マンションで防音室を作る時の基礎知識について

近年では、マンション暮らしの方が増加していますが、それに伴ってマンションに住む方からの防音工事の相談が増えています。マンションは、木造などよりも遮音性が高い鉄筋コンクリート造ですし、新築マンションであれば音の問題は抱えにくいと考えている方も多いのではないでしょうか?確かに、最近建築された築浅のマンションであれば、建物の構造もしっかりしているうえ、隣家との境界壁も分厚くなっていますので、多少の生活音などであれば、騒音に悩まされるケースは少ないと考えられるでしょう。

しかし、いくら遮音性が高い構造の建物だったとしても、楽器の演奏など、想定以上の大きな音を出した場合、普通に迷惑になるほど音漏れしてしまいます。さらに、コロナ禍になってからは、多くの企業がテレワークを導入しており、昼間も在宅する人が増えてきたことから、今までは問題とならなかった音関連のトラブルを抱えてしまう方が急増していると言われています。

そこでこの記事で、マンションなどの集合住宅に住んでいる方に向け、防音室を導入する時の注意点や、どういった方が防音室の導入を検討すべきなのかをご紹介します。

マンション防音室を作る際の注意点について

それではまず、マンションに防音室を作ろうと考えた方が注意しておきたいポイントをいくつかご紹介していきます。分譲マンションなどであれば、自分が購入した物件だし、防音工事は自由に行って良いと考えている方が多いです。実際に、思い立ったが吉日という考えで、すぐに防音工事業者に問い合わせしてみるといった行動が正解と考えている方も多いのではないでしょうか?

確かに分譲マンションであれば、大金をかけて購入したわけですし、より住み良い住空間にするためのリフォームは住人さんの考えで行えると考えて間違いありません。しかし、防音工事の場合、いくつか注意しておかなければならないポイントがありますので、まずは以下のような点を確認してみましょう。

ポイント①管理規約を確認

マンションに住んでいる方が、防音室を作るといった本格的なリフォーム工事を検討した場合、最初に管理規約を確認しなければいけません。というのも、マンションなどの集合住宅は、さまざまな考えを持った人が、同じ建物内に住むことになるため、守らなければならないルールが管理規約として定められているのです。

例えば、防音工事を検討した時に注意しておきたいのは、「そもそも楽器の演奏は許されるのか?」「窓のリフォームは許されるのか?」「防音工事は認められているのか?」の確認は最初にしておきましょう。というのも、分譲マンションは、室内は購入した住人さんのものなのですが、窓や玄関ドアについては共用部分に分類されている物件が多く、防音性を高めたくても窓そのものの工事が認められないケースがあるのです。さらに、楽器防音室を検討している方は、楽器演奏に関するルールが定められていないかをきちんと確認しておきましょう。中には、防音工事するかしないかの問題ではなく、「楽器の演奏は禁止」といったルールが設けられているケースがあります。この場合、防音工事を行ったとしても楽器の演奏ができない可能性があります。

いずれにせよ、集合住宅で本格的な工事を行う場合、管理組合の許可が必要になりますので、ルールなどもしっかりと確認しておきましょう。

ポイント②遮音性が特に高い高性能な防音室について

マンションの場合、いくら物件の所有者だからといって、建物全体に影響を及ぼすようなリフォームはできません。例えば、部屋そのものの重さに制限があるということを忘れないようにしましょう。

というのも、防音室は、部屋の中に部屋を作るといった工事になりますので、通常の居室と比較すると圧倒的な重量になってしまいます。特に、ドラムなどの振動にも対応できるような高性能な防音室を作る場合、防音室の重量を無視することができません。
一般の戸建て住宅でも、強固な防音室を作る場合、まずは床の補強や耐震補強工事を行ったうえで、防音室の工事に入るなんてこともあります。しかしマンションの場合、2階以上に防音室を作りたいとしても、構造上、床の補強工事などを行うことができません。

したがって、マンションの1階部分であれば、自由に防音室を設計できるのですが、2階以上になると「重さの関係で実現できない」可能性があると考えておきましょう。なお、1階部分の床の補強工事に関しては、管理組合の許可が必要ですので、「1階部分ならドラム対応の防音室が必ず作れる」というわけではありません。

ポイント③ニーズに合った防音室を選ぶ

防音室は、決して安い買い物ではありませんので、自分にとって最適なスペックの防音室がどのタイプなのかを検討することが大切です。

音漏れや音の侵入を防ぐために行うものですので、「よくわからないし一番良いものにしておこう!」などと考えてしまう方もいるのですが、あなたにとって不必要なハイスペックな設備を選んでしまうと、無駄に費用をかけてしまうことになります。もちろん、その逆に、費用の節約ばかりを考えると、防音室を作ったのにクレームが来てしまう…など、何の役にも立たない工事にお金をかけてしまうことになるのです。

自分の望む結果を実現する防音室を作るには、一番最初にニーズに合う防音室がどのタイプなのか、また防音室を設置するマンションの条件に合う防音室はどれかなど、しっかりと検討しましょう。以下に、防音室のタイプを簡単にご紹介しておきますので参考にしてみてください。

■一室まるまる防音リフォームをするのがオススメなケース

  • ・マンションの利用規約などで、防音工事が制限されていない場合
  • ・防音性能だけでなく、住宅内で統一感のあるデザインにしたい場合
  • ・防音室の内装にこだわりたい方
  • ・楽器防音室など、高い防音性能を求めている場合
  • ・将来的に引っ越しする可能性が低い場合

