店舗の防音工事について。余計なトラブルを回避するために考えておきたい騒音対策について

今回は、飲食店やダンススタジオなど、営業を目的とした店舗の防音対策について考えていきたいと思います。

この記事を読んでいただいている方の中にも、将来は自分のお店を出したいと考えている方もいるかもしれませんね。どのようなお店を出すにしても、最も気になることは、ちゃんとした売り上げを上げて利益が出るお店になるのか?ということだと思います。そのため、お店の出店前には、外観や店内の雰囲気、使用する家具、店内BGMなど、少しでも売り上げにつなげるための対策ばかりに注目してしまうことになるのです。

しかし、こういった新しくお店を出店する際に、多くの方が見落としてしまうことが、お店から出る騒音に関する問題です。飲食店などであれば、それなりの音量のBGMやお客様同士の話し声などでにぎやかになるのが当たり前のように思えます。しかし、お店を構える位置によっては、そういった音が原因で近隣からクレームを入れられて営業が難しくなる…なんてことも珍しくないのです。実際に、お店のオープン後に、近隣からクレームを受けた…警察から指摘を受けた…などと言った理由で、後から防音工事に踏み切るというケースは非常に多いのです。

そこでこの記事では、店舗をオープンする際に考えておきたい防音対策や、騒音のクレーム事例などを簡単にご紹介していきたいと思います。

防音対策が必要になる状況とは?

それではまず、飲食店やスタジオなど、店舗を運営する時に、防音対策が必要になる状況から考えてみましょう。当然のことですが、店舗をオープンした場合、その業種によってはかなりの音を発してしまう場合もありますので、近隣の他の店舗や住民に十分な配慮をする必要があります。
例えば、営業する店舗が、ライブハウスやカラオケルーム、ダンススタジオなどといった、音や振動がかなり出るタイプの店と分かっている場合には、「どういった音が出るのか?」ということを予め把握したうえで、必要な防音対策を行わなければいけません。しかし、店内から漏れ出る音を防ぐため、しっかりと防音対策をしたとしても、店外に配置したエアコンの室外機などが原因となる騒音トラブルもあるのです。他にも、そこまで大きな音が出ない通常の飲食店だとしても、お客様同士の会話の声や、店内で流すBGMの音などでクレームが入ることもあると言われています。

当たり前のことですが、近隣から騒音に関するクレームが入っているのに、それを放置してしまうと余計なトラブルに発展してしまう可能性もあるのです。「店舗なのだから多少の音は出るものだ」などと考えてしまう方も多いのですが、騒音トラブルにまで発展した場合、警察から指導が入る、店舗のイメージが大きく損なわれてしまうなど、お店の経営に大きなマイナス影響をあたえてしまうことになるのです。
したがって、お店の建築時点で何らかの防音対策をしていたとしても、何らかの苦情があった場合には、それを無視するのではなく、お店で可能な対策をできる限り行うようにしましょう。そうすることが、お店へのダメージを最も小さくすることであり、トラブルを最小限にとどめることにつながるのです。
店舗が気にしておきたい防音対策については、以下のような事です。

開業前に防音対策を行う

何らかの店舗を開業する場合には、お店で使用する設備や内装・外装の工事、店舗の家賃に広告宣伝費など、多額の費用がかかってしまいます。そのため、防音対策にまで手が回らない…と考えてしまうかもしれませんが、後々のトラブルのことを考えると、開業前にきちんと防音対策をしておくべきです。

音の問題に関しては、一度気になってしまえば、その後は注意して音の確認を行うようになってしまうため、何らかの防音対策をしても苦情が止まらない…なんてことになるリスクがあります。したがって、最初からきちんと防音対策を行い「この程度の音なら仕方ないか。」と周辺に思わせてしまう方が、結果的に防音対策費用を抑えることができるのです。騒音問題の多くは、事前にきちんと対策を行う、対策を行っていることを周知することで、前もって防ぐことも可能です。したがって、近隣との関係を壊さないためにも、開業前の防音対策に力を入れるのがオススメです。

開業後に周辺環境が変わる場合もある

店舗の開業時点では、周辺に住宅などがほとんどなく、防音対策もそこまで必要がないという場合も少なく無いでしょう。しかし、数年後に周辺環境が変わってしまう…なんてことは珍しくないのです。
こういった場合、前からあるのは自分の店なのだから、今まで通りの営業を行って何が悪い…と考えてしまうかもしれません。しかし、店舗周辺の環境が変化した場合、それに配慮することがトラブルを未然に防ぐコツでもあるのです。いくら後から住居が建ったとしても、住環境を壊しているという苦情が入れば、指導を受けるのは店側になってしまいます。
したがって、開業後に周辺環境の変化があった際には、必要な防音対策が何なのかきちんと検討しましょう。

店舗で実際に考えられる騒音トラブルとは?

