防音工事は相見積もりが当たり前。見積書をチェックする時のポイントとは?

今回は、自宅の防音工事を検討している方のため、防音工事業者から提出されることになる見積書の確認ポイントをご紹介していきたいと思います。

防音工事というものは、通常の住宅リフォーム工事とは異なり、目に見えない『音』の漏れを防ぐために行われるものです。しかし、一口に『音』と言っても、空気を伝わる『空気伝播音』や建物の構造物を伝わる『固体伝播音』など、防がなければならない音にも種類が存在しています。さらに、防音室の中で楽器演奏を楽しみたいという希望であれば、単に音漏れを防ぐだけでなく音響のことも考えなければならないなど、工事を行うには深い専門知識が必要になるのです。したがって、防音工事というものは、通常の住宅リフォームと比較すると割高な工事になってしまうことが普通です。

また、防音工事というものは、必要とする方が限られていることもあり、他のリフォームのように『定価』というものがありません。これは、お客様がどのような音に悩んでいるのか?防音工事の目的は何か?によって、必要な工程や使用する材料が異なるのも大きな理由です。したがって、防音工事を行う際には、いくつかの業者に相見積もりをお願いし、自分が求める防音工事の相場感を掴む必要があるのです。

そこでこの記事では、防音工事業者から提出される見積書に関して、安心して仕事を任せられる業者を見つけるため、見積書で確認しておきたいポイントをご紹介します。

見積書の確認ポイントについて

防音工事を行う時には、業者に現地まで来てもらい、自宅や周辺環境を詳細に調査してもらったうえで、正式な提案書と見積書を提出してもらうことになると思います。それでは、防音工事業者から提出される見積書に関しては、どういった点を確認しておけば良いのでしょうか?

中には、見積り書に記載されている内容は専門家にしか分からないことだから、見積書の『総額』だけ確認し「最も安い業者を選択する」などと言った選び方をする人がいるようです。しかし、そのような選び方をしてしまうと、本当に自分の求める防音性能が出るのかなどわかったものではないのです。
ここでは、防音工事業者から提出される見積書に関して、最低限確認しておかなければならないポイントをご紹介しておきます。

「一式」という表現に注意

見積書の中に『一式』という表現が多用されている場合には注意が必要です。もちろん、『一式』という表現があるからと言って悪徳業者というわけではありません。

概算見積書の場合であれば「一式」という表現が使われることも多いのですが、正式見積りの場合ではそこまで多用されることはありません。また、正式見積りで「一式」という表現を行う場合には、その下の項目などで「上記事項内訳」などと、詳細な内容を明記しているのであれば何の問題もありません。しかし、業者によっては詳細な内容もなく、単に『一式』とひとまとめにする場合もあるのです。一式表記をするのは主に以下のような場合です。

  • 見積書作成の手間を省くのが目的
  • あいまいにしておきたい項目、詳細を突っ込まれたくない場合

つまり、後者が理由で『一式』と表現されている場合、その業者に工事を依頼するのは少し注意が必要なのです。したがって、『一式』と表記された内容の詳細が無い場合には、「一式の内訳を教えていただけますか?」などと、業者に説明を求めるようにしましょう。基本的に、ここできちんと答えられない業者は少ないのですが、曖昧でよく理解できない説明をしてくるようであれば、候補から外すのがオススメです。

防音性能の保証はあるか?

