防音工事にかかる費用をできるだけ抑えるために考慮すべきポイント
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本格的な防音室を作る工事は、その他の住宅リフォームと比較しても、非常に高額な費用がかかります。例えば、6畳の部屋をピアノの演奏に耐えられるレベルの防音室に作り変えようと思った時には、200万円前後の見積り書が提示されるのが一般的です。
さらに、防音工事の難しいところは、複数の業者に現地調査と見積りを依頼した時には、提示される価格が大きく異なることで「どの提案が自分にとって最適なのか判断できない…」となってしまうことが珍しくない点です。防音室を作るための工事は、その他の住宅リフォームと異なり、遮音性能や採用する工法、換気設備、測定、工事後の保証の有無などによって総額が大きく変わります。そのため、相見積もりを取ったとしても、1社に絞り込むことがなかなかできないという声を聞く機会が少なくないのです。
そこでこの記事では、これから自宅に本格的な防音室の導入をしようと考えている方に向け、工事にかかる費用をできるだけ抑えるためのポイントについて解説します。
防音工事の費用を抑えるための主なポイント
それでは、防音工事の費用を抑えるために考えたい主なポイントをご紹介していきます。
リフォーム工事の費用を抑える方法としては、複数の業者から相見積もりを取り「最も安い価格提示の会社に依頼する」という方法をイメージする方が多いですが、防音工事に関してはこれ以外にも注意しなければならないポイントが多いです。防音工事は、目に見えない音の問題を解決するための工事であるため、単純な内装工事などとは異なる点に注意しなくてはいけないのです。費用が抑えられても、音の問題を解消できなかった…となると、工事を実施する意味がなくなってしまいます。
そのため、防音工事の費用を抑える時には、単にお金のことだけに注目するのではなく、どのような防音性能を求めているのか、性能面についてもきちんと確認しなくてはならないのです。ここでは、自分にとって最適な性能を持つ防音室をできるだけ安く作ってもらうためにおさえておきたいポイントをご紹介します。
①相見積もり
一つ目のポイントは、複数の業者から相見積もりを取るとという点です。相見積もりだけで決めるのは良くないのですが、相見積もりをせずに、1社だけの提案で契約を結ぶという行為は、防音工事に無駄なコストをかける結果になりがちです。
防音室を作るなど、本格的な防音工事を検討した時には、最低でも3社程度の業者に現地調査を行ってもらい、工事の提案と見積書の提出をしてもらうようにしましょう。なお、相見積もりを取る際には、必ず同じ条件を伝えたうえで、それに対する工事の方法と費用を提出してもらいましょう。異なる条件を伝えてしまうと、業者側の工事内容の提案がズレてしまうことになるので、当然、工事の見積り内容も違ってしまいます。この場合、いくら相見積もりを取っても、比較検討のしようがなく、あなたが求める防音工事の適正価格を見極めることが不可能になってしまうのです。
なお、防音工事の見積りに関しては、同じ内容、条件を伝えたとしても、A社が150万円、B社は250万円、C社は450万円などと、見積り金額に大きな格差が生まれることも珍しくありません。そのため、業者から提示される見積り金額になぜ誤差が生じるのか、異なる内容の見積りの中から自分に最適な内容を選ぶにはどこに注目すべきかをおさえておく必要があります。防音工事の相見積もりでは、以下のような点をおさえておきましょう。
- ・同じ工事なのに価格差が生じる理由
防音工事の相見積もりで、業者によってそれなりの価格差が生じてしまうのは、「遮音性能のグレード」「工法」「完成後の測定の有無や方法」「保証の有無や内容」が関係するからです。例えば、同じ防音室でも、Dr-35の性能を持つ部屋とDr-55と言った高性能な防音室では、使用する材料の量・グレードや工法、施工の手間などが大きく変わります。当然、高性能な防音室を目指すほど工事にかかる費用が高くなります。他にも、工事に性能保証が付いているのか、アフターフォローの体制がどうなっているのかなども価格に関係してきます。防音室は、一度作れば終わりなのではなく、定期的な点検やメンテナンスも必要になるので、初期費用だけでなく、将来的にどこまで面倒を見てくれるのかなども確認しながら、自分の希望にあう業者を選びましょう。 - ・同じ条件下で見積りしてもらうには?
