防音マットは床の防音対策として有効?防音マットを選ぶときのポイントをご紹介

マンションなどの集合住宅で生活する方が増えている現在では、上下階の住人同士が足音などの振動音を原因にトラブルになることが増えています。集合住宅は、各家庭の生活空間が非常に近いうえ、各部屋が壁や床などの構造物でつながっていることから、振動がどうしても伝わりやすくなってしまうのです。

そこで、近年注目されているアイテムが、防音マットと呼ばれる床の防音対策アイテムです。最近では、ホームセンターなど、建材を販売する店舗だけでなく、おしゃれな家具の販売を行うニトリさんなども防音マットの販売を開始しており、「防音マットはどれぐらいの効果があるのだろうか?」と言った点に疑問を感じている方も多いのではないでしょうか?

それでは、居住空間の簡易的な防音対策手法として注目されている防音マットについて、実際にこれを利用して床の防音対策を考えた場合、どのような点に注目して製品選びをすれば良いのでしょうか?また、自宅でピアノやドラムなどの練習をする際、防音マットで対策が可能なのかも気になるという方が多いと思います。
そこでこの記事では、床の防音対策グッズとして人気の防音マットについて、実際に購入する時の選び方をご紹介します。

防音マットとは?

それではまず、近年、床の防音対策アイテムとして注目されている防音マットについて、これがどのような製品なのかを簡単にご紹介します。

防音マットは、カーペットやコルク素材でできたマットで、通常のじゅうたんなどと比較すると、分厚くて重量のある製品をイメージしていただければ良いかとも言ます。もともと、ピアノやドラムを設置する際、楽器の下に防音マットを設置することで、楽器の音や振動が床に伝わるのを防ぐのが主目的で採用されていました。ただ昨今では、楽器の防音目的ではなく、マンションやアパートなど、集合住宅に住む方が、階下に足音などの振動音が伝わらないようにするために設置されるケースが増えています。

なお、防音マットに似た商品として「防振マット」と呼ばれるものもあります。使い方は防音マットと同じく、床に設置するだけという製品ですので、この二つは呼び方が違うだけで、同じ製品なのだと考えている方も多いようです。しかし、防音マットと防振マットは、名称だけでなく使い方や役割も異なりますので、注意が必要です。

先ほどご紹介したように、防音マットは、それ単体でカーペットとして使用できるタイプやコルク素材のものなど、防音マット単体で使えるものが多いです。しかし、防振マットは、ゴム材やエラストマー素材などで構成されていて、基本的に「カーペットの下に設置する」という使い方が多いです。もちろん、単体で使用される場合もありますが、その場合は、家具の脚につける、洗濯機の下部に付けるなど、目立たない位置に設置されるゴム版形態のものが多いです。防振マットは、その名称から分かるように、「振動の伝わりを防ぐ」ことが目的の製品です。

防音マットと防振マットは、役割が異なりますので、部屋の環境や使用目的に合わせて、適切なアイテムを使い分けるようにしましょう。

防音マットの選び方

それでは、実際に防音マットを使用して床の防音対策を考えた時、どのような製品を選べば良いのかについて解説します。

防音マットの厚さに着目する

防音マットは、その厚さで性能が変わります。一般的に販売されている防音マットであれば、5〜20mmくらいの厚さのものが多いです。

そして、何らかの防音対策のため防音マットを購入する場合には、どのような音を防ぎたいのかで最適な厚みの防音マットを選ぶ必要があります。一口に「防音」と言っても、問題となっているのが空気を揺らして聞こえてくる空気伝搬音なのか、ドラムの音のように振動が衝撃として伝達される固体伝搬音なのかによって適切な厚さの防音マットが異なるのです。音の種類ごとの防音マットの厚さについては、以下を参考にしましょう。

  • 人の話し声やバイオリンなど、空気伝搬音の防音対策
    問題となっている音が空気伝搬音のみであれば、5mm程度の厚さでも防音効果に期待できます。
  • 足音に対する苦情やピアノなど、振動音も含む場合
    ピアノなど、振動音の対策も必要な場合は、10mm程度までの少し厚みを持っている製品を選ぶのがおすすめです。ただ、グランドピアノなど、大きな音が出る楽器の場合はもう少し厚めの製品を選ぶ方が安心です。
  • 衝撃音の出るドラムなどの場合
    ドラムなど、衝撃音まで発生する楽器の演奏は、10mm以上の厚みがある防音マットを用意し、楽器の下に設置しましょう。

