ピアノの運送・引っ越しにかかる費用とは?一般的なピアノの搬入費用相場をまとめてみます
新築一戸建ての購入を機に、自宅にピアノ専用の防音室を用意したいと考えた時には、専門業者に依頼して防音工事をする必要があります。防音工事は、一般的な住宅リオフォームと比較すると、どうしても割高な費用がかかってしまうことになるため、防音室工事の費用ばかりに注目する方が多いです。
ただ、新築への引っ越しの際には、楽器の中でも特に重量のあるピアノの引っ越しにかかる費用のことも頭に入れておかなければいけません。新築の購入を機に新たなピアノを購入する場合は気にする必要はないのですが、もともと所有していたピアノを新築に搬入する際には、ピアノの運搬・引っ越しにそれなりの費用がかかってしまいます。ピアノは、非常に繊細な楽器となりますので、家具などを運搬する一般の引っ越し業者ではなく、ピアノの運搬・搬入を専門とする業者に依頼することになり、引っ越しにはかなりの費用がかかってしまうのです。また、ピアノの搬入先の立地条件によっては、クレーン車を用意しなければならないなど、条件によってはピアノの運搬に驚くほどの費用がかかってしまう場合があります。
そこでこの記事では、これから新居への引っ越しを検討している方で、防音室を作りピアノの搬入を考えている方が知っておきたい、ピアノの運搬・引っ越しにかかる費用相場をまとめてみます。
ピアノの運搬・引っ越し前のチェックポイント
まずは、ピアノの引っ越しが必要になった際のチェックポイントを簡単に解説します。ピアノは、さまざまな楽器の中でも特に重量があり、さらにその仕組み上、繊細な取り扱いが必要です。運搬中にちょっとした衝撃を与えただけで、調律がくるってしまい思うような音が出せなくなる…なんてことも珍しくありません。そのため、ピアノの運搬は、一般の引っ越し業者ではなく、ピアノの運搬を専門としている業者に依頼すべきとされているのです。
新築の購入などで、ピアノの引っ越しが必要になった際には、事前知識として以下のようなポイントをおさえておきましょう。
ピアノの重量について
冒頭でご紹介したように、ピアノはさまざまな楽器がある中でも、最も重量のある楽器と言えます。防音室を作ってピアノの演奏を考えているということは、アップライトピアノやグランドピアノなど、アコースティックピアノを所有していると思うのですが、それではアコースティックピアノはどれぐらいの重さなのでしょうか?一般的なアップライトピアノとグランドピアノの重さは以下のような感じです。
- ・アップライトピアノの重さ:194kg(b113)~278kg(YUS5DKV)
- ・グランドピアノの重さ:261kg(GB1K)~415kg(C7X)
このように、小型のアプライトピアノでも、その重量はほぼ200kgと、成人男性の平均体重(70kg程度)で考えると、なんと3人分の重量となるのです。グランドピアノに関しては、小さい物でも成人男性4人分となるなど、非常に重量のある楽器だということが良く分かっていただけると思います。
搬入経路を検討する
ピアノの引っ越しを考えた時には、現在ピアノを置いている場所から新居までへの搬入経路について確認しなければいけません。上述したように、ピアノは楽器の中でも特に大きいという特徴があるため、既存の部屋からの搬出や新たな部屋への搬入について、問題なく持ち運べる経路があるのかが重要になります。
なお、ピアノの運搬の際には、ちょっとした衝撃などに耐えられるようにするため、ピアノ本体をクッション材などで包みます。ピアノを包むための緩衝材は、いわゆるプチプチなどと呼ばれるような薄い物ではなく、布性の緩衝材などを使ってしっかりと包むため、外寸は本体寸法よりも「+10~15cm」程度大きくなると考えてください。
ピアノの搬入経路については、部屋のドア、廊下、玄関ドア、エレベーターや屋外階段などの寸法を測り、ピアノの運搬が可能な経路があるのかをチェックします。この際には、先ほどご紹介したピアノの外寸に緩衝材の分を加えて、さらに人間一人が通れるぐらいの隙間が必要になります。グランドピアノは、脚部を外して縦にして運ぶことが多いので、縦にして通れる場所があれば問題ありません。
なお、新居の廊下や階段が狭くて通常の方法では持ち運べない場合、クレーン車を利用して窓やベランダから搬入する必要があります。ピアノの搬入方法については、専門家に確認してもらわなければ、なかなか判断ができない部分もありますので、ピアノの運搬を専門としている引っ越し業者に、上で紹介した寸法などを持って相談してみると良いでしょう。
ピアノの運搬・引っ越しにかかる費用相場
それではここから、本題であるピアノの引っ越しにかかる費用について解説していきます。ここでは、アップライトピアノとグランドピアノの運搬にかかる費用相場について、追加料金が発生する条件なども合わせてご紹介します。なお、ここで紹介する費用はあくまでも一般的な費用相場なので、詳細な費用は専門業者に依頼して見積りをしてもらいましょう。
ピアノの運搬にかかる費用について、運搬距離に応じて決まる「基本料金」に階段の有無やクレーン車の利用など、特殊な運搬条件の際に発生する「特殊作業料金」を加算する形で決まります。以下で、ピアノの運搬にかかる基本料金と、特殊作業料金の費用相場をまとめてみます。
アップライトピアノ・グランドピアノの運搬にかかる基本料金
まずは、ピアノの運搬にかかる基本料金の費用相場です。基本料金については、業者ごとに料金設定の区分が異なりますので注意しましょう。一般的に「近距離(30km程度)、50km以内、50~100km以内」などのように、距離によって加算される料金形態になっています。
