自宅スタジオを作りたい人必見!音漏れを気にせず収録する方法について

今回は、自宅スタジオを検討中の方に向け、音漏れを気にせずに収録を行うための方法について解説していきます。

近年、さまざまな機材が進化していることから、新築時などに自宅スタジオを用意しておきたいという要望で我々のような防音工事業者に相談してくるお客様が多くなっています。というのも、音楽などを収録する際には、大きな音が生じてしまいますので、「音漏れが気になってしまい、どうしても思いっきり音を出すことができない」「近所から苦情が来ないか心配」などといった悩みを抱えてしまうケースが多いです。他にも、収録となると、外部から音が侵入してくることも防がなければいけませんし、収録環境に求められる要素がたくさんあるのです。

そこでこの記事では、集中して収録ができるようにするための自宅スタジオはどのようにして作ればよいのかを考えていきます。

自宅スタジオに存在する音の問題は3種類ある

それではまず、自宅に収録用のスタジオを設けようと考えた時、どのような音の問題が生じるのかについて考えてみましょう。実は、自宅スタジオなどの防音は、楽器用防音室などと比較しても、問題となる音の種類が多いです。そのため、一般的な防音対策では、なかなか満足のいく音環境を作り出すことが難しいと考えなければいけません。

ここでは、自宅スタジオを作る際に注意しておきたい、3つの音の問題をご紹介します。

自ら生じさせる音が外部に漏れる

自宅スタジオを作る最も大きな要因は、自分が生じさせる音が外部に漏れるという悩みを解消するためという考えからです。

自宅で楽器の演奏や歌声を収録する際には、ご近所さんに気を使って小さな音しか出さないようにすることなど不可能です。さらに、収録に没頭すればするほど、徐々に音が大きくなってしまい、苦情が来てしまうなんてケースも考えられるでしょう。
もちろん、複数人での収録となると、演奏が楽しくなってしまい、余計に音量が上がってしまうことも考えられます。そして、こういった声や音は、窓やドアの隙間などから漏れて行ってしまうのです。さらに、マンションなどの集合住宅であれば、壁や床、天井などを伝って、上下左右のご家庭に音が響いてしまいます。

つまり、何の防音対策も施されていない環境であれば、窓やドアをきちんと閉めていても、音漏れを完全に防ぐようなことは不可能だと考えなければいけないのです。最近では、ホームセンターなどで簡易の防音アイテムが販売されていますので、壁に防音パネルなどを貼っている方も多いですが、正直な話、気休め程度の防音効果しかないと考えておきましょう。

外部騒音の侵入

収録を目的とした自宅スタジオの場合、楽器用防音室などと異なり、外部からの音の侵入が悩みの種となります。これは、ユーチューバーなどの動画配信者も同じですね。例えば、日常生活を進める上では、以下のような音がそこら中に潜んでいます。

  • ・救急車やパトカーなど、緊急車両のサイレン
  • ・近所の建設現場などから聞こえてくる騒音
  • ・家の前で騒ぐ子供の声や電車の走行音など
  • ・学校のチャイムや公共放送の音

上記のように、自宅周辺にはさまざまな音が存在していて、これらの音が外から自宅に入ってきてしまいます。特に緊急車両のサイレンなどは、いつ鳴るか予想することもできませんし、収録時やライブ配信などを行う時の大きな悩みになってしまいます。

家庭内に存在する音の問題

実は、自宅スタジオや動画配信者の悩みとなる音の問題では、自宅内に存在する生活騒音も大きな要因となります。誰でも、日常生活を進める限りはさまざまな音を発してしまいます。例えば以下のような音が考えられます。

  • ・洗濯機や掃除機などの機械音
  • ・食事を作る時の音
  • ・子供が騒ぐときの声
  • ・子供が室内を走り回る音
  • ・ペットの鳴き声

同居している家族いる方やペットを飼っている場合、自宅内で発生する音が悩みの種となってしまうケースが考えられます。こういった自宅内で発生する音に関しては、防音室まで作らなくても、ドアを閉めていれば大丈夫…と考える方がいるのですが、一般的なドアは閉めていても換気ができるようワザと隙間が生じるような構造になっています。つまり、ドアをきちんと閉めていても、自宅内の生活騒音は普通に侵入してきてしまう訳です。

手軽に防音できる方法はないの?

ここまでは、自宅スタジオを作ろうと考えている方が、どのような音の問題を抱えているのかについて解説しました。それでは、上述したような音の問題については、防音室を用意しなければ対処できないものなのでしょうか?

ここでは、防音室まではちょっと…という方に向け、比較的手軽に行える簡易的な防音対策をいくつかご紹介しておきます。

防音カーテンと隙間テープで対策を行う

大きな音が生じるような作業を行う場合、窓やドアは必ず閉めるはずです。窓やドアを閉めていれば、自分が生じさせる音が外に漏れることも、外部からの音の侵入もある程度防ぐことが可能です。しかし、上述しているように、通常の窓やドアであれば、その構造上、閉めていても隙間が生じてしまい、そこから音が漏れたり侵入したりするのです。

こういった時の対策としては、ホームセンターなどで防音カーテンを購入し設置するのがオススメです。防音カーテンは、その名称から分かるように、通常のカーテンよりも高い防音性能をもっています。さらに、窓やドアの隙間についても、隙間テープで可能な限り塞いでおくことで、音を二重に遮断する事が出来るようになり、ある程度の防音環境を作ることができます。

パーテーションで個室を作る

最近では、防音用のパーテーションが販売されていますので、収録用のスペースをパーテーションで囲うなどして、簡易的な個室を作るのもオススメです。防音仕様のパーテーションは、それなりの価格になってしまうものの、それでも一室まるまる防音室にするとか、組み立て式の防音室を購入するのと比較すると圧倒的に安く収まるでしょう。

