住宅関連資材の値上げラッシュは、防音工事などのリフォーム業界にも影響を与えるのか?

今回は、昨今のさまざまな面での価格高騰が、防音工事などの住宅リフォーム業界にも何らかの影響を与えてしまうのかについて、今後の予想を簡単にしてみたいと思います。

つい先日、住宅関連資材メーカーの最大手企業であるLIXILさんから、建材・設備機器関連の価格について、今秋から最大27%の値上げを行うという衝撃的な発表がなされました。住宅資材関連の価格高騰に関しては、2021年秋ごろよりさまざまな商品の価格高騰が続いており、長引くコロナ問題に加えて、ロシア・ウクライナショックにより、原材料価格のさらなる高騰が進むと予想されていて、今後もさらなる価格高騰が続いていくのではないかと予想されています。

私たちに日常生活を考えてみても、電気代やガス代などの高騰や、ガソリン価格の高騰、食料品の高騰など、さまざまな面で価格の急激な高騰が目立つようになっています。それでは、このような状況の中、防音工事などの住宅リフォームを検討した場合、しばらく様子を見て、価格が落ち着くのを待つ方が良いのか、それとも今後さらなる価格高騰が控えているから早めに工事したほうが良いのか、どちらの選択が正解なのでしょうか?

この記事では、住宅リフォームに必要になる、各種建材の値上げ状況や、今後の動向などから、住宅リフォーム業界の今後を考えてみたいと思います。

住宅関連資材の価格高騰について

2020年から続く新型コロナウイルス問題は、世界中でさまざまな問題を引き起こしています。日本国内でも、緊急事態宣言が発令されるなど、人々の行動制限が行われましたが、諸外国では日本とは比較にならないほどの強い措置が行われました。皆さんも、世界中で新型コロナウイルスの感染拡大がおきた時には、テレビなどで「○○でロックダウンが行われています」と言ったニュースを見たことがあると思います。そして、諸外国で取り入れられたロックダウンと言う措置に関しては、単に人々の日常生活が不便になるといった程度の問題ではなく、工場の生産活動がストップしたり、物流がストップするという問題が起き、経済活動そのものが完全に停滞してしまったわけです。

そして、この経済活動停滞の影響は、コロナ問題がある程度落ち着きを見せ始めた昨年ごろより見え始め、住宅関連業界では、昨年4月頃より木材の価格高騰や不足と言ったウッドショックと呼ばれる現象が起きています。このウッドショックについては、2022年現在でも解決の糸口すら見えていないと言われているのですが、さらにここにきてロシアによるウクライナ侵攻が起こり、さまざまな業界に価格高騰の波がやってきています。

ここでは、住宅関連の価格高騰情報をいくつかピックアップしておきたいと思います。

最近値上げされた住宅関連資材

それではまず、2021年秋以降に値上げが行われた住宅関連資材についていくつかの事例をご紹介しておきます。住宅関連資材の値上げに関しては、新築住宅を建てようとしている方や、リフォームをしようと考えている方でなければ、なかなか実感できない部分ですので、多くの方は住宅関連資材が値上げされていることに気付いてすらいません。しかし実際には、大手メーカーが公表しただけでも、以下のような値上げがすでにされているのです。

  • LIXIL
    住宅周りのさまざまな資材を販売するLIXILでは、昨年末に2022年4月から値上げされる製品の情報を公表しています。例えば、2022年4月から、住宅用サッシが6~10%程度、エクステリア関連資材が10%程度、トイレやバス、キッチンなどの住宅設備に関しては、なんと最大39%もの値上げ率になっています。詳細については、LIXILさんが公表したPDFを貼っておきますので、そちらでご確認ください
  • リンナイ
    給湯器メーカーとして有名なリンナイも値上げを公表しています。値上げ率に関しては、給湯器や食器洗い乾燥機などの設備について、5~10%程度となっています。給湯器の値上げについては、銅やアルミニウムなど原材料費の高騰が要因のようです。なお、給湯器については、価格高騰よりも、納期遅れ問題の方が深刻だと言われています。これは、コロナによるロックダウンで、中国や東南アジアの製造工場がストップしてしまい、さまざまな部品が不足したことにより起きているとされています。現在でも、給湯器を交換したくても交換できない…と言う事例があるようですので、各販売店などからは「耐用年数などを見て、故障をする前に交換に動くのがオススメ」と紹介されています。
  • TOTO
    トイレメーカーとして有名なTOTOも、ウォシュレットやユニットバスなどについて、2022年10月発注分より値上げすると発表しています。値上げ率については、ウォシュレットが2~13%程度、水栓金具が6~12%程度、ユニットバス関連については最大20%もの値上げになるようです。詳細はコチラ
  • サンゲツ
    壁装材・床材・カーテンなどで有名なサンゲツも2022年4月発注分より値上げがなされています。サンゲツでは、壁装材・床材・カーテン・椅子生地・副資材の値上げを発表しており、値上げ率は18~24%程度と、かなりの値上げになっています。なお、サンゲツについては、昨年6月にも壁紙・床材・ファブリック・副資材の値上げが行われているなど、この1年間で大幅な価格改定が行われています。詳細はコチラ

