防音室を自宅に作りたい!希望通りの防音室を作るための秘訣をご紹介します!
今回は、これから防音工事の匠のような専門業者に依頼して、自宅に防音室を作ろうと考えている方に向け、防音室づくりに失敗しないための秘訣をご紹介していきたいと思います。
こういわれると、「専門業者に依頼するのに防音室づくりに失敗することがあるの!?」と少しびっくりしてしまう方が多いかもしれませんね。最初に言っておきますが、防音室づくりは皆さんが考えている以上に難しいもので、頭の中に描いている通りの防音室が必ず作れるかと言うとそういうわけではないのです。例えば、防音室を作るリフォーム工事は、一見すると他の住宅リフォーム工事と同じようなことをしているように見えますが、実は非常に綿密な計算のもと、使用する材料を選び施工されています。そのため、通常の内装リフォーム工事と比較すれば、驚くような高額な見積もりが出てくることも珍しくなく、中には業者さんから提出された見積書について、何とか安くしてもらおうとしているうちに、思い描いていた防音室から離れて行ってしまう…なんてことになるケースもあるのです。
他にも、防音工事の需要が高くなっている現在、防音に関する知識や技術などが無いにもかかわらず、防音工事業界に進出している業者さんが増えています。そしてそのような業者に工事を依頼してしまうと、「安かろう悪かろう…」と言った理想とはかけ離れた防音室が出来上がってしまう恐れがあるのです。
この記事では、自宅に理想の防音室を作るため、皆さんがおさえておきたいポイントをいくつかご紹介します。
理想の防音室を作るための秘訣とは?
それでは、自宅に理想の防音室を手に入れるため、皆さんがおさえておきたい防音室づくりの成功の秘訣をいくつかのポイントに分けてご紹介していきましょう。我々のような防音工事業者は、お客様の要望に沿った防音室を作り上げるのが仕事となりますので、実は、お客様側が原因となり、防音室づくりに失敗してしまうケースも少なくないのです。
ここでは、満足のいく防音室を作り上げるため、皆さんがおさえておかなければならないポイントをご紹介しておきます。
①基本構想をしっかりと作る
防音工事は、実際の施工段階ではなく、施工に入る前の計画(基本構想)が何よりも重要です。
基本構想とは、防音室について「どのような目的で、何の音を、どれくらい防音したいのか?」と言った性能面や「防音工事にどれぐらいの予算を掛けられるのか?」と言ったコスト面のバランスを考え、それぞれを明確にするということです。そして、防音室の成否はこれにかかっているといっても過言ではありません。
分かりやすく言うと、「子供に自宅でピアノの演奏をさせるけれど、そのピアノの音がご近所さんに迷惑を掛けないよう、外部にはほとんど聞こえないくらい(お隣の家の中では聞こえない)の性能が欲しい。防音室の予算は、最大でも300万円までに抑えたい」と言った感じで、お客様の防音室工事の計画を明確にすることが大切なのです。
防音室を専門業者に依頼する時には、上記のように「何をしたくて、いくらお金を掛けられるのか?」をはっきりさせておくことがとても大切です。これがいい加減だと、防音工事業者もどの程度の性能が必要なのかがあいまいで、中途半端な計画になってしまう恐れがあるのです。したがって、施主(建築主)がしっかりとした構想を立てておき、それを防音工事業者と共有することで、理想の防音室の実現に取り組む必要があると考えてください。
②建物全体のことを考える
防音工事を行う時には、施工を行う部屋だけに注目してしまいがちですが、理想の防音室を作りたいのであれば、防音室だけに着目するのではなく、建物全体の構造や間取りについても考える必要があります。
自宅に防音室を作る時には、「現在使用していない部屋に防音工事を施す」と言う視点で物事を考える方が多いのですが、本来なら「何のための防音室なのか?」をしっかりと考え、それをもとにどの部屋を防音室にすべきなのかを検討するという順番がオススメです。
例えば、自宅に楽器用防音室を作る際、右隣は一軒家があるけれど、その他の方角には民家が無いという場合、民家に面していな側の部屋を防音室にした方が、効果的な防音工事が安価で出来るはずですよね。音は、距離が離れるほど減退するわけですので、防音の対象から離れた位置にある部屋に防音工事を行う方が確実な訳です。つまり、防音工事を行う時は、「どんな防音室にしようか?」の前に「どこに防音室を配置するか?」を検討すべきです。
この視点については、同居する家族に対する配慮の面でも重要です。例えば、夜遅くまで利用することを考えている防音室を、同居する家族の寝室に隣接する形で作ってしまうと、絶対に音漏れがないような非常に高い性能を持たせる必要があります。これが、家族が過ごす部屋から離れた位置に防音室を作るようにすれば、家の中は多少の音漏れがあっても構わない防音室になるため、防音工事にかける費用を抑えることができるようになるわけです。自宅に防音室を作る際には、家全体の間取りを考慮し、防音室にする部屋を決定するようにしましょう。
③中途半端はNG
防音工事に失敗してしまうケースでは、工事にかかるコストなどを気にしすぎてしまい、「予算がギリギリだし、このくらいまでしておけば、それなりの防音性能が得られるし大丈夫だろう」などと言う中途半端な対応が原因になることが多いです。
