「上の階の足音がうるさい!」こんな悩みを抱えた時の対処法について
現在のようにマンションなどの集合住宅で生活する方が増えてきてからは、「上の階に住んでいる人の足音がうるさい…」と言った、ご近所間による騒音トラブルが問題になるようになっています。特に、足音に関しては、音を発生させている方も悪気があるわけではなく、普通に過ごしているだけ…と言うケースも少なくありません。例えば、小さなお子様が家の中を走り回っている…なんてケースであれば、きちんと叱って走り回らないようにさせることで、騒音トラブルを防ぐことも可能だと思います。しかし、そうでなく、普通に生活しているだけで「足音を何とかしてくれ…」と言われても注意のしようがないケースもあるわけです。
そもそも、マンションなどの集合住宅は、さまざまなライフスタイルを持った方が非常に近い場所で生活することになるので、ある程度の音は我慢しなければならないものだと思います。ただ、時には、とても我慢できない…と考えられるほどの騒音を出すように人もいますので、この記事では、集合住宅で増えている足音による騒音トラブルの対処について解説していきます。
集合住宅で足音に悩まされた時の対処について
集合住宅で生活する限り、多少の音の問題は我慢しなければならないと考えておいた方が良いです。そもそも、我々のような防音工事の専門業者が、防音工事を行ったからと言って、その性能を超えるような騒音を出す人が近くにいた場合、音の問題に悩まされてしまうことになります。また、防音工事は、完全に無音の環境を作るというような物ではありませんので、虫の羽根音すら聞こえないように…なんてことは不可能です。
ただ、コロナ禍で在宅時間が長くなっている今、四六時中、上の階から大きな足音が聞こえてくる…なんてことになると、やはり日常生活でストレスを感じてしまうことになりますので、足音問題を何とかしてほしい…と思うことでしょう。それでは、集合住宅で生活している方が足音に悩んでしまった場合、どのような対処があるのでしょうか?
①管理会社に相談する
上の階から聞こえてくる足音が、あまりに限度を超えている…と言う場合、管理会社に相談すると良いでしょう。賃貸住宅でも分譲マンションでも同じく、管理会社がそういった住人間のトラブルの間に立ってくれます。
特に賃貸住宅であれば、賃貸人は賃借人が安心して日常生活を進められるような環境を提供するのが義務となります。そのため、「足音などの騒音でまともな日常生活ができない…」などと言うクレームが入った場合、何らかの対処をしなければいけないのです。ただ、集合住宅の騒音問題については、クレームを言ったからと言って、すぐの騒音源を特定し、注意するなどと言った対処にはならないと考えてください。
これは、音の感じ方は人それぞれですので、クレーム主が単に神経質すぎるケースもあるからです。そのため、集合住宅で騒音のクレームがあった際には、以下のような流れで対処されることになります。
- ①入居者全員が確認できる掲示板に騒音の苦情が入っていること、騒音を出さないようにと言う注意喚起を掲示する
- ②それでも騒音が収まらず、再度のクレームが入ると、本格的な調査が行われる。クレームを入れた住居の両隣などにも、騒音を感じることがあるか調査が行われる
- ③調査の結果、確かに騒音問題が存在すると判断できる場合、全入居者に対して、騒音に関する注意が文書などで送られる
- ④状況が変わらない場合、騒音主と指定されている人に苦情が入っていること、騒音を出さないようにと言う注意が直接なされる
集合住宅で騒音問題が発生した場合、上記のような流れで対処が行われます。これからも分かるように、最初の騒音のクレームから、騒音主への直接的な注意までにはかなりの日数がかかってしまうものなのです。これは、前述のように、管理会社側がそこに住んでいるわけではないことから、「クレーム主が正しいのか?」が判断できないからです。
こういったことから、管理会社などにすぐに騒音問題に対処してほしいと考えるのであれば、客観的に「これは耐えられないな…」と言う証拠を残しておくようにしましょう。例えば、騒音が出る時間がある程度分かっているのであれば、スマホなどを使って動画に残しておくのが良いでしょう。音声だけの場合、「どこで録音したのかが分からない」ので証拠としては弱く、調査から行われることになると思います。
ちなみに、足音などの騒音に関しては、管理会社に注意してもらっても改善しないケースも多いと言われています。したがって、賃貸住宅などであれば、引っ越しを検討するのも一つの手だと思います。
②足音を軽減できるグッズを用意する
集合住宅での音の問題については、ある程度「お互い様」の部分もあると考えておいた方が良いです。コロナ禍で在宅時間が長くなってきた現在、集合住宅の騒音トラブルとして、足音以外にも掃除機や洗濯機など家電製品の動作音がうるさい…と言うものが増えているそうです。もちろん、深夜や早朝にこれらの家電を利用するのはどうかと思うのですが、中には「テレワークをしているから」と言う理由で、昼間でも家電の音を何とかしてほしいというクレームが入ることもあるそうです。はっきり言って、昼間の家電や普通に歩いている時の足音が気になる…など、日常生活でどうしても生じてしまうような音の問題は、管理会社に相談しても、どうすることもできないと考えておいた方が良いでしょう。それどころか、同じ理由であなた自身が騒音主になっている可能性すらあるのです。
このように、マンションやアパートなどの集合住宅で暮らす場合、どうしても避けようがない騒音問題を抱えてしまうケースがあると考えておきましょう。そして、そのような音の問題は、管理会社などに相談しても「さすがにそれは対処できない…」と言われてしまう可能性が高いです。そこで、こういった問題を解消するためには、自分で防音グッズを用意して音の問題に対処するのがおススメです。
