6畳の部屋を防音室にしたい!防音工事にかかる費用はいくらぐらいなの?
お客様から防音工事に関するお問い合わせをいただく際、「6畳の部屋を防音室にするのに費用はいくらぐらいですか?」と言った質問を頂くことが多くなっています。この質問に関しては、防音工事を施す部屋の面積などが分かりやすいため、業者側が見積りを出しやすいと考えて、ある程度の目安を情報として伝えているのだと思いますが、正直に言うとこの情報だけで「6畳の部屋なら〇〇万円です」などと、金額に関する回答をするのは非常に難しいです。なぜなら、防音工事にかかる費用は、部屋の広さだけでなく、どういった音を対策したいのか、工事を施す場所の環境はどうなっているのかによって大きく変わるからです。
例えば、単純に6畳の部屋を丸々リフォームして防音室にしたいというのなら、天井やドア、窓なども含めると、最低でも150万円近い費用がかかってきます。ただ、同じ防音室でも、以下のように、その利用用途はお客様ごとに異なるはずです。
- ・テレワーク中、外部騒音に悩まされたくない
- ・楽器の音を外に漏れないようにしたい
- ・動画配信で家族や近隣に迷惑を掛けたくない
- ・ペットの鳴き声に対して苦情があったので対策したい
このように、防音室を求める理由はさまざまなはずです。そして、どういった音の対策なのかによって、必要な防音箇所は異なり、同じ6畳の部屋でも数十万円で防音工事が可能な場合もあれば、200万円以上かかるケースもあるのです。
そこでこの記事では、6畳の部屋に対して防音工事を行うことを想定し、さまざまな音の問題に対して防音対策を行う場合の費用をご紹介します。
防音工事にもいくつもの種類がある!
一口に「防音工事」と言っても、対策したい音によって行うべき工事が異なります。当然、工事の内容が変われば防音工事にかかる費用も違ってきますよね。そのため、お客様から「6畳の部屋に防音工事を行う場合の費用を教えて!」と言われたときには「安ければ5万円程度、高ければ300万円以上かかります」と言った感じに、信じられないほどの金額の幅が生じます。
これは、日常的な生活騒音程度の対策であれば、極論、ご自身で材料費をかけるだけで対策が可能なため、安ければ5万円程度という金額が出るのです。ここではまず、一般的に行われることが多い防音対策の種類と、それにかかる費用をご紹介します。
- ・内窓を設置して二重窓にする・・・5万円~15万円
- ・窓ガラスを防音ガラスに交換する・・・7万円~15万円
- ・換気口を防音仕様のものに交換する・・・3万円~5万円
- ・床材を遮音性の高いものに交換する・・・4万円~25万円
- ・床材の下に防音材を設置する・・・30万円~70万円
- ・壁の中に防音材を設置する・・・18万円~30万円
- ・ユニット型防音室を設置する・・・50万円~300万円
- ・防音室に作り替える・・・180万円~400万円(これ以上の場合もある)
一口に「防音工事を行う」と言っても、上記のようにさまざまな手法が考えられます。そして、同じ対策を行うにしても、使用する建材のグレードや求める防音性能などによってかかる費用が異なります。それぞれの防音対策について、どういった場合に採用されるのかを次項でもう少し詳しくご紹介します。
外部騒音に対する防音
近年では、楽器用防音室などではなく、日常的な生活騒音を防止するための防音工事のご依頼が多くなっています。コロナ禍で、在宅時間が長くなった、各家庭の生活空間が近くなっているといった理由から、お隣の話し声や家事の音、ペット騒音に悩まされるケースが多くなっており、こういった騒音を低減するため我々のような防音工事業者に相談してくるわけです。
ここでは、外部騒音対策として採用されることが多い防音工事の詳細をご紹介します。
窓の防音対策
住宅において、音の侵入・音漏れの原因箇所になりやすいのが窓です。そもそも窓は、壁などと比較した場合、非常に薄い素材で出来ていますので、音が貫通しやすいという特性を持っています。さらに、窓はスムーズに開閉できなければならないので、きちんと閉めていたとしてもレール部分に小さな隙間が生じるような作りになっています。音は、ほんの僅かな隙間でも伝わりますので、住宅にとっては音に対する大きな弱点になり得るわけです。
