マンションでピアノ演奏を楽しみたい方がおさえておきたい防音の基礎知識

今回は、マンションで生活している方で、自宅でもピアノの演奏を行いたいと考えている方がおさえておきべきピアノ防音に関する基礎知識をご紹介します。

お子様の習い事としても昔から非常に高い人気を誇るのがピアノです。現在でも、小さなお子様のうちからピアノに触れさせているというご家庭は非常に多いように思えます。しかし、マンションで生活する方が増加している近年では、ピアノの練習場所に困ってしまう…というお話をよく耳にします。楽器の上達は、やはりその楽器に触れている時間も関係しますので、自宅でも気兼ねなく練習時間を取ってあげたいと考える物でしょう。しかし、近隣住宅との生活空間が非常に近いマンションなどであれば、ピアノの演奏音によって騒音トラブルが発生してしまう…なんてことも珍しくないのです。

最近では、イヤホンで音声を聞きながら演奏できる電子ピアノなどが登場していますが、電子ピアノもペダルを踏む際の打撃音が階下に伝わり、トラブルになってしまう…なんてこともあるのです。そこで、自宅でピアノを演奏したいと考えるのであれば、近隣住宅に配慮して何らかの防音対策が必要になるのです。
ここでは、一般的なマンションにおけるピアノ防音の基礎知識をご紹介します。

ピアノ音の性質について

皆さんは、ピアノの音がどのような性質を持っているかご存知でしょうか?あまりピアノに詳しくない方であれば、耳に入る音がピアノの音色で、空気中を伝わる『空気音』が主な音だと思っているのではないでしょうか?もちろん、ピアノは空気中を伝わる空気音を発しており、これが窓や換気口から外に漏れ『騒音』となってしまうこともあるのは確かですが、実は床や壁を伝わる『個体音』も発しているのです。

そして、ピアノの音が最も響くと言われているのが階下の部屋で、これはピアノ本体が床と接していることから、ペダルを足で踏んだ時の振動音が建物の構造部分を伝わって響いてしまうからなのです。近年のマンションは、壁も分厚くなっていますし、隣の住戸や上の階に関しては、階下ほど音が響いてしまうことは少なくなっていると言われています。ただし、隣家の住戸との間の壁にピアノを接するように配置している場合や、遮音性能が低い窓の近くにピアノがある場合には、広範囲に音漏れが発生してトラブルになることもあると言われています。

マンション暮らしの方が増えてきたことにより、集合住宅での『騒音トラブル』が注目されています。環境庁(現・環境省)が1998年に定めた基準では、住宅地で昼間は55dB以下、夜間は45dB以下が、人が快適に暮らせる音の環境とされています。しかし、ピアノに関しては、正面1mの位置で聞いた場合、約80~90dBの音が出ているとされているのです。これは、地下鉄の車内や騒々しい工場の中と同レベルの音ですので、何の対策もないままピアノを集合住宅で演奏すると、騒音トラブルに発展してしまう可能性が高くなるでしょう。

ピアノの防音対策とは?

それでは、マンションなど、近隣住民との生活空間が近い場所に住んでいる方がピアノ演奏を楽しみたいと考えた場合、どういった防音対策を行えば良いのでしょうか?

近隣住宅への音漏れが気になるにしても、練習しなければピアノは上達しませんし、なかなか悩ましい問題ですよね。電子ピアノであれば、一般的なアップライトピアノなどよりも音量調整が簡単ですし、ヘッドホンなどを利用すれば音を出さずに演奏することも可能です。しかし、空気音を遮断したとしても、ペダルを踏む際に出る個体音は出てしまいますので、完全な対策にはならないのです。さらに、生音を聞きながら演奏したいという方も多いですし、その場合はきちんと防音対策をしなければならないのです。

ピアノ音の一般的な防音対策としては、ピアノの下に防振マットを敷く、消音装置を購入し取り付ける、壁や窓の防音性を高めるなどと言った方法があります。他にも、本格的な防音室として専門業者に工事をしてもらうなどと言った方法が有名です。選択する手法によってかかるコストが大幅に変わってきますので、どの手法で対策を施すのかは、演奏の頻度や時間帯、ピアノの設置位置や予算などから検討しましょう。
以下で、ピアノ防音の手法をもう少し詳しくご紹介しておきます。

