防音工事に関する素朴な疑問。工事打合せ時にお客様から良くいただく質問にお答えします。
新型コロナウイルスの影響で、在宅時間が長くなっている現在では、防音工事の需要が非常に高くなっています。防音工事は、プロの演奏家など、自宅でも長時間楽器の演奏を行うという方や、飛行場の近くに住んでいることから補助金を利用して防音工事を行うなど、少し特殊な環境下にある方が行うものというイメージが強いのではないでしょうか?
実際に、楽器の防音室などになると、6畳程度の部屋を防音室にするのに150~300万円程度のコストがかかってしまうなど、誰でも気軽に手を出せるような工事ではないのも事実です。そのため、一般の住宅リフォーム工事と比較すれば、防音工事に関する知識を持っている方が非常に少なく「防音対策をしたいけれど、高いし少し不安…」となってしまう方が多いのです。弊社がお問い合わせを受けて、お客様とお打ち合わせさせていただくときでも、さまざまな質問を受けていますので、この記事では打ち合わせ時によく質問される代表的な疑問についていくつかここでお答えさせていただきます。
防音工事に関するよくある質問
防音工事に関しては、非常に専門性が高いと言われることや、通常のリフォームよりも施工費が割高になってしまうという点から、工事契約前にさまざまな不安が頭をよぎるという方が多いです。
もしあなたが、防音工事を行う前に、何らかの疑問や不安があった場合には、それを胸の内にしまうのではなく、業者にきちんと質問するのがオススメです。というのも、防音工事は、音の問題を解消するために行うものなのですが、音は実体のない物ですので人によって感じ方が異なってしまい、細かな要望まできちんと伝えておかなければ、満足のいく性能に達しない…なんて場合があるのです。せっかく高額な費用をかけて工事を行うのですから、絶対に失敗しないためにも疑問や不安、要望はすべて業者に伝えるようにしましょう。ここでは、弊社がお客様とお打ち合わせをさせていただく際、現場で良くいただく代表的な質問とその答えをご紹介していきます。
①防音工事をすると部屋が狭くなると聞いたのですが?
この質問は非常に多いです。防音工事関連のサイトなどでも「防音室を作る場合、部屋が狭くなることに注意!」などと説明されていることから、防音工事の全てにおいて部屋が狭くなるというイメージを持っている方が多いです。
この質問の答えに関しては、防音室を作る場合は基本的に狭くなるとなります。一般的に、6畳程度のお部屋をピアノ室にするという場合、0.8畳程度は狭くなると考えておきましょう。ただし、窓の防音工事など、部分的な防音工事の場合は、部屋の広さは関係ありません。近年では、新型コロナウイルスの影響から、プチ防音工事を希望する方が増えているのですが、部分的な工事の場合は、そこまで部屋の広さに影響は出ないと考えても構いません。どちらにせよ、部屋の広さに何らかの影響がある場合は、事前に業者側から言ってくるはずです。
②新築時に、防音室を作る事は可能ですか?
防音室は、新築時に作っておいた方が、安価に工事を進めることが可能です。また、防音工事にかかる費用も、金利の安い住宅ローンに含めることができるというメリットもありますので、将来的に必ず防音室が欲しいと思っている場合、新築時に施工するのがオススメです。
弊社で行う防音工事に関しては、ハウスメーカーやハウスビルダーなどへも防音設計の提供やアドバイスを行っており、新築時に防音工事を行うことは可能です。ただし、ハウメーカーによっては、指定業者を使わなければならないなどの制限がある場合もあり、そういった場合は指定業者と話を進めるしかないでしょう。
③オーダーメイドの防音室とユニット式は何が違うの?
防音室についても、お客様の要望に合わせて部屋を防音室に作り替える工法と、部屋の中にプレハブ小屋を組み立てるようなユニット式の2つの種類があります。
ユニット式の防音室の場合、比較的安価に防音室を作る事ができる点や、部屋の解体・改修工事が生じないため、工期も短いというメリットがあります。また、組み立て式ですので、引っ越しの際も解体して持っていき、再度組み立てるなんてことも可能です。デメリットとしては、防音室内が狭く、演奏や音響に問題が生じるということや、防音性能が決まっているという点です。
一方、オーダーメイドで防音室を作る場合、お客様の希望に合わせて部屋を一から作っていきます。演奏のしやすさはもちろん、室内音響の面も考えて防音室を仕上げていきますので、防音室としての性能はユニット式よりも高くなります。デメリットは、工事にかかる費用が高くなることや、完成までに時間がかかることです。
防音室を施工できるような防音工事業者であれば、どちらの防音室も対応できますので、ご予算や利用目的に合わせて必要な防音室を選ぶと良いでしょう。
④防音工事でどれぐらいの音が止められるの?