先程紹介した通り、相見積もりは「同じ条件に対する提案」にしてもらわないと比較検討ができなくなります。したがって、業者に見積り依頼を出す際には、「防音室の用途」「使用する時間帯」「工事を施す建物の情報」「予算の上限」「優先事項(性能を重視するのか、予算を重視するか)」の5点については、事前に整理しておきましょう。この部分がズレしまうと、業者側の提案内容が変わってしまうので、見積り金額に大きな格差が生じて比較できなくなります。 - ・見積書の詳細を確認する
リフォーム工事の相見積もりでは、総額だけに注目していてはいけません。先程紹介した通り、安くても求めている工事の内容になっていないのであれば、その業者を選ぶ意味がないのです。まず、見積り書を確認して、工事の詳細がよくわからないような「一式」表記が多い業者は危険と思いましょう。防音工事は、採用する建材のグレードによって得られる遮音性能が明確に変わります。そのため、どのような建材を使って防音室を構築するのか、見積り書を見ればわかるよう、材料の品番まできちんと記載されているのか確認していきましょう。記載がない場合、業者に質問すれば良いです。この他、防音工事による性能の目標値やその性能を保証してくれるのかなども確認すると良いです。詳細な内容を確認したうえで、総額を比較すれば、見積り内容に価格差が生じている理由も分かるはずなので、1社に絞り込みやすくなるでしょう。
防音工事の相見積もりを実施する際には、上記のようなポイントに注目しながら、的確な比較ができるようにすることが大切です。いくら総額が安くても希望する性能が得られないのであれば、それにかけた費用の全てが無駄になってしまうので、結局は最も高い業者になる可能性があると考えてください。
②オーバースペックにならないようにする
二つ目のポイントは、最適なスペックの防音室になるようにするという点です。防音室は、その性能が高くなるほど工事にかかる費用も高額になっていきます。これは、高性能な防音室になるほど、壁内に充填する吸音材が厚みが増す、防音ドアなどの建具のグレードが高くなるため高額になることが要因です。
つまり、不必要なほど高性能な防音室を作ってしまうと、それだけ余計なコストを防音工事に支払う結果になるため、お客様側が損をすることになるのです。もちろん、予算を削りすぎて、性能足らずな防音室になってまうのも良くないのですが、余計なコストをかけないようにしたいと考えているのであれば、ジャストスペックな防音室の計画を立てなければいけません。
適正価格で的確な性能を持つ防音室を作るためには、以下のような点に注目すると良いです。
- ・防音室の用途を明確にする
一つ目のポイントは、防音室の用途を明確にしたうえで、工事の提案をしてもらうということです。防音室に必要な性能は、中でどのような音を生じさせるのかによって変わります。例えば、防音工事業者に「管楽器の練習用です」と説明していたのに、完成後にドラムの練習用として使用するとなると、ほぼ確実に防音室の性能が足らなくなります。立って演奏する管楽器は、振動対策がそこまで求められないのですが、ドラムなどの打楽器は、振動への対処が非常に重要になり、それを想定していなかった防音室で演奏すると、音漏れをおさえきれなくなるのです。防音室の目標性能は、完成後の用途によって大きく変わるので、どのような使い方を想定しているのかをよく考え、用途に合った防音室の計画を立ててもらうことが大切と考えましょう。 - ・防音室を使用する時間帯について
防音室に求められる性能を見極めるためには、「どの時間帯に防音室を使用する想定なのか?」をはっきりさせる必要があります。同じ用途の防音室でも、日中しか使用しないケースと夜間も使用するケースでは、求められる遮音性能が10~15dBも変わってくるのです。そもそも防音室は、室内で発生した音を完全に遮断することを想定していません。防音室は、室外の環境騒音レベルまで音を軽減することで、騒音トラブルなどを防止するのです。つまり、防音室の性能は、外部の環境騒音の大きさが大きく関係していて、雑音が多い日中しか使用しない場合は、多少の音漏れがあっても問題ないわけです。一方、周囲が静かになる夜間に使用することを想定する場合、しっかりと防音する必要があるため、高い性能が求められるといった感じになります。
自分に最適な防音室の計画を立てるためには、上記のような点に注目し、オーバースペックな防音室の計画になることを防がなければいけません。そうすることで、ジャストスペックな防音室の計画を立ててもらうことができ、防音工事に余計な費用をかけなくて済むようになるので、費用を抑える結果に繋がります。
③新築時に防音室を組み込む
防音室は、既存住宅にリフォームを施すことで導入する物というイメージを持っている方が多いです。しかし、新築住宅に組み込むことも不可能ではないのです。
そして、同じレベルの防音室を作るための費用について、リフォームと新築時に作るのでは、後者の方が費用を抑えることができます。実は、既存住宅に後付けで防音室を作る場合と比較すると、同様の仕様の防音室を新築時に組み込む場合、その費用は30~50%もコストを削減できる可能性があるのです。
