自宅に防音室を作ることで得られるメリットとは?
近年では、在宅時間が伸びている、自宅でカラオケやホームシアターを楽しむなど趣味の多様化などがあり、自宅の部屋を防音室にしたいと考える方が増えているとされています。
ただ、専門業者に依頼して本格的な防音室を作る場合、最低でも150万円程度のコストがかかるとされているため、実際の工事の依頼に二の足を踏んでしまう方も少なくありません。もちろん、楽器の演奏を生業としていて、自宅でも楽器の練習をしなければならないといった、プロの演奏家の方であれば、仕事に必要な設備としてコストをかけてでも防音室を用意するはずです。しかし、趣味を楽しむためといった要望の場合、本当に多額のコストをかけてまで防音室を作って良いものかと悩んでしまう訳です。
それでは、そもそも自宅に防音室を作ることで得られるメリットとはどのようなことが考えられるのでしょうか?隣人との騒音トラブルを防止できることはある程度イメージできると思いますが、工事の依頼を決断できるほどのメリットが他にもあるのか気になってしまうという方は多いはずです。そこでこの記事では、自宅に防音室を作ることで得られる主なメリット面について解説します。
自宅に防音室を作る主なメリットについて
それではまず、専門業者に依頼して自宅に本格的な防音室を作った場合に得られる主なメリットをご紹介します。ここでは、防音室の分かりやすいメリット面をあらためてご紹介します。
近所の人に気兼ねなく音が出せる
自宅に防音室を作るメリットとして真っ先に思い浮かぶのが、これだと思います。実際に、弊社に防音工事のご相談を頂くお客様に関しても、以下のような要望を持っているものの、「対策無しでは近所迷惑なのでは…」と考えて連絡したという方が多いです。
- ・自宅で楽器の演奏がしたい
- ・大音量でホームシアターを楽しみたい
- ・時間を気にせずにカラオケを楽しみたい
このような、大きな音を伴う要望を持っている方が防音室の設置を検討します。例えば、楽器の演奏に関しては、どのような楽器でも美しい音色を楽しむことができるのですが、その音を聞きたいと思っている人以外にとっては、騒音以外の何物でもありません。コンサートなどに足を運んでいるのであれば、大きな音をうるさいと感じる人はいませんが、自宅のリビングでリラックスしている、寝室で寝ようとしているなんて時に、隣家から楽器やカラオケの音が漏れてくると、誰でも騒音に感じてしまいますよね。
防音室は、利用目的に合わせて、隣人や家族に迷惑をかけるような音漏れが発生しないように設計がなされています。そのため、自宅で楽器の演奏やカラオケを楽しむ場合でも、近隣の方に気兼ねすることなく大きな音を出せるようになるのです。
自分のペースで音を出せる
二つのメリットは、自宅に防音室を用意すれば、自宅から動くことなく自分のペースで楽器の練習やカラオケができるようになる点です。こう聞くと、大したメリットではないのでは…と感じる方も多いのですが、実際に防音室を作った人の声を聞いてみると、この部分で防音室を作って良かったと感じている人は非常に多いです。例えば、自宅に防音室が無い方の場合、以下のような手間が発生します。
- ・楽器の練習のためレンタルスタジオに行かなければならない
- ・カラオケを楽しむにはカラオケボックスに行く必要がある
- ・大迫力の映像・音響を楽しむなら映画館に行かなければならない
このように、自宅に防音室がない人が、大きな音を伴う行動をする場合、音を出しても良い場所まで行かなければならないのです。レンタルスタジオにしても、カラオケボックスにしても、利用するにはレンタル料金が発生しますし、そこまで移動するためのコストや時間がかかってしまうことになります。防音室は、イニシャルコストとして100万円以上のお金がかかるため、「高くてなかなか手が出せない…」という声を聞く機会が多いです。
しかし、楽器の練習やカラオケを楽しむため、毎回レンタル料を支払うことを考えると、中長期的に見た場合には、コストを安く抑えることが可能なのです。移動の際に、公共交通機関などを利用しなければならないなら、交通費も発生します。他にも、移動の時間を削減することができることから、楽器に長く触れることができるようになるというメリットも得られるでしょう。
自宅に防音室があれば、早朝や深夜でも練習や趣味に打ち込むことができるという点は、皆さんが考えている以上に大きなメリットになります。
外部騒音が侵入しない集中できる空間が作れる