こういった窓部分の防音対策については、内窓を設置して二重窓にする対策や、窓ガラスを防音ガラスに交換するという対策が行われます。前者の場合、1箇所につく5~15万円ほどが費用相場で、新たに設置する窓の素材によって費用が変わります。後者についても、窓ガラスのグレードによって費用が異なり、1箇所7万円~15万円が相場となります。なお、築年数が経過した住宅の場合、防音ガラスがはまらないサッシが採用されていることがあり、この場合はサッシごと交換することになり、費用がもう少し掛かります。
ちなみに、こういった窓の防音工事については、住宅の断熱性を向上させる効果もあります。住宅の断熱性の向上は、省エネな暮らしが実現しますので、国や自治体の補助金を利用できる場合があるので調べてみましょう。
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壁の防音対策
これは、築年数が経過していて、現在の住宅と比較すると壁が薄く、防音性が低いといった場合に採用されるケースが多いです。また、マンションなど、隣家との生活空間が非常に近いことから、お隣の生活音が気になる…と言った場合にも壁の防音性を高める工事が行われることが多いです。
具体的な対策としては、既存の壁を一度解体し、壁内部にグラスウールなどの吸音材や遮音シートを設置するといった工事内容となります。設置する防音材のグレードによって多少費用は異なりますが、基本的に6畳程度の部屋で1面の壁に工事を施す場合、18万円~30万円程度が費用相場となります。
なお、壁の防音対策については、換気口がある場合、これを無視すると意味がなくなるので、下の換気口の防音対策も同時に行う必要があると考えてください。
換気口の防音対策
現在の住宅は、建築基準法によって24時間換気システムの設置が義務付けられています。これは、建築技術が飛躍的な進歩を遂げたことにより、住宅の気密性が非常に高くなって、空気の流動性がなくなったことでシックハウス症候群を発症する方が急増したのが理由だとされています。
24時間換気システムの換気口は、室内の空気を新鮮に保つためのものですので、外気を取り込めるように空洞になっています。当然、空気の通り道になっているということは、音も一緒に出入りすることになるわけですので、防音の観点から考えると、非常に大きな弱点になります。ただ、防音したいからと言って、この換気口を塞ぐことはできません。
換気口の防音対策は、防音仕様の換気口に交換するという方法があり、高額なものでも5万円程度出せば対策が可能です。なお、ネット通販などで、換気口の消音材が販売されていますので、蓋が外せるタイプは、数千円出せば自分で対策を行うことも可能です。
集合住宅において上下階の騒音トラブルを防止する
マンションなどの集合住宅で生活する方が増えてきた現在、足音などの生活音で上下階の住人同士が騒音トラブルを抱えるケースが増えています。特に、コロナ禍で在宅時間が長くなってからは、お子様が家の中を走り回る、ペットを飼い始めて足音が階下に響いているなどと言ったことが原因で、階下の人から苦情が来たので防音工事をしたいという相談が多くなっています。集合住宅における上下階の騒音トラブルは、過去に裁判沙汰にまで発展し、騒音主側に損害賠償が明示されてといった判例もあるので、以下のような対策を検討しすると良いでしょう。
床材の張替え
ペットの足音などが原因となる騒音トラブルの場合、既存床材をクッション性のある防音カーペットなどに張り替えする方法で、騒音を防止することが可能です。ペットの足音は、単純な衝撃音が階下に伝わり迷惑を掛けているわけではなく、爪がフローリングに当たってカチャカチャいう音を不快に感じるケースが多いようです。例えば、自宅で飼育しているペットが小型犬なのに…と言ったケースでは、ほとんどの場合、爪の音が騒音の原因ですので、フローリングの上にカーペットを敷くことで対策を施すのがオススメです。なお、最近では、フローリング材自体の遮音性を高めた、遮音フローリングなるものが登場しています。このタイプであれば、爪の音はもちろん、掃除機をかける時の音なども階下に伝わりにくくなるので、「床はフローリングが良い!」と考える人はコチラを選ぶと良いでしょう。