ここでは、防音室を新築時に組み込んだ方が費用を抑えられる理由や新築工事に合わせて防音工事を実施する時の注意点について解説します。
- ・新築時に防音室を組み込んだ方が費用を抑えられる理由
リフォームで防音室を作る場合、既存の壁や床、天井などの解体から工事がスタートします。新築の場合、この解体工事が不要になるため、リフォームよりも安く抑えられるのです。また、新築住宅の構造材と一体施工が可能になる、養生や資材の搬入が効率化される、内寸の犠牲が無くなるといったような点も、新築時に防音室を作った方が良いとされる理由になります。ちなみに、新築に防音室を導入する場合でも、建売住宅を購入して、防音室を構築するという方法は、リフォームと同じ工程になるので工事にかかる費用も変わりません。あくまでも、注文住宅に防音室を組み込む場合に限ります。 - ・ハウスメーカーとの連携に注意
注文住宅の建築時に防音室工事を組み込むためには、ハウスメーカーや工務店との連携が重要になります。実は、ハウスメーカーの中には、新築工事に並行して、別の業者が防音工事を進めるといったスケジュールを認めていない場合があります。この場合、新築工事完了後に、別途防音工事業者に入ってもらう形となるので、費用の削減は実現できないでしょう。養生の部分など、いくらかの費用は安くなるかもしれませんが、リフォーム時と比較して30~50%の費用を削減できるというほどの効果は得られません。したがって、新築工事に並行して防音室工事を進めてもらいたい場合、新築住宅の建築を依頼する業者を決める前に「自分が選んだ防音工事会社と同時施工は可能なのか?」を事前に確認し、認めてくれる業者に新築住宅の建築を依頼するようにしましょう。
大手ハウスメーカーなどの場合、独自の工法などを採用していることから、新築工事に別の業者が関わってくるのを嫌います。そのため、ハウスメーカー側が選定した業者による防音工事なら認めてくれるものの、顧客が自分で見つけた業者による防音工事の同時進行は認めてもらえない可能性が高いのです。ハウスメーカーが指定する防音工事会社は、技術力があるのかどうかの判断ができませんし、中間マージンが上乗せされることで、防音工事部分の費用削減効果のメリットが少なくなるでしょう。
したがって、ジャストスペックの防音室をできるだけ安く導入したいと考えるなら、自分が選んだ防音工事業者が新築工事の途中に入ることを認めてくれる業者を選ぶことが大切です。
④補助金や助成金を利用する
最後は、補助金や助成金を活用するという方法です。実は、防音工事の中には、国や自治体の補助金が対象になるケースがあるのです。2026年であれば、「先進的窓リノベ2026事業」で最大100万円、「みらいエコ住宅2026事業」のリフォーム部門で最大100万円と言った、かなり手厚い補助金制度が活用できる可能性があります。
ただ、これらの補助金については、「防音」が目的な訳ではないという点に注意が必要です。国や自治体は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅の省エネ化、断熱化を推し進めるための補助金制度を作っています。例えば、窓部分の断熱対策のために二重窓工事をする、壁の断熱性を高めるため断熱材を充填するといった工事を実施する際、その工事費の一部を補助してくれるという制度になっているのです。
そして、住宅の断熱対策の中には、同時に防音性能を高めてくれるような工事が存在していて、それらのリフォームを実施する場合は、防音工事にかかる費用を軽減できるという結果が得られるわけです。あくまでも、「断熱・省エネリフォーム」が補助の主旨であり、純粋な「防音工事」単独では対象外となる点は注意が必要です。
まとめ
今回は、防音工事にかかる費用をできるだけ抑えるためのポイントについて解説しました。防音工事に限らず、リフォーム工事の費用をできるだけ抑えようと思えば、複数の業者に相談して相見積もりを行うことが大切とされています。これは、リフォーム工事は、店舗で売られている商品のように、定価と言うものがなく、お客様の要望に合わせて工事の計画を立てていくため、依頼ごとに費用が大幅に変わってしまうことが要因です。お客様側が、工事にかかる費用の相場を掴めていないことが多いので、1社だけの見積りで契約を進めてしまうと、割高な価格設定にされていたとしてもそれに気付けないのです。
ただ、防音工事に関しては、相見積もりが重要になるのは間違いないものの、これだけで依頼する業者を決めるのもあまり良くありません。業者側に伝えたあなたの要望が薄かった場合、どれだけ安い見積り金額だとしても、用途に耐えられるような防音室が出来上がらない可能性が高いのです。
記事内では、相見積もりする際の注意点や、業者にあなたの要望を正しく伝えて、最適な性能を持つ防音室を作ってもらうためのポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。