近くの工事現場の騒音に悩んだ時、どこに相談すべきなの?
近隣で工事が始まると、騒音や振動で悩まされてしまう可能性が高くなります。特に、大規模なマンションの建設などになると、既存建物の解体からスタートし、新しい建物を建築するという流れになることから、1年以上も工事が続いてしまうなど、長期間騒音に悩まされてしまうことになります。
それでは、近くで行われている工事の騒音で悩んだ場合、どのような対処をすれば良いのでしょうか?正直な話、「うるさい!」と苦情を言っても工事が止まるわけではないでしょうし、我慢するしかないのだろうか…と考えている方が多い事でしょう。しかし、日本国内では、きちんと騒音や振動に関する法律なども作られていますし、受忍限度を超えるような騒音が生じている場合、しかるべき対処を行うのがオススメです。
そこでこの記事では、近所の工事の騒音などに悩んだ時、どこに相談すれば良いのかをご紹介していきたいと思います。
工事による騒音や振動に悩んだ場合、まずは施工会社に相談
近所で行われている工事による騒音や振動に悩んだ場合、「役所に相談すべきか、警察に言うのが良いのかな?」などと迷ってしまう方が多いですよね。建設会社と聞くと、どことなく強面な感じがしますし、直接苦情を言いに行ってトラブルになるのも嫌だし…と、工事業者に直接クレームは言いにくいと考える方が多いようです。
しかし、工事による騒音や振動に悩んでいるのであれば、本来、役所や警察などに相談するのではなく、その現場を監督している施工管理会社に相談すべきと考えてください。工事現場には、看板が掛けられており、そこに「施工者」と「施主」の情報が必ず記載されています。したがって、そこに記載されている施行者に連絡し騒音への対処をしてもらうと良いでしょう。
工事の騒音については役所などに相談する方が多いのですが、「施工者」に直接相談に行くのが最も手っ取り早いのは以下のような理由があるからです。
①現場の事情を最も理解できているから
一つ目の理由は、現場で作業を監督している施行者が最も事情を分かっているからです。工事現場から少し離れて過ごしているあなたが、工事の騒音や振動に悩むほどですので、現場で作業している方は「今日は音が大きいな…」と感じている場合があります。
このような時に、近隣の方から苦情が入ると、「やっぱりか…」となり、何らかの対処が必要だと認識してくれるはずです。なお、工事の工程によっては「どうしてもそれなりの音や振動が生じてしまう」作業が存在するケースもあります。このような場合でも、「いつまで大きな音が生じるのか?」など、内部の事情などをきちんと説明してくれますので、音の原因が分かり気にならなくなるケースもあります。
②対応が早い
二つ目の理由は、役所などに苦情を言うよりも、騒音への対処スピードが速いという点です。
例えば、役所に「工事の音で悩んでいる」と相談した場合、その相談があなただけからであれば、ほぼ確実に何もしてくれません。苦情が少ないのであれば、他の人は許容できているという判断になりますので、対処してもらえる可能性がそもそも少ないと考えましょう。また、対処してもらえる場合でも、あなたの苦情が事実なのか、役所の担当者が確認しに行き、「確かに音が大きい」となれば、施工会社に注意の連絡をするという流れになります。
つまり、役所に相談したとしても「今現在の騒音」への対処はしてもらうことができないわけです。これが施工者に直接相談するという場合、その場で対応策を相談することが可能ですので、スピーディな対応になるわけです。
③何らかの対応をすぐにしてくれることもある
最後は、施工者に直接相談することで、何らかの対処をしてもらえる可能性がある点です。当然ですが、施工者に関しては、工事現場の問題で近隣の方とトラブルになりたいなどと考えているわけはありません。それどころか、可能な限り良い関係を保って、計画通りに工事を進めたいと考えています。したがって、直接施工者に相談した場合、以下のような対処をしてくれるケースもあります。
- ・足場に取り付けている養生シートを防音シートに変更してくれる
- ・子供が昼寝をする時間(12~14時)は大きな音が生じる作業を控えてくれた
- ・騒音や振動が生じやすい時間をあらかじめ教えてくれた
もちろん、工事現場によって可能なことと不可能なことは変わりますが、ご近所さんに迷惑をかけないように、最大限配慮してくれる施工業者が多いです。したがって、どうしても我慢できない騒音や振動がある場合、直接施工者に相談するのがオススメです。もちろん「うちの近くで工事をするな!」なんて要望は通りませんよ。
