プレハブ防音室の注意点!屋外に防音室を作る方法と法律による規制について

自宅に防音室を作りたいと考えている方の相談で意外に多いのは、「屋外(庭)に防音室を作ることはできますか?」といったものです。

庭にプレハブ小屋やコンテナハウスを設置し、そこを防音室にすれば、屋内で過ごす他の家族に影響を与える可能性が少なくなるため、屋内にある部屋を防音室にするのではなく、屋外に防音室を作りたいと考えるのだと思います。なお、答えから言ってしまいますが、法的な規制などの問題を回避できるのであれば、庭に防音室を用意することは問題なく可能です。ただ、屋内をリフォームして防音室を用意する場合と比較すると、いくつか注意しなければならないポイントがあるのも事実なので、この記事では、庭に防音室を作る方法や、その際の注意点について解説していきます。

屋外にに防音室を用意する方法について

それでは、家の庭など、屋外部分に防音室を用意する代表的な方法をご紹介します。庭の空きスペースを利用して防音室を作りたい場合には、プレハブのコンテナハウスを設置する方法や、増築するという方法が考えられます。ここでは、それぞれの方法について簡単にご紹介します。

増築する

一つ目の方法は、庭に防音室用の小さな家を増築するという方法です。この場合、まず地元の工務店や、建築会社に依頼して、防音室にするための家を建ててもらうことからスタートします。防音室の施工に関しては、専門的なノウハウや経験が必要なのですが、建物を建てることは一般の建築工事となります。そのため。この部分は地元の工務店さんなどに依頼すれば問題ありません。

ちなみに、建物を建てる段階では、防音室の内装やコンセント、スイッチなどの施工は不要です。この辺りの工事は、防音工事の際に行うことができます。簡単に言うと、建物の骨組みを作ってもらい、防音工事会社に引き継いで防音室にするといった感じです。
なお、建物の建築段階から、防音工事会社に入ってもらい、必要な仕事と必要でない仕事や構造などについて、建築側と打ち合わせしておくことで、コストを抑えることができます。

防音仕様のコンテナハウスを設置する

二つ目の方法は、屋外にコンテナハウスを設置するという方法なのですが、購入するコンテナハウスについて、最初から防音仕様になっているものを選ぶという方法です。

一般的なコンテナハウスよりも高額になるのですが、カラオケやピアノレッスン用として、防音施工が施されたコンテハウスが販売されています。防音対策は、壁に遮音材や吸音材を施工したり、ドア部分を防音ドアに交換するなど、さまざまな対策が必要になるため、手間なく防音環境を作りたいと考えた時には、防音仕様のコンテナハウスがありがたい存在となります。

ただ、防音施工が施されたコンテナハウスについては、仕様に沿った対策が施されているだけなので、音響環境が気に入らない、防音性能が足らない…なんてことになる危険があるのでその点は注意してください。

プレハブ、コンテナハウスを設置して、防音対策を施す

3つ目の方法は、通常のプコンテナハウスを庭に設置し、後から防音対策を施すという手法です。この場合、「床」「壁」「天井」「窓」「ドア」など、すべての部分に防音対策を施す必要があります。一般的なコンテナハウスは、高い防音性を保持しているわけではないので、庭に設置してその中で大きな音を発生させれば、ご近所さんとの騒音トラブルに発展してしまう可能性が高いです。

したがって、「吸音」「遮音」「防振」の3つ対策をコンテナハウスに施すと良いです。なお、防音対策については、ホームセンターなどで材料を集め、自分で対策を施すパターンと、防音工事の専門業者に施工を依頼するパターンがあります。防音施工は、専門性が高い作業となるため、高性能な防音室を求めている場合は、専門業者に依頼するのがおすすめです。

後から防音施工を施す方法については、防音性能や音響環境など、防音室の性能を自分好みに合わせられる点がメリットです。

プレハブ防音の費用について

屋外に防音室を作りたいと考えている方が気になるのは、やはりいくらぐらいの費用がかかるのか…という点でしょう。これについて、どの方法で実現するのかによって費用が大きく変わります。

まず、庭の空きスペースを利用して増築する場合の費用ですが、これについてはお客様の要望によって費用感が大きく異なるので「分からない」というのが答えとなってしまいます。防音性能以外にも、電気をどうするか(電源を母屋のブレーカーから引っ張れるか?ブレーカーの容量が一杯なら幹線引き込みをするか?など)、トイレを設置するのか、外壁や屋根はどうする?など、さまざまな面について打ち合わせが必要になるため、実際の計画を立ててみないと、いくらぐらいの費用がかかるかは算出することができません。ただ、「建物から建てなければならない」という問題があるため、金額だけで考えると「家の中に防音室を設置する方が安い」となるのは確かです。

