入居者から騒音のクレームが…木造アパートで出来る防音対策について考えてみよう!

近年では、相続税対策などを目的に、小規模な木造アパートなど、賃貸経営を始めるという方が増加しています。現在の木造建築は、高気密・高断熱化が進んでいると言われており、一昔前の木造住宅と比較すれば、建物の防音性も向上していると言われています。

ただ、木造なのは間違いありませんし、鉄筋コンクリート造など、頑丈な建物と比較すれば、どうしても騒音による入居者間トラブルの可能性は高くなってしまうのです。実際に、ここ数年、防音工事の匠にも、まだ築浅の集合住宅のオーナー様から、「物件の防音性能を高めたいのですが?」と言った問い合わせが入る事が増えています。

そこでこの記事では、ここ数年一気に増加している、木造や軽量鉄筋造のアパートについて、入居者間の騒音トラブルを防ぐために押さえておきたい防音対策の基礎知識について解説しておきます。

木造、軽量鉄骨造で考えるべき簡易防音対策

近年では、相続対策などを目的に不動産投資をスタートする方が多くなっており、低コストで始められる3階建てまでの木造や軽量鉄筋造のアパートが増えています。これは、一昔前と比べると、建築技術が飛躍的に向上していることから、木造や軽量鉄筋でも、高気密・高断熱の住居が実現できるからです。

ただ、いくら高気密・高断熱の空間になったとしても、壁や床などが薄くなってしまうこともあり、防音性能に関しては鉄筋コンクリート造などと比較するとかなり劣ってしまうと考えなければいけません。実際に、高気密で省エネ効率の高い住居でも、壁や床の問題から、入居者間の騒音トラブルが続出してしまっている賃貸物件も増えています。コロナ禍で、人々の在宅時間が長くなっていることも、騒音トラブル増加の要因になっているのでしょう。
まずは、入居者に協力してもらうことで居室の防音性を高めてくれる簡易的な防音対策をご紹介しておきます。

壁に防音シートを貼る

一つ目の対策としては、お隣との境界壁に遮音シートを貼り付けるという方法です。防音シートを壁に貼ることで部屋同士の防音性を高められ、安価に木造アパートの防音対策を進めることが可能です。

特に現在では、ホームセンターやネット通販などでも大掛かりなリフォームなどを必要としない遮音シートが販売されるようになっています。こういった商品は、デザイン性にも優れたものが登場していますので、室内の雰囲気を壊すことなく防音対策を進めることができます。
入居者から「隣のテレビの音が…」などと言う苦情があった時には、苦情主への注意を行うのに合わせて、こういった商材を紹介するのも一つの手だと思いますよ。

ドアの密閉性を高める

集合住宅で騒音トラブルの原因になりやすいのが『ドアの開閉』です。築年数が経過した建物であれば、ドアの開閉を行うだけで大きな音が生じてしまうような場合もありますね。そして、比較的新しい建物でも、ドアに隙間が生じていることから、音の侵入口になってしまっているケースが非常に多いです。

玄関ドアはもちろん、リビングの入口ドアなどもスムーズに開閉できるように、それなりの隙間が空いている物件が多いのではないでしょうか?こういった状況であれば、ドアの隙間を潰すことで騒音が和らぐことがあります。さらに、開閉の際に大きな音が出なくなるので、一石二鳥になると思いますよ。

カーペットなどを敷く

今どきの賃貸物件は、掃除のしやすさなどを考えて、ほとんどの場合フローリングが採用されています。ただ、採用されるフローリングに関しては、遮音等級の高い素材が使われることはほとんどありません。

そのため、賃貸アパートなどでは「上の階の足音が…」「椅子を引きずる音が…」と言った苦情が生じてしまうケースが考えられるのです。このような場合、騒音を出しているとされる入居者に、遮音性の高いカーペットなどを敷いてもらえるようにお願いするのも良いと思います。特に、小さなお子様がいて、おもちゃを床にぶつけて遊んでいる、室内を走り回る…などと言う音が原因であれば、大人のように静かに歩くなどの配慮ができないので、カーペットなどで音が生じないように対策をしてもらう必要があるのです。

窓に防音フィルムを貼る

窓に防音フィルムを貼るという方法も簡易の防音対策としてはオススメです。集合住宅でも戸建て住宅でも同じなのですが、音の侵入や音漏れの原因は、窓にあるケースが多いです。と言うのも、窓は、木造の壁と比較しても圧倒的に薄く軽量ですので、音を遮る能力がそこまで高くないのです。最近では、2枚のガラスを組み合わせて遮音性を高めている窓も登場していますが、賃貸アパートなどに導入されることはほとんどありません。

