リフォーム工事でよくあるトラブル事例と対策をご紹介

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今回は、住宅のリフォーム工事にありがちな業者とのトラブル事例をご紹介します。
昨今では、屋根などの点検商法によるトラブルが多発しており、業者が逮捕されたというニュースを見聞きする機会が増えています。ただ、住宅リフォームに関するトラブルは、何もここ数年で急激に増加しているというわけではなく、はるか昔から消費者と業者がトラブルになる…という事例が報告されているのです。一般的に、費用がそこまでかからない小規模リフォーム工事ではトラブルは少ないのですが、防音工事のような中規模、大規模リフォーム工事となると、トラブルが起こるべくして起こっているといえる状況もあります。
これは、多くのリフォーム会社が、数名程度の従業員で回している小規模な工務店が多いからで、そういった会社は見積りや提案などもあいまいなまま、「安さ」だけで工事契約を進めてしまい、お客様との認識違いでトラブルになってしまう…なんてことが多いからです。中には、最初からお客様をだますつもりの業者もいるので、リフォーム工事のトラブルに見舞われないためには、慎重に業者を選ばなければならないのです。
そこでこの記事では、よくあるリフォームのトラブル事例や、その対策について解説します。
トラブル① 工事後に支払額が上がる
リフォーム工事におけるトラブルでは、契約時に聞いていた支払額と、工事後に発行された請求書の金額が変わってしまう…というものが多いです。皆さんも、悪質なリフォーム業者は「工事後にあれこれと理由をつけて金額を引き上げる!」というイメージを持っているのではないでしょうか?
このタイプのトラブルは、口約束のみで工事を行ってもらう、最初にもらった概算見積りのみで工事を依頼するといったケースに発生しやすいです。それでは、このタイプのトラブルを防ぐには、どうすれば良いのでしょう?
対処法について
リフォーム工事を行ってもらう場合、業者に現地調査を行ってもらい、簡易的な提案書と見積書を提出してもらうことで検討し始めるのが一般的です。ただ、最初に提出される見積書は、詳細な仕様などが決まっていない見積書で、あくまでも概算の金額が記載されているだけなのです。そしてそこから、お客様の意見を聞きながら、どんなリフォーム工事を行うのか詰めていくと、当初の金額よりも増えてしまうなんてことは当たり前にあります。まともな業者であれば、仕様が決まった段階で、正式な見積書と仕様書、工事契約書を作ってお客様との契約を行うのですが、悪質な業者の場合、最初に提出した見積り以降は、口約束のみで話を進めるケースが多いのです。
当然、あなたの要望を汲み込んだリフォーム工事がいくらになるのか、書面として正式見積りを出してもらっていなければ、証拠として何も残せなくなってしまい、工事後の請求時に「聞いていた金額よりも高い!」なんてことになりやすいのです。民法上は、口頭でも契約が成立するため、業者側が行いが完全に悪いとは言えないのも話をややこしくしてしまいます。したがって、このようなトラブルを防ぐためには、工事契約を行う時は、口約束ではなく、しっかりと書面を作って両者が合意した証拠を残すようにしましょう。書面は、見積り金額だけでなく、仕様書や要件書など工事の詳細まで分かるようにしてもらい、納得できれば捺印するようにしましょう。そうすれば、後から「話が違う…」「金額が上がっている」なんてトラブルを避けることができます。
ちなみに、契約後に仕様変更をお願いする場合、どの部分をどのように変更するのか、工事金額はどう変わるのかを明確するためにも「工事内容変更合意書」を作ってもらいましょう。そうすることで、知らない間に金額が高くなる…なんてトラブルはなくなるはずです。ちなみに、仕様の変更については、建設業法第19条で「建設業者は請負契約において変更が生じた場合には変更内容及び金額を記載した書面を交付しなければならない。」と定められているので、お客様側が書面を請求する行為は当然のことなのです。
トラブル② 言った言わない系のトラブル
リフォーム工事におけるトラブルでは、言った言わない系のトラブルも多いです。例えば、打ち合わせ時「壁紙はグレーで」と指定したはずなのに、仕上がりを見てみると、全然違うカラーリングになっていた…、電話で担当者さんに変更を依頼したのに、完成後に見てみるとその変更が反映されていなかった…なんてトラブルです。
お客様側からすれば、担当者に電話で要望を伝えた、打ち合わせの内容を業者側がきちんとメモに取っていたという行為で安心してしまいますが、これだけでは不十分なのです。それではこのトラブルを防止するにはどうすれば良いのでしょうか?
