日本で最初に起きた騒音に関する重大事件は「ピアノ騒音殺人事件」!ピアノ騒音で加害者にならないための対策とは?

ピアノは、非常に美しい音色を持つ楽器として幅広い音楽で利用されています。しかし、いくら美しい音色を持つピアノでも、時と場合によっては騒音と感じられてしまう場合があることを忘れてはいけません。

実際に、日本国内で初めて起きた騒音を原因とする殺人事件は、1974年8月に神奈川県で発生した「ピアノ騒音殺人事件」だと言われています。日本国内では、この事件をきっかけとして、自宅で楽器の演奏を行う場合、防音室などを用意しなければならないという認識が一気に広まったとされています。

ただ、防音工事の存在が広く知れ渡った現在でも、何の防音対策も行わないまま、自宅でピアノの演奏を行っているという方も少なくないと言われています。例えば、戸建て住宅に住む人であれば、マンションなどの集合住宅と比較すると、騒音トラブルの心配が少ないと勝手に考えている、昼間ならば多少の音漏れは許されると勝手に判断するといった理由で、近隣住民に迷惑をかけてしまう方がいるようです。

そこでこの記事は、自宅でピアノの演奏を行いたいと考えている方のため、ピアノの音で騒音の加害者にならないため、どのような対策を行っておくべきなのか解説します。

参考:wikipedia|ピアノ騒音殺人事件

ピアノの演奏に必要な防音対策について

それではここから、自宅でピアノの演奏を行いたいと考えている方が、行っておくべき対策について解説します。ここでは、一般の方でもできる最低限の対策からご紹介していきます。

なお、最初に言っておきますが、ピアノが生じさせる音は、皆さんが考えている以上に大きく、本来はピアノ演奏用の防音室を用意するのがおすすめです。しかし、防音室を用意するためには、それなりのコストがかかりますので「防音室工事まではちょっと…」と躊躇する方も多いようです。

例えば、ピアノの利用について、「隣家とそれなりの距離が離れている」「昼間しか演奏する予定がない」「ピアノを習い始めたばかりのお子様が短時間演奏するだけ」と言った条件の場合であれば、以下のような最低限の対策でも苦情は出ないかもしれません。

ピアノの演奏を行う時は窓を閉める

これが原因で、ご近所の方と騒音トラブルを抱える方が意外に多いので注意してください。ピアノに限りませんが、どのような楽器でも大きな音を生じさせるとわかっているわけですので、窓を開けっぱなしで演奏するといったことは絶対にないようにしましょう。窓を開け放ってピアノの演奏をすれば、ご近所さんから「うるさい!」と苦情を言われるのは当然です。

マンションなどの集合住宅で暮らす人が増えている、戸建てでも家と家の距離が近くなっている現在、自宅で楽器の演奏を行うなら、周囲への配慮は必要不可欠です。どのような時でも、ピアノを演奏するなら必ず窓は閉め切ってください。

自分で可能な範囲の防音対策を行う

ほとんどの方は「自宅でピアノの演奏をするなら防音対策が必要」ということは理解していると思います。ただ、専門業者に防音工事を依頼するとなると、多額のコストがかかるため、防音対策は必要と思いながらも目を瞑るのだと思います。しかし、そのような対応が近隣の方に迷惑をかける結果を招きます。

防音室を作るまでのコスト負担が厳しい…という場合でも、自分で出来る最低限の防音対策は必ず行っておくべきです。最近では、ホームセンターやネット通販で防音対策のためのアイテムが簡単に手に入るようになっていますので、以下のような対策を施し、ピアノの演奏を行いましょう。

  • ・ピアノの下に振動を吸収する防音マットなどを敷く
  • ・グランドピアノなら蓋を閉める
  • ・窓やドア部分からの音漏れを防ぐため、防音カーテンを設置する
  • ・壁に吸音パネルや防音パネルを設置する
  • ・窓に隙間テープ、換気口に消音材を設置するなど隙間を無くす

このように、ホームセンターやネット通販で材料を集めれば、ご自身で防音対策を施すことも可能です。ただ、これらの防音対策は、あくまでも簡易的な対策で高い防音効果を見込むことは難しいです。そのため、熟練者がピアノの演奏をする、夜間もピアノ演奏を考えているという場合は、こういった簡易対策では騒音を防げないと考えた方が良いです。

ピアノを設置する場所を工夫する

ピアノの演奏による騒音トラブルを避けたいのであれば、ピアノを設置する場所や位置、方向は慎重に決めなければいけません。

ピアノは楽器の中でも大きい部類の楽器ですので、なかなか好きな場所を選んで設置するというのも難しいです。ただ、騒音問題を引き起こしたくない場合は、可能な限り「壁の向こうも我が家」と言った位置にピアノを置くのがおすすめです。音は距離によって減退していきますので、隣家と極力離れた場所に設置することで、音の伝わりを抑えることができます。

もちろん、間取りの問題で、どうしても「壁の向こうはお隣さん」となってしまうこともあると思います。この場合は、ピアノを壁から少し離して設置するようにしましょう。また、設置するのがアップライトピアノの場合、後ろ側から音が大きく出るので、ピアノの背は自宅側に向けるようにしましょう。