次に、コンテナハウスを設置する方法についてですが、防音施工が施されたコンテナハウスの場合、本体価格が200万円〜400万円程度が一般的です。そして、自宅に設置する場合には、ここに運搬費や電気工事費などとして15~30万円程度の費用が加算されると考えておけば良いと思います。つまり、大型で高性能なタイプで500万円前後の費用を想定しておけば良いでしょう。
一般的なコンテナを購入し、後から防音対策を施すという場合であれば、コンテナ本体は安いもので100万円前後で購入可能です。ここに、設置費用が加算されるので、コンテナの設置に関しては130~150万円程度で可能でしょう。ただ、その後の防音対策については、どの程度の性能を求めるのか、DIYで対処するのか、専門業者に依頼するのかによって変わります。DIYによる対策の場合、数万~数十万円程度で対策が可能なものの、専門業者に依頼して高性能な防音室に作り替える場合は100万円以上のコストがかかるでしょう。

どちらにせよ、詳細な費用については、現地調査などを行ってみないと分からない部分があるため、気になる方は防音工事の匠にお問い合わせください。

プレハブ防音の注意点について

それでは次に、屋外に防音室を用意する場合の注意点について解説します。家の中に防音室を作るのとは異なり、屋外に防音室を作る場合、法律的な規制が関わってくるのです。ここでは、代表的なポイントをご紹介します。

建ぺい率と容積率について

屋外に防音室を作りたいと考えた時には、「庭に防音室を置くだけのスペースがあるのか?」だけが問題になるのではありません。実は、防音室を用意するための空きスペースがあったとしても、法律(建築基準法)との照らし合わせが必要で、場合によっては防音室を屋外に作ることができない場合もあるのです。防音室の増築時などに関わってくるのは、建ぺい率や容積率に関する制限です。それぞれについて、以下で簡単にご紹介します。

  • 建ぺい率
    建ぺい率は、敷地面積に対して、家を建てて良い面積の割合のことです。例えば、建ぺい率50%の場合、敷地面積100㎡で建てられるのは50㎡の家となります。
  • 容積率
    容積率は、敷地面積に対して、全ての床面積の合計です。合計値が、定められた基準以下になっているかどうかが関係します。

建ぺい率や容積率は、用途地域や市町村の条例などで規定されており、現在の家の割合から、屋外に増築できるかどうかを確認しなければいけません。

建築確認申請について

屋外に防音室用の建物を増築する場合やコンテナハウスを設置する場合には、建築確認申請が必要になると考えましょう。

増築の場合でも、「防火地域や準防火地域ではない区域において、増築面積が10平方メートル以内のときには確認申請が不要」とされているのですが、10平方メートルは約6畳程度の広さなので、カラオケや楽器演奏を目的とした防音室を用意する場合には、ほとんどのケースでこの規定を超えてしまうことになります。

そのため、増築工事の前に建築確認申請の手間や費用がかかります。なお、コンテナハウスは、建築基準法上「建築物」の扱いを受けるため、コンテナハウスの設置の場合でも確認申請が必要です。

固定資産税について

固定資産税は、土地や家などの資産に対して発生する税金を指しています。各資産の所有者に納税義務が課せられていて、毎年1月1日時点の所有者に対して課税される仕組みになっています。

そして、コンテナハウスに関しては、国土交通省の通知「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」によると、建築基準法が規定する建築物とみなされるため、固定資産税の対象になっています。防音室としてコンテナハウスを設置した場合、コンテナハウスそのものに建物の固定資産税がかかり、設置している土地が自分の資産なのであれば、土地の固定資産税もかかります。

固定資産税については、建築基準法第2条で「土地に定着する工作物のうち一定のものを建築物」と定義するというルールがあります。そのため、コンテナハウスを置いているだけなら「定着」していないと考える方がいるのですが、この定着については、工作物が容易に動かせない状態が継続されていることを意味しています。つまり、コンテナハウスを基礎などで固定していな場合でも、定着しているとみなされ、固定資産税の対象となるのです。なお、トレーラーハウスは、車検済みで走行可能な状態であれば土地に「定着」していないとみなされ、建築物の扱いは受けません。

まとめ

今回は、空き部屋をリフォームして防音室にするというのではなく、屋外の空きスペースに防音室を作ることができるのかについて解説しました。

記事内でご紹介したように、庭の空きスペースに防音室を作りたいと考えた時には、建築基準法などの法令と照らし合わせ、基準を満たしているのであれば問題なく防音室を作ることが可能です。屋外に防音室を作れば、同居する家族に迷惑をかける心配がなくなるため、安心して大きな音を出せるようになります。
ただ、防音室を作るためにかかる費用については、空き部屋をリフォームするという方法よりも高くなってしまう点に注意しましょう。億倍に防音室を作る場合、建物部分を準備するところからスタートするため、既存の部屋に手を加える方法よりもコストがかかってしまうのです。また、防音室が完成した後のことを考えても、固定資産税が高くなってしまうという問題もあり、コストの面を考えるとそこまでおすすめできる方法とは言えないかもしれませんね。

自宅に防音室を用意する方法は、いくつかの手法が存在するため、「どの方法が自分の要望に合っているのか分からない?」という方がいれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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