賃貸住宅でも楽器演奏がしたい!最近よく聞く『防音物件』はいくらでも音を出して良いの?

今回は、一人暮らしの方で、自宅でも楽器の練習などを考えている方が注意しておきたい物件選びの際の基礎知識についてご紹介していきます。

楽器を弾く人にとっては「練習する時間をいかに捻出できるのか?」ということは非常に重要な問題となります。どのようなことをするにしても、練習時間はそのまま自分の技術として身についていくものですので、「可能な限り長時間、楽器の練習がしたい」と考える物でしょう。しかし、楽器の練習のために毎回レンタルスタジオを借りるとなると、かなり金銭的負担が大きくなってしまいますし、プロの演奏家を目指している方にとっては非常に悩ましい問題になっています。

こういった場合、一人暮らしをする賃貸住宅でも、自宅で練習できる環境があれば理想的だと思うものですが、普通の賃貸物件では楽器演奏に耐えられるような防音設備は整っていません。ただし、物件の中には『楽器演奏を認めている』ものもありますので、そういった物件を中心にお部屋探しをする方が多いと思います。
そこで、「楽器演奏が認められている」物件を探している方がおさえておきたい、物件の基礎知識を簡単にご紹介していきます。実は、物件情報の記載のされ方によって注意しなければならないポイントが変わってしまうのです。ここでは、「一人暮らしでも自宅で楽器の練習がしたい!」と考えている方のための情報をご紹介します!

楽器演奏可能な部屋も種類がある

それでは、賃貸物件でも「楽器演奏ができる部屋」を探している方が注意しておきたいポイントについてご紹介していきましょう。近年では、賃貸物件の中にも「楽器演奏OK」となっているような部屋がありますので、「自宅でも楽器の練習がしたい!」と考える方は、住みやすさよりも「楽器演奏ができるのか?」ということを重視している方も増えています。

楽器の演奏に興味がない方であれば、「たまにスタジオでも借りて練習すれば良いのでは?」なんて思うかもしれませんが、楽器の上達は「日々の練習」が非常に重要だとされているのです。音楽の世界でも「1日休めば自分が、2日休めば他人が、3日休めば素人が、腕が落ちたことに気づく」なんてことが言われており、常に楽器に触れることができる環境がとても大切なのだそうです。

それでは、こういった方が物件選びをする際には、どのような種類の物件を選べば良いのでしょうか?実は、「楽器演奏OK」の物件でもいくつかの種類が存在するのです。以下で、大まかに3つ分けてご紹介しておきます。

『楽器相談可』の物件

まずは『楽器相談可』と記載されている物件です。なんとなくイメージできると思いますが、この物件は元々楽器の演奏が想定されているわけではなく、借り手側の要望に「楽器の演奏」があるのであれば、相談にのりますよというものです。要は、貸し手側となる大家さんが、長期間空き部屋となっている…などと言った理由から、「借り手がつくなら楽器を許可します」という状況です。

こういった物件のメリットは、部屋自体に防音設備が整っているわけではないため、家賃などは通常とあまり変わらないということです。逆に言えば、楽器を演奏していると、音漏れしてしまい近隣との騒音トラブルに発展してしまうリスクが残ります。あくまでも「楽器の演奏が認められる」だけで、「騒音を出して良い」という許可ではないので、一般常識的なマナーは守らなければいけません。

『楽器可』の物件

次は、『楽器可』と記載されている物件です。相談もなく、楽器演奏が認められている物件ですし、それなりの防音設備が整っていると考えてしまいそうですね。しかし、この物件に関しても、特に防音設備が整っているわけではなく、あくまでも常識の範囲内であれば楽器の演奏が認められているというものです。つまり、24時間いつでも楽器の演奏をしても良いというわけではなく、近隣に迷惑にならない範囲であれば良いという訳です。こういった物件は、多くの場合「演奏可能時間帯」が決められていますので、その範囲内であれば演奏できると考えておきましょう。

なお、こういった物件は、演奏可能な楽器が決められていることも多く、「ピアノやギターなどであればOKだが、ドラムなど音が響く打楽器や音量が大きい金管楽器はNG」など、細かな規定があることも多いので注意しましょう。

『防音物件』について

最後は『防音物件』と呼ばれるタイプです。このタイプの物件は、部屋自体に各種防音設備が整えられている、居室内にユニット型防音室が設置されているなど、入居者が「楽器の演奏をする」ということを想定して造られている部屋になります。

したがって、楽器演奏が可能な時間を決められることもないですし、楽器の種類も指定されませんので、「いつでも楽器の練習ができるように!」と考える方にはとてもオススメです。ただし、こういった物件は、まだまだ数が少なく、同じような条件の物件と比較すると、1~3万円程度家賃が高く設定されています。

『楽器相談可・楽器可』の中で防音性が高い部屋を見つけるには?