こういった質問は非常に多いのですが、一概に「〇〇dB下がります!」とは言えないのが実情です。というのも、防音室の遮音性能に関しては、部屋の有効面積や元々の家の構造、どういった工事を行うのかによって全く変わってきてしまうからです。
また、お客様によっても必要な遮音性能は変わってしまいますので、案件によって施す対策も変わってきてしまいます。まずは、何のための防音工事なのかといった目的や、対策を行いたい音の種類をお伺いしながら提案するといった形になると考えてください。
最終的には、お見積りと一緒に保証できる防音性能を提示してから実際の工事に入るという流れになります。
⑤現地調査は費用がかかりますか?
一昔前までは、住宅リフォームの現地調査で費用を請求するということも珍しくなかったようですね。しかし、現在では、どのような工事であっても、お見積りの提出まではどこも無償で行っていると思います。
極端に遠方の場所で、多額の交通費がかかるといった場合は、交通費のみは請求されるなんてこともあるかもしれませんが、その場合は事前に交通費がかかる旨を伝えてくると思います。心配であれば、問い合わせ時に「現地調査費用は掛かりますか?」と確認しておきましょう。
⑥木造とコンクリート造で防音工事費は変わりますか?
防音工事を行った場合、その部屋自体の重量が重くなってしまいます。そのため、木造の場合は防音室の荷重に耐えられない場合、事前に補強工事が必要になることがあります。そういった意味では、補強工事の分だけ木造の方が余計な費用がかかってしまうと言えるかもしれませんね。
単純に防音工事に関する費用だけで言えば、木造かコンクリート造か、戸建てか集合住宅かといった問題ではなく、どの程度の遮音性能を求めるのかによって費用が変動すると考えましょう。
⑦住みながら工事は進められますか?
防音工事は、どこか一室のみをリフォームするという工事ですので、その工事のためにわざわざホテルなどを借りて避難しておく…などしたくないと考える方が多いです。そのため、ほとんどの場合、「住みながら工事はできますか?」と質問されます。
これに関しては、少し不便な思いをする可能性がありますが、住みながらの工事自体は可能です。防音工事を進める場合、工事を行う場所以外にホコリなどの影響が出ないよう、しっかりと養生を行ったうえで施工を進めます。そのため、防音工事をする部屋以外では、普通に日常生活を進めることも可能です。ただし、工事の際には多少の音が生じますし、廊下などは資材の搬入や職人の通路として使わせていただく必要があります。
⑧工事の前に防音室の効果を実感してみたいのですが?
防音工事は、それなりに高額なコストがかかってしまうことになりますので、「お金をかければどんな性能になるのか?」を事前に体験しておきたいと考えるお客様は多いです。
こういった場合でも、弊社が用意している防音室のモデルルームがありますので、安心してください。弊社では、一般住宅での防音工事をイメージしやすいように、築年数の経過した木造住宅にて、防音室のモデルルームを作っています。そこで、楽器の音がどれだけ小さくなるのかを自分の耳で体験することができます。
モデルルームでの体験は、お問い合わせフォームからご予約ください。
まとめ
今回は、防音工事を行おうと考えている方が、実際に工事をする前に不安に感じてしまうポイントをご紹介してきました。この記事でご紹介した内容は、実際に弊社がお客様から頂くことが多い質問ですので、共感できる物も多かったのではないでしょうか?
防音工事は、見た目上、そこまで専門性が高いように思えないのに、見積り金額が通常のリフォームよりも高いことから「本当にここまでのお金をかけても良いものなのか?」と不安に感じてしまう方が多いのかもしれませんね。しかし、業者にきちんと質問すれば、なぜ通常の工事より高くなってしまうのかを理解できるまで説明してくれるはずです。
防音工事は、専門知識と高い技術が必要なのはもちろん、使用する材料も通常のリフォーム工事よりも多くなることから、施工費が高くなってしまうという側面があります。さらに、防音ドアなどになると、一般的なドアなどとは比較にならないほど高額ですので、材料費の段階で高くなってしまうのです。
どちらにせよ、防音工事にかかる費用は、どこまでの遮音性を求めるのかによって変わりますので、余計なコストをかけないようにするには、あなたの要望を明確に伝える必要があると考えておきましょう!