例えば、テレワーク中に足音などで集中を乱されたくない…と言う場合、耳栓やイヤーマフなどを用意しておくと良いのではないでしょうか?他には、周囲の音と逆位相のノイズを流し、騒音を打ち消すといった、サウンドマスキングと呼ばれる手法もオススメです。例えば、自分が好きな音楽を流しておくだけでも、意外に隣家からの騒音が気にならなくなるものです。
③防音工事を行う
三つ目の対策は、我々のような防音工事業者に対策を施してもらうという方法です。上の階からの足音に悩んでいる…と言う場合、本来は騒音を出している人が迷惑をかけないように床の防音対策を施すのが普通と考える方が多いのですが、直接クレームを言いに行ってトラブルになることを考えると、自宅の天井などに防音工事を施す方が手っ取り早いです。もちろん、上の階の住人と、それなりの人間関係ができているという場合、「足音をもう少し何とかできないかな?」と相談するのは良いと思います。ただ、話したこともない…と言うような関係であれば、直接騒音のクレームを言いに行くのはオススメできません。実際に、騒音問題から傷害沙汰に発展してしまう…と言うケースも珍しくありません。
なお、専門業者に工事を依頼するという手段については、分譲マンションに限ると考えておいてください。賃貸物件に住んでいる場合、物件そのものは大家さんの持ち物ですので、直接建物に手を加えるようなリフォーム工事は入居者が費用を負担するといっても認めてもらえないと考えておきましょう。また、ネットなどで天井の防音対策について調べてみると、ホームセンターなどで遮音シートを購入し、それを天井に張り付けるなんて方法が紹介されています。しかし、この方法は、振動によって音が広がっていく足音の防音対策にはなりませんので、お金と時間を無駄にするだけです。足音などの振動音の防音対策は、皆さんが考えている以上に難しいものですので、自分で何とかしようと考えず、専門業者に相談するのがオススメです。
集合住宅では自分が騒音主にならないように注意すべき
ここまでは、アパートやマンションなど、集合住宅で暮らす方が、上階の足音などに悩まされてしまった時の対処をご紹介してきました。基本的には、管理会社などに相談して、騒音主に音をなるべく出さないようにしてもらうといった対処になるのですが、それでも音の問題が改善しない場合、自宅に防音対策などを施す必要があるでしょう。
ただ、集合住宅での音の問題は、隣家に悩まされるだけでなく、自分が騒音主にならないようにという点も認識しておく必要があります。上述したように、集合住宅での音の問題は、「お互い様」と言えるようなものがほとんどで、あなたが上の階の住人に悩まされている一方で、階下の人はあなたの出す音に悩んでいる…なんてことも考えられるのです。
マンションなどの集合住宅は、各家庭の生活空間が非常に近くに存在しますので、皆さんが考えている以上に音の問題を抱えやすいと考えてください。ここでは、皆さんがおさえておきたい、騒音源にならないためのポイントも簡単にご紹介しておきます。
①スリッパやルームシューズを使用する
一つ目の対策としては、家の中を移動する時には、スリッパやルームシューズを使用するという方法です。なお、スリッパは、モノによってより大きな音が出てしまうものがあるので、クッション性が高いものを選択するなど、使用するタイプはきちんと選びましょう。
近年建てられた分譲マンションなどであれば、人が普通に歩く程度で、階下の人が音に悩むほど騒音が伝わるようなことはないと思います。しかし、木造のアパートや築年数が経過した中古マンションを購入したケースでは、天井や壁の厚さが足らず、想像以上に音が響いてしまうケースがあるのです。
したがって、大人の人の足音対策であれば、スリッパやルームシューズを使用して、足音が響かないような歩き方にするのが良いでしょう。スリッパであれば、ソールの厚みがある方が音が生じないと思います。
②子供やペットの対策
集合住宅での騒音トラブルに関しては、お子様が家の中を走り回る、ペットが動き回る時に、フローリングに爪が当たりカチャカチャと音が出るといったトラブルが多いです。大人であれば、騒音問題にならないように気を付けると言ったこともできますが、小さな子供やペットは言い聞かせるだけでは、完全に騒音を防止することができません。
したがって、こういった問題については、専門業者に床の防音工事をしてもらうのがオススメです。例えば、家の中でペットを飼育する人が増えている現在、フローリングを音が生じにくいものに張り替えする方が多くなっています。他には、お子様が飛び跳ねたりしても、階下に迷惑をかけないよう、部分的に本格的な防音対策を施し、そこで子供を遊ばせるようにするといった対策が行われています。
これ以外にも、窓の防音対策や壁の防音対策を行い、大声を上げてもお隣に音漏れしないような対策を行う方も多いです。
まとめ
今回は、集合住宅に住んでいる方が、上の階の足音などに悩まされた時、どのような対処をすれば良いのかについて解説してきました。
マンションなどの集合住宅は、他のご家庭との生活空間が非常に近い事から、さまざまな音の問題を抱えてしまうケースが多いです。この記事では足音に注目していますが、それ以外にも話し声やオーディオなどの音、家事の音など、さまざまな音の問題で騒音トラブルになってしまうケースがあるのです。
もしあなたが、何らかの音の問題を抱えた場合、まずは管理会社などに相談してみるのがオススメです。管理会社は、そこに住む人が安全で快適な生活を進めていけるようにするためにいるわけですので、住民同士のトラブルである騒音問題に関してはきちんと対処してくれるはずです。ただ、管理会社などから注意を行ったとしても、騒音が収まらない…などと言うケースも意外に少なくありません。そのような場合、ご自身が所有する物件であれば、防音工事などの対策を行い、音を小さくすると良いでしょう。賃貸の場合は、我慢してストレスをためるぐらいなら、引っ越ししたほうが手っ取り早いと思いますよ。