近年では、一般住宅でも防音工事を行う方が増えていると言われています。一昔前までであれば、仕事の関係などで自宅でも楽器演奏を行う、趣味のホームシアターを設置するなど、特別大きな音を出すご家庭であれば、コストをかけてまで防音工事をするというのが一般的でした。しかし、マンション暮らしの方が増加した、戸建て住宅同士の距離が近づいてきたこともあり、何気ない生活音が原因となる騒音トラブルが増えており、特に楽器の演奏をしないようなご家庭でも防音工事を行うのです。
店舗の場合を考えれば、店内でかけるBGMやお客様の声など、どのようなお店でも一般住宅以上の音が出てしまうことでしょう。そのため、何の防音対策もしていない、コスト削減のため安物の防音対策をしたという場合には、以下のような騒音トラブルを抱えてしまう可能性があるのです。ここでは、実際あった店舗での騒音問題をいくつかご紹介しておきます。

周辺環境の変化で騒音のクレームが

この事例は、店舗の開業当初は周辺に住宅などはなく、特に防音対策の必要性を感じなかったため、何の対策も行っていなかったというものです。
長く営業を続けた結果、周辺の開発が進み、近隣にマンションなどが建ち住人が増えたことで、音に関する苦情が入るようになったそうです。周辺住人からの苦情は、「店舗内から聞こえるBGMがうるさい」「ドアを開けて営業しているため、会話の声がうるさい」などと言ったものです。
苦情を受けたことで、BGMの音量を下げる、営業中は窓を閉めるなど、できる限り音を外に出さない工夫は行ったものの、店舗の防音性能自体が低いため、苦情はなくならなかったそうです。さらに、警察から指導を受ける事態にまで発展したため、専門業者による防音対策を行うこととなりました。

店舗同士で騒音トラブルも

いくつかの店舗が入っている商業ビルなどでは、店舗同士で騒音トラブルに発展してしまうこともあるのです。例えば、後からオープンした飲食店において、お客様が椅子を引く音がうるさい…と、下の階の店舗からクレームを入れられた…という事例が存在しています。この店舗では、ひとまず椅子の足にゴムをつけるなどの対策を行ったそうです。
本格的な床の防音対策となると、ビルオーナーの許可が必要になりますので、これで苦情が収まらなければ、工事の相談をする必要があるでしょう。

店舗の設備の劣化が騒音トラブルに…

防音工事をしっかり行っている店舗でも、使用設備の劣化による騒音トラブルの可能性があります。過去には、ダクトのファンベルトが劣化してしまい、周辺に騒音をまき散らしていた…という事例があるそうです。
こういった事例の注意点は、店舗スタッフは店内で作業しているため、店外の騒音に気付くことができない…と言う点です。その結果、お店のイメージ悪化や騒音トラブルを引き起こしてしまうのです。お店で使用する設備は、経年で劣化していきますので、小まめな点検を欠かさないようにしましょう。

まとめ

今回は、飲食店やスタジオなど、店舗における騒音トラブルについてご紹介してきました。現在お店の出店を計画中の方の中には、「店舗がある程度の音を出すのは当たり前」などと考えてしまい、お店の防音対策は無視しているという方もいるのではないでしょうか?

確かに、店内のBGMやお客様の声など、お店は不特定多数が集まる場所となりますので、一般住宅とは比較にならないほどの音が出てしまうのは当たり前のことです。しかし、その音を許容するかどうかは周辺にいる方が判断することですので、お店側が「音が出るのは仕方ない」などと考えてはいけないのです。特に、後から開発されて住宅ができた場合など、「先にいたのはこっちだ」などと考えてしまうかもしれませんが、音の問題は出す側が配慮しなければいけないことことなのです。

店舗の出店を検討している場合には、開業前に自分のお店がどのような音を出すのかしっかりと検討し、必要な防音対策を行っておくというのが最もオススメです。そうすることで、後から苦情を入れられることもありませんし、必要以上の対策を行わなくて良くなるでしょう。音は、気になり始めると、とことん気になるものですので、苦情があるまで放置していれば良い…などと考えてしまうと、必要以上の防音対策を求められる可能性もあるのです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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