ピアノを演奏する時間に注意する

これは、お住いの周辺環境や近隣住人さんのライフスタイルも関係しますので、確実な対策とは言えないかもしれません。しかし、多くの場合、ピアノを演奏する時間を近隣に配慮することで、騒音問題を避けることができているようです。

一般的に、自宅でピアノなどの楽器演奏が許されると言われている時間は、朝10時ごろから夜に7時までが妥当と言われています。この時間は、一般的に人の活動時間となるため、さまざまな騒音が周囲に存在していて、上述したような防音対策を施していればピアノの音が多少聞こえる程度で、気になるほどではなくなるからです。

なお、住宅街で行われている工事などについて、早朝の8時ごろからスタートするケースが多いため、「朝は8時頃からピアノを演奏しても良いのではないか?」と考える方もいるようです。しかし、建設工事は、工期がきちんと決められていて終わりが必ずある事や、工事に入る前に挨拶回りが行われるなどと言った理由で、多少朝早くから稼働していても苦情が出にくいそうです。

注意が必要なのは、ご近所さんの生活スタイルが分からない状態で「10時〜19時は多少の騒音は許される」と考えないでください。というのも、世の中には夜勤で働いている人もいますし、コロナ禍以降は、在宅で仕事をしている方も増えています。そのため、近隣に昼間自宅で仕事をしている、夜勤のために寝ているという人が居れば、10時〜19時の演奏でも苦情を言われる可能性が高いでしょう。近隣の方との人間関係がある程度できているのであれば、事前に「子供にピアノを弾かせたいのだけど、何時ごろなら大丈夫?」と聞いてみるのも良いでしょう。この行動は、あなたがきちんと配慮している姿を示せますし、相談したことで印象が良くなります。そして、音というのは「誰が出しているのか?」で受け取り方がかなり違い、好印象の人が出す音は意外に気にならなくなるものです。

電子ピアノなど音量を調整できる物を設置する

自宅に設置するピアノについてグランドピアノやアップライトピアノなど、アコースティックピアノにこだわりを持つ方も多いのですが、騒音トラブルを確実に防ぎたいと考えるなら、電子ピアノやサイレントピアノなど、音量調節が可能なピアノを設置するのがおすすめです。

電子ピアノなどは、ヘッドフォンを繋げば、音が出なくなるので騒音を気にせずに自由に弾くことができるようになります。ただ、電子ピアノは、鍵盤が軽いなど、アコースティックピアノとは弾き心地が異なるので、本格的なピアノの練習には不向きと言われています。趣味でピアノの練習がしたいなど、プロのピアニストを目指しているわけではない場合にはオススメです。

※電子ピアノでも鍵盤を叩くときの振動が下に響く場合があります。したがって、マンションなどの集合住宅の場合は、防音マットだけは敷いておきましょう。

防音工事を実施する

自宅でピアノの演奏を行う場合、ここまで紹介した対策を施したとしても、どうしても騒音の苦情を言われてしまう…なんてことがあると思います。特に、マンションなどの集合住宅は、さまざまな人が同じ建物内で生活することになるわけですので、簡易的な防音対策を行っただけでは、ピアノの音を完全に防ぐことなどできません。
このような場合には、下で紹介するような方法で、ピアノ演奏専用の防音室を作るべきでしょう。

  • ユニット型防音室を設置する
    ヤマハやカワイなど、楽器メーカーが販売するユニット型防音室を購入し、部屋の中に設置するという方法です。なお、ピアノ用のユニット型防音室となると、3畳程度は欲しいのですが、そうなると100万円以上のコストがかかるので、下で紹介する防音工事の方がおすすめです。
  • 専門業者に防音工事を依頼する
    ピアノの音による騒音トラブルを防ぐための、最も良い方法は専門業者に依頼して防音工事を行ってもらうという方法です。防音工事業者は、防音室の利用用途だけでなく、周辺環境についてもきちんと調査を行い、必要な性能を備えた防音室を作ってくれます。したがって、想定していた用途を外れない限りは、自由にピアノを演奏することができます。

自宅で自由にピアノの演奏がしたいという場合、やはり防音室を用意するのが最も安全です。防音室があれば、音漏れを気にすることなく自由にピアノの演奏が出来ますので、上達も早くなるはずです。注意が必要なのは、防音工事会社は、お客様の要望にそって、防音室の設計や見積りを行います。そのため、防音工事業者に説明した使い方から外れた行いをした場合には、防音室があっても騒音問題が発生する可能性があるのです。例えば、防音工事の費用を抑えるため「19時までしか演奏しないので、防音工事費を割引きしてほしい」と依頼したのに、19時以降も演奏するといった使い方です。この場合、夜間は環境騒音が小さくなるため、防音室からの音漏れが目立ってしまい、近隣の方から苦情を言われる可能性があります。

専門業者が作る防音室は、「どんな音でも外に漏らさない!」と考えている方がいるのですが、そうではなく、お客様の予算やご要望に合わせて設計しますので、最初の打ち合わせが非常に重要になります。理想の防音室を作るためには、まず予算を度外視して防音室に欲しい機能で見積りと設計をしてもらうのがおすすめです。そして、そこから削れる部分を削って現実の防音室に近づけていきましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

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鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

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