コロナ禍で騒音によるご近所トラブルが増加!そもそも騒音は健康被害を及ぼす可能性があるのか?
マンション暮らしの方が増えていることや、都市部では戸建てごとの距離が違くなってきたことから、一昔前と比べると、ご近所から聞こえてくる話し声や排水音、家事の音などで悩まされてしまう…と言う方が増加していると言われています。さらに、2020年以降、新型コロナウイルスを起因としたパンデミックが発生し、人々の在宅時間がどんどん長くなっています。これにより、近隣住宅から聞こえてくる音の問題は、さらに拡大しており、騒音による近隣トラブルが急増していると言われているのです。
ただ、楽器の音が大きすぎてうるさく感じてしまう…、夜中に大音量で音楽を聴いている…など、人の許容範囲を超えるほどの騒音であれば問題視するのも分かるのですが、「生活音なんかお互い様なのだし、我慢すれば良いのに」と考えてしまう方も少なくないようです。
それでは、ご近所さんから聞こえてくる騒音について、音に悩んでしまった方に何の健康被害も引き起こさないものなのでしょうか?実は、騒音問題がここまで注目されているのは、音の問題は、人の健康被害にまで及んでしまう…と言う事実があるからなのです。そこでこの記事では、騒音に悩んでしまった場合、どのような健康被害の可能性があるのかを解説しておきます。
騒音は健康被害を引き起こすのか?
新型コロナウイルス問題は、日本国内だけでなく世界中の社会生活を一変させたといっても過言ではありません。日本では、比較的緩い行動制限に収まっていますが、諸外国では非常に厳しいロックダウン政策がとられるなど、日本以上に在宅時間が長くなった国も少なくないようです。そして、コロナ問題が世界中に認識され始めた2020年1月から9月の間で、騒音に関する通報が約3倍にまで増えたという国もあったと言われています。そして日本で考えても、行動制限が行われた2020年は、東京都で約157万件の110番通報があったそうなのですが、通報の中身を精査してみると最も多かったのが公害(人声騒音・カラオケ騒音)だったとされています。
このように、世界中でコロナ問題が取りざたされている中、多くの方が近隣からの騒音に悩まされるようになっています。そして実は、騒音問題は単に「うるさいな!」という気持ちの問題だけでなく、さまざまな健康被害をもたらせてしまうと言われているのです。以下に、騒音による代表的な健康被害をご紹介しておきます。
①難聴リスク
一つ目の健康被害は『難聴リスク』です。皆さんもご存知だと思いますが、音量が大きな環境下に長時間身を置いていると、難聴リスクが高まると言われています。分かりやすい例をあげると、パチンコ店から出た時やライブハウスなどから出た時などに、普段よりも音を聞き取りづらくなっている…と言う経験があるのではないでしょうか?こういった状況は、強烈な騒音にさらされることで、内耳が傷ついてしまい、聴覚の低下や特定の音が聞き取りづらくなっているという症状なのです。ちなみに、ヘッドフォンやイヤホンなどで音楽を聴くときに、大音量でかける方がいるのですが、この行為も難聴リスクを高めてしまいます。
近隣騒音程度であれば、難聴まで行かないかもしれませんが、常に大音量などで迷惑をかけるといった行為は、こういったリスクを生じさせてしまうと考えておきましょう。
②高血圧や心臓病のリスク
これはほとんどの方が驚きの事実かもしれませんね。騒音と高血圧や心臓病に何の関連性も感じない方の方が多いと思います。
しかし実は、世界保健機関(WHO)が2018年に発表した『欧州環境騒音ガイドライン』によると、過度な騒音は、高血圧や心疾患につながる恐れがあると、明確に記載されているのです。騒音問題は、その時点で肉体的な負担を感じる…と言う方は少ないと思うのですが、常に「うるさいな…」と感じている場合、その環境をストレスに感じてしまう人が多い事でしょう。つまり、騒音からストレスになり、それが高血圧や心疾患に繋がっているのかもしれませんね。
③不眠リスク
騒音による健康被害として、最もわかりやすいのが『不眠』です。これは、夜寝ようとしても、上の階の人が騒ぐので足音などで寝られない、隣の人が大きな音量でTVを見ていて、音が気になる…なんてケースが有名ですね。
しかし、集合住宅ではさまざまなライフスタイルを持つ方が非常に近い位置で生活していることから、早朝に家事をせざるを得なくて、その音で迷惑をかけてしまう…と言ったケースもあるようです。そして最近では、昼間の内の騒音で、夜になっても興奮状態が収まらず、いらいらして眠れなくなった…と言った不眠症の症状まで訴える人が増えていると言われています。
