防音室の意外な盲点!小さな防音室利用時は、酸欠に注意しなければいけない!

新型コロナウイルスの感染拡大により、人々の在宅時間が急激に長くなってきています。日本国内では、コロナ問題以降、テレワークやリモート学習などが多くの方に受け入れられるようになっており、コロナ問題発生から約2年が経過した現在では、自宅で仕事をするのが当たり前になってきたという方も多いのではないでしょうか?

ただ、テレワークが広く浸透してきた日本国内ですが、日本の住宅はもともと在宅で仕事をするということが想定されていなかったことから、テレワークの導入による弊害もたくさん出てきています。例えば、テレワーク専用部屋が無い事から、リビングなどで仕事をするというケースも多いのですが、この場合、家族が生じさせる音で集中力を乱される…と言う問題があったり、逆にweb会議の音声が家族に迷惑をかけるなどと言う問題が指摘されています。そこで、コロナ問題が長期化する中、効率的にテレワークを進めるという目的で、自宅に小さな防音室を設ける方が増えています。防音室は、大掛かりな工事になりがちというイメージがあるかもしれませんが、実は1畳や2畳程度のユニット型防音室が販売されていて、それを部屋の隅に設置することで、静かなワークスペースとして利用することができるので、ここ2年ほどで一気に需要が高くなっています。他にも、階段下のデッドスペースなどを利用して、1.5畳程度の小さな防音室を専門業者に作ってもらうという方も多くなっています。

自宅でも静かな環境で仕事ができるという点を考えれば非常に有用な手段になっているのですが、意外に見落とされがちなのは、小さな防音室内で長時間過ごすと、酸欠状態に陥ってしまう恐れがあるという点です。そこでここでは、テレワーク目的で、小さな防音室を導入しようと考えている方に向け、意外と見落とされがちな防音室の危険をご紹介します。

防音性能がそれなりの小さなBOXは酸欠の危険が

防音室は、それなりの性能を持たせようと思う場合、高い気密性が求められます。音は振動で伝わるものですので、空気音を遮るには小さな隙間もなくなるようにしなければいけないのです。このような防音室の特徴は、中の人を酸欠に陥らせてしまう危険があるということを忘れないようにしましょう。

まず、人が酸欠になる条件についてですが、これは空気中の酸素濃度が18%を下回った時と言われています。さらに、空気中の二酸化炭素濃度が3%を超えてしまうと、酸欠ではなく二酸化炭素中毒の危険性も出てきてしまいます。そして、防音室と言うものは、何も考えずに利用してしまうと、この両方の危険性が生じてしまうと考えなければいけません。と言うのも、防音室と言うものは、非常に気密性が高いことから、中で人が作業していれば、呼吸によって酸素濃度が低くなり、二酸化炭素濃度が高くなってしまう訳です。もちろん、ピアノ室などとして利用するような、それなりの広さを持つ防音室であれば、そこまで気にしなくても良いのですが、テレワークなどで利用する防音室は1畳程度しかない、非常に狭い空間のものが多いです。

仮に、1畳のユニット型防音室を購入し、その中で長時間作業をすることを想定に酸欠の危険がある基準まで何時間で到達するのかを考えてみましょう。
防音室は1畳で天井高が約2.1m程度として、中で作業をする人について1呼吸当たりの酸素消費量(0.000025立方メートル)・二酸化炭素排出量(0.00002立方メートル)とします。この条件で計算してみると、前述した酸欠の危険性が生じる酸素濃度18%を下回るのは約3時間半程度となります。ちなみに、この計算は、換気を一切行っていない防音室で、一人の人間が通常の呼吸量で過ごしていることを想定しています。
小さな防音室の場合、換気扇の音が気になるという方がおおく、換気扇をまわさないケースもあるのですが、その状態で長時間防音室内にいると酸欠に近い状態に陥ってしまうケースが考えられます。なお、web会議などで、通常の呼吸よりも呼吸量が多くなれば、酸欠になる時間は短くなってしまうでしょう。

防音室での酸欠を防ぐには?

上述したように、非常に気密性が高い防音室は、その中で人が呼吸を繰り返すことで、酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が高くなってしまいます。そのため、長時間、防音室内で作業をしていると、頭がぼーっとする…なんて症状が出てしまうケースが多いのです。実は、こういたった症状は、酸欠一歩手前なのかもしれません。

コロナ問題が長期化している現在、テレワークがまだ続いているという方も多いですし、防音室で酸欠にならないようにするための対処もおさえておくべきです。基本的に、以下のような対策を行っておけば、酸欠の心配はないと思います。

  • ・小さな防音室の場合、換気扇をきちんと回す
  • ・換気扇を止めるのであれば、小まめにドアを開けて換気する
  • ・頭がぼーッとするなど、体調の変化を感じたら、防音室を出て休憩する

テレワーク用の防音室は、1畳程度のものが多いので、意外と短時間で酸欠の危険性が生じてしまいます。したがって、そのような小さな防音室を使用する場合には、上記のようなポイントを押さえて、防音室を利用すると良いでしょう。
なお、テレワークなどを目的に、これから防音室を購入しようと考えている方であれば、2畳以上の比較的大きなタイプを選ぶのがオススメです。例えば、2畳の防音室であれば、同じ条件でも6時間程度は酸欠の心配なく作業が進められます。そのため、換気扇をつけ忘れて作業をしている…などと言うような状況でも、短時間で酸欠になる危険はなくなります。

ちなみに、防音室は気密性が非常に高いので、人の体温で防音室内の温度が高くなってしまいます。そのため、酸欠など関係なく頭がぼーっとしてしまう…なんてケースもあると思います。

まとめ

今回は、意外に知られていない防音室使用時の危険性について解説してきました。防音室は、空気音の伝搬を防がなければならないことから、普通の部屋などと比較すると非常に高い気密性を持っています。そのため、換気扇などをまわさずに防音室内に長時間滞在した場合、自分の呼吸が原因で酸欠状態に陥ってしまう危険が存在するのです。

もちろん、防音室内での酸欠については、1畳程度の小さな防音室に限ると考えておいて問題ありません。防音室が大きくなれば、人の呼吸で酸素濃度が危険水位になるのはかなり時間がかかりますので、途中で防音室から出ていくことになるはずです。テレワークが一般化した現在、1畳程度の本格的な防音室を導入する方が増えていると言われていますので、この記事でご紹介したポイントは頭に入れておきましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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