集合住宅なら必須?床の防音対策の基礎知識について

新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークが当たり前となってきた現在では、在宅時間の増加による騒音トラブルが急増していると言われています。特に、大阪や東京などの都市部では、マンションなどの集合住宅で生活する方が多くなっており、ちょっとした生活音が原因となるご近所間のトラブルが多くなっています。

マンションやアパートなどに住む場合、ライフスタイルが全く異なるご家庭と、壁一枚、床一枚で生活空間を隔てることになり、本当に悪意などなくても騒音トラブルに発展してしまうこともあるのです。特に問題となっているのが、上階から聞こえてくる足音が気になってしまう…という問題です。もちろん、人が歩いている時には、多少の音が生じてしまうのは致し方ない事なのですが、建物の構造によっては階下により大きな音として伝わってしまう場合もあり、自分が気付かないうちにご近所との関係が悪化してしまうなんてケースも少なくありません。
そこでこの記事では、マンションなどの集合住宅で生活する場合、皆さんがおさえておきたい床の防音対策の基礎知識をご紹介していきます。

集合住宅にするなら防音の知識は必須!?

人が日常生活を進めていく上では、完全な無音状態で生活することなど絶対に不可能ですし「多少の音はお互いさまでは?」と思ってしまう方が多いです。しかし、SUUMOジャーナルが行った調査によると、近年マンションなどで起きているトラブルについては、なんと『騒音』に関するものが最も多いという結果が出ています。さらに、この調査によると、約半数となる45.9%の方がご近所から聞こえてくる音の問題に対して「不満を感じている…」と答えていたそうです。なお、マンションなどでの騒音トラブル原因は、以下のような音の問題だそうです。

  • 住人の話し声
  • テレビやチャイムの音
  • 上階の足音
  • ペットの鳴き声

音の問題は、距離が近ければ近いほど発生しやすいものですので、他のご家庭と壁や床一枚で接しているマンションやアパートでは、いつ起こってもおかしくないのが騒音トラブルだと考えなければいけません。
特にコロナ禍の現在では、テレワークが一気に普及するようになっており、昼間も自宅で仕事をしているというご家庭が増加しています。そのため、小さなお子様がいるご家庭で、子供が走り回ってしまうと、階下に「ドタドタ」といった足音が響いてしまい、騒音トラブルに発展してしまうのです。ちなみに、過去には上階に引っ越してきたご家庭の子供が昼夜を問わず室内を走り回ることで、騒音によって健康被害が生じた…と裁判沙汰にまで発展したケースもあります。そしてこの裁判では、音を生じさせた家の対策が不十分だったと判断され、損害賠償が認められたのです。

この事例からも分かるように、マンションなどの集合住宅で生活する限り、周辺住民に十分に配慮して生活を進めなければいけません。そのためには、自分自身も防音の基礎知識を学び、迷惑をかけないように対策を施す必要があると考えましょう。

音にも種類があるって知っていますか?

近隣への配慮として、防音対策を考えた場合、音の種類について知っておかなければいけません。一口に『音』といっても、大きく分けて2つの種類が存在しています。

  • 空気伝搬音
    空気中を伝わって聞こえてくる音で、テレビの音や話し声、犬の鳴き声などが該当します。
  • 固体伝搬音
    振動が壁や天井などの構造物を伝わって放射される音です。

このように音にも種類が存在しています。例えば、トラックなどの大型車が家の前を通った際、床が揺れることがあるのですが、これも個体伝搬音に該当します。また、上階から聞こえる足音や、ドアや窓を開閉する時の音も個体伝搬音で、これらは振動を通じて伝搬することから、空気伝搬音よりも早く伝わります。
個体伝搬音は、音が伝わるスピードが速いことから、音の発生源の特定が難しいという特徴があります。実際に、マンションなどの騒音トラブルでは、「隣の家の音が…」と思っていたものが、実は下からの音だったなんて場合も少なくありません。日常生活の中には、さまざまな個体伝搬音がありますので、こういった音の特徴も掴んでおく事が大切です。