床材の張替えに関しては、工法や新たな床材によって費用が変わりますが、4万円~25万円程度です。既存フローリングの上から新たに床材を施工する、カバー工法の場合、廃材処理費や撤去工事が無い分、コストをおさえられます。また、防音工事を施したい部屋が特定できている場合、自分で防音カーペットを購入し設置すれば、もっと安く抑えられます。
床材の下に防音材を設置する
これは、上記の方法よりもさらに高い防音性能が求められる場合の対策です。例えば、小さなお子様がいて、注意しても家の中で走り回る、飛び跳ねたりするため、階下にかなり大きな衝撃音が伝わってしまうといった場合の対策です。子供が部屋の中を飛び跳ねるといった音は、床材だけでシャットアウトするのはかなり難しいです。
したがって、こういった大きな音の防音対策の場合、一度床材を撤去し、吸音材や遮音材を設置した後に、新たな床材を設置する工事がオススメです。当然、床材の張替えと比較すると、かなり大掛かりな工事になるので、費用は高くなります。なお、床の防音対策は、建物の構造によって採用できる方法が制限される場合がありますので注意してください。
楽器の演奏やカラオケルームなどのための防音
最後は、自宅で楽器の演奏やカラオケを楽しみたいと考えている方に必要な防音室です。楽器は、非常に大きな音が生じますので、壁だけ、床だけ、と言った部分的な防音対策を行ったとしても、防音性が低い部分から音漏れが発生します。したがって、自宅で楽器の演奏などを考えている場合、部屋そのものの防音性を平均的に高めてあげなければいけません。
なお、コロナ禍以降、自宅にカラオケルーム用の防音室を作りたいというご相談が増えているのですが、カラオケは、マイクを通した音ですので、最大で100dBもの大音量になり、楽器用防音室レベルの性能が必要です。
ユニット型防音室を設置する
ユニット型防音室とは、ヤマハさんのアビテックスなど、高い防音性能を保持したプレハブ小屋のような物です。演奏する楽器の大きさなどを考えて、それが演奏可能な防音室を購入し、部屋の一角に設置してもらうという方法になります。費用は、購入する防音室の性能や広さによって変わり、50万円~300万円程度が相場です。
ユニット型防音室は、マンションなどで、管理規約上、大掛かりなリフォーム工事が禁止されているという場合には、非常に有効な手法です。ただ、防音性能や広さなど、防音室の規格が決まったものを購入する形ですので、あなたが防音室に求めている性能全てを叶えるものを手に入れるのは基本的にできないと考えた方が良いです。例えば、防音室内の音響環境は、フルリフォームによる防音室と比較すると、かなり悪くなりますし、長時間の練習に適さない室内環境などと言った点がデメリットです。
正直、自宅カラオケが目的なのであれば、ユニット型防音室はNGだと思います。
一室まるまる防音工事を施す
最後は、既存の部屋を丸々防音リフォームするという方法です。この場合、6畳程度の部屋をピアノやギターなど、楽器演奏用の防音室に作り替える場合、180~300万円程度が費用相場です。ただし、楽器の演奏でも、ドラムなどの打楽器になると、非常に高度な床の防音対策が必要になるため、6畳の部屋でも400万円以上の費用がかかると思っておきましょう。
6畳の部屋をリフォームして防音室に作り替える場合、やはり費用はかなり掛かってしまいます。ただ、部屋の内装はもちろん、音響環境までお客様の要望に沿うことができますので、長く防音室を利用したいと考える場合は、防音工事を行い防音を作るのがオススメです。
まとめ
今回は、「6畳の部屋を防音室にしたい!」とお考えの方のため、具体的な防音工事の手法とそれにかかる費用を解説しました。
一口に防音工事と言っても、さまざまな手法が存在していますので、あなたの音の悩みに対して、適切な対策を選ばなければいけません。この記事では、代表的な防音手法とその費用感をご紹介していますので、現在、何らかの音の悩みを抱えているという方がいれば、ぜひ参考にしてみてください。
なお、音の悩みに適切な対策と言われても、何が適切なのか分からない…という方も多いと思いますので、お気軽に防音工事の匠までお問い合わせください。