サックスやトランペットなど管楽器用防音室が欲しい!防音工事を依頼する時の注意点について

今回は、さまざまな種類が存在する管楽器の防音室について解説します。ただ、一口に管楽器と言っても、木管楽器と金管楽器の2種類が存在しており、音の特徴が異なります。一般的に、木管楽器と金管楽器の分類方法について「木製のものが木管楽器で、金属製のものが金管楽器」などと考えている方が多いようですが、この二つの楽器は素材で分類されているわけではありません。

木管楽器と金管楽器は、「音を出す仕組み」の違いで以下のように分類されています。

  • ・「唇を震わせて音を鳴らす」ものが金管楽器
  • ・それ以外(リードを使う)の管楽器が木管楽器

分かりやすい例をあげると、管楽器の中でも特に人気のサックスは、見るからに金属で構成されていますが、分類上は木管楽器となります。そして、音を鳴らす方法が異なるということは、防音上の注意点も異なるということです。一般的に、管楽器は総じて息を吹きかけることで音を鳴らすというイメージが強いことから、トランペットやサックス、フルートなど、どのような管楽器でも同じような防音室を作れば良いと考えられがちです。しかし、このような考えで防音工事を行ったのでは、防音室完成後に音漏れに悩まされてしまう可能性があるのです。

そこでこの記事では、管楽器用の防音室が自宅に欲しいと考えている方に向け、楽器ごとに防音工事の注意点を解説します。

管楽器の分類について

それではまず、意外に勘違いしている方が多い管楽器の分類について簡単にご紹介します。冒頭でご紹介しているように、管楽器は、「木製のものが木管楽器」で「金属製のものが金管楽器」と勘違いしている方が少なくありません。ただ、よく考えてみると、今時木製の管楽器を見かけることなどほとんどないと思いますし、この分類方法が間違っているということは理解できるはずです。

管楽器は、音の出し方によって木管楽器と金管楽器を分類していて、具体的には以下のような分類方法となっています。

■木管楽器とは
木管楽器は、唇を振動させずに音を出す管楽器の事です。ちなみに、リードと呼ばれる振動体を使うものに関しては「リード楽器」とも呼ばれます。木管楽器は、以下のような種類があります。

  • ・サクソフォン(サックス)
  • ・クラリネット
  • ・ファゴット
  • ・オーボエ
  • ・フルート
  • ・ピッコロ etc

■金管楽器とは
次は金管楽器についてです。金管楽器は、唇の振動によって音を出す管楽器の事を指していて、いわゆるラッパのような形状をした楽器が多く、マウスピースと呼ばれるパーツを使用して音を出します。分かりやすい例をあげると、トランペットが有名です。他にも、以下のような種類の楽器が存在します。

  • ・トランペット
  • ・ホルン
  • ・トロンボーン
  • ・ユーフォニアム
  • ・チューバ
  • ・コルネット
  • ・フリューゲルホルン
  • ・メロフォン
  • ・アルトホルン
  • ・バリトン

同じ管楽器にも、上記のようにさまざまな種類の楽器が存在します。自宅に管楽器用の防音室が欲しいと考えた時には、どのタイプの楽器を演奏するのかを明確にし、必要な対策を施してもらう必要があります。

楽器別に防音工事の注意点をご紹介します

それでは、管楽器の防音室について、いくつかの楽器別に防音工事を行う際の注意点をご紹介します。先ほどからご紹介しているように、同じ管楽器でも、音の出し方が異なるため、防音上の注意点が違ってくるのです。

ここでは、多くの方になじみ深い管楽器をピックアップしてご紹介します。

トランペット用の防音室

管楽器と聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのがトランペットなのではないでしょうか。実際に、管楽器用の防音室のご依頼では、サックスと並んで非常にお問い合わせが多い楽器の一つです。

トランペットは、管楽器の中でも大きな音が出る楽器の一つで、最大音量は113dB程度とされています。そのため、さまざまな種類のある管楽器の中でも、トランペット用の防音室は非常に高い性能が求められると考える人が多いです。ただ、トランペットは、主に中高音域の音が生じる楽器なので、壁に音が反射しやすく外にまでは漏れにくいという特性を持っています。したがって、音の大きさの割に、トランペットの防音は比較的容易な部類と言っても良いです。トランペット用防音室は、ドラムのような振動音対策も不要なので、そこまで高い性能を求めなくても、外部への音漏れの心配は少ないです。

なお、管楽器の中でもトランペットなど、音の出口となる『ベル』が大きい楽器は、演奏する際の向きを工夫することで、防音室に必要とされる性能を低くすることが可能です。例えば、トランペットの場合、演奏をする際の音の大きさは、ベルの真正面で聞くのと比較すると、横で聞くときは約10dB程度小さくなるとされているのです。真後ろになるとさらに聞こえる音の大きさは小さくなります。

つまり、自宅にトランペット用の防音室を作る場合、音を配慮しなければならない方向が決まっているのであれば、その逆方向を向いて演奏するようにすれば、防音工事費を安く抑えることが可能になるのです。

