賃貸住宅における防音上の問題とは?気になる音の種類と対策
近年では、マイホームは購入せずに一生賃貸住宅を借りて暮らしたいと考える方も増えていると言われています。実際に、国が定期的に行っている調査では、日本人の持ち家比率は年々下落していると言われていて、賃貸での生活を楽しんでいるという方が増えているように思えます。
賃貸住宅は、近隣の方と何らかのトラブルが発生した…なんて場合でも、気軽に別の場所に引っ越しすることができる点が大きなメリットとみなされています。ただその反面、建物の構造などは一般の方に広く受け入れられることが考慮されているため、防音室を完備しているなど、特殊な希望を持っている方にとっては物件探しが難しいという面もあるとされます。持ち家であれば、自分の希望に合わせて家づくりが進められるうえ、住み始めてから新たな希望が生じたとしても、リフォームで必要な機能を付属することが可能です。賃貸住宅の場合は、家主さんの持ち物で、住人が費用を負担するといっても大掛かりなリフォームは基本的に認めてもらえないという問題があるのです。
そして、賃貸住宅でしばしば問題となるのが音に関する常識の違いです。賃貸で長く生活をする方が増えている昨今では、住人同士が騒音を原因としてトラブルになることも増えていると言われていて、賃貸の音の問題をどのようにして解消すれば良いのか…と悩む人は非常に多いようです。そこでこの記事では、賃貸住宅における防音上の問題とその対策について解説します。
賃貸住宅で考えられる騒音の種類
アパートやマンションなどの賃貸住宅は、同じ建物内の非常に近い場所で、生活スタイルが異なる多種多様な人が過ごすことになります。単身用の物件となると、住人間の生活スペースは、壁一枚や床一枚で区分されるだけで、常に1m以内の場所に他の住人が存在する…なんてことも珍しくないのです。
つまり、戸建て賃貸を除いて、集合住宅の賃貸物件であれば、ある程度は音の問題を許容しなければならないと言える生活環境となるのです。それでは、賃貸物件に住んでいる場合に考えられる騒音とは、どのような音があるのでしょうか?賃貸住宅では、以下のような音が問題となり、住人間のトラブルに発展することがあります。
- ・電話や会話、オンライン会議など、人の声が騒音になります。
- ・歌い声や楽器の演奏音、大音量のオーディオなど、音楽も騒音になります。
- ・テレビやラジオ、ゲームの音なども騒音源です。
- ・ドアや引き戸を閉める時の音でトラブルになるケースもあります。
- ・エアコンの室外機の振動音は騒音になります。
- ・深夜や早朝の排水音が騒音になるケースもあります。(バスやトイレ)
- ・洗濯機や掃除機など、家事による生活音が騒音になる場合があります。
- ・子供やペットの足音は騒音トラブルに発展しやすいです。
アパートやマンションなどの集合住宅は、それぞれの生活空間が非常に近くに存在することから、上記のようなちょっとした音が騒音トラブルの原因となる場合があるのです。なお、一口に騒音といっても、空気伝播音と固体伝播音の2種類があるので注意しましょう。空気伝搬音は、人の話し声やテレビの音声、楽器の演奏音など空気により伝わる音を指します。一方、固体伝搬音は、人の足音や家具を動かす時の音など、壁や床を振動を通して伝わる音です。
騒音に悩んだ時には、どの種類の音なのかを確認し、大家さんや管理会社に相談すると良いです。
賃貸住宅で騒音に悩まないようにする工夫
アパートやマンションなどの集合住宅に住む場合、ある程度の騒音は存在するものと考えておいた方がストレスを軽減することができます。また、入居時にちょっとした工夫を施すことで、音の問題を軽減することも可能なのです。
賃貸住宅で問題となりやすい音は、前項でご紹介したようにある程度決まっています。そして、これらの音に関しては、防音対策の方法も考案されているので、事前に対策を施しておくことで、大きなトラブルを未然に防ぐことも可能なのです。
ここではまず、特別な工具や大きな予算を必要としない、誰でも実践しやすい賃貸での防音対策をご紹介します。
家具の配置に配慮する
集合住宅における騒音問題の軽減を考えた時には、家具の配置に注意することが重要です。実は、タンスや本棚などの大型家具は、天然の防音壁として働いてくれるのです。
単身用の物件では、隣接する部屋の境界壁側にクローゼットが作られている場合が多いですね。これは、両者の生活空間を物理的に切り離したうえ、クローゼットの中に収める衣服が吸音材として働いてくれると期待できるからなのです。
したがって、部屋の家具の配置を決める際には、重い本棚やクローゼットを隣人との境界壁側に設置すると良いです。これにより固体音や空気音の伝搬を軽減することが可能です。なお、家具を設置する際は、背面を壁と少し離して設置すると、より効果を期待できます。
