防音工事は最初の業者選びが重要!典型的な悪徳業者の特徴をご紹介
近年、テレワークなど、在宅時間が長くなっていることから、防音工事の需要が高くなっています。防音工事は、その他の住宅リフォームと比較すれば、悪徳な営業を行う業者の割合がかなり少ないと言われています。実際に、シロアリ駆除業者や外壁などの塗装業界と比較すれば、飛び込み営業などを行う業者が少ない分、悪質な業者も少ないのは事実です。ただ、コロナ禍以降、生活騒音対策を目的とした簡易的な防音工事の需要が高くなっていることもあり、悪徳とまでは言わないものの、防音工事に関する消費者トラブルが増加していると言われています。
そこでこの記事では、防音工事に関わる悪徳営業に引っかからないため、典型的な悪徳業者が利用する手口についてご紹介します。
悪徳防音工事業者の手口
どのような業界でも同じですが、多くの業者は誠実でプライドを持ちしっかりとした仕事をすることをモットーに活動しています。しかし、一部の業者の中には、自社が利益を上げられるようにすることしか考えず、不必要な工事を勧めてきたり、不当な高額請求をするなど、悪質な業務形態をとっている場合があります。
ここでは、防音工事を検討した時に騙されないため、典型的な悪徳業者の手口をご紹介します。
飛び込み営業を行う防音工事業者
防音工事は、対象となる住宅が、何らかの音の悩みを抱えていなければ断られる可能性が非常に高いです。しかし、住宅を外から見ただけでは、音の悩みを抱えているのかが判断できないことから、防音工事業界で飛び込み営業を行う業者は少ないです。
ただ、飛び込み営業を行う業者が一切いないわけではなく、音の悩みを抱えている可能性が高いと考えられるエリアでは、飛び込み営業方式を採用している防音工事会社が存在するようです。例えば、空港の近く、米軍基地の近く、幹線道路沿いの住宅などであれば、その他のエリアと比較した場合、音の悩みを抱える可能性が高くなります。そのため、こういったエリアでは、騒音対策を行いませんかと言った飛び込み営業が現在でも行われているようです。
なお、空港や基地の近くなど、航空機騒音で住民生活に大きな影響を与えると考えられるような場所については、住宅防音工事に対する助成金が支払われる場合があります。つまり、飛び込み営業を行う業者からしても、「負担が少ない状態で騒音対策が可能」と声をかけられる点が大きいわけです。もちろん、飛び込み営業を行っている業者が、きちんと防音の知識を持っていて、助成金も使えたという場合であれば、お得に騒音対策ができる可能性もあります。しかし、ほとんどの場合、防音に関する知識を持っていない業者ですので、工事を行っても問題が解消できない、不用な工事まで行われる結果となり、後悔するケースが多いです。
理由なき極端な値下げに注意
消費者からすると、値下げ交渉をするのは当然で、値下げに応じてくれる業者は優良業者ではないかと感じると思います。もちろん、適切な理由のもと値下げ交渉に応じてくれるのであれば、良い事ですし、優良な業者と判断できるでしょう。
しかし、明確な理由もないに極端な値下げを行ってくる業者は注意が必要です。例えば、業者から200万円の見積書が提出されたとして、「200万円は予算オーバーなので今回はやめておきます」と返答したとしましょう。そして、そのような時に「分かりました。それでは半額の100万円にしますがどうでしょうか?」というように、何の条件もなく突然、大幅な値下げをしてくる防音工事業者も存在するのです。防音工事は、使用する材料のグレードや量で、工事にかかるコストをある程度調整することが可能です。まともな業者の場合、「防音室の利用を昼間に限定すれば、性能を落とせるので、○○万円値下げできますが?」と言った感じに、値下げの根拠と条件を提示してきます。この時には、本来使用予定だった防音材のグレードを下げるので値下げが可能な訳です。
しかし、こういった交渉もなしに大幅な値下げを行うのは、防音室の仕上がりやお客様の利用用途など関係なく、防音工事の仕事がとれるかどうかだけに着目している証拠です。したがって、防音工事業者を選ぶ際、「少し高い」「予算オーバーです」と言ってみると良いでしょう。そして、その時に防音工事業者が一気に値下げしてきたら注意が必要です。
良心的な防音工事業者であれば、あなたの予算の範囲で可能な防音工事の内容と実現できる性能を改めて提案書としてまとめてくれるはずです。防音工事は、いくら半額にしてもらえても、求めている防音環境が作れないのであれば何の意味もありませんので、価格ばかりに着目するのはやめましょう。
他社のデザインをそのまま利用する
防音工事は、相見積もりをとるのが一般的です。そして、悪質な防音工事業者の中には、他社が提案した内容をお客様に提示させ、「うちなら同じ内容をもっと安くできます!」と仕事を取りに行く業者がいます。
このやり方は、お客様にとってはありがたいかもしれませんが、同じ防音工事業者からすれば、やはりルール違反の行為と言えます。当然、お見積りを提示する時には、防音室の基本設計まで組んでいますし、提案書を制作するためにそれなりのコストをかけています。もちろん、条件が合わないことからお客様に断られてしまうのは致し方ないのですが、提案書を他社が流用するのはNG行為と言えるでしょう。
