新築時に考えておきたい、木造住宅の防音対策について

今回は、これから新築戸建て住宅の建築をご検討中の方に向けて、新築時に考えておきたい木造住宅の防音対策についてご紹介したいと思います。

日本国内では、新築戸建て住宅の約半数が木造住宅となるのですが、木造住宅の場合「防音性に問題はないのな?」「騒音が気にならないかな?」といった事に不安を抱えてしまう方も多いようです。確かに、鉄筋コンクリート造の住宅と比較すれば、主材料が木となる木造住宅は、使用する材料的な問題から遮音性が低く音を通しやすいという特徴があります。ただし、近年の木造住宅は、気密性も高くなっており、きちんと窓を閉めていれば、「外の騒音が気になって仕方ない…」なんて状況になることはないと思います。

もちろん、繁華街に近い場所で周辺環境がうるさい…、自宅で楽器の演奏をするなど、特に大きな音が発生する環境であれば、住宅の防音性能に注意しておかなければ、住み始めてから困ってしまう状況になりかねません。そこでこの記事では、新築木造住宅において、建築時点で考慮しておきたい防音対策をご紹介します。

日常生活の中にはどんな音がある?

新築住宅の防音対策を考えるのであれば、そもそも日常生活ではどのような音が存在するのかを理解しておかなければいけません。『騒音』と聞けば、「近くの工事現場の音」や「若者が騒いでいる声」などをイメージする方が多いのですが、実は普段何気なく生活しているだけで生じてしまう生活音ですら騒音トラブルの原因となってしまう場合もあるのです。

以下で、東京都環境局が公表している日常生活上で考えられる音の種類とその大きさをご紹介しておきます。なお、音の大きさに関しては『dB(デシベル)』と呼ばれる単位で表されています。

家庭用設備 エアコン 約41~59dB
温風ヒーター 約44~56dB
換気扇 約42~58dB
風呂又は給排水音 約57~75dB
家庭用機器 洗濯機 約64~72dB
掃除機 約60~76dB
目覚まし時計 約64~75dB
電話のベル音 約64~70dB
音響機器 ピアノ 約80~90dB
エレクトーン 約77~86dB
ステレオ 約70~86dB
テレビ 約57~72dB
その他 犬の鳴き声 約90~100dB
子供のかけ足 約50~66dB
ふとんをたたく音 約65~70dB
車のアイドリング 約63~75dB
人の話し声(日常) 約50~61dB
人の話し声(大声) 約88~99dB

参照:東京都環境局「生活騒音ページ

数字だけではわかりにくいかもしれませんが、一般的に騒音とならない音のレベルは、住宅地の昼間で『55dB以下』、夜間で『45dB以下』というのが環境省の基準となっています。もちろん、音の感じ方は人それぞれなのですが、自宅でリラックスしたいと考えている場合、小さな音でも長時間に及ぶと我慢できない…となってしまう方が多いのではないでしょうか。
騒音問題に関しては、外部からの音に悩まされてしまう…という場合もありますが、逆に自分が音源となってしまい、他人に迷惑をかけてしまうということもあるのです。したがって、日常生活上で、騒音に悩まされたくない…、近隣住宅に配慮したいと考えているのであれば、新築時点から建物の防音性に注目しておいた方が絶対に良いです。

新築時点で考えておきたい防音対策

それでは、これから新築戸建て住宅の建築をご検討中の方が、防音対策の視点から考えておきたいポイントについてご紹介しておきましょう。当然、建物全体に対して闇雲に防音対策を施す…なんてことをすれば、コストばかりかかってしまい、あまり賢明な方法とは言えません。防音対策を施す場合には、「何が目的なのか?」「どんな音を防ぎたいにか?」によって必要な対策も変わります。

ここでは、部分的に効果的と思える防音対策についてご紹介していきます。なお、自宅でピアノなどの楽器を演奏するなどといった場合には、専用の防音室を作るのがオススメです。

床・壁・天井の防音対策について

外部から侵入する音、家の内部の騒音を防ぐためには、壁や床、天井の防音対策が有効です。特に、ホームシアターを設置したい、自宅でも自由に楽器の演奏がしたい…などという希望がある方であれば、しっかりとした防音対策を施した部屋を作らなければ、近隣住宅へも迷惑をかけてしまうことになります。