防音カーテンやラグを活用する
外部騒音の侵入や自分が生じさせた音が外に漏れていくことを考えた時、多くの場合、窓が弱点になっていると考えられます。窓は、壁と比較すると非常に薄い素材で構成されていますし、開閉時のことを考えて閉めていても多少の隙間が生じるような構造になっているのです。したがって、静かでリラックスできる環境を考えた時には、窓部分の対策が必要不可欠といえるのです。
新たな物件に引っ越した際には、窓部分にカーテンを設置すると思います。そして、物件の防音対策を考えた時には、設置するカーテンを防音カーテンにすることで防音性を一気に高めることが可能です。防音カーテンは、通常のカーテンよりも高価ですが、窓部分からの騒音の出入りを大幅に削減することができます。
なお、防音カーテンを購入する際は、床の対策のことも考え、防音仕様のラグも購入するのがおすすめです。ラグは、足音が階下に伝わりにくくなるという効果が期待出来ます。
可能な限り隙間を埋める
どのような住宅でも、一見すると隙間などは生じていないように見えても、各所に隙間が存在します。そして、その隙間は、音漏れや騒音の侵入原となってしまうのです。
賃貸物件に住む場合で、騒音問題の解消を目指した時には、ドアや窓に生じる隙間に目を向けるようにしましょう。実は、ドアや窓は、閉めていても小さな隙間が生じるような構造になっているのです。窓は、開閉がスムーズにできるよう、ドアは閉めていても換気ができるようにと考えられているため、完全に隙間を塞ぐような構造になっていません。
したがって、こういった部分に生じている隙間を、隙間テープなどを活用して閉じると良いです。隙間テープは、百円均一はホームセンター、ネット通販で簡単に手に入れることができ、施工も容易です。
市販の防音パネルを活用する
近年では、集合住宅で生活する人が増えていることもあり、音の問題を抱えてしまう人も増加傾向にあるとされています。そのため、そういった音の悩みを解消するための防音グッズが市販されるようになっていて、中には誰でも簡単に対策を施せるような物もあるのです。
例えば、ホームセンターやネット通販では、防音パネルや吸音パネルと呼ばれる製品が販売されていて、これを天井や壁に取り付けることで、部屋の中の音の反響を軽減するという効果が得られます。部屋の構造などにより、反響音が気になっている…なんて方は、こういったアイテムを利用すると良いでしょう。
防音パネルは、需要の高まりもあり、部屋の雰囲気を壊さないようなデザイン性が高い製品も増えています。したがって、音が特に響きやすい玄関や廊下などの壁に設置しておくという対策がおすすめです。
生活習慣を見直す
集合住宅における騒音トラブル防止では、そこに住む人が生活習慣の見直しを行うという対策が非常に効果的です。
例えば、早朝や深夜に掃除機や洗濯機をかける、夜遅くまで大音量でテレビを見るなんて行動をしていると、騒音トラブルに発展する可能性が高くなりますよね。こういった騒音は、騒音源になっている方がちょっと意識を変えるだけで、問題を解消することができるようになるのです。
生活習慣の見直しは、大掛かりな工事をする必要もありませんし、コストをかけることもなく、高い効果を期待することが可能です。集合住宅での騒音問題は、ある程度お互い様の問題なので、それぞれの住人さんが隣人に配慮するようになるだけで、トラブルの防止につながる可能性が高いです。
まとめ
今回は、アパートやマンションなど、集合住宅で注意しなければならない騒音問題の基本について解説しました。近年では、持ち家に興味がなく、一生賃貸住宅で良いと考える方が増えています、賃貸の場合、自分の生活の変化に合わせて気軽に引っ越しすることができますし、古くなった建物のリフォームの事や固定資産税などを考えなくても良いため、身軽に生活できると考える人が増えているのです。
ただ、賃貸物件は、あくまでも家主さんから借りているだけの部屋となるので、自分の要望に合わせて部屋をカスタマイズするということが基本的にできません。住人が費用を支払ってリフォームすると言っても、他の部屋とグレードの違いが生じてしまうことになるため、家賃設定などが難しくなると考えられてしまうのです。
さらに、集合住宅型の賃貸は、非常に近い位置に生活習慣が異なる他人が生活することになるので、どうしても騒音の問題を抱えやすくなります。当然、騒音問題は、あなたが悩まされる側で鳴く、クレームを言われる側に回る可能性もあるのです。集合住宅で発生するトラブルでは、騒音に関することが最も多いとされているため、記事内で紹介した対策のことも検討してみましょう。