そして、こういった音の問題を防ぐのが防音対策になります。どういった音が悩みなのかによって、適切な対処をする必要があるのですが、問題となっている音の発生源との間に壁を増やすなどといった手法で、騒音が気にならなくなるなんてことになるのです。

床の防音でも、音に種類がある

次に、マンションなどでおきやすい「上の階から聞こえる音がうるさい…」といった場合に知っておきたい知識です。一般的に、床が原因となる騒音は床衝撃音と呼ばれるのですが、これにも「軽量床衝撃音」「重量床衝撃音」という2種類が存在します。それぞれの音は、以下のようなものです。

軽量床衝撃音とは

軽量床衝撃音は、床にスプーンなどを落とした時に生じる「カチャン・コツン」などといった乾いた硬い音の事を指します。ちなみに、椅子を引いたときに生じる音も、少し鈍い音ですが軽量床衝撃音に分類されます。
こういった音は、床材によって響き方が異なるのですが、階下の人にとっては騒音と判断してしまう場合があります。

重量床衝撃音とは

重量床衝撃音は、「ドタン」「ドスン」といった、重く響く音を指しています。
例えば、子供が走り回る時の足音や、ソファーなどから飛び降りる際に生じる響く音で、建物の構造によっても響き方が変わります。こういった音は、階下に揺れと共に鈍い音が響いてしまうことになるため、ほとんどの方が騒音と受け取ってしまうものです。小さなお子様がいるご家庭であれば、しつけを行うのはもちろん、防音対策をきちんと行っておくのがオススメです。

床の防音対策とは?

それでは最後に、それぞれの音に対する有効な防音対策について簡単にご紹介しておきましょう。

軽量床衝撃音への対策

物を落とした時の軽い音や椅子を引いたときに生じる音の対策であれば、床との間にカーペットやマットなど、吸音効果がある何か柔らかいものを敷くことがとても有効です。もちろん、カーペットなら何でも良いというわけではなく、きちんと防音性能を所持した製品を選択するようにしましょう。
最近では、自分で簡易的な床の防音対策が行えるように、ネット通販やホームセンターなどで防音性の高いタイルマットやカーペットが販売されるようになっています。したがって、階下の家のリビングの上になる部屋には、そういったアイテムで防音対策を施すといった手法がオススメです。
なお、床材の中には、防音性や遮音性を高めたものがありますので、念入りに防音対策をしたいという場合、専門業者に依頼して、床材を交換するのがオススメです。室内で犬や猫を飼っている場合、フローリングと爪が接触する音が階下に迷惑をかけてしまう…なんてことが多いので、その対策としても有効です。

重量床衝撃音への対策

重量床衝撃音の対策とすれば、カーペットなどを敷く…といった対策だけでは心もとないと考えましょう。もちろん、とても厚みのあるマットレスなどを敷き詰めれば効果的ですが、日常生活をまともにおくれなくなってしまいますよね。

重量床衝撃音は振動が構造体を伝わって響いていく音ですので、構造体が揺れないように固定するという手法が一種の対策と考えられます。したがって、床スラブを厚くする、あるいは重くするなどの工事が必要です。要は、自分たちだけでなんと防音対策をしよう…という考え方は現実的ではないということです。
小さなお子様がいる、大型犬を室内で飼っているといったご家庭であれば、騒音トラブルを防ぐため、しっかりと床の防音対策を行っておく必要があると考えましょう。基本的には、専門業者に現在の悩みを伝え、必要な対策を提案してもらうという方法が最も安心です。

まとめ

今回は、集合住宅で増加していると言われている騒音トラブルについて、特に重点的に対策を行っておきたい床の防音対策についてご紹介してきました。

この記事でご紹介したように、防音の難しさは、音そのものに種類が存在しており、どの音を防ぎたいのかによって必要な対策が変わってきてしまうという点です。つまり、ネット通販で防音対策のアイテムをあれこれと購入して、自分で対策を行ったとしても、見当はずれの対策であれば、お金も時間も労力も無駄になり、「対策したのに苦情が来た…」なんてことになるのです。

防音工事は、住宅リフォームの中でも特に専門性が高いものですので、少しでも不安がある場合は、専門業者に相談するのがオススメです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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