防音室は、自分が生じさせる音が近隣の方に迷惑をかけないようにするため…といった感じに、どちらかというと音漏れ防止目的で作る方が多いです。しかし、防音室は、室内の音が漏れなくなるだけでなく、室外からの音が侵入しなくなるという点も大きなメリットになるのです。
防音室は、外部騒音の侵入を防止するため、通常の部屋と比較すると、静かで集中できる空間を構築してくれます。したがって、楽器の演奏など、大きな音を生じさせる場合以外にも、テレワークや受験勉強など、何かに集中したいという方にとっては非常に有用な場所になります。
この他にも、ゆっくりと読書に集中できる環境が欲しいなど、家の中に静かな場所が欲しいと考える人にとってもおすすめの設備となります。
見落とされがちな防音室のメリット
防音室のメリットと聞くと、先ほどご紹介したように、大きな音を生じさせても音漏れしない環境となるので、隣人との騒音トラブルを防止できるという点をイメージする方が多いです。特に近年では、一般の方でも簡単に動画配信などができるようになっているため、音漏れ防止のための防音室の需要は年々高くなっています。
しかし実は、防音室のメリットは、音に関わる部分以外にもあるのです。ここでは、多くの方が見落としてしまっている防音室のメリットを解説します。
楽器のに適した環境を作れる
ピアノやヴァイオリンなど、天然樹木が主材料とされている楽器は、湿度や温度の変化に敏感で、少なからず影響を受けてしまうのです。
例えば、ピアノの故障については、その原因の約7割が『湿気』とされています。ピアノを、高湿状態の場所に長時間置いておくと、ハンマーに湿気を帯びてしまうため、タッチ(打弦感触)、音色や響きに変化が起きやすくなるとされています。ピアノを弾いていて、鍵盤の動きが鈍い…、音がこもっているように感じる…なんて時には、湿気が原因と考えられるのです。他にも、楽器に使用されている金属部分は、湿気によりサビてしまう可能性があるでしょう。
防音室は、気密性や断熱性が非常に高い環境になるため、温度や湿度を一定に保つことができるようになります。つまり、ピアノなどの天然樹木を主材料とする楽器にとっては、まさに最適な環境となるのです。ちなみに、精密加工された細かい木工部品や、フェルトクロスや皮などを使った部品を採用している楽器は、特に湿気に敏感なので、防音室を作る際に楽器の特徴などを伝え、対策を施してもらうのがおすすめです。
資産価値が下がりにくくなる
実は、自宅に防音室を作ることで、物件の資産価値が下がりにくくなると言われています。当然、住まいの資産価値を長く維持できるという点は大きなメリットになるといっても良いでしょう。
防音室がある家の資産価値が下がりにくいのは、一般住宅との差別化が可能になるためです。防音室は、住宅購入後に防音工事で作ることも可能ですが、中古住宅を探す際、既に防音室が完備されている物件があれば、楽器の演奏を考えているなど、大きな音を生じさせる人にとっては、非常にありがたい存在になります。実際に、賃貸物件市場などを見てみると、一般的な賃貸物件と防音室付きの賃貸物件では、後者の方が1~2割ほど家賃が高く設定されています。住宅としての機能性が高くなるわけですし、特定の要望を持っている人にとっては非常にありがたい設備になるため、多少割高な価格設定でも、需要を高く維持できるのです。
なお、昨今のマンション事情を考えてみると、マンションなどの集合住宅に住む住民間のトラブルでは、騒音に関するトラブルが第一位となっています。したがって、マンションの場合、防音室付きの物件はさらに資産価値を維持しやすくなると考えても良いでしょう。
この点は、防音室を作ることを考えた時の意外なメリットとしておさえておきましょう。
まとめ
今回は、自宅に防音室を作ることで得られるメリットについて解説しました。防音室の存在が、楽器の演奏やカラオケなど、大きな音を生じさせたとしても、隣人に音漏れで迷惑をかけなくて済むようになる点がメリットとして有名です。
しかし、実際に防音室を作った人の多くは、「移動など無駄な時間を削減できるようになった!」など、利便性の面で作って良かったと感じる人も非常に多いのです。さらに、防音室は、物件そのものの資産価値を維持してくれる、楽器の状態を良好に維持しやすくなるなど、音意外に関するメリットも非常に多いのです。
もちろん、全ての人にとって防音室が必要とは言えませんが、人々の生活空間が近くなった現在では、とても有用な設備になると言えます。