また、お子様がいるご家庭や二世帯住宅を建てる場合には、上下階の防音対策をしっかりと意識しておきましょう。天井や床の防音対策が甘ければ、上階の足音が響いてしまい、リビングなどにいると上階の音がストレスになってしまう…なんて場合があります。木造住宅は、鉄筋コンクリート造よりも音が伝わりやすいという特徴があるため、防ぎたい音をよく考えてしっかりと必要な防音対策を施しましょう。

なお、自宅にピアノ室などを作る場合には、床・壁・天井を二重構造にすることで高い防音効果を得ることができます。防音室については、リフォームで作る事も可能なのですが、新築時点で計画する場合、設計段階から防音室を作る事ができるため、より高い防音効果や日常生活の動線を考えた位置に防音室を設置できるなどのメリットがあります。また、リフォームの場合は、既存の床や壁、天井を解体したうえで施工を進めますので、新築時点に作るよりも施工費が割高になってしまう場合があります。
新築時であれば、理想の防音室を低コストで実現することができるというメリットがあります。

窓の防音対策について

住宅の防音性能を考えた場合、『窓の防音』が非常に重要な役割を担っています。というのも、窓は外壁などと比較しても非常に薄い建材ですので、もともと防音性能が低い部分になるのです。したがって、外から侵入する騒音も内部から漏れていく騒音にしても、外壁などよりも窓が原因となっている場合が非常に多いのです。

新築時点で窓の防音性を考えるのであれば、以下のポイントに注意しておきましょう。

  • 窓の大きさ
  • 窓の位置
  • 二重窓・二重サッシなど、窓自体の性能

まず「窓の大きさ」についてですが、防音性能の観点から考えると、窓は開口部となりますので、窓が大きければ大きいほど「音が入ってきやすくなる」と判断すべきです。つまり、高い防音性が必要になる部屋であれば、小さい窓の方が高い防音効果を得られるわけです。ただし、窓を小さくすると、採光が減ってしまうため、大きい窓に比べて暗い部屋になってしまう危険があります。したがって、近隣の環境やその部屋の使用用途などを考慮して窓の大きさを決定しましょう。

次に窓の位置ですが、「隣家の窓から離す」などといった工夫で、騒音トラブルを回避できる可能性が高まります。というのも、空気を伝わる音は、距離が離れるほど小さくなりますので、窓同士を離すことは防音性を高めることにもなるのです。窓の位置などあまり考えない人が多いのですが、防音対策を重視する場合は意外に重要なポイントだと覚えておきましょう。

最後は、窓自体の防音性能です。一昔前までであれば、アルミサッシのフロートガラスが一般住宅では主流でした。しかし、この組み合わせでは、防音性能が低くなってしまうため、静かな環境を作りたいのであれば、しっかりとどの窓を採用するのかも検討しましょう。例えば、樹脂サッシは気密性が高くなりますので防音効果が高いですし、複層ガラスや真空ガラスなど、防音性能が高い製品も登場しています。他にも、二重窓にすれば、窓の防音性は飛躍的に高くなります。

まとめ

今回は、新築時点で考えておきたい木造住宅の防音対策についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、日本国内では木造住宅が多いのですが、鉄筋コンクリート造と比較すると、主材料などが原因となり、どうしても防音性能が低くなってしまいます。特に、築年数が経過してしまうと、隙間が生じてしまうことにより、外部からの音の侵入や内部からの音漏れなど、騒音トラブルに巻き込まれてしまうリスクが高くなってしまうのです。

最近では、木造住宅でも高い機密性が求められるようになっていることから、現在の新築住宅であれば、そこまで騒音問題に神経質になる必要はないとは思います。しかし、幹線道路沿いに家を建てるといった場合や、自宅でも楽器の演奏がしたいなどという場合には、普通の住宅以上の防音対策が必要不可欠になると考えておきましょう。自宅は、どこよりもリラックスできる場所にしたいと考えることでしょうし、音の問題で悩まされることが無いように、目的に合わせて防音対策を検討してみましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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