施工者に相談しても対処してもらえない場合は施主に相談
上述のように、工事現場の騒音や振動に悩んだ場合には、現場の状況を一番わかっている施行者に相談するのが最も手っ取り早いです。近所に住んでいる方が、騒音や振動に悩んでしまうほどであれば、施工者自身も「これはクレームが来るのではないか…」と感じているはずですので、しっかりと苦情を伝えることで、何らかの対処をしてもらえる可能性があります。
しかし、中には「工事なんだから音や振動は出るもの」などと、苦情を言っても何の対応も受け付けてくれないというようなケースも考えられます。施工業者からしても、無音で工事を行うことは不可能ですので、可能な範囲での防音対策などは行っており「これ以上は何をしても一緒だ」と考えて、作業工程などの調整などは一切行わないというケースもあるのです。
このような対応をされ、その対処に納得ができないのであれば、その工事現場の「施主」に相談すると良いでしょう。施主は、完成した建物の持ち主となる方で、工事後も近隣の方と関係していく人と考えても構いません。そして、マンション建設などの場合、大手ディベロッパーが施主になっているケースがあり、そういった場合、ブランドイメージのこともありますので、苦情に対して丁寧に対応してくれる可能性が高くなるのです。
なお、施主に相談する時には「施工者に相談したけれど、何の対処もしてくれない」と言うこともきちんと伝えましょう。施主は、近隣住民とのトラブルをできるだけ避けたいと考えているはずですので、何らかの対処は期待できます。
ちなみに、工事現場が法令違反状態になっているという場合は、役所に相談するのがオススメです。
騒音と振動の基準について
近くの工事現場にて、騒音や振動が酷い…と感じた場合、騒音・振動計が設置されきちんと計測されているのかを確認してみましょう。これは、施工者に「騒音・振動は測定していますか?」と質問すれば回答してくれるはずです。
日本では、例え工事だとは言え、「好き勝手に騒音や振動を出して良い!」と言う決まりになっているのではありません。騒音や振動に関しては、騒音規制法第15条、振動規制法第15条に基づいて、各都道府県や自治体の条例で規制されています。そして、工事現場で騒音や振動を測っていないという場合、その時点で施行者にとっては落ち度となってしまうのです。
なお、騒音や振動の基準に関しては、各自治体によって基準が異なります。ただ、一般的な住宅地であれば、以下のような規制があると考えても良いでしょう。
■著しい騒音を発生する作業や、著しい振動を発生する作業
- ・午後7時~翌日の午前7時までは作業禁止
- ・日曜日、休日は作業禁止
■騒音・振動の規制値
- ・騒音の上限は85db(デシベル)
- ・振動の上限は75db(デシベル)
このように、法律で騒音や振動に関する規制がきちんと設けられています。ただ、規制対象は「著しい騒音を発生する作業や、著しい振動を発生する作業」に限られている点が非常に難しいです。人によって、騒音と感じる音の大きさは異なりますし、何をしているのかによっても変わります。しかし、法律では、あなたがうるさいと感じる音全てを規制対象にしているわけではないのです。
まとめ
今回は、近所の工事現場から発生する騒音や振動に悩んでしまった場合、どこに苦情を言いに行けば良いのかについてご紹介してきました。一般の方であれば、施工者に直接言うのは少し怖いし、役所に相談しに行こうと考える方が多いかもしれませんね。もちろん、ご近所さんと共同で苦情を言いに行けば、「相当騒音が酷いのだな」と考えて役所がすぐに動いてくれる可能性はありますが、基本的には役所の騒音に対する行動はそこまでスピーディではないと考えておいた方が良いです。
したがって、最もオススメなのは、現場の状況を理解している施行者に直接相談するという方法なのです。施行者に関してもご近所さんとトラブルになりたくないと考えているはずですので、あなたの状況をきちんと説明し、丁寧に相談すれば、可能な範囲で対処をしてくれると思います。
ただ上述したように、日本の法律では「騒音の上限は85db(デシベル)」となっていて、音に悩んでいる人がいたとしてもこの範囲内であれば施行者は対処しなくても構わないといった感じなのです。ただ、この騒音値はかなり大きな音ですので、工事音に悩んでしまう方が多いのが実情です。したがって、小さなお子様がいるご家庭やテレワークをしなければならないという方の場合、自宅に防音対策を施して騒音を小さくするのが最も手っ取り早いと思いますよ。