防音工事は、通常の住宅リフォームと比較すると、かなりコストがかかってしまうことになるため、必要な防音性能よりも「出せる予算」ばかりを気にしてしまう人が多いのです。もちろん、工事に出せる予算が大切なのは間違いないのですが、予算を気にしすぎてしまい、必要な性能を無視してしまうと、大金を掛けたのにクレームがたくさん来る…などと言った最悪な事態を招きます。防音工事の目的は、あくまでも「音漏れを防いでトラブルを防止する」ことなのですから、これを叶えられなければ意味がない工事になると考えましょう。
つまり、防音工事は、①で考えた計画の性能は最低限確保できるようにしなければいけないと思ってください。
④デザインも気にしたほうが良い
防音室は、「外に音が漏れなければ何でも良い!」と言った考えを持っている方もいますが、そういった方が実際に防音室を使ってみた時には、「内装もこだわればよかった…」と後悔してしまいがちです。
自宅に、お金をかけてまで防音室を作るという方は、そこで楽器の演奏を楽しんだり、ホームシアターとして利用するケースが多いです。そして、こういった用途の部屋は、音さえ漏れなければ良いというものではなく、防音室の用途にふさわしい雰囲気の部屋にした方が絶対に良いのです。無機質な防音室を作ってしまうと、箱の中に閉じ込められている感じがするという方もいて、長時間そこで楽器の演奏をするとどうしても息苦しくなってしまう…なんて方もいるのです。
もちろん、莫大なコストがかかるほどインテリアなどにこだわる必要はないとは思いますが、使用者が快適に過ごせる内装を作る努力は必要だと思いますよ。
⑤性能にこだわりながら、少しでもローコストに
上述しているように、防音工事は、他の住宅リフォーム工事と比較すると、かなり高額な工事になります。これは、材料のグレードが高い事や、特殊な建材を使用しなければならない、専門の職人に施工させなければならないことから、どうしても工事費が高くなってしまうからです。
この記事を読んでいただいている方の中にも、防音工事の見積りをとったところ、余りの高額さに驚いてしまった…なんて方もいるかもしれません。したがって、③でご紹介したように、「性能を押さえて防音室の価格を下げてもらおう!」と言うような中途半端な対応をしてしまう方が多いのです。
上では、このような中途半端な対応はすべきではないとご紹介していますが、「できるだけ安く!」という部分のこだわりは持っておくべきです。③の意見とは正反対に感じてしまうかもしれませんが、あくまでも必要な防音性能は維持したまま「何とかコストを下げることができないか?」という相談は必ずしてください。実は、防音工事は、性能を維持しつつ、コストを抑える方法はいくつか存在するのです。
例えば、防音室を利用する時間帯を制限することで、価格を下げるとか、当初予定していた部屋ではない場所を防音室にするなど、防音室を作る目的を維持しながら、コストを下げる手段をきちんと提案してもらうと良いでしょう。そして、その中で最も理想に近いプランを選択することで、満足のいく防音室が仕上がるはずです。
⑥幅広い知識を持った業者に相談する
防音工事は、防音に関する知識を持っているのはもちろん、建物本体工事や楽器にまつわる知識など、非常に幅広い分野の知識が必要になります。そして、満足のいく防音室が出来上がるかどうかは、このような幅広い分野について全体的にバランスよく考えることができる職人が設計・施工することにかかっています。
近年、防音工事に関するトラブルが増加しているのは、建物本体工事の知識しか持っていない業者が表面的な工事のみを行い、音漏れが防げなかった…と言う事例が多いためです。例えば、マンションなどにピアノ用の防音室を作るとなると、防音や楽器に関する知識が無い人は、ピアノの音色に対する防音を中心に考えてしまいます。そして、振動音の対策がしっかりと行われていないことから、防音室を作ったのに、階下の方と騒音トラブルになるわけです。ピアノは、空気音の対策だけが重要なのではなく、ペダルを踏むときの振動や鍵盤を指で弾く振動などが発生しますので、床の防音対策が不十分だと振動音が階下に伝わってしまうのです。実際に、ピアノによる騒音トラブルは、上下階の住人同士で発生するケースがほとんどだと言われています。
このように、防音工事は、建物本体工事、防音、音楽や楽器など、幅広い分野全体を統括して設計・施工が進められる業者を選ばなければならないと覚えておきましょう。
まとめ
今回は、理想の防音室を作ってもらうために、皆さんがおさえておきたいポイントについて解説してきました。この記事でご紹介したように、防音室を作る際には、防音室の性能だけ、工事にかかるコストだけ、どちらか一方に着目したのでは、後から後悔してしまう結果を招いてしまう恐れがあると考えてください。
防音室を作りたいと考えている方には、防音室が必要な理由が必ずあると思いますので、その目的を本当に解消することができる設計になっていることを前提として、そこからどこまでのコストを削減できるのかと言った感じに、段階的に問題を解決していくようにしましょう。
なお、⑥に該当するような防音工事業者に出会うことができれば、お客様側は自分の要望を明確に伝えることができれば、それを叶えるために最適な設計を提案してくれるはずです。