ユニット型防音室選びのポイント!演奏する楽器によって必要な広さが違います

今回は、自宅に防音室を設けたいと考えている方に向け、コストや場所的な問題でユニット型防音室の設置を検討している方に注意しておいてほしいポイントをご紹介していきます。

楽器の演奏を目的とした防音室の場合、空いている部屋を丸々防音工事してもらうという手段が最もオススメであることは間違いありません。しかし、マンション暮らしの方など、部屋数に限界があるという場合、「さすが1部屋まるまる防音室にするのは難しい…」と言う方は少なくありません。こういったケースで非常に心強い味方になってくれるのが、ヤマハさんなど大手楽器メーカーが販売しているユニット型防音室です。

ユニット型防音室は、電話ボックスのような独立した小屋を部屋の中に設置するという施工方法なのですが、小屋が防音性能を持っていることから、その中で楽器を演奏すればご近所さんとの騒音トラブルを防止できるわけです。ただ、ユニット型防音室にもいくつかの種類が存在しており、特に「防音室の広さ」についてどれを選べば良いのかいまいち分からない…と言う方が多いようです。
そこでこの記事では、ユニット型防音室を選ぶ際、楽器別にオススメの広さをご紹介していきます。

0.8畳タイプのユニット型防音室(本体価格:65~90万円程度)

まずはユニット型防音室の中でも、最も小型に分類される0.8畳タイプです。0.8畳タイプは、立って演奏が可能な楽器は使用できる程度の広さと考えておきましょう。なお、0.8畳程度の狭さになると、室内で音がかなり反響してしまいますし、熱がこもりやすくなるので、長時間の演奏などは難しいと考えておきましょう。

0.8畳タイプのユニット型防音室は、以下のような楽器を想定している方にお勧めです。

フルート用の防音室

まずはフルートです。フルートは比較的音域が高い楽器ですので、防音対策は容易な楽器になります。高音域の音は壁に反響しやすいので、低音が出る楽器よりも音が外に漏れにくいためです。
フルートは、立って演奏することができますので、0.8畳タイプのユニット型防音室でも練習自体は問題なくできると思います。ただ、0.8畳タイプでは、譜面台を設置して演奏するほどの広さが無いので、壁に楽譜を貼るなどと言った制約が入ってしまいます。なお、下で紹介する1.2畳タイプであれば、譜面台の設置や座った状態での練習なども不自由なく可能だと思います。
防音室の性能に関しては、戸建てで隣家とそれなりに距離が離れている場合、Dr-30~35程度でも夜間演奏が可能だと思います。しかし、マンションなどに設置する場合、よりグレードの高いものを選んだ方が無難でしょう。

クラリネット・オーボエ用の防音室

クラリネット・オーボエは、ほぼ中音域の楽器ですので、比較的防音が容易な楽器に入ります。こちらも立って演奏することが可能ですので、ユニット型防音室も最小の0.8畳タイプでも対応が可能だと思います。ただ、譜面台も置きたいという場合、1.2畳タイプなど、少し広さに余裕を持たせておいた方が良いでしょう。
遮音性能に関しては、思いのほか音の響きが通る楽器ですので、Dr-35以上がオススメです。周辺環境によってはDr-30でも対応可能だとは思います。

ボーカル用の防音室

最後は、声楽、ボーカル用にユニット型防音室を設置する場合です。こちらも基本的には、0.8畳タイプでも対応は可能だと思います。
ただ、ボーカルの音の大きさに関しては、皆さんが考えている以上に大きなもので、実はサックスなどと同レベルの大きな音が出るのです。プロの声楽になると、その音量は100dBを優に超えますし、それなりに高い性能の防音室が必要です。なお、ボーカル用の防音室の場合、自分の声が反射して良く聞こえることが必要とされているので、室内で反射するようにして、さらに部屋の高さを十分にとるようにしましょう。なお、吸音を強くし過ぎると、喉を傷めてしまう場合があると言われますので、防音室の調整は十分に注意してください。

1.2畳タイプのユニット型防音室(本体価格:70~135万円程度)

次は1.2畳タイプのユニット型防音室です。0.8畳タイプより少しだけ大きくなる程度と考える方が多いのですが、椅子を置いて座って演奏ができる、譜面台が置けるなど、多少のコストアップで防音室の使い勝手は驚くほど向上します。個人的には、0.8畳タイプで妥協するのであれば、必ず後悔すると思うので、ユニット型防音室の設置を考えているのなら、1.2畳タイプが最低ラインだと考えます。