ちなみに、防音マットの中には、厚さが薄い物でも音が響きにくい製品もありますので、厚さは一つのポイント程度に考えてください。実際に購入する際には、マットの素材や構造なども確認し、厚さも加味して製品選びを進めましょう。
なお、ピアノやドラムなど、楽器の防音を目的とした場合、防音マットだけで全ての音を防げるわけではありません。ここでは、防音マットの厚さの参考として紹介しているだけなので、実際の楽器防音に関してはお問い合わせください。

遮音等級(L値)を確認する

防音マットの性能を確認する際は、製品に記載されている「遮音等級」が目安になります。遮音等級は、JIS規格にもとづく方法で測定されたデータから数値が算出されていて、数値が高い物ほど防音効果が高いと判断できます。

ちなみに、防音マットの遮音等級については、JIS規格が改訂され、現在は「△LL-5」と言った表記の「新L等級」で記載されていることがほとんどです。「△LL-」の後に続く数字が大きいほど、高い遮音性を持つと判断できます。ちなみに、JIS規格の改定前の遮音等級については、「L-35」と言った表記がなされていて、こちらも数字の大きさで遮音性能の高さを判断していました。ただ、旧L値の場合は、後に続く数字が小さいほど遮音性が高いことを意味しますので、混同しないように注意しましょう。

製品の重さも確認する

高い防音性能を求めるのであれば、商品の重さにも注目しなければいけません。このサイト内の別記事でもご紹介していますが、防音性能は重さが重要で、高い性能を求めるのであれば、重量のある物の方が良いです。

床に設置するマットと考えると、重い物よりも軽いものの方が扱いやすいと考えてしまいがちです。しかし、音をしっかりと防げる防音マットが欲しいと考えるなら、出来るだけ重量のあるマットを選ぶ方が良いです。防音マットにもさまざまな製品がありますが、重量のあるタイプは、固さの異なる素材を何層にも重ねて一枚のマットにしていたり、密度の高い素材を用いている商品となるため、そうでない防音マットよりも防音効果に優れていると考えられるのです。

したがって、防音性の高い防音マットを求めている方は、同じサイズの防音マットであれば、より重量のある製品を選ぶのがおすすめです。もちろん、取り扱いは難しくなるため、その辺りは注意が必要です。

可能なら大き目サイズを選ぶ

防音マットを設置する場所について、スペース的な余裕があるのであれば、大きめサイズの防音マットを設置するのがおすすめです。大き目サイズを選ぶと、防音性能が高まることが期待できるほか、広範囲の床面の防音が可能になります。

例えば、大型犬を飼育しているお宅などの場合、ペットが普段過ごす部屋については、部屋全体に防音マットを敷き詰める方が多いです。部屋の統一感が増しますし、ペットが部屋の中を動いても、階下に足音などで迷惑をかける心配がなくなります。

防音マットの中には、自分でカットできるタイプも増えていますので、間取りに合わせてピッタリと設置しておくのもおすすめです。

まとめ

今回は、床面の防音対策として人気になっている防音マットの効果について解説しました。記事内でもご紹介したように、一口に防音マットと言っても、いろいろな種類が存在していて、購入する製品によって得られる効果が大きく変わるということは理解しておきましょう。防音マットによる防音対策は、どのような種類の音を防ぎたいのかによって最適な製品が変わります。

注意しておきたいのは、防音マットを使った防音対策を考えている方で、現在の音の悩みが楽器の演奏音という場合は、防音マットで床のみの対策を施したとしても、対策として不十分であるということです。防音マットは、あくまでも足音などの振動が伝わりにくくなるだけで、空気音を完全に抑えることはできません。また、固体伝搬音も、マットは床に直接接していることから、完全に伝わるのを防ぐことはできないのです。

防音マットに夜防音対策は、人の声や足音、家事の音を軽減するという効果は十分にありますが、ピアノを演奏したいからドラムの練習をしたいからなど、本格的に大きな音が生じる場合には不十分な対策です。自宅で楽器の練習を考えているという場合には、防音室を作った上で、そこに防音マットも敷くといった対策が施されるのが一般的で、あくまでも補助的な製品となります。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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