防音ドアの効果とは。防音ドア設置によるメリットとデメリットをご紹介

今回は、意外な音漏れの原因箇所となってしまいがちな『ドア』について、防音ドアを採用した時に得られるメリットについて解説していきたいと思います。

皆さんは、自宅の各部屋に取り付けられているドアについて、きちんとドアを閉めていれば、音をシャットアウトしてくれると考えていませんか?もちろん、ドアを開けている時と比較すれば、閉めているだけでかなりの音を遮ってくれる効果が得られますが、実は、一般的なドアはそこまで高い防音効果を持っていないのです。というのも、一般的なドアについては、きちんと閉めていても「換気がなされるように」ということを考えられていることから、ドアの下部に数cm程度の隙間がわざと作られているのです。音は、ほんの小さな隙間から漏れてしまうものですので、こういった作りになると、高い防音性能を得ることはできません。

実際に、楽器用防音室など、本格的な防音工事を行う時には、ドア部分に隙間が生じなくなるような、専用の防音ドアが設置されることになります。防音ドアであれば、ドアの下部に隙間が設けられるようなことはありませんし、その他の部分に生じる隙間もきちんと無くすような対策が施されているのです。
この記事では、防音ドアがどういったもので、実際にドアを防音ドアにすることで得られるメリットなどをご紹介します。

防音ドアとは?

それではまず、防音ドアがどのような製品なのかについて解説していきます。防音ドアは、その名称からイメージできるように、通常のドアと比較して、「音を遮る」ための対策が施されているドアのことを指しています。

通常のドアは、上述したように、きちんと閉めていたとしても隙間ができてしまう構造になっていることから、普通に音漏れが生じてしまいます。防音ドアは、ドアの下部に隙間などが生じないように設計されていますし、空気音をきちんと遮るという目的で、通常のドアにはないゴムパッキンがドア枠に使われています。そして、ドアを閉めていれば、ドアと建具でパッキンを挟み込む構造になっており、きちんと隙間が埋められるようになることで外と中を完全に遮断することができるようになるのです。

「防音対策でも、ドアだけ取り換えるなんてことは少ないのでは?」と考える方も多いですが、実は、ご家族間の生活音による音の問題を解消するレベルであれば、防音ドアの設置が非常にオススメです。実際に、お子様の受験が近くなったので、家族が生じさせる音を防ぎたいという要望で防音ドアを設置される方は多いです。

防音ドアの効果は?

通常のドアを防音ドアに変更するだけで、ドア部分に生じる隙間が大幅に少なくなることから、確実な防音効果が得られます。ただ、「どれほどの防音効果があるのか?」という部分に疑問を持ってしまい、なかなか防音ドアの導入を決断できないという方も多いようですので、ここでは防音ドアの効果を簡単にご紹介します。

一口に防音ドアといっても、一般家庭の生活音を遮断するために設置されるような簡易防音ドアから、カラオケ店に導入されるような本格的な防音ドアまで、いくつかの種類が存在しています。一般家庭に導入される、簡易防音ドアの防音効果については、「音を30dB程度軽減する」とされています。家庭内の音の問題では、家族の話し声などがあげられるのですが、人が普通に会話する時の音は約60dBと言われています。つまり、こういった人の話し声に悩んでいるという場合、簡易的な防音ドアを設置するだけで、ささやき声(30dB程度)ぐらいまで音を軽減できるのです。したがって、受験を控えたお子様がいるというご家庭などで、他の家族の話し声を防ぎたいという場合、簡易的な防音ドアで十分な効果を実感できるはずです。

なお、本格的な防音ドアに関しては、55~60dBもの音を軽減できるとされています。例えば、ピアノが生じさせる音は、90~110dB程度とされていますので、性能の高い防音ドアを設置すれば、図書館の中程度の静かさまで音を軽減することができます。
防音ドアは、どのような音を防ぎたいのか、どの程度まで静かにしたいのかによって、設置するドアの種類を選びましょう。