このように、住宅関連資材については、全ての国内大手メーカーと言ってよいほど値上げラッシュが続いています。一般の方からすれば、ガソリンや食料品の価格高騰が非常に身近で分かりやすいのですが、実は、住宅周りに関しても、昨年後半から値上げが続いているのです。

建設資材の値上げも行われています

住宅関連のリフォームに関連する値上げでは、外壁や屋根の塗装に利用される塗料の価格高騰を見落とさない方が良いでしょう。外壁や屋根の塗装は、建物そのものを良い状態で保つため、定期的に行わなければならないリフォーム工事です。万一、必要なタイミングで塗装工事を行わないなどと言う対応をしてしまうと、外壁や屋根からの雨漏りが始まり、木材の腐食やシロアリの繁殖などを招き、住宅の建て替えが必要になるケースもあるのです。

塗料関連の値上げについて、以下のような感じになっています。

■日本ペイントの値上げ(2021年9月に価格改定

  • ①シンナー         : 15~20%
  • ②溶剤系塗料        : 10~15%
  • ③水性塗料、表面処理剤関係 : 8~12%
  • ④運賃           : 10~30%

■関西ペイントの値上げ(2021年9月に価格改定

  • ①工業用
    塗料類 15~25%、硬化剤 30~40%、シンナー類 15~20%
  • ②汎用(建築、防食、自動車補修)
    塗料類 10~20%、シンナー類 15~20%
  • ③運賃 10~15%

このように、屋根や外壁の塗装工事に用いられる塗料についても、大幅な値上げが行われています。

防音工事は待った方が良いの?

ここまでの情報を見ると、住宅周りの資材については、値上がりしていない物を探すのが難しいほど、ほとんどすべての物品に関して価格高騰がおきていると言えます。さらに、木材や給湯器などの住宅設備に関しては、納期すら分からなくなっているというような商品もあるなど、新築業界やリフォーム業界では、非常に悩ましい状況が続いています。

それでは、こういった状況の中、自宅の防音工事などを検討しているという方について、実際に工事を依頼するタイミングはどうすべきなのでしょうか?上記のように、ほとんどすべての住宅資材が高騰していると聞くと、値下がりするのを待った方が良いのではないか…と考えてしまう方が多い事でしょう。

はっきり言っておきますが、「近いうちに防音工事は必ず行う!」と心に決めている方であれば、出来るだけ早く防音工事に踏み切るのが正解だと思いますよ。と言うのも、現在起きている住宅関連資材の価格高騰について、2022年4月時点の価格が天井なのかと言うと、そうではない可能性の方が高いと予想されているからです。
例えば、住宅資材大手メーカーのLIXILでは、2022年4月に価格改定があり、さまざまな商品の価格が一気に高騰しています。さらに、つい先日公表された情報によると、「インテリア建材は9月1日受注分から、エクステリア・外装材・キッチン・バス・トイレなどは10月3日受注分から、サッシ・玄関ドアは一部商品を11月から順次値上げする。」と、今秋のさらなる値上げが決定しているのです。当然、建材メーカーとして、日本国内でも最大手となるLIXILさんが値上げするわけですので、その他の建材メーカーも追従することが予想できます。

つまり、住宅周りの価格高騰事情については、しばらくの間、さらなる値上げが行われることはあっても、値下げされる可能性はほぼないと予想されているわけです。他にも、少子高齢化が進む日本では、建築業界でも人手不足が進んでおり、工事にかかる人件費も高騰していくと予想されています。こういったことから、「コロナ問題やウクライナ問題が落ち着くまで待ってみよう!」など、悠長に構えていると現状よりも値上げラッシュがさらに進んでしまい、後悔する結果が待っているかもしれません。

まとめ

今回は、新型コロナウイルス問題やウクライナショックを背景とした、住宅関連資材の価格高騰について解説してきました。

最近では、テレビのニュース番組を見ていると、食料品やガソリン、光熱費の価格高騰に関する情報を耳にする機会が非常に多くなっています。食品やガソリンなどの価格高騰については、私たちに日常生活に非常に大きな影響を与えますので、誰もが気になる情報だと思います。
しかし実は、コロナ問題やウクライナショックの影響は、日常生活とは少し離れた業界にも価格高騰の波を起こしています。この記事でご紹介したように、昨年秋ごろより、国内の住宅関連資材メーカーからは、続々と値上げに関する情報が公表されており、防音工事にも関係が深い、窓サッシや壁紙、断熱材などに関しても、総じて値段が上がっています。こういった情報を聞くと、商品価格が少し落ち着くまで、リフォーム工事は我慢したほうが良いかなと考えるものですが、実はその考えは大きな間違いかもしれないのです。

今年に入り、急激な円安が進んでいることから、今秋には各種建材のさらなる値上げが予想されている状況です。正直な話、今年4月の値上げを考えると、建材の価格が1年間で1.5倍程度にまで跳ね上がってしまうような物もあり、様子見をしていると、さらに負担が大きくなってしまうのではないかと考えられるのです。

現在の予想では、今後、建材価格が大幅に値下げされるようなことは当分ありえないという状況で、待っていればさらなる価格上昇が考えられるといった感じです。したがって、「防音工事を考えている」と言う方がいれば、早めに決断して実行に移すのがオススメかもしれませんよ。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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