楽器演奏やスタジオ利用を想定した防音室！防音と吸音の重要性を解説

自宅にピアノやトランペット、バイオリンと言った楽器の演奏や楽曲の録音などを想定した本格的な防音室を作りたいと考える方は多いです。楽器演奏やスタジオ利用を想定した防音室の場合、DIYなどによる簡易的な防音対策では満足のいく防音環境を構築することが難しく、騒音の苦情などによるトラブルの可能性が高くなります。

そのため、こういった目的の防音室を用意する場合、防音工事の専門業者に依頼して一から防音室を作るという手段が一般的です。ただ、ここで気になるのは、DIYによる防音室と専門業者が作る防音室は、いったい何が違うのだろうか…と言う問題です。最近では、専門業者が利用するような本格的な防音用の建材を一般の方でも手に入れられるようになっていますし、手先が器用な人であれば高性能な防音室を作れてもおかしくないのではないかと考えてしまいますよね。
実は、一般の方が施工を行う防音室の場合、防音や吸音対策の意味を正確に理解しないまま対策を施していることが、性能足らずの要因になっているケースが多いのです。そこでこの記事では、防音室を作る際、防音対策や吸音対策がどのような意味を持っているのかについて解説します。

防音室を作るうえで防音・吸音対策の重要性

楽器演奏やスタジオ利用を想定した本格的な防音室を作る場合、単に音漏れが防げれば良いのではなく、防音室内が快適なクリエイティブ空間にならなければいけません。特に、スタジオ利用を想定しているケースでは、室内の音響環境や外部からの音漏れなどがあれば、致命的な問題となります。

そこでここでは、防音室を作るうえで、防音対策と吸音対策の重要性について解説します。

防音対策の重要性について

防音対策は、主に室内で生じさせた音が外部に漏れないようにするための対策です。言い換えると「遮音」対策とも言われるのですが、ここではわかりやすいように防音対策とします。防音室の防音性能については、主に「音漏れを防ぐための対策」と考えられています。ただ、スタジオ利用などの場合、外部騒音が防音室内に入って来ないようにすることも重要です。例えば、楽器演奏用の防音室の場合、建物外に音が漏れていかないことは大切なのですが、家族間の理解があれば建物内への音漏れや音の侵入は多少あっても問題ありません。一方、スタジオ利用の場合、外部騒音の侵入があれば、収録に影響が出てしまうため、建物内への対策も高性能なものが必要になります。

防音室の防音性能は、以下の意味で重要とされています。

• ・近隣への音漏れの配慮
  防音室からの音漏れは、近隣との騒音トラブルの原因となります。防音室を作るということは、早朝や深夜など、いつでも大きな音が出せる環境を作りたいと考えてのことだと思います。この場合、防音室の防音対策は、隣人との良好な関係性を保つためにも非常に重要な要素となります。
• ・法の遵守
  日本では、良好な住環境を構築するため、騒音規制法など、騒音に対する法律が存在します。さらに、地域によっては、迷惑防止条例などにより、騒音に関する規定が設けられているのです。自宅で楽器の演奏をしたい、スタジオを作りたいなどと考えている方は、こういった法律・条令の規制を遵守するためにも防音室の性能が重要となります。
• ・専門性の保持
  録音などを目的としたスタジオの場合、プロフェッショナルな活動を行う上でも、外部への音漏れだけでなく、内部への音の侵入を防ぐ必要があります。当然、想定していない騒音が侵入すると、作業の質や出来上がった音楽の質が低下してしまいます。防音対策は、外部への音漏れだけでなく、室内への音の侵入を遮断し、高い専門性を維持するためにも重要となるのです。

吸音対策の重要性について

吸音対策については、その重要性を理解していない方が意外に多いです。防音対策は、そもそも遮音と吸音をバランスよく組み合わせることで、快適な音環境を作り出すと解説されます。そのため、吸音に関しても、音漏れしないように音を小さくするための対策と考えられているわけです。もちろん、この認識が完全に間違っているというわけではないのですが、正確な認識かと言うとそうではないのです。

防音室の吸音対策の重要性については、以下のような感じです。特に楽器演奏やスタジオ利用を想定するような本格的な防音室を作る場合には、非常に重要性が高いと考えてください。

• ・音質を向上させる
  吸音対策は、音響環境を整えるという意味でも非常に重要です。室内で発生した音は、壁や天井で反射することでエコーやリバーブが生じ、音質が低下してしまうものなのです。適切な吸音対策を防音室内に施せば、これらの不要な反響音を減らすことができ、クリアな音質を保つことが可能です。DIYによる防音室の失敗は、この音響調整ができていないという理由で、室内で音を発生させると、反響音を苦痛に感じるようになり、長時間利用できない防音室になってしまう…と言うケースが多いです。ちなみに、ユニット型防音室など、狭い防音室もこの問題が生じやすいです。
• ・録音の品質向上
  スタジオ利用を想定する場合、音響環境をきちんと計算していなければ、録音に背景ノイズや反響音が入り、品質に大きく影響を与えてしまう可能性があります。先ほど紹介したように、適切な吸音対策を施せば、不要な反響音を減らすことができるため、録音の品質を維持できるのです。
• ・良好な練習環境の構築
  吸音対策は、良好な演奏環境を構築する上でも非常に重要です。吸音対策が不十分で、反響音が過剰になってしまうと、自分の演奏音が聞き取りにくくなり、上達を妨げるとされているのです。また、先ほど紹介したように、音響環境が悪い防音室は、反響音を苦痛に感じ、長時間の練習が難しくなります。吸音対策は、室内の音響を調整し、利用者にとって最適で快適と感じる演奏環境を作り出すための対策にもなるのです。

まとめ

今回は、自宅に本格的な防音室を作りたいと考えている方がおさえておきたい防音対策と吸音対策の重要性についてご紹介しました。

防音室と聞くと、とにかく音が漏れないようにすれば良いと考える方が多いのですが、吸音のことを何も考えずに作った防音室は、室内で音が反響しすぎてしまい、とても長時間利用することができない環境となってしまいます。DIYによる防音対策は、この音響環境の調整に失敗するケースが多いです。
最近は、本格的な防音材が簡単に手に入るようになっているため、自分で防音室を作ってみようと考える方が増えています。しかし、防音がどんなものなのか、吸音による音響調整をどうすれば良いのかが分からない…と言う方は、時間と手間が無駄にかかるだけになる可能性があるので、専門業者に工事を依頼するのがおすすめです。