更に、パーテーションの外側に、突っ張り棒などを使用して、防音カーテンを設置することで、二重の防音対策が可能です。部屋を普段使いする時には非常に不便になってしまいますので、普段誰も使用していない空き部屋などを使用するのがオススメです。

吸音材を使用して対策を施す

吸音とは、音が素材を通過する時に、摩擦によって音エネルギーを熱エネルギーに変換し、騒音を和らげることを指しています。そして、このような効果を持つ素材が吸音材と呼ばれていて、現在では、ホームセンターや通販サイトなどで簡単に手に入れることができるようになっています。吸音材は、素材の中に音が入り込む隙間がたくさん設けられており、この隙間内で摩擦を引き起こし、音を減退させる素材となります。

以下に、ホームセンターなどでも手に入れられる吸音材をご紹介します。

  • ウレタンスポンジ
    ウレタンスポンジは、最も手軽な吸音材です。ハサミやカッターなどを使用すれば、簡単に切断することができますので、部屋の大きさに合わせて自分で調節することも可能です。なお、防音目的で使用する場合、表面に凹凸があるタイプの方が吸音効果が高いです。このウレタンスポンジを音が反響しやすい箇所に貼り付けることで、音漏れを軽減してくれます。なお、低音域に対する吸音効果は若干薄れる素材ですので注意しましょう。
  • グラスウール
    グラスウールは、住宅の断熱材として使用されることが多いのですが、実は吸音材としても優れています。吸音効果のみを考えると、ウレタンやロックウールの方が高いのですが、コストパフォーマンスを考えるとグラスウールがオススメです。最近では、パネルのように成形されて販売されていますので、そういったものを購入し壁に設置すると良いでしょう。なお、ウレタンと同様、低音域に対する吸音は若干効果が薄れます。
  • パンチングボード
    学校の音楽室の壁に採用されている穴の開いた板です。この素材は、穴に音が入ることで、穴の部分の空気が激しく振動し、周辺との摩擦熱として音エネルギーが消費されます。パンチングボードは低音域対策として優れているので、上述した二つの素材の上に貼り付けるとより効果的です。

上記のように、自分で防音対策に取り組むことは可能です。ただ、本格的な防音工事と比較すると、その効果は知れていますのでこれで苦情の心配がなくなるとは考えない方が良いですよ。

本格的に防音に取り組むには?

それでは最後に、自宅で収録ができるようなスタジオを作るための本格的な防音対策についてご紹介します。

組み立て式防音室を設置する

一つ目は、組み立て式の防音室を購入し、それを設置するという方法です。組み立て式の防音室でも、自分で組み立て可能な10万円前後の物から、楽器メーカーが販売する本格的なユニット型防音室までいくつかの種類が存在しています。組み立て式防音室は、価格が高くなるほど面積が広くなり、防音性能が高くなります。基本的には、防音工事業者に一室まるまる工事させるよりは安価に収まります。

ただ、この組み立て式防音室にはいくつかの明確なデメリットが存在しますので、以下の点に注意してください。

  • ・規格品を購入するので、サイズや形が決まってしまう
  • ・部屋の中に大きな電話ボックスを置くイメージですので、デッドスペースができる
  • ・デザインが決まっているので、自室の雰囲気に合わないことがある
  • ・狭くて天井が低い。広いものとなると高額になる
  • ・防音時は閉め切るので、体温や機材によって室内温度が高くなる(暑くて長時間の使用に向かない)
  • ・持ち運び可能という触れ込みですが、一度組み立てると移動が大変

このように、組み立て式防音室にはさまざまな落とし穴が存在しています。近年では、テレワーク用に防音ボックスを購入する方が増えているようです。ただ、正直な話、組み立て式の防音室は、デスクワークには向いていると思うのですが、自宅スタジオとして使用する場合、不向きだと考えられます。というのも、組み立て式の防音室は、音響設計などを自分専用に施すことができませんし、本格的なスタジオで収録した物と全く違う音になってしまう可能性が高いのです。

組み立て式防音室は、あくまでも、専門業者による防音工事よりは安価だという点のみがメリットと考えておきましょう。

スタジオ用防音なら部屋の防音室化が最もオススメ

自宅に収録などを目的としたスタジオを作りたい場合、自宅に防音工事を施して専用の防音室を作るのが、最も効果的な防音対策になるでしょう。なぜなら、スタジオ利用する場合は、自分が生じさせる音の問題以外にも、外からの音を防がなければならないため、通常の楽器防音以上の性能が求められるのです。さらに、音漏れや音に伴う振動対策だけでなく、防音室内の音質に関してもより良い環境が求められます。

そのため、規格品である組立て式防音室では、どうしても細かな要望までを実現することが不可能になってしまうのです。防音工事業者に依頼して、部屋を防音室化する対策の場合、以下のようなメリットが得られます。

  • ・防音室は建物の躯体から浮かせることも可能ですので、振動も伝えないように設計可能
  • ・非常に高い遮音性を実現可能
  • ・防音室内での演奏や歌による反響音が最大限引き出せるような設計が可能
  • ・もともとの部屋の広さや間取りに合わせて設計が可能

専門業者に依頼して、一から防音室を作るという方法の場合、お客様の希望をほとんど全て叶えることが可能です。上述したように、組み立て式防音室も、それなりに高い遮音性を持っているのですが、木製品を購入するわけですので、利用者の要望などに合わせて微調整をするようなことはできないのです。専門業者が施工する防音工事は、防音効果だけでなく音響環境までお客様の要望に合わせて設計することが出来ますので、満足のいく防音室が必ずできるでしょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

ピアノ防音室

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鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

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