安定した賃貸経営を実現するために!今人気の防音対策リフォームをご紹介
アパートやマンションを経営している方にとって、空室は何より恐ろしいものですよね。賃貸経営を行う上では、常に満室状態を維持することが何より重要ですので、オーナー様は常に「入居者さんが快適に生活できるようにするためには?」と言ったことに悩んでいるのではないでしょうか?
特に、築年数が経過した物件であれば、いざ空室が生じてしまった際、新たな入居者を確保することに苦労してしまいがちです。もちろん、築年数がそれなりに経過している物件の中にも、家賃を下げることなく、安定した満室経営を行っている物件も多く存在します。それでは、こういった物件は、なぜ入居者から選ばれているのでしょうか?
実は、コロナ禍を経験した日本社会では、今までと少し異なる賃貸物件事情が生じ始めていると言われています。それが何かというと、「在宅時間が長くなっても、静かに快適に生活できる物件が良い!」と考える方が増えていると言われているのです。従来の賃貸業界では、物件の新しさや駅近などの立地が重視されていたのですが、テレワークが当たり前となった現在では、部屋そのものの快適性が求められるようになっており、特に防音性能に注目する方が増えているそうです。
実際に、我々のような防音工事業者には、賃貸オーナー様から空室対策のための防音リフォームの依頼が急激に増加しています。そこでこの記事では、賃貸業界で今人気の防音対策リフォームをご紹介していきます。
集合住宅では騒音に関するトラブルが増えている
人が生活する限りは、何らかの音が必ず生じてしまいますし、完全に無音の状態で生活することなど、誰にもできるものではありません。これが、マンションやアパートの集合住宅になると、壁一枚、床一枚で各入居者の生活空間を区切るだけですので、当然、近隣の方の生活音は聞こえてしまうものなのです。しかし、この当然の生活音が原因となる近隣トラブルは年々増加していると言われています。実際に、国土交通省による調査では、以下のような結果が出ています。
引用:マンション総合調査
上図は、日本政府が定期的に行っているマンション総合調査の中の一データです。要は、マンションの中で起きる近隣トラブルの割合をデータ化したものなのですが、最新の平成30年度版では、生活音による騒音トラブルが最も多いという結果になっています。そしてさらに、新型コロナウイルス問題の発生で、人々の在宅時間が長くなったことにより、音に関するトラブルは、さらに増加傾向にあるとされているのです。
そのため、賃貸物件探しをする人の物件に求める条件として、「物件の防音性能」を上位にあげる方が増えており、いくら立地が良い物件でも、周囲に騒音が存在するとみなされる物件は敬遠されるようになっているのです。こういったことから、賃貸物件の防音性能を高める対策を行うことは、近隣にある他の物件との差別化にもつながる、非常に効果的な空室対策とみなされるようになっているのです。
防音効果対策リフォームの手段について
それでは、空室対策や物件の資産価値向上をもたらせてくれる防音対策リフォームの具体的な手段について解説していきましょう。なお、防音工事は、基本的に室内工事となりますので、退去者が出たタイミングで行うことが想定されます。
ここでは、物件の防音性を高めてくれるいくつかの防音対策リフォームをご紹介しておきます。
床の防音対策リフォーム
一つ目は、床の防音対策リフォームです。木造や鉄骨造のアパートなどでは、「上の階の足音が響いてうるさい!」といった苦情が良く出ます。正直、普通に歩いているだけでもそれなりに音が伝わりますので、神経質な方であれば、足音を不快に感じてしまい、早期退去を選ぶなんてことも多いようです。
床の防音対策については、以下の2つの方法が考えられます。
■防音性の高い床材に張り替える
床の対策として非常に簡単なのが、既存の床材よりも防音性の高い床材に交換するという方法です。なお、既存床材を撤去して張り替える方法と、既存床材の上から重ね張りするという2つの方法があります。
一般の方であれば、あまりイメージすることなどないのですが、実は使用する床材によって防音性はかなり異なります。例えば、無垢フローリングと比較すれば、複合フローリングの方が高い防音性を持っているといった感じです。施工方法の違いは、重ね張りの場合、撤去工事や廃材の処分費がかからなくなりますので、張り替えよりも安くつきます。
一般的なリフォーム費用については、重ね張り工法の場合、6畳程度で6~14万円程度が相場です。張り替え工法になると、6畳で9~18万円程度でしょう。
■二重床にする
二つ目の方法は、高い防音性能を実現するための手法です。簡単に説明すると、コンクリートスラブの上に金属製の支えなどを建てて、その上に床を設置することで、二重構造にするという手法です。こうすることで、生活音による振動がコンクリートスラブに直接伝わることがなくなりますので、階下に伝わる振動音を大幅に抑えることが可能です。