窓用の防音フィルムもネット通販などで手に入るので、入居者に勧めてみるのも良いと思います。

リフォームによる本格的な防音対策

それでは次に、我々のような防音工事業者に依頼して本格的な防音リフォームを検討する場合、どういった対策が行えるのかもご紹介しておきます。上述した簡易的な防音対策は、入居者に費用負担が生じてしまったりしますし、あくまでも簡易的な対策ですので音の問題が解消できない…とクレームが止まらなくなってしまうケースも考えられます。

したがって、賃貸物件オーナーの中には、退去者が出たタイミングで弊社のような専門業者に防音リフォームを依頼するというケースが増加しています。これは、コロナ禍でテレワークが当たり前になった、在宅時間が長くなったことから、入居者が『遮音性能』を物件に求める傾向が強くなっているからだと言われています。要は、空室対策を目的として防音リフォームを行う訳ですね。

壁の防音性を高める

木造や軽量鉄筋造のアパートでは、お隣の話し声やテレビの声などが筒抜けになってしまい、騒音に感じてしまう…と言うケースは多いです。また、自分の音も筒抜けになっているのでは…と気になってしまい、生活がしづらいと感じ、退去してしまうという恐れもあります。こういった問題から、各居室の境界壁の防音性を高めたいという要望が多くなっています。

この対策に関しては、特に難しい問題ではなく、壁の中に吸音材と遮音シートを仕込むという方法で、隣家からの音漏れを防ぐことが可能になります。なお、断熱材などを充填するために、多少居室が狭くなってしまう恐れがあるので、その点は注意が必要です。

防音換気口を導入する

どのような物件でも、騒音問題の意外な盲点となっているのが換気口です。あまり防音に関する知識が無い業者に防音工事を依頼した場合、壁のみは防音対策を行い、換気口を無視してしまう…と言うケースが多いです。換気口と言うのは、外気を取り入れる目的で設置しているので、当然音も通過することが可能です。要は、いくら壁の対策を行ったとしても、壁に穴があいているのであれば、想定した性能など出るわけがないのです。

現在では、換気口についても、対策が施された防音換気口なるものが販売されています。したがって、既存の換気口を防音仕様のものに交換し居室の防音性を高めるというリフォームを検討しましょう。

床の対策

集合住宅での騒音トラブルは、上下階の入居者が足音でもめてしまう…と言うケースが多いです。木造アパートなどになると、歩いているだけで足音が階下に響いてしまう…なんて物件もあるのです。

こういった場合、2階以上の居室について、床の防音対策を進めると良いでしょう。手っ取り早いのは、フローリングの上に、防音カーペットを敷いておくという方法なのですが、今の時代、入居者がフローリングを求めますので、カーペットでの対策は、空室対策の面で考えると悪手になってしまう恐れがあります。したがって、床の対策は、壁と同じく、床材の下に吸音材と遮音シートを充填するといった方法や、フローリング材そのものを遮音等級の高いものに張り替えするといった対策を検討しましょう。

窓の対策

最後は窓の防音対策です。上述したように、住居で発生する音の問題は、多くの場合、窓が原因になっています。したがって、窓の防音性を高めてあげることで、騒音トラブルを防ぐことも可能な訳ですね。

窓の防音対策については、主に二つの方法が考えられます。一つ目は、既存窓が単板ガラスなのであれば、防音性の高い複層ガラスに交換するという方法です。上述していますが、最近では真空ガラスなどと呼ばれる、防音性能の高い窓ガラスが販売されています。こういったガラスに交換することで、窓部分の防音性がかなり高くなります。
二つ目の方法は、窓を二重窓にするという方法です。これは戸建て住宅や分譲マンションなどでよく採用される手法で、既存窓は触ることなく、内側にもう一枚窓を設置するだけなので、比較的簡単に工事ができるという点が大きなメリットになります。

ただ、賃貸アパートなどは、窓部分の防音が非常に難しいケースが多いので、注意しましょう。例えば、ガラスを交換して対策をしたいと思っても、その場合、サッシごと交換する必要が出てきて、かなり大掛かりな工事になってしまい断念するというオーナー様は多いです。二重窓にする場合、部屋が少し狭くなるうえに、生活利便性が低くなってしまうという問題があり、さまざまな考えを持つ人が入居する可能性がある賃貸物件では、決してオススメ出来る手段ではないのです。窓に関しては、入居者に上述した防音フィルムで対策してもらうか、遮音カーテンなどを設置するなどと言った方法が良いかもしれませんね。

まとめ

今回は、木造や軽量鉄筋造のアパートにおける防音対策をご紹介してきました。高気密・高断熱が売りになっている木造アパートでも、壁や床は鉄筋コンクリート造よりもかなり薄くなってしまうことから、入居者同士が騒音問題を抱えてしまう可能性は非常に高いと考えられます。

実際に、まだ築年数がそれほど経過していない賃貸アパートから、退去者が出たタイミングで防音リフォームを徐々に進めたいのですが…と言った問い合わせが急増しています。現在、空室対策などを目的として、アパートの防音対策をお考えなら、お気軽に弊社までお問い合わせください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

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