対処法について
言った言わない系のトラブルは、お客様側が本当に自分の要望が伝わっているのか確認していないことで起こることもあります。例えば、打ち合わせの内容を業者側がきちんとメモに取っていれば、ほとんどの方は安心してしまいますよね。しかし実は、メモを取っているだけでは安心することはできないのです。
業者側がどのような内容をメモに取っていたのか、お互いが共有しなければ、要望がきちんと伝わっているのか分かったものではありません。ビジネスの世界では、打ち合わせした内容について、きちんと議事録として書面に残し、それを共有し確認しあってから、初めて合意がとれた証拠となります。電話や口頭で伝えた内容についても、改めてメールなどで箇条書きにし、相手側と共有することが大切です。その際、相手側から「確認しました」の返答ももらっておくことで、後から「見ていませんでした」といった言い訳を防ぐことも可能になるでしょう。
まともなリフォーム業者の場合、業者側が「打ち合わせシート」などと呼ばれる簡易的な議事録を取り、共有してくれるはずです。しかし、中にはそういった作業を行わない業者もあるので、最初の打ち合わせの段階で、議事録はどちらがとるのか、内容の共有方法はどのように進めるのか確認しておきましょう。
トラブル③ 細かいところを決め切れていないことによるトラブル
住宅リフォーム工事では、どこからどこまでをやってもらうのか、何をしてもらいたいのかを明確にしなければいけません。作業内容が不明確なまま工事を進めてしまうと、後々トラブルに発展する可能性が非常に高いです。
例えば、壁を無くす工事をする際、コンセントは近くに残しておいてほしいと思っていたのに、それを伝えていなければ、コンセントも一緒に削除されてしまうことしょう。他にも、換気扇の交換などを行う際、換気カバーや換気レジスターは古いまま残ってしまうなんてこともあります。リフォーム工事は「ドアを交換してほしい」といった大雑把な相談をすることが多いのですが、実際の打ち合わせ時には、自分の要望を細かいところまで伝えることが大切です。
対処法について
リフォーム工事を行う際は、細かいところまで、あなたの要件を詰めておく必要があると考えてください。特に、コンセントや照明スイッチの位置は、生活利便性に直結し、リフォーム後にトラブルになるケースが多いので注意しましょう。
防音工事に関しても、防音性能ばかりに注目が集まるのですが、ドアノブの形状や、窓は開閉したいのか、どのようなデザインの部屋が居心地が良いと感じるかなど、きちんと詳細まで要望を伝えることが大切です。そうしないと、しっかり防音ができているものの、使いづらさを感じてしまう…なんてもったいない結果につながる可能性があります。
トラブル④ リフォームが原因で近隣住民とトラブルに
リフォーム工事に関わるトラブルは、何も業者との間にいさかいが生まれるだけではありません。実は、リフォーム工事を行う時には、近隣住民にさまざまな影響を与えてしまうことになり、それが元にクレームに繋がることがあるのです。
例えば、業者が資材の搬入のために、路上駐車をして近所の方の通行を妨げる…、工事に伴う騒音や振動にクレームが出る、粉塵やニオイに対して苦情が出るといった感じです。これは、リフォームの規模が大きくなればなるほどトラブルの発生確率が高くなるので注意が必要です。
対処法について
リフォーム工事に伴う近隣トラブルを防止するための対策は、業者側に近隣住民にも配慮するように、きちんと指摘する、工事の前に影響が出そうなお宅に挨拶に伺うといった方法が有効です。
そもそも、住宅のリフォーム工事というのは、どのお宅でもいずれ行わなければいけません。防音工事のように、特定の趣味などを持っている方が限定して行う工事もありますが、塗装工事や防水工事、屋根の修理などは、どのようなお宅でもいずれしなければならないのです。つまり、リフォーム工事による影響は「お互い様」の問題でもあるので、きちんと一般常識に沿った対応を行っておけば、大きなトラブルにまで発展する可能性は少ないわけです。
工事が開始される前に、きちんと挨拶に伺い、臭いや騒音、粉塵が発生しそうな日程を事前に伝えておけば、「洗濯物は外に干さない」など、近隣の方も対処することができるようになります。これを事前に行うか行わないかで、クレームの発生確率は大きく異なるので、きちんと行っておきましょう。なお、業者の行動についてもしっかりと目を光らせておき、以下のような行動を見かけた場合、速やかに担当者に伝え、改善してもらいましょう。
- ・路上駐車をしている
- ・タバコのポイ捨てやゴミの放置
- ・大声で騒ぐ
まとめ
今回は、住宅リフォーム工事を行う際、ありがちな業者とのトラブル事例と対処法をご紹介しました。記事内でご紹介したトラブルについては、皆さんも耳にしたことがあると思うので、リフォーム工事をする際にはぜひ注意してください。
リフォーム工事における業者とのトラブルについては、しっかりと対処法を頭に入れておくことで事前に防ぐことができます。特に、お金に関するトラブルは絶対に避けたいはずなので、事前に工事にかかる費用を明確にしてもらうようにしてください。またその時には、口約束ではなく、どのような内容の工事をいくらでするのか、追加費用が発生するならどんな時かなどを分かりやすく書面に起こしてもらい、納得できれば契約するという体制を絶対に採ってください。口約束による工事の進行は、トラブル原因として最も多い理由なので、必ず工事の仕様や見積り金額などの証拠を残すようにしましょう。
悪質な業者の中には「コスト削減のため詳細な仕様や図面を書面として出さない」なんてことを言う場合があるのですが、このような業者は危険なので絶対に契約しないようにしましょう。リフォーム工事を行う際には、業者側も図面や仕様書を作る必要があるわけで、これを提示できない業者がまともに工事をするとは思えません。