ここまでの説明で分かるように、賃貸物件で楽器の演奏がしたいと考えるのであれば『防音物件』を探すのが最もオススメです。しかし、防音物件は、家賃が割高になってしまいますので、どうしても予算的に借りることができない…となってしまう方も少なく無いでしょう。さらに、地方都市などであれば、防音物件自体が存在しない…なんて場所もあり、なかなか気軽に借りることができなのが実情なのです。

こういった場合、『楽器相談可』や『楽器可』となっている物件を中心に探すことになると思います。しかし、上述したように、この二つの物件に関しては、部屋自体が防音仕様になっているわけではありませんので、部屋の防音性の低さから近隣住民と騒音トラブルになってしまう…という危険があるのです。あくまでも「楽器の演奏が認められている」だけで、騒音を出して良い物件ではないので、『楽器可』の部屋でも演奏する側が周辺に配慮する必要があるわけです。

こういった『楽器相談可・楽器可』の部屋を借りる際には、物件自体の防音性能に注目しておくのがオススメです。以下のようなポイントをチェックして、「どの程度なら大丈夫か?」をしっかりと想定しておきましょう。

建物の構造を確認する

防音性の高い賃貸物件を探す場合に重要なのが、建物自体の構造です。みなさんもご存知のように、同じように見えるマンションでも、工法などが全く異なるのです。例えば、日本国内では木造住宅が多いのですが、この構造は隙間が多くできてしまうなどと言った理由で、防音性が低いと言えます。

したがって、防音性の高い物件を探す場合、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの物件を選ぶと良いでしょう。これらの構造は、コンクリートに強度の高い鉄筋を埋め込んだ建物構造となっており、木造などに比べて壁の密度が高くなるため、高い防音性が見込めるのです。

建物の構造は、不動産会社が提示してくる物件情報が記載された紙にのっていますので、しっかりと確認しておきましょう。

壁の厚さを確認

部屋の防音性を大きく左右するのが壁の厚さです。これは、防音物件かどうかなど関係ありません。基本的に、壁が分厚いほど防音性が高くなりますので、楽器演奏を考えていて高い防音性を求めるのであれば、『15cm以上』を目安に厚い壁の物件を探しましょう。

壁の厚さは、不動産会社などに聞かなければ分かりませんので、「楽器演奏がしたいので壁の厚さの資料を見せてください」などと依頼しましょう。

窓の防音性

集合住宅でも戸建住宅でも一緒なのですが、部屋の防音に関しては、窓が弱点になってしまいます。一般的には、フロートガラスなどと呼ばれる一枚物のガラスが採用されているのですが、この窓の防音性についてはきちんと確認しておきましょう。

例えば、サッシに高い防音性が期待できる樹脂サッシなどが採用されている、防音性の高い窓ガラスが採用されているなどの物件も増えていますので、その辺りを確認しましょう。なお最近では、二重窓が採用されている物件もありますので、予算内でそういった部屋があるか確認しておくのがオススメです。

防音効果が期待できる間取りか?

集合住宅では、隣の部屋と接している『境界壁』から音漏れしてしまう…ということが多いです。そこで、この境界壁の部分をきちんと確認しておくのがオススメです。

例えば、隣の部屋との境界にクローゼットや廊下、トイレなどがある間取りの場合、それらが音の伝導を防いでくれますので、音漏れの心配が少なくなるのです。部屋の間取りは、住みやすさを重視する方が多いのですが、楽器演奏などが趣味の人は、防音性の視点からも確認しておきましょう。

まとめ

今回は、一人暮らしの方で、自宅でも楽器演奏をしたいと考えている方に向けて、防音性が高い物件探しの基礎知識をご紹介してきました。

この記事でご紹介したように、賃貸物件の中にも楽器演奏が認められている物件があるのですが、実は物件紹介での記載のされ方で部屋の防音性能が全く異なるのです。基本的には『防音物件』と紹介されるもの以外に関しては、何の防音設備も整えられておらず、楽器の演奏は認められるものの、一般常識の範囲内で…となってしまうと考えなければいけません。

防音物件に関しては、通常の部屋よりも家賃が割高に設定されていますし、そもそも物件の数自体が非常に少ないのが現状です。したがって、あなたが求める予算の範囲内や地域には防音物件が見つからない…なんてことも珍しくなく、そういった場合は「楽器可でより防音性の高い部屋は?」という視点で物件探しをする必要があると考えておきましょう。なお、防音設備がない部屋でも、自分である程度の防音対策を施せる時代になっていますので、必要であれば自分で簡易的な防音対策に挑戦してみるのも良いと思いますよ!

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

[trustindex no-registration=google]

古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

ピアノ防音室

実際に防音工事の匠が施工した防音室で防音性能を体験することで、当社の防音室の機能・音響などを体感していただけます。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

このページの先頭へ