽減することができます。また、音は出さないにしても、電子ピアノを演奏する時間は周囲に配慮すべきです。例えば、深夜の人が寝静まった時間帯などになると、周囲が静かな分、ちょっとした音が目立ってしまうことになります。打鍵音レベルでも、かなりの騒音に感じられる可能性があるため、深夜の演奏は控えましょう。

鍵盤から伝わる振動に注意

最後は、ピアノの演奏時に生じる振動です。ヘッドホンなどを装着して演奏音が外に出なくなっていても、振動は必ず生じます。そして、物件の構造によっては、この振動が広範囲に伝わりやすく、振動音でトラブルに発展することがあるのです。

電子ピアノを演奏する際には、鍵盤を叩く、ペダルを踏むといった行動により細かな振動が生じます。この振動が他の部屋に伝わってしまうと、立派な迷惑行為となってしまうでしょう。振動音の難しさは、演奏者本人は、振動音が生じていると気づきにくく、知らないうちに騒音問題に発展してしまうことがある点です。

なお、最近建築されているマンションは、振動音が騒音問題を引き起こすことが広く知られているため、子供が部屋の中を走ってもそんなに音が生じないなど、建物自体で振動対策がなされるようになっています。ただ、どこまでの対策が施されているのかは分かりませんし、振動音で騒音源にならないため、電子ピアノの下にマットを敷くなどの対策をしておくと良いでしょう。

また、電子ピアノを設置する場所についても、隣家との境界壁側に置くのではなく、窓側や自宅の他の部屋に接する壁に置くと振動が伝わりにくくなります。

マンションに電子ピアノを設置する際のポイント

ここまでの解説で分かるように、演奏音を出さないようにできる電子ピアノでも、マンションなどで演奏する場合、騒音トラブルの原因になることがあるのです。したがって、可能であれば本格的な防音室を用意するのがおすすめです。

ただ、冒頭でご紹介したように、アコースティックピアノではなく電子ピアノを選ぶ方の多くは、防音室を用意するまでのコストはかけられないと考えていると思います。そこでここでは、マンションなどの集合住宅に電子ピアノを設置しようと考えている方に向け、電子ピアノを設置する時の注意点や防音対策について解説します。

マンションに電子ピアノを置くときの注意点について

電子ピアノに限りませんが、ピアノはその他の楽器と比較すると、非常に大きな楽器ですので、搬入や設置の際に注意しなければならないことが多いです。最近では、ネット通販など、実物を確認することなく買い物ができる時代になっていますが、これをしてしまうと、実際にピアノが届いたときに困ってしまう状況になることがあるのです。例えば、購入した電子ピアノに対して、ドアが狭くて搬入できない…、リビングに入れられない…なんてことになるケースもあるようです。

電子ピアノを購入する際、楽器店に足を運び、搬入経路の寸法などをきちんと説明すれば、楽器店側が搬入から組み立てまで責任をもって行ってくれます。しかし、ネットで購入すると、玄関までの搬入となり、組み立ては自分で行わなければならない…なんて場合もあるようです。

最近の電子ピアノは、さまざまな機能が搭載されていて、精密機械のような扱いを受けるようになっています。組立て時にちょっとした衝撃を与えるだけで、本来の機能が果たせなくなる…なんてこともあるので注意しましょう。また、購入する時には、事前に設置場所を決めておくことも大切です。「とりあえずここに置こう」と言った感じで、何度も移動させると、楽器に振動や衝撃が加わることになり、寿命に影響してしまう場合があります。

この他には、電子ピアノも物によってはかなりの重量がありますので、何の対策も行わなければ、床が凹んだり、傷ついたりします。したがって、賃貸住宅に電子ピアノを搬入する場合には、こういったことがないように、床の対策を行いましょう。賃貸住宅では、住人が床に付けた傷などに対して、原状回復費を請求される場合があります。冷蔵庫など、最低限の生活を送るために必要な家電が原因となる床の凹みなどは、原状回復の対象にならない場合が多いのですが、電子ピアノなどの趣味趣向の楽器類で傷や凹みができた場合、ほぼ確実に修繕費用を請求されるはずです。