防音工事は、比較的高額な工事になってしまうため、見積書の総額の「安さ」を最も重視する方も少なくありません。しかし、いくら安い業者だとしても、あなたが求める防音性能が出ないのであれば、お金をかけて工事をする意味がなくなってしまうのです。

したがって、見積書を提出してもらい、最終的な契約の前に工事による防音性能を数値化して保証してくれるのか?と言う点も確認しておいた方が良いでしょう。業者の中には、見積書と一緒に「遮音等級D-60(数値が大きいほど遮音性が高いです)」や「隣の部屋の騒音レベルが40dB以下(数値が小さいほど音が小さいです)」などと、工事の防音性能を数値化して保証してくれる業者もあるのです。

こういった防音性能の保証に関しては、必ずしも全ての防音業者が行うわけではありません。なぜかと言うと、防音性能を保証するということは、その分、工事前後に詳細な調査が必要になるということで、防音工事業者からすれば手間が増えることになり、どうしてもコスト高につながってしまう可能性があるのです。
しかし、どうせ防音工事を行うのであれば、きちんと求める性能の防音室を作ってもらうため、価格の安さではなく『防音室の性能』に注目するのが良いと思います。

見積り内容の明確な説明を貰う

最後は、見積書を貰った際に、業者の提案や見積り内容に関して明確な説明を求めるということです。当たり前のことのように思えますが、防音工事は非常に専門性が高いという特徴があるため、素人は口を出さずに専門家に任せた方が良いか…と考えてしまう人も少なく無いのです。

防音工事業者から正式な見積書を貰った時には、必ずその見積り内容について詳細な説明を求めるようにしましょう。きちんと説明を受けておけば、業者の提案が自分の希望に沿ったものになっているのかも確認できますし、後から「こんなはずじゃなかった…」なんて事態を防ぐことができます。住宅リフォームでは、業者と顧客の認識にズレがあることから、後々のトラブルに発展してしまうということが多いのです。

なお、見積書の内容について説明を求めたのに、「自分は営業担当だから工事の詳細は分からない…」など、しっかりとした説明が貰えない、曖昧にごまかすといった対応をとるような業者であれば、考え直す必要があります。
上でもご紹介したように、防音工事は専門性が高いうえ、定価が無く相場が曖昧な業界です。そのため、業界の曖昧さを良しとして知識の少ない人やお金を取れそうな人から「できるだけお金を取る」なんて考えをする業者が存在するのです。もちろん、大半の業者は誠実に仕事を行っているのですが、あなたの家に来た業者が悪徳な業者の可能性もあるのです。したがって、必要以上のお金を請求されないようにするため、不安や疑問があった時には、契約前に質問し、きちんと不安を解消してから話を進めるようにしましょう。

防音工事は性能に注目するのが大切

防音工事の失敗事例としてよくあるのが、「できるだけ安くしたい」などと考えて、予算を渋るあまり中途半端な工事になってしまうというものです。もちろん、お金をたくさん出せば良いというわけではないのですが、無理に予算を削り「安かろう悪かろう」になってしまうと、お金をかけたのに求める性能がでなかった…なんて目も当てられない結果になる可能性があるのです。防音工事を依頼するときには、最終的に「どんな防音空間を目指しているのか?」ということをしっかりとおさえて、業者と打ち合わせするのが大切です。あと10万円かけていたら満足のいく工事になったのに…なんてことが珍しくないのが防音業界です。
こんなことを防ぐためには。自分がどんなイメージを持っていて、どんな性能が欲しいのかをきちんと業者さんに伝えるのが大切と覚えておきましょう。

まとめ

今回は、自宅の防音工事をご検討中の方のため、防音工事業者から提出される見積書について、契約前に確認しておきたいポイントをご紹介してきました。防音工事は、住宅リフォームの中でも特に専門性が高い業界となるため、工事にかかる費用が割高になってしまいます。そのため、ほとんどの方は複数の業者に現地調査をしてもらい、相見積もりを行うというのが一般的です。

相見積もりは、できるだけ安い業者を探すという目的があるのも確かですが、防音工事に関しては、安さだけで業者選びをするのはあまりオススメできません。というのも、防音工事は使用する材料などの違いで、得られる防音性能がかなり違ってしまいますので、予算を渋るあまり、出来上がった防音室に満足できない…なんて最悪の事態を引き起こしてしまうことがあるのです。

まずは、あなたが求める防音室がどういったものかをよく検討し、それを実現するためにはどうすれば良いのかということを業者と打ち合わせするようにしましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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