階下への騒音対策

上述したように、ピアノ音が最も響きやすいと言われているのは『階下の住宅』なのです。これは、ピアノが指で鍵盤を弾くことにより音を出す打弦楽器だということが理由で、床にピアノが接しているため、音が床面に必ず伝わってしまう構造をしているからなのです。

つまり、階下の住民との騒音トラブルを防ぐためには、床の防音対策が非常に重要になるのです。例えば、ピアノと床の間に、衝撃や振動を和らげる緩衝材を敷くなどと言った手法が有名です。最近では、ネット通販などでも床面の振動対策グッズとして、振動対策タイルカーペットや防音カーペット、遮音性の高いカーペットなどが販売されていますので、ピアノ設置時にこういったアイテムを購入し設置しましょう。

なお、こういった床面の対策を行った場合でも、念のためピアノの音で迷惑をかけていないか、階下の住人に会った際などに確認しておくと良いでしょう。また、この対策では、衝撃音が防ぎきれていないのであれば、専門業者による対策が必要と考えましょう。

壁への騒音対策

ピアノの設置場所によっては、隣家への対策はそこまで考えなくても良いのですが、逆に言えば床の防音対策と同じぐらい注意しなければならない家庭もあるのです。

例えば、隣家と接している部屋にピアノを設置する場合は、きちんと壁の対策も必要です。ピアノの音は床と壁に向かうものですので、上述したような床の対策に加えて、壁の吸音や遮音対策を行うようにしましょう。また、ピアノを壁にくっつけて設置してしまうと、振動がダイレクトに伝わりますので、くっつけないように設置し、壁には防音ボードや吸音パネルなどを張り付けておきましょう。最近では、こういった壁の防音グッズなどもネットで購入できますので、比較的簡単に対策を施すことが可能です。

こういった対策を行っている場合でも、頻繁にピアノの練習をするのであれば、お隣にはご挨拶をしておきましょう。また、長時間ピアノの練習をしたいと考えているのであれば、本格的な防音工事で防音室を作るのがオススメです。上述の対策はあくまでも簡易的な対策のため、ある程度の音漏れは生じてしまうのです。

窓や開口部への騒音対策

意外と見落とされてしまうのが、窓や換気扇、エアコンホースの穴などの開口部の防音です。この部分の対策が何もされていないのであれば、床や壁の防音対策をいくら行っても、音漏れが生じてしまい騒音トラブルに発展してしまうリスクが残ります。

窓は、防音性能が高い製品が多く登場していますので、そういった製品に入れ替えるのがオススメです。工事も短期間で終了しますし、製品自体もそこまで高くないので、比較的安価に対策をすることができます。換気扇やエアコンの穴などがある場合、開口部からどうしても音漏れが生じてしまいますので、必ず塞ぐようにしましょう。換気扇用の防音対策としては「防音チャンバー」と呼ばれるアイテムが販売されていますので、これを自分で取り付けるだけでもかなりの対策になります。ただし、「防音チャンバー」は、ホコリなどが詰まってしまうことがある、換気能力が低下するなどと言ったデメリットがあるので注意しましょう。

専門業者による本格的な防音室を作る場合、窓などは潰す方向になるのが基本です。これは、いくら防音性能が高い窓を導入しても、開口部であることは間違いないので、防音性能を高めるためには邪魔になるからです。

まとめ

今回は、自宅でも演奏したいと考える方が多いピアノ防音の基礎知識についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、ピアノという楽器は、階下の住宅に最も影響をあたえる可能性が高い楽器で、床の防音対策をしておかなければ、高確率で騒音トラブルを招いてしまうことになります。

戸建住宅などであれば、各家が独立していますので、振動による影響などもそこまで神経質になる必要はないのですが、各部屋が構造的につながっているマンションでピアノを弾く場合には、個体音への対策が必要不可欠と考えられるでしょう。もちろん、ピアノを弾く時間帯や頻度などによっては、そこまで防音に注意しなくても良い場合もありますが、夕方以降にピアノを演奏したいと考えているのであれば、何らかの防音対策が必要になるでしょう。

最近では、自分で取り付けることができる防音グッズが簡単に手に入りますので、安価に対策したいのであれば、そういったグッズを利用してみるのも良いでしょう。しかし、あくまでも簡易的な対策にしかならないため、いくら自分で対策を行ったとしても、音漏れを完全に防ぐことはできません。お子様が気兼ねなくピアノの練習ができる環境を作りたい…と考えるのであれば、専門業者による本格的な防音工事がオススメです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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