■アップライトピアノの運搬費用について
- 近距離(30km)・・・18,000円程度
- ~50km ・・・20,000円程度
- 50~100km ・・・25,000円程度
- 100km以上 ・・・30,000円以上
■グランドピアノの運搬費用について
次はグランドピアノの運搬にかかる基本料金です。グランドピアノは、モノによって重量がかなり異なります。基本的に、重量のある大型の物ほど、同じ距離でも費用が高くなります。
- 近距離(30km)・・・30,000~70,000円
- ~50km ・・・35,000~75,000円
- 50~100km ・・・45,000~80,000円
- 100km以上 ・・・50,000円以上
グランドピアノは、小型、中型、大型と言った感じに、重量によって運搬費用が分けられています。
ピアノ運搬における特殊作業の分類と費用について
上述したように、ピアノの引っ越しにかかる費用は、距離ごとに決まる基本料金に、運搬方法などによって加算される特殊作業料金で決まります。例えば、集合住宅でピアノの搬入・搬出を行う際、エレベーターではなく階段を利用しなくてはならない、住居の階段が狭くピアノの搬入ができないため、クレーン車を利用して二階から搬入するといった場合に、特殊作業料金が発生します。
ここでは、ピアノの運搬における特殊料金の発生条件と、その費用相場をご紹介します。
■階段を利用してピアノを運搬する場合
エレベーターがピアノに対して小さい、またはエレベーターが無いといった建物の場合、階段を利用してピアノの運搬をしなければいけません。エレベーター利用時と比較すると、労力がかかりますので特殊作業料金が発生します。階段を利用して運搬する場合の特殊作業費用の相場は以下のような感じです。
- アップライトピアノ・・・1階ごとに5,000~8,000円
- グランドピアノ・・・1階ごとに6,000~10,000円
なお、エレベーターは、通常600kg以内の重さであれば搬入が可能とされているのですが、建物によっては独自のルールが設けられている場合もありますので、ピアノなどの重量物の運搬に利用しても良いか、事前に管理会社などに確認しておきましょう。ピアノの引っ越し当日に、エレベーターが利用できない…なんてことになると大変です。
■エレベーターを利用してピアノを運搬する場合
ピアノの運搬を依頼する業者によっては、エレベーターを使用する際でも特殊作業料金がかかる場合があります。これは、エレベーターの養生などの作業費として発生しているのだと思います。
- アップライトピアノ・・・1階ごとに2,000円〜3,000円
- グランドピアノ・・・1階ごとに3,000~6,000円
この費用は、発生しない業者もあるので、見積り時にしっかりと確認しましょう。
■クレーン車を利用してピアノを搬入する場合
建物の2階以上にピアノを設置する場合で、階段や廊下が狭くピアノを2階まで持ちあげることができない、階段の踊り場が狭いためピアノを回すことができないなどと言った場合、クレーン車を用意して、2階部分の窓やベランダからピアノを搬入しなければならなくなります。この場合は、当然、クレーン車を用意するための費用と特殊作業費がかかります。
- クレーン作業の費用・・・10,000円〜50,000円
クレーン車にかかる特殊作業費用は、ピアノの種類ではなく、クレーン車の大きさによって変わります。例えば、住宅の真横にクレーン車を止めることができる場合、小型のクレーン車でも問題なくピアノの搬入ができますが、電線などの影響で少し離れた位置にクレーン車を停車する必要がある場合、大型車両が必要になります。クレーン車は、車両が大きくなるほど費用が高くなります。
ちなみに、建物の2階部分にピアノを搬入する場合でも、クレーン車を横付けすることができない立地の建物もあります。この場合、「手吊り」と呼ばれる方法で、2階の窓からピアノを搬入することになります。手吊りは、滑車などを利用して人力で持ち上げる方法となるのですが、この場合の費用は3万円程度かかると考えておきましょう。手吊りの場合は、ピアノの重量があるものほど高くなります。
■その他の特殊作業料金について
上記以外にも、ピアノを解体して運搬する、外階段があるなどと言った時には、特殊作業費用が発生する可能性があります。
- 外段(10段ごと)・・・1階ごとに5,000円〜10,000円
- 解体・組立て・・・30,000~
上記以外にも、引っ越しのタイミングでピアノの調律を依頼するなどと言った場合、調律費用が別途かかります、
まとめ
今回は、新築を購入し、そこにピアノの防音室を作った際、防音工事以外にかかる費用として考えておきたい、ピアノの運搬・引っ越しにかかる費用相場をご紹介しました。
自宅でピアノの演奏を行う場合、近隣の方に配慮するため、専用の高性能防音室を用意しなければいけません。ピアノ用の防音室となると、6畳程度の部屋に防音室に作り替える防音工事で200万円前後の費用がかかってきます。そのため、ほとんどの方が「防音室を作るのに多額の費用がかかる」ということにだけ着目してしまい、ピアノの運搬費用が頭から抜け落ちてしまう…と言ったことになるのです。
記事内でご紹介しているように、ピアノは楽器の中でも特に大型で重量があります。また、音を鳴らす仕組みも複雑なため、ちょっとした衝撃で思うような音が出なくなってしまう繊細な楽器なのので、運搬は専門の業者に依頼しなくてはならず、そこには考えている以上の費用がかかってしまうということを覚悟しましょう。新築時に防音室を作ろうと考えている方で、ピアノの引っ越しが必要であれば、防音工事以外の部分に数十万円の費用がかかると想定しておくのがおすすめですよ。