防音ドアのメリット・デメリット

それでは次に、防音ドアを設置するメリットとデメリットについてもご紹介していきます。

防音ドアのメリット

まずは防音ドアを設置するメリットからです。

  • 近隣トラブルの可能性が少なくなる
    一つ目のメリットは、防音ドアを設置することで、その部屋から音が漏れることを防ぐことができますので、近隣住宅との騒音トラブルの可能性を少なくすることができます。もちろん、防音ドアは、音の侵入も防いでくれますので、部屋の中にいる人が近隣の音に悩まされる心配も少なくなります。
  • 子育て時の音の問題を解消
    二つ目は、赤ちゃんの夜泣きなどがあっても、防音ドアがあることで、周囲にその音で与える影響を少なくすることができるというメリットです。赤ちゃんの夜泣きは、親がコントロールすることができませんし、子育て中の大きな悩みの種となってしまいます。これが防音ドアを取り付けることで、外に泣き声が漏れにくくなりますので、「夜泣きで迷惑を掛けていないかな…」といったストレスからも解放されます。
  • 家族間の音の問題を解消
    防音ドアが、特に大きな効果をもたらすのが、ご家族間での音の問題を解消できるという点です。同じ家に住んでいるご家族でも、生活習慣が大きく異なるというケースも多く、中には、深夜にお子様が生じさせる音で睡眠を邪魔されてしまう…なんてこともあります。防音ドアは、他の家族が生じさせる生活音を防止してくれる効果がありますので、音の問題で家族がぎくしゃくするのを防止してくれます。
  • 趣味に没頭できる
    防音ドアを設置すれば、ある程度の音を軽減することができますので、そういった趣味に没頭できるというメリットも得られます。もちろん、楽器の演奏などになると、防音ドアだけでなく、部屋全体の防音工事が必要ですが、ある程度の音ならかなり削減してくれるという効果があります。なお、その逆に、勉強に集中したい、読書に集中したいなど、静かな環境を作るための対策としても非常に有効です。

防音ドアのデメリット

防音ドアの設置にはいくつかのデメリットもありますので、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • コストがかかる
    当然ですが、防音ドアを設置するためには、それなりのコストを覚悟しておかなければいけません。防音ドアは、簡易の物でも10万円前後はしますし、そこに既存ドアの撤去・処分、新たなドアの設置工事が必要です。なお、防音ドアは、性能が高くなるほど価格も高くなっていき、音楽用の本格的な防音ドアになると、ドアのみで100万円以上するような物もあります。
  • ドアとしての使い勝手が悪くなる
    二つ目のデメリットは、通常のドアよりも、開け閉めする時のドアとしての使い勝手が悪くなるという点です。防音ドアは、音を遮るために、充填剤が入っていたり、重たい材料が使用されていることから、ドアそのものが重たいです。そして、パッキンを潰して隙間を無くすという構造から、気密性が高くなり、開け閉めにかなりの力を要してしまうようになります。この使い勝手の悪さは、明らかなデメリットと言えるでしょう。

防音ドア導入時の注意点

それでは最後に、実際に防音ドアの導入を検討している方に向けて、いくつかの注意点をご紹介します。

賃貸の場合、住人の判断のみでは工事できない

アパートやマンションなどは、各住人の生活空間が近いことから、音の問題が生じてしまうケースが多いです。そのため、何とか防音対策を行い、音の問題を解消したいと考えている方が多いです。

ただ、防音ドアの設置など、既存建物に手を加えるような防音対策の場合、住人が費用を支払うからといっても、勝手に工事を進めてはいけません。賃貸住宅で、既存ドアを防音ドアに交換したいと考えた場合、まずは大家さんもしくは管理会社に「防音ドアにする工事を行って良いか?」の確認を行ってください。

なお、賃貸住宅の場合、大家さんの許可があったとしても、退去の際には元の状態に戻さなければならない場合があります。いわゆる原状回復義務と呼ばれるものです。一般のドアから防音ドアにする工事は、部屋の機能向上につながるので、「元に戻す必要はないだろう」と考えてしまう方が多いですね。しかし、この場合、他の部屋との家賃の兼ね合いが出て来てしまいますので、機能が低くなったとしても、元に戻してから退去しなければならない可能性も高いです。したがって、防音ドアに交換するにしても、取り外した既存ドアをどこかに保管しておかなければならない可能性もあるので注意しましょう

気に入るデザインの物が見つからないことも

防音ドアは、機能の違いなどでいくつかの種類が存在していますが、一般的なドアのように、豊富なデザイン性を求めることは難しいと考えておきましょう。防音ドアは、オシャレな部屋を作るのが目的なのではなく、高い防音性をもった部屋を作るのが目的ですので、部屋の雰囲気に合う色やデザインのドアが見つからない…なんてケースも多いです。

防音ドアを設置する時には、基本的にデザインではなく性能で選ばなければならないと考えておきましょう。

まとめ

今回は、意外な音漏れ原因箇所となってしまいがちなドアの対策について解説しました。

この記事内でご紹介しているように、どのような建物にも採用されているドアですが、一般的なドアは閉じていても換気ができるようにと考えられていて、ドア周りに小さな隙間が生じるような構造になっています。これは、シックハウス症候群など、室内にいる人の健康被害を防ぐという点を考えた時には、非常に有効な構造になるのですが、防音性能という視点で考えた場合、大きな弱点になってしまいます。

というのも、音は空気の振動で広がっていくものですので、小さな隙間が生じていただけで、その部分から漏れて行ってしまうという特性があるのです。現在、ご家族間での音の問題を抱えているという方がいれば、音漏れや音の侵入原因がドアの場合が多いと考えましょう。
防音ドアへの交換工事は、比較的簡単、低コストで実現できるうえ、皆さんが考えている以上に静かな環境を実現してくれる、非常に効果的な手段となります。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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