なお、施工費に関しては、25㎡程度の部屋において、既存床の撤去工事が10万円前後、新たな床を造る工事が約25万円、廃材の撤去で3万円程度、総額で40万円前後と考えてください。
壁の防音対策リフォーム
次は壁の防音対策についてです。賃貸物件での騒音トラブルには、「深夜までテレビの音が聞こえる」「大きな声で話している」といった声に関するトラブルも多いです。壁の防音対策に関しても、いくつかの方法が考えられます。
■防音効果の高いクロスに張り替える
賃貸住宅では、退去者が出たタイミングでクロスの張替えを行いますよね。いわゆる原状回復と呼ばれるものですが、この部分にかかる費用は、可能な限り安く抑えたいと考えてしまうため、機能性よりもクロスの単価に注目する方が多いです。
実は、こういったクロスの中には、高い防音効果を持っている物が存在しており、原状回復のタイミングで防音クロスに張り替えるだけで、人の話し声程度であればある程度抑えてくれるようになります。機能性の高いクロスですので、通常の物よりもコストはかかりますが、6畳の部屋のクロスを張り替える場合でも、5~10万円程度が相場です。
■壁そのものを防音壁に
二つ目の方法は、既存の壁を解体して、壁内に吸音材や遮音シートを設置し、壁を再構築することで、防音壁を作るという方法です。一般的な防音室の壁となりますので、非常に高い防音性能を実現できます。
防音壁を作るまでのリフォームになると、それなりに高額な工事となります。基本的に15㎡程度の壁を工事する場合で22万円前後と考えておきましょう。
窓の防音対策リフォーム
賃貸物件の立地によっては、外部からの音の侵入により苦情に繋がるなんてことも考えられます。例えば、目の前が公園になっているなどという場合、テレワークが始まり「うるさくて仕事ができない…」なんて理由で退去されてしまったという物件も多いようです。
こういった外部からの音の侵入に関しては、窓の防音対策が効果的です。
■二重窓にする
一つ目の対策は、既存窓の内側にもう一枚窓を設置するという方法です。窓と窓の間に空気層ができますし、新たに設置する窓を、防音ガラスなどにしておけば、非常に高い防音性能が得られます。
ただし注意が必要なのは、窓の開け閉めをする場合、2枚の窓を開閉しなければならなくなるので、防音性能が向上するものの、利便性が低下するという悩ましい問題が存在します。開け閉めすることが少ない子窓などであれば、この方法がオススメです。
■防音ガラスに交換する
二つ目の方法は、既存窓のガラスを真空ガラスなど、防音性の高いガラスに変更するという方法です。なお、築年数が経過した物件であれば、防音性が低いアルミサッシが採用されているケースも多いのですが、その場合は、サッシごと交換するのがオススメです。窓ガラスの防音性を高めても、サッシの隙間から音が侵入してしまいます。
■防音シャッターを取り付ける
最後は、窓の外側に窓シャッターを取り付けるという方法です。窓シャッターは、防犯用のアイテムと考えられがちなのですが、物理的な壁となるわけですので、それなりの防音性を持っています。
ただ、シャッターを閉めていれば、日射が入らなくなるので、昼間でも電気をつけなければならなくなるという問題点があります。
まとめ
今回は、賃貸オーナー様向けに、物件の空室対策に非常に効果的と言われるようになってきた防音対策リフォームについて解説してきました。
この記事内でもご紹介しているように、新型コロナウイスルの影響で、人々の在宅時間が長くなったこともあり、音に関するトラブルが急増していると言われています。人との接触を減らすことが、有効な感染防止対策とみなされるようになり、多くの企業でテレワークが採用されるようになったことから、自宅でも静かで集中出来る環境が求められるようになったのです。
特に、従来の賃貸住宅では、入居者同士の音の問題に注目した防音対策を新築時に施しているような物件がほとんどないことから、コロナ禍になってから騒音トラブルを抱えてしまうケースが急増していると言われています。そのため、音の悩みを抱えてしまった方が、防音性能に注目し新たな物件探しをスタートしているのです。
こういったことから、コロナ禍以降、賃貸物件の空室対策として、物件の防音対策リフォームが注目されるようになっています。防音工事は非常に高額というイメージをもっている方が多いのですが、生活音を防止する程度の部分的な対策なら、皆さんが考えている以上に安価に進めることが可能です。
物件の防音性能を向上させれば、近隣のライバル物件との差別化はもちろん、物件の資産価値向上にも繋がるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?