サックス用の防音室

次は、トランペットと並ぶ知名度があるサックスです。サックスは、さまざまある管楽器の中でも特に大きな音量を持つ楽器です。さらに、サックスの防音が難しい点は、サックスにもいくつかの種類が存在していて、演奏する物によって音の特徴が異なるのです。サックスは、以下のように種類によって音の特徴が変わります。

  • ・アルトサックスやソプラノサックス:中・高音が生じる
  • ・テナーサックスやバリトンサックス:中・低音が特徴

このように、同じサックスでも、アルトサックスとテナーサックスでは、音域がかなり違う楽器なので、必要な防音対策が変わるのです。サックスの防音室を作る場合、どのタイプのサックスを演奏予定なのかを施工業者にきちんと伝えましょう。逆に、サックス用防音室の相談をしたとき、サックスの種類を質問してこない業者は少し危険です。

サックスの音は、アルトサックスもテナーサックスでも、非常に大きな音量となります。ただ、テナーサックスは低音域の音が生じることから、音が壁をすり抜けてしまう可能性が高くなるのです。アルトサックスの場合、中高音域の音なので、壁に反射しやすいため、トランペット同様、防音は比較的容易です。
したがって、サックスの中でも低音が生じるテナーサックスやバリトンサックスは、高い遮音性を持つ防音室を作らなければならないと考えましょう。なお、サックスの演奏時は、ベルと防音壁の距離に注意しなければいけません。管楽器は、立って演奏することが可能なので、狭い防音室でも構わないと考える方が多いです。しかし、ベルが防音壁に近すぎると、本来の遮音性能が十分に発揮できず、想定した以上の音漏れが生じてしまう可能性があるのです。したがって、サックスなど管楽器用の防音室でも、楽器から防音壁まで十分な距離がとれるように、最低でも3畳程度は必要と考えた方が良いでしょう。

トロンボーン用の防音室

次は、トロンボーンです。トロンボーンは、トランペット同様に、大きなベルがある楽器なので、演奏する時の方向に注意することで音漏れ対策を強化することが可能です。

ただ、トロンボーンは、他の管楽器とは異なる防音室の注意点が存在します。というのも、トロンボーンは演奏時にスライドを動かす楽器で、『D』の音を出す際にスライドをいっぱいまで伸ばすのです。したがって、楽器そのものの大きさを想定するのではなく、スライドが伸びた状態のことを考量しなければならず、一般的に演奏には2m以上のスペースが必要とされています。なお、対角線上にスライドを延ばす場合でも、2畳以上の広さは確保しなければいけません。

フルート用の防音室

フルートは、非常に繊細で美しい音色が特徴の楽器です。防音工事のことを考えた時には、管楽器の中でも音域が高い楽器なので、比較的容易に防音室を設計することが可能です。フルートの音は、トランペットなどと同じく、壁に反射しやすいという特徴があります。そのため、低音が出るテナーサックスなどと比較すると、音漏れがしにくいという特徴があるのです。フルート用防音室は、防音室単体の遮音性能でDr-30~35程度のもので、夜間に演奏しても音漏れによる近隣トラブルの心配は少ないです。

また、フルート用防音室の特徴としては、他の管楽器と比較すると、広いスペースを必要としないという点もあげられます。フルートの演奏のみを考えると、1畳弱のスペースがあれば問題なく演奏可能ですし、譜面台を置くとしても1.5畳も必要ないでしょう。そのため、自宅にフルート用の防音室を作ろうと考えた時には、使わないクローゼットを防音室に作り替えたり、小型のユニット型防音室の設置を検討する方が多いです。ただ、狭い防音室での楽器の練習はあまりオススメできません。

防音室は、気密性や断熱性が非常に高い空間となるため、人が中に入って楽器の練習をすれば室温がどんどん上昇してしまうのです。そのため、室内が暑くなりすぎて長時間の楽器の練習が難しいという環境になりやすいです。狭い防音室は、換気扇や空調機器などの設置が難しいので、本格的な楽器の練習スペースには正直向かないと考えた方が良いです。1畳以下の防音室の場合、防音室の中に長時間滞在すると、酸欠の恐れもあると言われています。

まとめ

今回は、さまざまある楽器の中でも、管楽器用の防音室について解説しました。記事内でご紹介しているように、管楽器は木管楽器と金管楽器の2種類に分類されていて、そこからさらに細かな楽器の種類が存在します。そして、管楽器は、楽器によって生じる音の特徴が異なるため、防音室に求められる性能も微妙に違ってくるのです。

なお、管楽器用の防音室を作る際、もう一つ注意しておきたいのが「熟練度が高くなっていけば、その分、音も大きくなっていく」という特徴があることです。どのような楽器でも、演奏スキルが上達するにつれ、演奏時の音のボリュームが大きくなっていきます。特に管楽器はその変化が顕著で、管楽器初心者の方がその時点で出せる音量を基準に防音室を作った場合、1年後には音漏れに悩んでしまう…なんてことになりかねないのです。したがって、防音室を作る時には、将来的に出せるような音を想定し、それを防げるレベルの性能を実現してもらえるようにしましょう。

> 防音工事の匠が作る管楽器用防音室の費用

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

[trustindex no-registration=google]

古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

ピアノ防音室

実際に防音工事の匠が施工した防音室で防音性能を体験することで、当社の防音室の機能・音響などを体感していただけます。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

このページの先頭へ