これは、騒音などによって強いストレスにさらされてしまうと、自律神経のバランスが乱れてしまい、体内時計が狂ってしまうからだそうです。ここまで行くと、音が聞こえないはずの夜間でも、眠れなくなってしまうという症状が出てしまう方がいるのです。
注意すべき騒音源について
ここまでの説明で分かるように、騒音と言うものは、人の健康被害にまでつながってしまう大問題だと捉えておかなければいけません。もちろん、騒音源となってしまっている方であっても、ほとんどの場合、悪意があって音を出しているわけではなく、「どのような音が騒音になるのか?」「何に注意しなければいけないのか?」を理解せずに生活している事が騒音トラブルの大きな要因となっています。
マンションやアパートなどの集合住宅はもちろん、距離が近くなってきた戸建て住宅などでは、以下のような音が騒音となるので、普段から注意しておくと良いでしょう。
人の声
まずは、人の話し声などです。集合住宅に住んでいる方であれば、お隣さんの話し声が聞こえてくる…なんて経験が誰にでもあると思います。
ただ、注意しておいてほしいのは、騒音問題にまで発展する人の声は、子供が大声を上げる、赤ちゃんの泣き声などと言うよりも、それを叱る親の声が原因となるケースがほとんどだと言われています。子供が騒いでいる時には、「近隣に迷惑をかけてはいけない…」と考えて、大きな声で叱る方が多いのですが、逆にその声が最も騒音に捉えられているという点は注意しておきましょう。
なお、これから暖かくなる時期ですが、夜間に窓を開けて携帯電話などで会話すると、近隣に声で迷惑をかけてしまう可能性が高くなります。携帯電話で会話する時には、音漏れを防ぐために窓はきちんと閉めておきましょう。
家電の音
コロナ禍で一気に増えたのが家電の音による騒音トラブルです。例えば、深夜や早朝に掃除機や洗濯機をかけてしまうと、近隣の方がまだ就寝していて「うるさい!こんな時間に掃除機をかけるなんて非常識な奴だ!」と思われてしまう可能性があります。掃除機や洗濯機は、振動音を発生させる機器ですので、皆さんが考えている以上に、音が拡散してしまいます。したがって、こういった音が大きな製品に関しては、時間帯を考えて利用するようにしてください。
また、戸建て住宅に関しては、エコキュートなどによる騒音トラブルが増加しています。エコキュートは、深夜帯の電気代が安くなるプランを使って、給湯コストを下げられる給湯器として有名です。しかし、逆に言えば、深夜にお湯を沸かす機器になってしまうため、夜中に振動音を発生させることで騒音トラブルになるのです。エコキュートの騒音に関しては、裁判沙汰にまで発展しているケースも多いので、注意しておいた方が良いですよ。
楽器の音
最後は楽器の音です。コロナ問題が発生する前までは、集合住宅などでも「昼間ならそこまで迷惑をかけないでしょ」などと考え、防音室などを作らずに楽器の練習をしているというケースも少なくなかったようです。
しかし、コロナ禍になってから、人々の在宅時間が長くなり、さらに昼間は自宅で仕事をするという方が増えています。このような状況下になると、「昼間だから音を出しても良い!」と言う考えが全く通用しなくなっているのです。実際に、テレワークが始まってから自宅周辺の騒音に初めて気づいて、対策を取り始めた方が多くなっていると言われており、苦情を言われたことで楽器の演奏ができなくなった…と言う声も増えています。
なお、コロナ問題が収まったとしても、テレワークをそのまま続けるという考えの企業も意外に多いようですので、集合住宅などで楽器の演奏を考えるのであれば、防音室が必要不可欠な時代になっていると考えてください。
まとめ
今回は、コロナ禍で急増していると言われている騒音トラブルについて、騒音問題が健康被害にまで発展する可能性があるのかや、皆さんが日常生活の中で気を付けておきたい騒音源について解説してきました。
この記事でご紹介したように、騒音と言うものは、単に「うるさい!」と感じる程度の問題ではなく、不眠を始めとして難聴リスクや高血圧、さらには心疾患の可能性まで指摘される非常に大きな問題と捉えなければならないのです。誰でも、自宅でゆっくりしている時には、快適で静かな環境を求めるはずです。それなのに、隣や上の階からの騒音に悩まされてしまうと、大きなストレスを感じてしまうことでしょう。そして、そういったストレスが、人の健康被害にまで発展してしまう恐れがあるのです。
まずは、どういった行為で他人に迷惑をかけてしまうような騒音が発生するのかを皆が理解して、日常生活の中で、そういった音をなるべく出さないように気を付けるようにしましょう。また、個人的な注意ではどうしても音の問題を解消できないケースが多々ありますので、そういった場合は、弊社のような防音工事の専門家に相談するのがオススメです。