なお、防音工事の価格調整は、主に使用する材料のグレードと量によるものですので、同じ設計の工事を大幅に安くすることはできないと考えた方が良いです。それなのに、「同じ内容を30%安くできます!」と言ってくる業者があれば、それは、表面上のデザインは一緒にして、防音工事の中身について手抜きする可能性が高いです。つまり、本来の防音性能を実現できない粗悪な防音室になる可能性があります。
※もともとの業者が高すぎる見積りを提示していた場合、大幅に値下げできるケースはあります。
自社の施工にプライドと自信を持っている業者であれば、他社の提案書をそのまま真似して施工するなんてことはしません。偶然似たような提案になることはありますが、自社がお客様にオススメする防音室の仕様は必ずあるはずですので、それすら提示しない業者は信用しない方が良いです。
悪徳ではないものの、注意したほうが良い業者
それでは次に、悪徳ではないものの、防音工事を依頼する前に色々と確認しておくべき業者の種類についても解説します。
住宅メーカーからの紹介
一つ目の選択肢は、新築住宅を購入する際に防音室を設けようと考えているパターンで、防音工事業者を住宅メーカーに紹介してもらうケースです。なお、住宅メーカーから紹介してもらえる防音工事業者に関しては、手抜き工事や不当な高額請求の心配はなく、ある程度高レベルの技術を持っていると期待できます。つまり、防音工事業者としては本来望ましいレベルの業者ではあるのです。
ただ、住宅メーカーから防音工事業者を紹介してもらう場合、防音工事業者から住宅メーカーに対してマージン(紹介料)が支払われる場合がほとんどです。したがって、この紹介料が防音工事代金に上乗せされることになり、自分で探した防音工事業者に依頼するのと比較すると割高になってしまう場合があるのです。過去に聞いた話では、3~5割程度の割り増しになったという事例もあるようです。住宅メーカーからの紹介の場合、基本的に競合他社との相見積もりが無いので、通常の見積り時よりも高く価格設定するケースが多いです。したがって、紹介料を除いたとしても全体の工事費が高く設定されているケースが多いわけです。
ちなみに、新築時に住宅メーカーから防音工事業者を紹介してもらう場合のメリットもあります。例えば、防音工事にかかる費用を住宅ローンに含めることができる(金利が安い)、工事工程の調整などがスムーズ、手間が省けるなどのメリットはかなり大きいと思います。
住宅メーカーから紹介してもらうにしても、防音工事にかかるコストはできるだけ抑えたいと考える場合、住宅メーカーと契約する前に「防音工事は自分が探した業者に依頼できるのか?」「新築に並行して防音工事ができるのか?」などを確認し、これらを認めてくれる住宅メーカーと契約すると良いでしょう。
知人からの紹介
楽器の演奏を生業にしている方などであれば、知人に防音工事業者を紹介してもらうケースが多いと思います。そして、知人からの紹介であれば、法外な高額請求をされるなど、悪徳業者と契約する可能性が限りなく低くなるでしょう。ただ、知人からの紹介に関しても、何のデメリットもないというわけではありません。
知人からの紹介を受けて防音工業者を決めた場合、適切な費用で正確な防音工事を行ってもらえる可能性が高いです。ただ、防音工事は、目に見えない音への対策となりますので、お客様と業者の意思疎通がちょっとズレただけで、性能足らずな防音室に仕上がってしまう可能性があるのです。そして、このような場合、知人から紹介してもらった防音工事業者となると、紹介してもらった方の手前もあり、なかなか強く言うことができない…と言った状況に陥る可能性があります。
知人からの紹介は、高いスキルを持った防音工事業者に出会える可能性が非常に高いので、基本的にはオススメの方法です。ただ、万一のことを考えると、「知り合いの紹介でも言いたいことは言える」と言った性格の方でなければ、意外な落とし穴があると考えましょう。
まとめ
今回は、自宅の防音工事を検討した時に、工事を依頼する業者選びの際に注意したいポイントをご紹介しました。
防音工事業界は、その他の住宅リフォーム業界と比較した場合、詐欺的な営業を行う悪徳業者の数はかなり少ないと言えます。これは、防音工事は、お客様が音の悩みを抱えて初めて工事を必要としますので、お客様からのアクションが無ければ営業をかける意味がほとんどないのが大きな理由です。
省エネ関連のリフォームであれば、工事を行うことで「光熱費が削減できる!」などと言ったメリットを提示できますが、防音工事は音の悩みを解消する工事ですので、人によっては何のメリットもない工事になるわけです。つまり、その他の住宅リフォームと比較すると、顧客対象が少なくなるので、この業界で悪徳営業を行っても利益が薄いと判断するのだと思います。
ただ、悪徳業者が一切いないわけではないので、この記事でご紹介した内容は注意してください。