低周波音と健康被害の関係性についてまとめてみます
近年では、低周波音が人間の心身に被害を与える話が有名になっていて、いわゆる低周波騒音に関する報道を見かける機会も多くなっています。これは、低周波騒音に対して被害を訴えている方が増加していることを示しているのですが、そもそも低周波音とはどういったもので、具体的にどのような被害が想定されるのかまでは知らないという方も意外に少なくありません。
そこでこの記事では、大きな音を「うるさい!」と感じる一般的な騒音問題ではなく、音量そのものはそこまで大きくないものの、人間の健康被害につながってしまう恐れがある低周波騒音について解説したいと思います。
そもそも低周波音(低周波騒音)とは?
近年、低周波音を原因とした騒音トラブルが増えていると言われたとしても「そもそも低周波音とは何?」「普通の騒音と何が違うの?」と言った感じに、どのような音なのかがイメージできないという方も多いと思います。
低周波音とは、周波数が1Hz~100Hzの間の音を指しています。ちなみに、周波数は音の高さを表す単位で、1秒間の往復運動の数のことです。皆さんも聞き馴染みがある「Hz(ヘルツ)」という単位で表されるもので、一般的な音の可聴域は20~20,000Hzと言われています。そして、周波数が高い音ほど高音の音となり、その逆に低いと低音となります。
低周波音とは、周波数が非常に低い音を指しています。なお、このような低い周波数の音は、もともと人間の耳が聞き取ることは難しいとされていて、人によっては音が生じていることを感じることすらできない場合もあるのです。しかし、低周波音を感じることができる人は、それにさらされることでストレスを感じるとされていて、過剰な低周波音に晒され続けると、さまざまな健康被害を引き起こす可能性があるとされています。
なお、私たちの身近にある低周波音の発生源は以下のような場所となります。
- ・換気扇や冷蔵庫などの家電製品
- ・エコキュートやエアコンの室外機
- ・船・バス・トラックなどのエンジン音
- ・大型機械を使用する工場
このように、低周波音の発生源は非常に身近な場所に存在します。中には、風などの自然現象により引き起こされる低周波音などもあるとされているのです。そしてこのような「健康被害を及ぼす可能性がある低周波音」が低周波騒音と呼ばれているのです。
低周波音による健康被害とは
それでは、低周波音が人体に与える影響についても解説します。低周波音は、もともと人間の耳が聞き取ることは難しいとされる音域の音で、全く気にならないという人も多いです。しかし、音に敏感な人の中には、低周波音が大きなストレスになる場合があり、低周波音にさらされることでさまざまな健康被害が生じてしまうとされています。低周波音による代表的な被害では、「何となく寝られない」「寝ていても起きてしまう」「圧迫感を感じる」と言った問題が多いのですが、さらに長期間低周波音にさらされると、頭痛や手足のしびれなどの症状を発症することもあるとされています。
また、東京都環境局のサイト内でも、低周波音について特集しており、低周波音による影響として、「心身に係る影響」と「物的影響」の二つがあると指摘しています。具体的な影響については、以下に引用します。
心身に係る影響
不快感や圧迫感などの、人への影響があります。人が低い周波数の音を聞く(あるいは感じる)ことにより発生します。なお、人の感覚は周波数が低くなるほど鈍くなるので、周波数が低くなると、かなり大きな音量でないと、人は感じ取ることができません。
これまでの研究によると、私たちの生活環境の中で発生する程度の低周波音の大きさでは、人への直接的な生理影響を及ぼす可能性は少ないと考えられています。
物的影響
窓や戸の揺れ・がたつきなどの、建具への影響があります。低周波音が、窓や戸を振動させることにより発生します。
低周波音に対する建具の反応は、低い周波数では人の感度よりも良く、より小さい音量で、窓や戸ががたつく場合があります。
引用:東京都環境局webサイトより
低周波騒音による健康被害では、以下のような症状が身体に生じる方もいるようです。
- ・頭痛や常に帽子をかぶっているような圧迫感を感じる
- ・肩こり、しびれ、足がだるい
- ・吐き気、めまい、動悸、息苦しさ
- ・作業に集中できない、イライラ、不眠
上記のように、日常生活に支障がのある症状が出る方も少なく内容です。
低周波音は対策できる?
それでは最後に、低周波音に悩んだ時、音の問題を解消するためにどのような対策を施せば良いのかについて解説します。低周波音の発生源はさまざまな原因が考えられますが、一般住宅で起こる低周波騒音の問題は、エコキュートなどの住宅設備や近所の工場などが使用する大型機械が要因となっている場合が多いです。したがって、これらの機器から低周波音が発生しないようにするという対策が最も有効です。
例えば、エコキュートやエアコンの室外機が低周波音の発生源になっている場合、音の発生源となっている機械を囲ってしまうことで外に音が伝わらないようにするという対策が有効です。この他には、振動音が生じないようにするため、脚部に防振ゴムを設置し、低周波音の発生そのものを防ぐという方法もあります。
過去にあった低周波騒音の事例では、音の発生源は設置されている施設を干渉型の壁で囲うという対策や、コンクリートブロックを建てて騒音源側に吸音材を貼り付けるといった対策で、苦情が解決できたというケースもあります。
ただ、低周波音による騒音トラブルは、騒音源となる機器がさまざまあるため、何が騒音を引き起こしているのかを特定することから始めなければいけません。専門知識のない方であれば、騒音源の特定はなかなか難しいので、苦情を言われた、低周波騒音に悩んでいる…という場合は、お気軽に弊社までお問い合わせください。