電子ピアノの防音対策について

それでは、マンションなどの集合住宅で電子ピアノの演奏を行う場合、どのような防音対策を施せば良いのでしょうか?上述しているように、最も騒音トラブルの心配がない方法と言えば、専門業者に依頼して防音室を作るなど、楽器演奏が可能な防音空間を作ることです。ただし、この方法は、どうしてもコストと時間がかかってしまいますので、電子ピアノの演奏がしたくても、この方法は採用できない…と悩んでしまう方も多い事でしょう。

そこでここでは、コストをあまりかけずに可能な防音対策についていくつかの具体的な方法をご紹介します。

  • 階下への対策について
    ピアノの演奏による騒音トラブルは、演奏音に苦情が出る場合も多いですが、実は階下の人から振動音がうるさいと苦情が出るケースが多いようです。楽器に詳しくない人はイメージしにくいかもしれませんが、ピアノは指で鍵盤を叩き弾く事により音を出す打弦楽器で、アーティストの中には「ピアノは打楽器のつもりで演奏している」という方までいるのです。そのため、ピアノによる音の問題は、演奏音だけでなく階下に振動音が伝わらないようにする必要があります。具体的には、電子ピアノの下に振動対策マットや防音タイルカーペット、遮音材のカーペットなどを敷くというものです。最近では、ネット通販やホームセンターなどで簡単に手に入れられますので、こういったアイテムを購入し、振動対策を行いましょう。また、ピアノの演奏を始めた直後は、階下の住人さんに会った際に、ピアノの音で迷惑をかけてないか確認してみると良いでしょう。
  • 壁の対策について
    電子ピアノの場合、ヘッドホンを装着する、本体で音量調整を行うなどと言った対策を施すことで、演奏音によるトラブルを防止することが可能です。ただ、ピアノを壁にくっつけるように設置してしまうと、本体から生じる振動が壁にダイレクトに伝わり、振動音で迷惑をかけてしまう恐れがあるのです。したがって、電子ピアノを設置する際には、壁から少し離して設置する、他の家との境界壁側ではなく、自宅側に設置するなどと言った対策を施すと良いでしょう。

電子ピアノは、演奏に伴う音については、本体側で対策が可能です。ただ、どうしても音を出しながら練習したいという場合は、演奏音に対する防音対策も必要です。例えば、窓からの音漏れを防ぐため、二重窓にする、壁に防音パネルを設置するなどと言った対策が考えられます。

ちなみに、電子ピアノは、打鍵音やペダル音はどうしても生じてしまいますので、演奏音を出さない場合でも、騒音トラブルの可能性が残ります。したがって、深夜帯など、周囲が寝静まっているような時間帯に演奏するのはやめましょう。

まとめ

今回は、マンションなどの集合住宅で電子ピアノの演奏を行う場合、周辺住民との騒音トラブルに発展しないようにするための注意点をご紹介しました。

電子ピアノは、本体側で音量調節ができる、ヘッドホンにつなぐことで演奏音を一切出さずに練習できるなど、集合住宅に住む方のピアノの練習用アイテムとして非常に人気です。ただ、演奏音を出さずに電子ピアノを使用すれば、絶対に騒音トラブルを防げるというわけではありません。この記事でご紹介したように、電子ピアノを演奏する際の、打鍵音やペダル音、振動音などは、ヘッドホンにつないでいたとしても生じてしまい、これを原因に騒音トラブルに発展するケースも珍しくないようです。

この記事では、具体的にどのような音が問題になるのか、またどういった対策を施せば良いのかを簡単にご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

[trustindex no-registration=google]

古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

ピアノ防音室

実際に防音工事の匠が施工した防音室で防音性能を体験することで、当社の防音室の機能・音響などを体感していただけます。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

このページの先頭へ