■ユニット型防音室がオススメなケース

  • ・費用を抑えて防音室を実現したい場合
  • ・将来的にその家から引っ越す可能性がある場合
  • ・できるだけ早く防音室を使いたい場合
  • ・デザインや住居の統一感などにこだわりが無く、特定の場所で防音ができるという機能が実現できれば良い

■部分的な防音工事がオススメなケース

  • ・生活音程度を防音できる性能があれば良い場合
  • ・子供が受験を控えている、テレワークの為など、仕事や勉強に集中できる部屋を作りたい場合

防音室は、ニーズによって必要な性能が大きく変わりますし、どのような防音室にするのかは最初に決めておきましょう。

防音室を作ることがオススメな人

それでは、そもそも防音室を必要とするのはどういった人なのかについて簡単に解説していきましょう。上でも少し触れているように、防音室は決して安い買い物ではなく、例えば6畳の部屋をピアノ用防音室にフルリフォームするとなった場合、200万円前後の費用が普通にかかってしまいます。

それでは、ここまでのお金をかけてまで、自宅に防音室を設置すべきと考えられるのはどういった方たちなのでしょうか?ここでは、費用をかけてでも防音室を実現するのがオススメと言える方の特徴をご紹介しておきます。

①自宅で楽器の演奏をしたい人

マンションでも戸建て住宅でも、自宅で自由に楽器の演奏がしたいという場合、高性能な防音室が必要不可欠です。特に、マンションの場合、他のご家庭との距離が非常に近いこともあり、防音室なしで楽器の演奏をした場合、ほぼ確実にクレームになると考えておきましょう。

マンションに楽器用防音室を設置する場合には、必ず管理規約を確認しておくようにしましょう。最近では少なくなっていますが、マンションの中には、防音工事の有無にかかわらず、近隣トラブル防止を目的に楽器の演奏が禁じられているケースがあります。

②動画配信や歌・セリフの録音を考えている場合

YoutuberやVtuberという言葉を頻繁に耳にするようになった現在では、誰でも簡単に動画配信を始められるような状況になっています。動画の配信だけを考えると、スマホが一台あれば可能な時代ですし、当たれば大きな収入が期待できることから、動画配信に興味を持っている方は意外に多いのではないでしょうか?

ただ、実際に動画配信をスタートする場合には、人の声は意外に響いてしまうという点を忘れないようにしましょう。実際に、現役Youtuberの方の中にも、賃貸マンション等、比較的遮音性が低い物件で配信をしている時に、近隣からクレームが出てしまうなんてことは珍しくないようです。分譲マンションなど、ある程度の遮音性を持っている物件なら問題ないと考えるかもしれませんが、配信する動画の種類や物件の間取りなどによっては、隣家に音漏れしてしまい、苦情が出ることも考えられます。

動画配信による近隣トラブルを防止するなら、防音工事を行っておくのがオススメです。なお、Vtuberや歌の録音など、周囲の音が侵入してほしくないという要望の場合も、防音室を用意するのがオススメです。

③ホームシアターや音楽鑑賞ルームが欲しい人

マンションなどは、各家庭の生活空間が非常に近いこともあり、TVの音量によっては苦情につながってしまうケースがあります。

そして、大音量を前提としたホームシアターや音楽鑑賞ルームを自宅内に設ける場合、防音室を用意しなければ、確実に近隣トラブルに発展すると考えておきましょう。ホームシアターや音楽鑑賞ルームは、大型のスピーカーなどを設置しますし、音漏れリスクはTVの比ではないと考えておきましょう。特に、大型のステレオを床に直置きする場合、振動音が階下に伝わってクレームになるケースも多いです。したがって、比較的高性能な防音室が必要になります。

④テレワークやリモート学習でも集中できるように

コロナ禍以降、急激に増加している防音工事の依頼では、テレワークやリモート学習のためという要望が多いです。騒音トラブルというのは、基本的に家庭の外に存在する音に悩まされてしまうケースがほとんどなのですが、テレワークやリモート学習では、同居人が生じさせる音が気になってしまう…なんてこともあるようです。

このタイプの防音室は、楽器用防音室ほどの性能は必要ありません。現状、どのような音の問題があるのかによって、必要な対策を専門業者に提案してもらうと良いでしょう。

まとめ

今回は、分譲マンションなどに住んでいる方が、自宅に防音室を設置しようと考えた時の注意点をご紹介してきました。賃貸マンションであれば、住人の判断で勝手に工事するとこなどできないとほとんどの方が理解していますが、実は住人さんが購入しているはずの分譲マンションに関しても、管理規約などにより防音工事ができないケースがあるのです。

もちろん、通常の内装リフォーム工事であれば、管理会社に連絡すれば、特に禁止されるようなことはありませんよ。しかし、防音室を作るとなると、通常の居室とは比較にならないほどの重量となってしまうことから、物件によっては工事そのものが禁止されてしまう恐れがあるのです。工事業者との契約が住んでからそのような事実が判明した場合、余計なトラブルを抱えてしまうことになるので、防音工事を検討した時には、まず最初に「防音工事ができるのか?」を管理規約などで確認しておきましょう。

なお、管理組合とのやりとりが自分ではうまくできないのでは…というお客様がいれば、お気軽に弊社までご相談ください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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