バイオリン用の防音室

まずはバイオリンです。弦楽器の中でも高い音域をもっていますので、比較的防音が容易な楽器になります。バイオリンは、室内で響いた方が良いとされていますので、ユニット型防音室での練習は適しているかもしれませんね。
バイオリンは、1.2畳タイプであれば、基本的に問題なく演奏することができるのですが、立奏の場合は弓のトップまでの高さが必要なので、防音室の天井高には注意が必要です。演奏者の身長にもよるのですが、基本的には、2m以上の高さを確保しておけば問題ないでしょう。遮音性能に関しては、Dr-35以上を選択する方が多いです。

ちなみに、同じ弦楽器のアコースティックギターやエレキギターなども、1.2畳タイプから演奏が可能です。

トランペット用の防音室

トランペットは、非常に大きな音が生じるというイメージを誰もが持っていますよね。ただ、練習する際にはミュートなどをつけずに練習したいと考える方が多く、ユニット型防音室を設置するケースが多いのです。
トランペットは、比較的小さな管楽器ですが、演奏にはそれなりのスペースが必要です。そのため、本来であれば、最低でも1.5畳タイプを導入するのがオススメですが、1.2畳タイプでも演奏自体は可能だと思います。なお、音圧が非常に高い楽器なので、遮音性能は他の管楽器よりも高いDr-40以上がおすすめです。
ちなみに、トランペットやトロンボーンのように、ベル(音の出口)が大きくなっている楽器は、ベルの向きによって音の大きさがかなり違ってきます。一説によると。ベルの真正面と横では10dB近く音の大きさが変わると言われているのです。つまり、ユニット型防音室の中で演奏する場合でも、ベルの向きを配慮したい方向と反対に向けることで、より高い効果が得られると考えてください。

1.5畳タイプのユニット型防音室(本体価格:70~150万円程度)

1.5畳程度になると、それなりに余裕を持って楽器の練習ができるようになるでしょう。上で紹介しているような楽器についても、自宅でそれなりに長時間演奏したいと考えているのであれば、「ギリギリの広さ」の物を選ぶのではなく、室内空間にある程度の余裕がある方が良いです。あまり狭いと、反響音で耳鳴りがしますし、息苦しく感じてしまう方がいます。

チェロ・コントラバス用の防音室

チェロやコントラバスは、弦楽器なのですが、低い周波数の倍音を響かせるという特徴があり、防音が非常に難しい部類の楽器になります。ユニット型防音室を設置する場合も、広さだけでなく、しっかりとした遮音性能を持っているものがオススメです。周辺環境によってDr-35程度の物でも構わないでしょう。
チェロやコントラバスは、楽器そのものが大きいので、演奏者と楽器が余裕を持って入ることを考えると、1.5畳以上のユニット型防音室が望ましいです。また、コントラバスに関しては、高さも2m以上を確保しておきましょう。チェロやコントラバスの防音を考えた時には、楽器のエンドピンから振動が伝わってしまうという点を忘れてはいけません。エンドピンの防音を無視すると、トラブルが発生してしまう危険がありますので、エンドピンを設置する用の分厚い防振ゴムなどを設置しておきましょう。

まとめ

今回は、部屋数の関係などで、一室まるまる防音工事はさすがにちょっと…と言う方にお勧めできるユニット型防音室についてご紹介してきました。ユニット型防音室は、部屋の中に小さなボックスを設置するという感じすので、使い勝手を考えると非常にオススメなケースも多いです。特に、賃貸物件などになると、楽器の演奏をしたくても本格的な防音工事など大家さんが認めてくれるようなことはありません。これがユニット型防音室であれば、簡易の物であれば認めてくれる場合もあり、さらに設置費を支払えば引っ越しの時にも持っていくことができるという手軽さがユニット型防音室のメリットになるのです。

ただ、ユニット型防音室は、部屋の広さや遮音性能など、種類が存在していますので、自分の利用目的や使用する楽器などから最適なものを選択しなければいけません。同じ広さの防音室でも、遮音性能が変われば、倍近く価格が変わるなんてことも珍しくないので、「どれを選んで設置するのか?」は慎重に検討しましょう。
なお、この記事では、ユニット型防音室の参考価格もご紹介していますが、表示金額はあくまでも防音室本体のみの価格となっています。ユニット型防音室は、設置のために数十万円の費用が必要になるので、高額なものであれば1室まるごと防音室にした方が安かった…なんてケースもあるので注意してください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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