環境騒音とは?防音工事をお考えの方がしておきたい知識について
これから、何らかの目的で自宅の防音工事を検討しているという方は、環境騒音に関する知識を持っておくべきと言えるでしょう。日常生活を普通に進めているだけであれば、環境騒音という言葉の意味などあまり考えることはなく、何を指していて、どういったものなのかイマイチ分からないという方が多いと思います。しかし、騒音問題や、防音対策について調べてみると、かなりの頻度で環境騒音という言葉を目にすることになると思います。
そこでこの記事では、環境騒音が何を意味しているのか、また防音工事を行う際に、環境騒音の意味を知っておくべきと言われる理由などについて解説します。
環境騒音とは
それではまず、「環境騒音とは何を指すのか?」について解説していきます。言葉の意味を紹介している、インターネット辞書サービスでは、以下のような解説をされています。
特定の騒音源を問題にしないとき,どんな場所にも存在するすべての騒音の総和をいう。たとえば,遠くの道路からの自動車騒音,遠方での話し声,換気装置の音,工場からの機械音などの総和のことである。特に特定の音を対象とするとき,それ以外の音を暗騒音または背景騒音ということがある。これを一般化して,通信,情報理論において対象とする通信,情報以外の騒音を暗騒音または背景騒音という。
引用:コトバンク
私たちが日常生活を進める上では、完全に無音で過ごすことなど不可能と言っても良いでしょう。誰もがさまざまな音の中で過ごしているのですが、環境騒音とは、そういった私たちを取り巻く、自然発生的な音の総称です。例えば、雨が降る時の音や風の音、家の前を通る車の音や子どもの遊ぶ声などはどこにいても聞こえてきます。この他、エアコンを使用する際の空調機器の音や冷蔵庫の音など、家電製品が発生させる音も環境騒音に含まれています。
ちなみに、こういった環境騒音に関しては、夜と昼間では、一般的に夜の方が小さくなるものです。皆さんも、昼間と夜では、同じテレビを見るにしても、夜の方が音を小さくしているという方が多いのではないでしょうか?実は、夜間の方が建物内外の環境騒音が小さくなることから、同じ音量でテレビを見ていても、夜の方がうるさく感じてしまい、ボリュームを下げる人が多いと言われています。
夜間の方が騒音を感じやすい理由は?
環境騒音は、人の活動による雑音が原因となりますので、人の活動量が減少する夜間の方が環境騒音は小さくなります。
しかし、皆さんも経験があると思うのですが、環境騒音が小さくなる夜間の方が「うるさいな…」と感じた経験が多いのではないでしょうか?実は、夜間の方がさまざまな音に敏感になるのは、いくつかの原因が存在しています。
人のアルゴリズムが関係している
夜間の方が音に敏感になるのは、人のアルゴリズムが関係していると言われています。
一般的に、人は、太陽が落ちて暗くなってきてから数時間で寝る体制に向かうアルゴリズムができていると言われています。そして、就寝に向かって、だんだんと、耳が敏感になっていくとされているのです。
上述しているように、夜の方が環境騒音全体としては小さくなるのですが、その中に少しでも大きな音が存在してしまうと、かえってその音が気になってしまい「目がさえて眠れない!」となるわけです。こういった理由で、しっかりした防音室を用意せずに、夜間に楽器の演奏などを行うと、苦情に繋がってしまう可能性が高くなるわけです。
環境騒音と騒音の関係
上述しているように、人間の活動量が多い昼間の方が環境騒音も大きくなる傾向にあります。したがって、昼間に生じさせる騒音については、環境騒音に紛れてしまうことになるので、多少の音漏れであれば騒音が目立たなくなり、苦情に繋がる心配が少なくなくなります。
しかし、夜間になると、騒音を隠してくれる環境騒音が小さくなってしまいますので、昼間と同程度の騒音を出しただけであっても、音が目立つことになり苦情に繋がる可能性が高くなります。例えば、エアコンの室外機の音についてですが、昼間は隣居の室外機の音など全く聞こえていないのに、夜間になるとうるさく感じてしまう…という経験はありませんか?この場合、「昼間は留守にしていたから」と考えてしまいがちですが、実は環境騒音と騒音の関係上、室外機が生じさせる騒音が気にならなかっただけの可能性も高いのです。
防音工事を行う時には、こういった自然発生的な環境騒音のことを頭に入れておくことで、防音工事にかかる費用を節約することも可能です。例えば、楽器演奏用の防音室を作りたいと考えている方の場合、環境騒音がそれなりにある昼間しか演奏しないようにすることで、防音室に求められる性能を低くすることが可能です。昼間は、人間の活動によりさまざまな音が溢れていますので、多少の音漏れがあったとしても、環境騒音に紛れることで、騒音が目立たなくなります。
環境騒音と騒音の違いについては、明確な指標などはありません。上述しているように、環境騒音は自然発生的な音ではあるのですが、人によって「家の前を通る車の音」を騒音と感じる場合もあるでしょう。要は、ある音について、人が不快、うるさいと感じる音は総じて『騒音』と判断しても良いと思います。
つまり、一般的に美しい音色などと表現されるような楽器の音であっても、近隣に住んでいる方が「うるさい」と感じる場合は、騒音とみなされてもおかしくありません。騒音の線引きは、自分がどう感じるかではなく、相手側がどう感じるかが重要ですので、一定の配慮が必要です。
まとめ
今回は、一般の方にとってはあまり耳にする機会が無い環境騒音について解説してきました。環境騒音は、日常生活を進める上ではそこまで気にする必要のない用語です。しかし、いざ自宅に防音室を作ろうと考えた時には、非常に重要になるものだと考えてください。というのも、環境騒音は、人が生活を進めるうえで自然発生的に生じる音の総称で、誰もが環境騒音に囲まれて生活を進めているのです。
自宅で楽器の演奏などを考えて防音室を作る場合、「音漏れをゼロにしなければ…」と考えてしまう方が多いのですが、環境騒音に関する知識があれば、必要以上の防音性能を発揮させるため、無駄なコストをかけなくて済むように調整が可能なのです。例えば、自宅周辺に存在する環境騒音が45dBであった時、防音室からの音漏れはどの程度まで許容できるでしょうか?これについては、45dBの音が漏れていたとしても、周辺の環境騒音に紛れてしまうことになるので、十分な防音性能を発揮できていると判断できるわけですね。
防音室を作る時には、「完全に音を漏らさないようにしなければ…」と考えてしまうものですが、実はそうではなく、周辺に存在する環境騒音なども含めて、最適な性能を判断する必要があります。そして、それをすることで、必要以上にコストをかけなくても、苦情の来ない防音室が作れるようになるわけです。