人が不快に感じる『騒音』の基準とは?騒音トラブルを防ぐために知っておきたい基礎知識
近隣住民とのトラブルを避けるためには『騒音』に注意する必要があります。特にマンションなどの集合住宅に暮らす方であれば、さまざまな生活スタイルを持った人が集まって暮らす場所となるため、何気ない生活音が他人にとっては耐え難い『騒音』になってしまうこともあるのです。
『音』の問題が非常に難しい点は、ある音を「美しい音色」と感じる方がいる一方で、同じ音を不快に感じてしまう人もいるということなのです。したがって、普段何気なく自分が出している音が、他の人にとっては『騒音』になってしまっており、知らないうちに迷惑をかけている…なんてことも珍しくないのです。
そこで、他人との生活空間が近くなってきた現在では、騒音を客観的に評価する『騒音レベル』という考え方が非常に重要になっているのです。そこでこの記事では、今の時代に生きる誰もがおさえておきたい騒音レベルの基礎知識についてご紹介したいきたいと思います。
集合住宅では『生活音』がトラブルのもとに
マンションやアパートなどの集合住宅には、多種多様な生活習慣を持った人が集まりますので、些細なことでトラブルに発展してしまうことがあるのです。特に注意が必要なのは、自分ではなかなか気付くことができない『生活音』がトラブルのもとになってしまうことも少なく無いということです。
平成25年に国土交通省が行ったマンション総合調査では、居住者間で発生したマナーに関するトラブルでも『生活音』が原因となったものが第2位に位置しているのです。
- 第1位 違法駐車(40.1%)
- 第2位 生活音(34.3%)
- 第3位 ペット飼育(22.7%)
- 第4位 共用部分への私物の放置(18.4%)
- 第5位 バルコニーの使用方法(13.1%)
参考資料:国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果」
平成25年度マンション総合調査結果によると、居住者間のトラブルの原因が上記のような割合になっています。この中でも音に関する問題として『生活音』や『ペットの飼育』というものが存在しているのです。生活音に関しては、音を出している人からすれば普通に生活しているつもりで、他人に迷惑をかけている…などと言った意識は持っていないことの方が多いと思います。つまり、自分が気付かないうちにトラブルメーカーとなってしまっているわけです。
こうならないためには、そもそも他人に不快な思いをさせてしまう『騒音』がどういったものなのかを知っておく必要があるのです。
騒音レベルの基礎知識について
そもそも『騒音』というものは、人が聞いていて「騒々しい」「不快だ」と感じてしまう音のことを指していますので、聞いている人によっても何が騒音になるのかが変わってしまうものです。しかし、ある程度の基準というものを作っておかなければ、際限なく音を出してしまう人が出てこないとも限らないため、騒音レベルという物が作られているのです。
騒音レベルは、騒音の大きさを客観的に表したもので、『dB(デシベル)』という単位で表されています。騒音計という機械を使えば、数値が表示されるようになっており、防音工事でもどの程度のレベルまで音漏れを防げるようになったのかを示す指標などに使われています。
この騒音レベルでは、日常生活上で生じる音をいくつかのレベルに分けていますので、自らが騒音によるトラブルメーカーにならないためおさえておきましょう。
20~30dB ほとんど音が聞こえない程度
「20~30dB」に関しては、無音とはいかないまでも「ほとんど音が聞こえない」ようなレベルです。わかりやすい例を挙げると、深夜の郊外の静けさや木の葉は触れ合う音、人のささやき声程度のレベルが該当します。
この程度の騒音レベルであれば、トラブルになることは無いでしょう。
40~50dB 日常生活上に良くある音の大きさ
「40~50dB」は、日常生活上において、皆さんが聞いたり発したりするような、非常に一般的な音のレベルです。基本的にはこのレベルまでが、音によるストレスを感じないとされています。
分かりやすい例をあげると、街中や閑静な住宅街の昼間、図書館などで感じる音が40dB程度で、人が普通の会話をする、家庭用クーラーの駆動音、換気扇が発する音が50dB程度と言われています。この程度の音であれば、特に気にしないという人が多いことでしょう。
しかし注意が必要なのは、音の感じ方は「どこにいるのか?」「何をしているのか?」といった人の環境によって適正な音のレベルが変わってしまうということです。一般的に、室内にいる人が騒音と感じるレベルが50dB以上とされているのですが、リビングや寝室でゆっくり過ごしたいと感じている人に関しては、40dB以下が望ましいと言われているのです。つまり、昼間か夜間か?などと言った時間も大きく関係するということです。
60~70dB 人が「うるさい」と感じる音になります
音のレベルが「60~70dB」程度までになると、多くの方が「うるさい…」と感じてしまうことになるでしょう。つまり、騒音トラブルを防ぐためには、このレベルから注意しておく必要があるということです。
具体的な例をあげると、洗濯機やテレビ、トイレを流す際の音などが大体60dB程度と言われています。また、人が極端に多い街中や掃除機の音などが70dB程度で、このレベルになると会話のために声を張り上げなければならない…という感じです。深夜に洗濯機を回す、掃除機をかけるのがマナー違反…と言われるのは、これが原因です。
80~90dB 確実にトラブルになるレベルの音
「80~90dB」程度の音になると、人がかなり「うるさい」と不快に思ってしまう音レベルですので、集合住宅内でこのレベルの音を出すとほぼ間違いなくトラブルに発展してしまうことでしょう。
80dBの音は地下鉄の車内やパチンコ屋の店内と同等と言われているのですが、自宅にいるのに地下鉄の車内の音が常に聞こえていると考えると、確実にクレームを入れてしまいますよね。ちなみに、ピアノなどの楽器音もこのレベルとなりますので、何の対策もしないまま自宅で楽器の演奏をするのがNGだと言われる理由が良く分かると思います。ちなみに、犬の鳴き声に関しては90dBを超えるとも言われていますので、集合住宅に住んでいる方で「ペットの飼育」がトラブルの原因になりやすいのもうなづけます。
仕事の関係や趣味などで自宅でも楽器の演奏をしたい、集合住宅で大型犬などのペットを飼いたいなどと考えている方がいれば、トラブルを未然に防ぐためにも、しっかりと防音対策をしなければいけないと言えるでしょう。
まとめ
今回は、自らが騒音トラブルの原因にならないため、人が不快に思う『騒音』がどのような物なのかをご紹介してきました。音の難しさというのは、ある人が「美しい音色」だと感じるような音でも、他の人からすれば単なる『騒音』に感じてしまう場合があるということです。特に、普段であれば全く気にならないような音でも、その人の心理的状態や置かれている環境などによって同じ音でも感じ方が変わってしまう非常に厄介なものなのです。
もちろん、普通の生活をするために生じる生活音に関しては、ある程度致し方ない問題と誰もがわかっていますので、上述した騒音レベルをおさえておき、常識の範囲内で生活していけば特に問題になるようなことはないと思います。しかし、自宅で楽器を演奏したい、飼っているペットが良く吠えるなどと言った場合には、何らかの騒音対策をしなければいけないと考えましょう。
音は人によって感じ方が違ってきますので、基本的には不快に思う人が出ないよう、『音漏れを防ぐ』のがマナーだと思いますよ!